真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

76 / 211
スタートは皇居から。


最終章 東京攻略編
上京した二人


★★★(忍)

 

 

「最初は新宿に向かうんだっけ?」

 

 隣の真月が俺にそう確認をとってきた。

 それに俺は

 

「ああ」

 

 と答える。

 

 俺たちは今、皇居にいる。

 

 皇居内部の売店の中だ。

 

 ……皇居内のターミナル。

 そこだけが、東京への入口。

 

 この売店の地下に小さなシェルターがあって、そこにターミナルがある。

 京都御所へと続くターミナルが。

 

 大破壊の日、ここから皇居の人は避難したらしい。

 まあ、その過程で色々あったらしいけど。

 ……あまり聞くのが楽しくないようなことが。

 

 売店の中は静まり返っている。

 見ると、内部は埃が積もっていた。

 

 ……内部は全然、荒らされてなかった。

 お土産のチョコレートだとか、キーホルダーだとか。

 そういうのがそのまま埃を被っていた。

 

 まあ、御所に売店があることを知らない人も多いのもあるだろうけど。

 あまりここが荒らされてしまうのは、嫌な気分になっただろうし。

 

 少し、救われた気がする。

 

 そう思っていると。

 

 るるるるる……

 

 胸ポケットの中で、何かが鳴る。

 何かは分かっている。

 

 ……スマホ。

 

 俺は急いでスマホを取った。

 ……誰かも分かっている。

 一応、名前を見た。

 

 ……やっぱり……菅野さんだ。

 

 俺は通話状態にした。

 

「もしもし?」

 

『あは~元気そうだね~安心したよ~』

 

 いつも通り、あまり緊張感のない声だった。

 

「ええ、無事に転送してもらいました」

 

 すると、菅野さんは口調を全く変えずに

 

『分かってるとは思うけど~これから私たちはあなたたちが任務を果たすまで、今使ってもらったターミナルは封鎖するから~』

 

 こんなことを言った。

 それに対し、俺は

 

「……ええ。分かってます」

 

 ……そうなのだ。

 俺たちはこれから、草薙の剣の奪還を果たすまで、東京から逃げることが出来ないことになっていた。

 そのため、ターミナルを封鎖する。

 

 理由は言うまでもない。

 

 京都御所が日本の最後の砦だから、守らないといけないから。

 

 だから、まだ実力が足りなかった、一旦引きたいと思っても、聞き入れてもらえないわけだ。

 まさしく、背水の陣。

 

『じゃ、頑張ってね~応援してるから~ではまた~』

 

 散々間延びした挨拶をして。

 結局のところ、分かり切ったことだけを言い残して通話は切れた。

 

 ふぅ。

 

 溜息のひとつも吐きたくなる。

 やることは山積みだし。

 

「忍」

 

 すると。

 俺の隣で、俺の嫁さんが明るくこう言ったんだ。

 

「行こう」

 

 満面の笑みで。

 ……これからの辛い旅路を、忘れさせてくれる笑顔だった。

 

 

 

 皇居の門を抜けた。

 結構広いのな。皇居。

 

 もう少し、狭いイメージがあったんだけど。

 

 橋を渡り、門を出て。

 

 少し歩いて、東京駅前。

 

 ……煉瓦造りの立派な建物が、壊れずに残ってて。

 

 ちょっと嬉しくなった。

 ……というか。

 

 俺たち、実物を見るのはじめてなんだよな。

 

 一応、中学の修学旅行で東京に行ったけど、実際に行ったのは国会議事堂と、東京タワー、東京ディスティニーランドくらいだし。

 

「東京駅って綺麗ね。初めて見たけど」

 

「そうだね。テレビや写真で見るのとは、実物は違うもんなんだな」

 

 そんな会話をする。

 ……別に、東京観光に来たんじゃないんだけどな。

 

 さて

 

「新宿ってどっちに行けばいいのかな?」

 

「標識見ながら歩けばいいんじゃない? まずは標識を……」

 

 そんな会話をし、これからの道を模索しようとしたんだ。

 

 すると

 

