真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
「……え?」
思わず、出た言葉がそれだった。
まさか、こんなところで本物の神器を目にすることになるなんて……
そして、ふと気づく。
まずい、と。
焦りと恐怖に襲われる。
この剣が本物の神器だったら……
俺、死ぬじゃん!
……前に真月と一緒に熱田神宮にお参りに行ったときに、聞いたんだよ。
あのとき、彼女はこう言った。
「神器ってね、まともに見てしまうと、寿命のほとんどが削り取られてしまうものらしいのよ」
……それ、本当の話なのか? と彼女に聞いたら
「一応、神社の正式な記録に、草薙の剣の本体を覗き見て、死んでしまった神官の話が残ってるから。……そういうことなのよ」
聞いたとき、怖いなと思ったことは覚えている。
だから
これが本当の神器だった場合、俺の寿命はほとんど削り取られ、余命はもう無い、ということになる。
そんな……
絶望に襲われそうになるが
「……安心しろ」
そんな俺に、クルセイダーロードの見透かした声が降って来て
「見たものの寿命のほとんどを削り取る。その能力は、誰かがこの剣を握ってる間は無効になる。でないと、草薙の剣を持ち歩いた英雄ヤマトタケルの伝説は成立せん」
……確かに。
それで、俺は安心をした。
……安心できる状態では全然無かったんだけど。
「安心するのはまだ早いぞ異教徒」
声には嘲りと……興奮があった。
自分の圧倒的優位を伝える、強者の興奮が。
「……この剣を振るう者は……一切敵からダメージを負うことがなくなる」
……なんだって?
どういうことなんだ……?
彼女の言葉が真の浸透をみせるまで。
俺は混乱し続けていた。
★★★(真月)
……確かに「草薙の剣を持ってる限り戦には負けないから」と言われて、ヤマトタケルは叔母のヤマトヒメに剣を渡されるんだけど。
あれはそういう意味だったんだ……!
つまり、あの剣を握ってる間は、あいつに物理的にダメージを与えることは無理、ってこと。
だったら……
私は考えた。
そして……
こうするしかない、と思った。
私はアームターミナルを操作して、召喚する。
……呼びたくは無いんだけど、仕方ない!
コマンドを打ち込み、呼んだ。
『魔王召喚』
地面に描かれる大きな魔法陣。
召喚される悪魔が大サイズだから、それに相応しい大きさ。
「グワッハッハッハー! よくぞワシを呼び出した真月召喚士!」
出現するのは、私が契約している中で一番悍ましい悪魔。
魔王マーラ……!
正直、ホントに呼びたくない。
けど、今はこいつに頼るしか……!
あ……あの子、こっち見て真っ青になってる。
ひょっとして経験無いの……?
まぁ、メシア教徒は既婚者以外の非処女非童貞は犯罪だから、変でもないか……?
でも、それなら好都合!
「行きなさいマーラ! その触手であの子供をふんじばって剣を奪い取れ!」
「ヌオオオオオオ!! 滾るわあああああああ!!」
私の命令に、魔王マーラは大喜びで従う。
同時に私は、何かを失った気がした。
……でも、これで日本は救われる。
救われるんだッ!
★★★(クルセイダーロード)
え……?
何……?
ちょっとやだ、こっち来ないで!
私の中に、逃げ出したいという感情が生まれる。
だけど……
使命感がそれを打ち消した。
恐怖。
それを克服するのが人間なんだッ!
歯を食いしばり、私は顔の前に右手を差し出し。
ギュッ、と握りしめて。
そこからバッ、と右手を腰だめに、左腕を斜めに構え、こう叫んだ。
「変身!」
発光。そして私は仮面ライダーに変身し。
ジャンプして、羽ばたく。
間一髪。
私は上空に逃れた。
★★★(真月)
変身が間に合ってしまった……!
しかも、あいつも飛べるのか……!
あのクルセイダーロードが、水色の、ヘルメットが6つ目の髑髏っぽいデザインの仮面ライダーに変身したと知って、私は思わず舌打ちをしそうになるくらい悔しがった。
なんなのよ! 多くの人を苦しめた新興宗教の大物なんだから、大人しく触手にヤられときなさいよッ!
そこでふと思いつく
「マーラ! 催眠術!」
肉体的ダメージが無効なんだから、マインドコントロールなら大丈夫でしょ!?
こっちもできれば使いたくなかったけど!
