真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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視点が飛びます。
品川に


品川の日常

★★★(とあるクルセイダー)

 

 

 ここは品川。

 メシア教の本拠地であり、神の国。

 

 そこで働いている私は忙しい人間だ。

 朝の神への祈りから始まり。

 午前中のミサ。

 そして異端審問。

 昼に祈りを捧げ。

 午後に幹部会議。

 夕方の祈りの後。

 夜のミサを終えて。

 寝る少し前に少しだけ遊び。

 寝る前に少しだけ最後の祈りを捧げ。

 そして寝るのだ。

 

 異端審問。

 主に、聖典に外れた行いをしたものを裁く仕事。

 これもクルセイダーの地位にいる者の務め。

 

 ここ品川はこの国の他の地域と違い、電気とガスが完全稼働。

 しかも掃除が行き届いており、綺麗で清潔な状態が維持されている。

 まさに理想郷だ。

 

 それなのに。

 

 こんな恵まれた環境下で、聖典の教えを守れない愚か者が出てくるのだ。

 全く嘆かわしいことだ。

 

 許すことができない。

 

 早速裁かねば。

 

 私は異端審問官の席にゆっくりと腰掛けた。

 なるべく威厳が出るように。

 

 ただでさえ私は、年若いからと侮られがちだ。

 しかも女だ。女は低く見られる。

 神の裁きが下る前の世界でもそうだったが、今もそうらしい。

 そういう輩には、私の実力を見せつけて黙らせてきたのだけど。

 余計な侮りが生まれないようにすることも、異端審問官の務め。

 

 座るとき、私が腰に吊るしている「剣」を傷つけてしまわないように気をつけた。

 年代物の代物であるので、注意しないといけない。

 

「本日の異端件数は?」

 

 私が白い神官服の襟を正しながら問うと

 

「2件でございますクルセイダーロード」

 

 お付きの従者がそう囁くように答えてくれた。

 

「2件もあるのか。いつになったら無くなるんだろうね」

 

「嘆かわしいことです」

 

 従者が眼鏡の位置を直しながら、私に同調してくれる。

 

 そのことで、私の心は神の正義に燃えた。

 

 最初の1件は、盗みだった。

 

 異端審問に引き出されてきたのは、少年で。

 まだ中等学校に通っているくらいの年齢だ。

 

「罪状を詳しく述べなさい」

 

 私は席で手を組み合わせつつ座り、言葉を促した。

 

「この少年は、学校での勉強を楽しむあまり、高度な問題が載っている参考書がどうしても欲しくなり、その結果、参考書を書店で盗んだということです」

 

 淡々と、少年の罪状を読み上げる従者。

 

 盗み……聖典にある、十罪のうち「他人の財産を欲っする罪」に該当する罪だ。

 この罪は比較的軽く、回復可能な場合は鞭打ちで済ませよと聖典にある。

 盗んだ参考書は、書店に返せば済む話。

 そして、この少年が罪を犯した理由は「より高度な問題を解きたい」である。

 つまり向上心なのだ。

 向上心は、聖典にある、十徳に数えられる徳である。

 よってこの場合は……

 

「私はこの件、鞭打ち10回で済ませるべきと考える。お前の意見を聞こう」

 

「私もそのくらいが相場であると考えます」

 

 従者が頷いた。

 よし。

 

「この少年、鞭打ち10回の刑に処す!」

 

 手をかざして高らかに宣言。

 

 この件はこれで終わった。

 少年は、係りの者に引っ立てられていく。

 

 では、次にかかろう。

 

「次は?」

 

「次は姦淫の罪でございます」

 

 従者の言葉。

 聞いていると、問題の人間が引っ立てられてくる。

 若い女だった。女は泣いていた。

 

「罪状は?」

 

「結婚はしたものの、独身時代に好きであった友人の男が忘れられず、不倫を行ってしまった、とのことです」

 

 罪状の読み上げ。

 私は目を閉じて静かに聞いていた。

 

 姦淫の罪……重い罪である。最低で禁固6年はつく。

 十罪の中でも重い部類だ。

 それだけでも大変なのに、この女がしたことは不倫。

 つまり、ここに十罪の「裏切りの罪」「涜神の罪」が追加される。

 よって結果は……

 

「待ってください!」

 

 そんなとき、女が口を開いた。

 ……なんだ?

 

「夫があまりにつまらない男だったんです! 優しければいいかと思って結婚したのが間違いだったんです! 私が愚かでした! キチンと離婚してからー」

 

「……メシア教の聖典には、離婚の規定は無い。そんなことも知らないのか」

 

 私は女の言葉を遮る形で宣言する。

 

「今、お前は涜神の罪を重ねた。よって、最高位の刑罰をもって臨まねばならん」

 

 女は、みるみる青ざめていく。

 

 私は宣言した。

 

「この女は、凌遅刑3日の刑に処す!」

 

「いやああああああああああ!!!」

 

 女の叫び声が響き渡った。

 

 

 

 午後になった。

 まだ私の職務は終わらない。

 午後は幹部会議があった。

 

 そこで、報告を受けた。

 

「クルセイダー・アトラクナクアが消息不明です。任務に失敗したものと思われます」

 

「……なんだと?」

 

 クルセイダーは神の使徒。

 優れた選り抜きのテンプルナイトを、メシア教の最先端の悪魔科学を駆使し、人工的に人間に悪魔と同じ能力を持たせることに成功した神の戦士。

 かくいう私だってそうだ。

 そんなクルセイダーが、任務に失敗?

 いや、ハッキリ言ったなら、倒されたということか?

 ……一体、何があったんだ?

 

「佐上真月の消息は?」

 

「そちらも分からなくなっており、現在調査中です」

 

 ……厄介な。

 私はこう、言っておいた。

 

「急げ。そして見つけ次第、今度はクルセイダーの投入量を増やせ。最低2人で向かわせろ」

 

 ……面倒なことになったものだ。




品川はメシア教徒の総本山です。
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