真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(夏子)
変身すると、私の時間経過速度はいつもゆっくりになる。
明さんにこのことを相談したら、それは「蠅の動体視力に関係する現象だね」という答えが返って来た。
蠅という生き物は、人間の10倍の動体視力を持ってるらしい。
私が合体した魔王は蠅の魔王ベルゼブブ。そこからこの能力と……
身体が軽い! とても!
……高い筋力を得た。
私は踏み切って、突っ込んでいく。
背中の羽根の羽ばたきを交え、空中の姿勢制御を行いつつ。
狙うのは、御所の守護者の男の方!
私は腕を振り上げた。
★★★(忍)
俺は突っ込んでくる仮面ライダーについて……
あ……こいつ、格闘技の素人だ。
腕の構え方がなってない。
なんだあれは。典型的なテレフォンパンチじゃないか……
それを感じてしまった。
だけど……
突っ込んでくるその姿に危機感を感じ。
……そして死を感じた。
当たったら絶対にマズイ!
俺はバックステップをし、腰の前で腕をクロスさせる。
そして……
「変身!」
叫んだ。
★★★(真月)
間一髪。
ウチの人、つまり忍の変身が間に合った。
忍は変身したら身体能力とスタミナが急上昇するって言ってたけど……
それでも、防戦一方になってる。
どうして……?
相手、どう見ても格闘技の素人だよ!?
動きに無駄が多過ぎる。
連携だってなってない!
私はずっと大切な人の一流の動きをずっと見てきた。
だから本物の動きっていうのがどういうものか分かるつもり。
あんなの子供遊びのはずだ。全然プロじゃない!
……なのに……何で?
★★★(忍)
こいつ……!
回避能力が高すぎる!
どうみても素人なのに……!
格闘技経験者と、そうでない人間の差で、一番顕著に違いが出るのは間違いなく防御能力だ。
稽古始めで一番重点的に教えられるのは、受けの方法なのがその証拠だと思う。
俺の動きを全て把握されている。
そして、それに出鱈目なスピードで対応されている感じだ。
女が変身しているから、体重が軽いのが影響しているのか……?
俺が反撃で出した上段突きを、身体の捻りと飛翔能力の合わせ技で回避されて、そんなことを考えてしまう。
相手の猛攻を防御しながら、反撃の糸口を逃さずに反撃。
そしてそれを回避されるということを繰り返しつつ、俺は頭の片隅でこの事態を分析していた。
でも、大丈夫だ。
時間が経てばこっちに必ず状況が良くなる。
素人が長時間の格闘戦に耐えられるはずがない……
それに俺もこのスピードに慣れれば、反撃の糸口も……
そう思っていたんだ。
そのはずだったんだ。
それは、来た。
「夏子! スパーク!」
「分かりました!」
女のテレフォンパンチをギリギリで躱す方向で動こうとした瞬間だった。
女の相棒の男の悪魔使い……恋人か、夫かしらないが。
それがいきなり口を開いたんだ。
その瞬間だった。
女の突き出した腕から、激しい稲光が発せられた。
俺は瞬間的に反応したが、間に合わない。
飛び退いたが貰ってしまい、ダメージを受けた。
片膝を突く俺に、女は狙いを定めて飛び出そうとするが……
「夏子、少し待て。援護する!」
「ハイ! あなた!」
男の言葉に飛び出すのを停止し、その場に留まる。
すると……
「シユウ! 夏子に全面強化を!」
「承知」
女の相棒の男の傍に控えていた牛頭6本腕の悪魔が、その腕を振り回す。
すると、女の身体が輝き出した……
そして再び突っ込んでくる。
……すると今度は、女の動きの速度、一撃の重さが遥かに上昇していた……!
★★★(真月)
あの男……マズい!
放置するのは危険すぎる!
あの女のブレーン、間違いなくあの男だ!
あの女、あの男の助力を受けると、危険度が10倍近くに跳ね上がる気がする!
……私がなんとかしないと!
『妖魔召喚』
『地母神召喚』
私はアームターミナルを操作し、ヴァルキリーとハリティーの2体の仲魔を呼び出した。
そしてそのまま男に向かって2体の仲魔を突撃させる。
……ハリティーの子守歌を試したかったけど、巻き添えで忍が眠りに落ちる可能性を考えると、使用は躊躇われるし。
直接攻撃しか無い!
そして私は自動小銃を構え、男の足を狙って発砲しようとした。
したのだけど……
射線に狛犬に似た魔獣が入って来た!
銃弾がそいつによって弾かれる!
「!」
私は驚く。
この銃、かなり良いものなのに……!
魔獣には、まるで通じていないようだった。
そして男は、ひらりとその狛犬に跨る。
それと同時に……
魔獣が、宙に浮かんで空を舞った。
……このときに、私は気づいてしまう。
あの魔獣……犼(こう)じゃん!
狛犬に似てて、空を飛べるなんて……間違いないよ!
あの男、とんでもない仲魔を従えてる……!
犼、とは。
それは、中国のゾンビというか吸血鬼の、僵尸(きょうし)が進化して行きつく先のひとつ、って言われているんだよね。
ものすごくヤバい魔獣。
人間を好んで食べ、龍と互角に戦えるという伝承が残ってる。
そのあまりにもあんまりな凶暴さゆえに
神仏が自分の乗り物として手元に置いて暴れないようにさせている、って話だ。
このガイア教徒の二人組……
あまりにもヤバすぎる!
キョウシは夢いっぱいのモンスターです。