真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
「……どうする?」
「どうする、って……」
彼と二人でラブホの前で仁王立ち。
いや、別にさ。
彼とはもう色々あるわけですけど。
だって結婚してるんだから。
でも……
やっぱ、色々あるわけですよ。
割り切れないというかなんというか。
だってさ!
入ったこと無いんだもん!
入ってからすることはしてるけど!
「……」
沈黙。
何だろう……?
高校生カップル?
今頃?
いや、今更?
そしたら
彼が動き出して、私の手を取り
そのままぐぐっ、と。
私はラブホに連れ込まれた。
……こうして私は人生初のラブホを、旦那に引っ張り込まれることで経験したのでした。
いや、だからどうということはないはずなんだけど。
『休憩300マッカ 宿泊700マッカ』
……確か、表にそんな看板があった。
料金について、そんなこと書いてたけどさ。
お金っていつ払うんだろうか?
前払い? 後払い?
まぁ、入れば分かるか。
入ってみるとコンクリ打ちっぱなしの建物。
そして、多分フロントなんだろう。
おばあさんが一人、奥の部屋にガラス越しに座ってて。
他に何にもない。
……うーんと。
タッチパネルで部屋を選ぶとか、無いの?
それを思った。
ひょっとして、大破壊でそういうの、消えてしまったのかな?
技術的に難しくなったとかで。
……だとしたら、少し寂しい。
昔の充実していたかもしれないラブホを、今の私たちは楽しめないってことじゃん。
すると
「なんだ、客か…… 」
フロントのおばあさんが急に口を開いたんだ。
その、ぞんざいな感じ。
え? と思った。
「休憩? 宿泊?」
そのまんま、訊いてくる。
えっと……
そんな接客、あり?
「宿泊で」
そう、忍が返答。
接客の事は外には出さずに。
「700マッカね」
どうやら先払いの店らしい。
忍が財布を出して、700マッカ分の金貨を並べる。
それを、おばあさんは確認して、回収。
そして鍵を私たちに渡しながら
「用が済んだらとっとと帰れ」
……そんなことを言い出す。
用が済んでも帰りませんよ!
宿泊だもん!
思わず舌を出しそうになった。
べえーって感じで。
……いい大人なのに。
部屋は1919室。
部屋番号には突っ込んではいけないね。
二人でエレベーターに乗って、鍵に刻まれた部屋番号の部屋に向かっていたら。
途中、別の人とすれ違った。
見たところ……
男の人の方は、多分人間のハズ。
服装が、外套めいたものを被った破壊後ファッションだったから、全身が確認できなくて。
で、女の人の方が……
青い髪に、尖った耳。
白いボディコンに凹凸のくっきりした身体……
どうみても、幽鬼マンイーター。
幽鬼マンイーター……屍鬼ボディコニアンの上位種。もちろん悪魔。
やってることは男を食い物にする、この一点は同じなんだけど。
ボディコニアンが本当に男をムシャムシャ食べてしまうことに対し、こっちのマンイーターは吸精という形で男を食べる。つまりエネルギーだけを食べるんだ。
あくまでゾンビの一種の域を出ていないボディコニアンと比較すると、ヴァンパイアに近い存在になっているから、より高位のアンデッドと言えると思う。
で。
そんな存在と、男がラブホにいる。
しかも見たところ、これから帰るところ。
……この街、悪魔と人間がセックスしちゃう街なの?
なんか、ちょっと考えられない。
すごい、とかじゃないな。
想像を超えてきた感じ。
と、そんなことを考えていたら
「あっと、真月……」
隣の忍が、済まなさそうにこう言ってきたんだ。
「珍しいのは分かるけど、こういう場所であまり他の人たちをじろじろ見るのは……」
……あ。
言われて気づいた。
確かに。
……あの人たち、セックスしてきたんだ。
そう思って見られてると思ったら、確かに失礼かもしれない。
申し訳ないことをしてしまった……
それを思うと同時に。
あいつらもこれからセックスするのか……
向こうにもそう思われていたんじゃないなかと思い当たり
……私は赤面した。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
だってオザワの街ですぞ?