「来るなと言ってんのが、聞こえねえのかぁぁぁ! うぉまえの前に穴を開けて、うぉれが来るぞぉぉぉ!」

 

 ……警戒用に呼び出していた霊鳥アルゴスが騒ぎ出した。

 ということは……

 

 それに気づいた数瞬後だった。

 

「ヒャッハー!」

 

 エンジン音を響かせて。

 手斧で武装した、モヒカンライダーたちが現れ、俺たちを取り囲んだんだ。

 

「俺たちはガイア教徒のもんだー!」

 

「メシア教徒狩りをしているぜー!」

 

「メシア教徒でないというなら寄進だオラー!」

 

 ヒャッハーしながら、興奮した口調で捲し立てるモヒカンども。

 ……うるさい奴らだ。

 

 確かこいつら、自分らの事を「処刑ライダー」って自称してるんだっけ?

 クズを処刑するライダーだ、って。

 

 ……こんなのにクズ呼ばわりされるのはたまらんよね。

 

「……真月は手を出さなくていいから」

 

 この程度の奴ら、俺だけで十分だし。

 そういって、俺は手近なやつに立ち向かっていった。

 

 

 

「さて」

 

 ……全員叩き伏せて、俺は処刑ライダーたちが乗っていたバイクを物色した。

 乗り物はターミナルでは持ってこれないから、現地調達が当たり前というか、望ましいわけですよ。

 

 お、サイドカーあんじゃん。

 

 ……これ、いいな。

 真月を余裕をもって乗せられる。

 

「……これ、ちょうだい?」

 

 倒れている奴らに言う。

 確か、ガイア教徒の間では、何か欲しい他人のものがあった場合、譲渡の提案があったときから1分以内に「あげられない」「あげてもいけど有償で」こういう事が言えないとその物体の所有権が移るんだよね。

 事実に関係なく「俺のものだ」とはっきり言えない奴は守られない。

 

 ……まあ、とんでもない世界だと思うよ。

 

 すると。

 倒れている奴のひとりに

 

「……あんたたち、どこから来たんだ!?」

 

 質問と関係のないことを言われた。

 ……まぁ、いいや。

 

「それ、答えたらこのサイドカー貰ってもいい?」

 

 そう、言ってみたら

 

「……わかった」

 

 なんか、納得されたので

 

「……公務員。京都から来た」

 

 そう、答えた。

 

 

 

「うーん」

 

 双方納得済みとはいえ。

 なんかな。

 

「……やっぱ、やるんじゃなかった」

 

 バイクの運転をしながら独り言ちる。

 やっぱ、ガイア教徒の真似事なんてするもんじゃないな。

 

 ……自分という人間が、ぐっと下がってしまったような気がするよ。

 

「はぁ」

 

 俺は、溜息を吐く。

 

「何、溜息吐いてんの。運気が逃げるよ」

 

 楽し気な声でそうツッこんできたのは真月。

 彼女はサイドカーの側車部分に乗り込んで、そこで自分の赤い首飾りを眺めていた。

 

「ガイア教徒の真似事なんてするもんじゃないな、って」

 

「それはそうだったね。……でも、今回は仕方ないよ、緊急事態だし」

 

 落ち着いた言い方。

 眺めているものから考えると、不釣り合いなその態度。

 

 彼女がさきほどからしきりに眺めているのは、凶鳥チンからとった毒薬。

 万一、真月が敵の手に堕ちてしまった場合に、彼女が唯一神召喚のための生贄にされる前に、自分で死ぬための毒。

 つまり、自決用。

 

 渡されるとき「高濃度だ。飲んだ瞬間命を落とす」

 そう、言ってくれたけど……

 

(使わせない)

 

 当たり前だ。

 そんな最終手段を、彼女に選択させるわけにはいかない。

 

「あ、新宿の標識が見えてきたよ。こっちで間違いないみたいね」

 

 明るい声。

 

「そうだね」

 

 ……必ず、守るから。

 京都を出る前に口にした言葉を。

 

 俺は、再び決意した。




新宿にはオザワがいるのだけど。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。