真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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ヒロインパート


私にひとつ出来ること

★★★(真月)

 

 

 動けない……。

 

 縛られてはいないものの、全く身動きできない私。

 身動きできないまま担ぎ上げられて、車に乗せられた。

 後部座席のシートだ。

 

 私を車に乗せたのは男女二人組。

 

 一人は女。

 髪の長い女だった。

 

 もう一人は男。

 髭だらけの体格のいい男。

 

 それぞれ、白い服を着ている。

 

 ……なんか、最初と姿が違っている気がする。

 身体動かないから良く見えて無かったんだけど。

 

 でも、なんとなくこいつらの正体は分かった。

 

 ……こいつら、メシア教徒だ。

 

 それも、おそらくクルセイダー。

 

 クルセイダー……メシア教徒が人間をベースに作り出す人工悪魔、と聞いていたけど。

 人間形態にもなれるんだね……

 

「しかし上手くいった」

 

 男の方の声。

 

「アトラクは何故この程度の仕事を失敗したのか」

 

 女の方。ため息交じりの声。

 

「まぁ、奴は何故クルセイダーに選ばれたかも分らぬような全くの小物……」

 

「神に召された者の批判はよそう」

 

 ふたりが会話している。

 

 しかしどうしよう……

 

 身体が動かないけど、動くようになるんだろうか?

 

 一応、鞭型COMPはこれがコンピューターであることは気づかれなかったみたいで取り上げられなかったんだけど。

 身体が動かないからな……

 

 どうしよう?

 

 ……口は?

 

 ……口はどうだろう?

 会話で何かできるかもしれない。

 

 よし

 

「……もしもし」

 

 やった!

 声は出る!

 

「……なんだ? 生贄の巫女よ」

 

 車を運転しながら、男が言う。

 

「……私はどこに連れていかれるの?」

 

「品川の本部よ。そこで今後の日程を決めるわ」

 

 助手席の女の方が後を引き継いだ。

 

「……私、生贄になんかなりたくないんだけど。まだ結婚して2年しか経ってないし、子供も居ないし……」

 

 そう返すと

 

「……自分勝手な事を言うのは止めろ。これだから異教徒は」

 

「あなたの犠牲で、この世に絶対の神が降臨するのよ。喜ぶべきよ」

 

 男女ふたりのその返し。

 

「私が嫌だと言ってるのに、強制するの? ……それは、あなたたちの聖典で言うところの十罪……侮辱の罪、殺傷の罪、他人の財産を欲っする罪……この3つの複合罪なんじゃないかしら?」

 

 連中の大切にしている聖典の言葉で返してやった。すると

 

「異教徒が聖典を語るな!」

 

 女の方が激怒した。

 

「神のために命を捧げられる機会を異教徒の身で与えられておきながら、それを十罪だと!? その罪、涜神の罪に値する!」

 

 ……へぇ。異教徒は十罪の適応範囲外なのね。知ってたけど。

 

「神様とやらに命を捧げて、私にどんな得があるのかな? 教えてくれると助かるんだけど」

 

 言ってやった。

 すると

 

「死後天国に召されることが出来る! 異教徒にとってはこの上ない栄誉のはずだ!」

 

 ……言うと思った。まあ、それについてはこっちも答えは用意してて

 

「残念ながら、日本人に天国も地獄も無いの。本来はね。善人も悪人も、死んだら全員同じところに行くのよ。そういうことになってるの」

 

 古事記に書いてあるあの世は、黄泉の国のみ。

 そこに入る条件は死んでることだけ。

 

 善人用、悪人用ってのが無いのよね。

 

 そして、続ける。

 

「なので、そんな天国なんて素っ頓狂な妄想みたいな新設定を交換条件に出されても、到底納得できないわけ。あなたたちの世界観で話をされても困るというか」

 

 ……正直、実は実家では仏教をやってたから、私の中には仏教の世界観があるので、厳密には違うんだけど、そこは今はどうでもいい。

 さらに追い込む。

 

「……そうそう。あなたたちの宗教、男女完全平等がウリみたいなこと、昔テレビでやってたけどさぁ……アダムが土から、イブがアダムの肋骨から。素材は違えど人に形を成したのは神である。つまり男女は平等だ、って」

 

 女は助手席の人間の役目も忘れて、振り返って私を凝視していた。

 ……よし。

 

 続ける。

 

「……元日本人の癖に古事記の内容も知らなさそうだから言ってあげるけど、日本だと男と女は同時に出現してるのよね。だからその発生に差異が無いの」

 

 じっと、女の目を見ながら、とどめを刺す。

 

「……悪いんだけど、古いのよ。男女平等。日本人は2000年以上前の段階でそれを言ってるの。分かった? ちっとも画期的じゃないの。お笑いだよねぇ? 新興宗教のメシア教徒さん?」

 

 ぶちっ、と。

 女の頭の血管が切れた音がした気がした。

 

 次の瞬間、女が叫ぶ。

 

「テュポーン! 車を止めろ!」

 

「な、エキドナ! 今は抑えろ!」

 

 女は怒り狂っている。

 まあ、そうさせたんだけど。

 

「この女に制裁を加えないと気が済まない! この女、我らがメシア教を侮辱した!」

 

「気持ちは分かる! 今は抑えろ!」

 

 ……仲違いしてるね。これでこの車、最高速度では走れない。

 上手くいけば、停められる。

 時間を稼がないと。

 

 きっと、私の夫は、忍は私を追いかけてくれる。

 私にできることはこのくらい。

 

 最悪、顔に傷が入るとか、指が無くなるかするかもだけど。

 もしそうなっても、捨てないで欲しいな。

 

 ……そのときだった。

 車が、揺れた。

 

「!」

 

 テュポーンとか言われた男がブレーキを踏んだのかと思ったけど、どうも違うみたい。

 慌ててる。

 車が停止していく。

 

 減速して、停止していく……




メシア教徒げきおこプンプン丸
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