真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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引き続き、品川


クルセイダーロードの一日

★★★(クルセイダーロード)

 

 

 私は忙しい。

 前にも言ったが。

 

 一日、予定で埋まっている。

 

 説法をしに行ったり、昨日のように結婚式の神官役をしに行ったり。

 

 昨日は特に大変だった。

 責任重大だからな。

 

 あの夫婦、誓いを絶対に破るのではないぞ。

 これは侮辱にあたるのかもしれないが、そう思わずにはいられなかった。

 ……全く、こんなこと口外できんよ。だから結婚式の神官役は嫌なんだ。

 

 そして、今日は今日で予定がある。

 

 末期病棟の慰問だ。

 

 神の愛を死に向かいつつある人々に伝える。

 

 大事な仕事だし、クルセイダーロードのやるべき仕事だとも思う。

 

 高貴なる存在は、皆に等しく愛を向けないといけないのだ。

 

「こちらです。クルセイダーロード」

 

「うむ」

 

 病院の職員が、今、末期癌で命を落とさんとしている老人のところへ、私を案内する。

 堂々と、クルセイダーロードの威厳を落とさぬように気をつけて私は歩いた。

 

 小娘であると思われたら、私を選んでくれたアデプト様に申し訳が立たない。

 

 案内された場所は大部屋で。

 その中のベッドのひとつに、老人が横たわっていた。

 やせ細った、もう一目で「永くない」と分かる、そんな老人。

 

 私は老人に歩み寄る。

 

「痛むか?」

 

 私は訊く。

 癌は地獄の苦しみという。

 薬でその痛みを和らげているとはいえ、限度はあるだろう。

 

「ええ、まあ」

 

 老人は困ったような笑顔。

 苦笑いをした。

 

 ……耐えているのだな。

 

 私は老人の忍耐に敬意を持った。

 

「神もあなたの忍耐に喜んでいらっしゃるぞ」

 

 そう、私は老人を讃えたが

 

「……そうでしょうか?」

 

 老人は少し、悲しそうな顔をした。

 

 ……なんだ?

 

「……話すがいい。聞いてやろう」

 

 私は老人を促した。

 すると、老人はこう言った。

 

「……私は元路上生活者です。家庭を持っていたこともあるのですが、パチンコに嵌ったせいで崩壊させました。私は自業自得ですが、息子と妻はどうなったのやら……」

 

 ……老人は元路上生活者で、路上生活に堕ちてからは、元々の家族の行方を知らないのだという。

 なるほど……

 

「何故あなたはメシア教に入信したのだ?」

 

 私は尋ねた。

 すると、こういう答えが返って来た。

 

「……世の中のためになる仕事を、私のようなくだらない路上生活者にも出来るレベルで指示してくれる。なんだったら、必要なものを貸してくれる。そんな夢のような宗教でした。メシア教は」

 

 入りさえすれば、世の中の役に立てるんです。

 こんな素晴らしい宗教は無いでしょう。

 老人は、熱く語った。

 

 だから、私はこう言った。

 

「……それだ。それこそが十徳における献身であり、向上心だ。あなたの心は神を満足させるものだ。自信を持つがいい」

 

 私は老人を賞賛した。だけど

 

 しかし……

 

 老人は何か続けようとしたが、そこを私は遮る。

 分かっていたから。

 

「妻と息子のことなら、心配しなくてもいい」

 

 落ち着いた声で言ってやる。

 老人は黙って聞いていた。

 

 私は続ける。

 

「あなたの妻と息子が、真に救われるべきであるなら、あなた同様メシア教に入信しているはず。そうなっていないのであれば、それはあなたの妻と息子が救いようのない人間だからだ」

 

 ……そう。気にする必要は無い。

 メシア教に入信していない魂というだけで、救う価値のない魂だ。

 進んで地獄に堕ちようとする者を、何故助けなければならない?

 これこそが自業自得というやつだろう。

 

 老人は……安心したようだった。

 

「この老人の痛みを可能な限り下げてやれ。神のみもとに旅立つまでの苦しみ、取って差し上げろ」

 

「畏まりました」

 

 私はそう、お付きの者に指示を出した。

 

 

 

 そして、今日の一日の仕事が終わった。

 自室に戻った私は、まずは部屋つきの従者に世話をさせたお風呂に入った。

 暖かい……。

 

 風呂からあがって。

 

 日課を行った。

 

 裸になったときに自分の身体をチェックする。これだ。

 太ってしまうと、クルセイダーロードの威厳が無くなってしまう。

 気を付ければならない。

 

 大鏡に自分の姿を映し、おかしい部分がどこかないか観察した。

 ……無いようだった。

 

 よし。

 

 用意されている寝巻に身を包む。

 

 風呂からあがると、ホットミルクが準備されていた。

 よく眠れるように、という従者からの気遣いだろう。

 

 ありがたい。感謝する。

 

 そして

 

 今日の最後の日課を開始する。

 

 ……部屋のテレビと、レコーダーの電源を入れた。

 レコーダーの中に入っている、浄化の日以前の特撮番組。

 

 私はこれが好きで。

 寝る前に必ず1番組を見ていた。

 

 特に好きなのは仮面ライダー。

 自分の異常な不運や、お金の無さ、能力不足も気にせず、ただ他人を守るために戦い抜くその姿。

 献身、勇気、向上心、友情、信頼……十徳が詰まってると私は感じた。

 

「お前たちの平成って醜くないか?」

 

 許せない一言だ。

 ……平成ライダーは醜くなんかない!




メシア教徒の基準では、クルセイダーロードは平等。
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