だけど
「……無理じゃな。あの娘、自分の存在を上級悪魔とほぼ同等に引き上げておる」
つまり、効かないらしい。
チイイイイイイイ!!
★★★(クルセイダーロード)
危なかった……!
もう少しで、触手に捕まるところだった……!
例え肉体的ダメージは無くても、あれに捕まるのはイヤ……!
眼下にいるのは、あのキモチワルイ悪魔と、甲冑姿の有翼の乙女の悪魔。
それと、あの異教徒の外道女と……あの仮面ライダーっぽい存在。
「マーラ! 催眠術!」
女の言葉。
……ゾッとした。
あの女、手段を選ばないで私を倒そうとしている……!
言葉の端々にそれが見て取れた。
これは……こっちも余裕なんてない!
私は、触手の届かない位置まで舞い上がると、そこで私は草薙の剣を納刀した。
そのまま両手の平を組み、まるで竜のアギトのような形で前に突き出す。
そしてそこに意識を集中する。
メギドアーク・キャノン。
私の超必殺技。
これで、一刻も早くあのキモチワルイ悪魔を焼き払う!
あいつさえいなくなれば……!
★★★(真月)
あいつ……
何かをやろうとしている。
上空で、両手を組んで……あれは……
なんだか、忍の必殺技「トリスインパクト」に近いものを感じた。
ということは……
放置しておくと、危ない!
「マーラ! 念動力であいつの足を引っ張って!」
「御意じゃああ!」
これは通るんだ!
良かった!
★★★(クルセイダーロード)
……!
私の足が、地上に向けて引っ張られる!
その向かう先は……あのキモチワルイ悪魔!
血の気が、引く。
まだ、この悪魔を完全に焼き払うほどはエネルギーは溜まっていない。
でも、急がないと、完全に引き寄せられてしまう……!
だから……!
「メギドアーク・キャノン!」
必死の気合。
そして発動する。
現時点でできる最大の魔法が。
組んだ両掌の間から、エネルギー波が発射される。
それは眼下のあのキモチワルイ悪魔を呑み込む。
そして爆風を呼び、それが消えたとき。
そこには、戦闘不能に陥ったあの悪魔が居た。
★★★(真月)
「メギドアーク・キャノン!」
同時にあいつから発射される破壊光線。
それがマーラを呑み込んでしまう。
……私は血の気が引いていくのを感じた。
思わず、膝を突く。
……そんな。
マーラが倒された……!
いや、なんか動いてるから多分死んではいないけど……
どうすべきか……
考えろ……考えろ……!
「……よくもやってくれたな」
クルセイダーロードが舞い降りてきた。
草薙の剣を引き抜きながら。
「……無傷で連れ帰ってもらえるとは思うなよ?」
そして、向かってくる。
相当な怒りを貰ってしまったらしい。
……私に注意を向けている間に、マーラを回復させれば……
ワンチャン、いけるかも……?
それぐらいしか、思いつかない。
ちょっと成功確率は低いけど。
そのためには……
そう、思ってるときだった。
私の前に、彼が立ったんだ。
「忍……!」
★★★(忍)
正直、勝ち目なんてない。
時間稼ぎしかできないかもしれないけど。
……それでも、彼女がやられるところを黙って見ているわけにはいかないんだ。
あの草薙の剣の恐ろしさは、持ち主に無傷を約束することだけじゃない。
無傷を約束するということは、持ち主に攻撃一辺倒の戦い方を許してしまう、ということだ。
防御する必要が消えるということだから。
だから、相手に右手で突きを放てば、その右手の攻撃を無防備に受けられて。
防御を放棄したからこそ出来る攻撃で、そのまま右手を奪われるかもしれない。
防御しなくていいっていうのは、そういうことなんだよ。
ヤマトタケルが無敵だった理由も、分かるよな……
……はじめてかもしれない。
欠片も勝機が見えない戦いっていうのは。
正直、こええよ。
でも……
俺は彼女を見た。
自分の背後に庇っている彼女を。
このひとだけは、まもらないと
そう、思った時だった。
スッ、と
俺の前に、もうひとり、立ち塞がったんだ。
まるで俺たちを庇うように。
それは……
「菜々子ちゃん……?」
戦いに巻き込まれないように後方に下がらせていたはずの、菜々子ちゃんだった。
草薙の剣を持っていればダメージを受けないっていうのは、ヤマトタケルの伝説の内容から思いついたネタですわ。
持ってる限り絶対に負けないってどういうことかと考えて。