真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
悪魔との取引をやめても、新宿の安全を確保する。
それを実現するには、たったひとつしか方法が無いと考えた。
それは……
「俺が、その悪魔を屈服させる」
その悪魔を屈服させ、人間に牙を向けたりしないように仕向ける。
……ようは力で従わせる。
真月の悪魔ナンパで、たまに見る光景だ。
だから、この発想が出た。
俺にも。
「……魔王パズス様です」
虚ろな目でそう答えるオザワ。
パズス……
どっかで聞いたな。
あれか? 漫画だっけ?
ゴッドサ〇ダー?
「中東の方の悪魔だよ」
さすがは真月。
俺が悩んでいると答えをくれた。
そうか……あの辺の悪魔なのね。
「……信じてるから」
全く疑いなくそんな目を向けてくれる俺の奥さん。
……そりゃどうも。
あの後、魔王の居場所も聞いた。
魔王パズスは、繁華街を離れたところにあるビルに居るそうだ。
行けば確実に会えるらしい。
外出が嫌いな魔王だそうで。
どうする? 行く?
「行く前に、悪魔に話を聞いてみようよ」
……そうしようか。
「パズス様は風と炎の魔王だけあって、衝撃系と火炎系の魔法が得意でいらっしゃるホー」
「パズス様は他者に魔法の力を与える能力を持っていらしゃるわ。代償は要求されるけどね」
「パズス様? 食べることが大好きで、動くことが嫌いな方だな。大食漢で好物は人間で、そのせいで食人魔王って呼ばれていたこともあったみたいだね」
……なるほど。
食べるの大好きで動くのが嫌いということは、太ってるのかな?
ということは、動きが鈍いのか?
スピードで攻めればいける?
あと、他人に魔法の力を与える能力を持っている。
上手くすれば、真月に魔法の力を与えることだって……
「どうする?……行く?」
情報を整理し終えたころ。
真月は俺の隣で、俺の顔色の確認をしていたんだと思う。
俺の自信のほどを知りたかったのか。
「そうだな……」
これ以上、情報を集めても仕方ない気がする。
……行くか。
教えてもらった場所。
問題のビルなんだけど……
門番がいた。
中華風の甲冑で武装した戦士2名。
「……何用だ?」
聞いてくる。
中東の方の魔王なのに、門番が何で中華なんだろうな。
まあ、どうでもいいけど。
とりあえず、俺は話しかけた。
「ちょっと、パズス様と話がしたいんだけど、通してもらえるかな?」
「……要件は?」
中華戦士がつっけんどんな感じで聞いて来る。
「生贄の供給について」
「……入れ」
おお、案内してもらえた。
ビルの中に入ると。
なんだか生物的なグロテスクな装飾が目についた。
なぁ、これって……パズスの趣味なのかね?
階段を登っていく。
階段部分は綺麗だった。
壁はグロテスクで汚いけど。
そして5階くらいまで来たとき。
「……おお、良く来たな……」
一際大きな部屋があって、そこに悪魔が居た。
見た目は金髪の青年だった。
素っ裸の金髪青年。
頭のてっぺんに、とさかみたいな突起物があり、背中に4枚の翼が生えている青年。
手は人間のようだったが、足先だけが鳥のような感じになっている。
「生贄の話と聞いたが。次の生贄の予定の話か?」
「……失礼を承知で言うが、太ってないな」
相手の話をガン無視し、感想をまず言った。
だって、聞いてきた話とあまりにも違うから。
それに、こういう感じの話は相手にとっても……
「……食事制限を掛けているんだ。昔は量を求めたが、それで一回飛べなくなるほど太ったんでな」
なんか、遠い目をして言われてしまう。
……なるほど。
「それで美食に走ったというわけか」
「……いかにも!」
……ん。
なんかダイエットあるあるを聞かされてる気がする。
高校の時聞いたぞ?
門下生だった中学生の平君に。
……多分だけどさ。
この魔王、ここまで来るのにだいぶ苦労している気がする。
「なあ、訊きたいんだけど、いいかな?」
「なんだ?」
自分の苦労話をして気持ちがいいのか、なんだか嬉しそうだ。
「昔は人間を大量に食べていたのに、今は少量の美食で満足しているのは何で?」
「それは、味で腹の重さをカバーできると気づいたからよ」
誇らしげ。
うん、そうなるよな。
「つまり、今は腹の溜まりは大した問題じゃ無いわけね?」
「……うむ!」
……これ、いけるかも。
「もっと良い方法を教えてあげようか?」
「む?」
パズス、俺の話に興味を持ったようだ。
続けた。
「食べる欲望を、他の欲望と置き換えるんだ。何かないの? そういうの?」
「新宿の悪魔の統制作業は、頭を使う感じが気持ちがいいな」
……ふーん。
「あのさ」
「なんだ人間?」
……これ、通るかなぁ?
やってみるか。
「俺の嫁さん、マグネタイトが絶対に切れない体質で、かつ美味しいのね」
「美味しいとは?」
……食いついた!
と思ったら
バシッ!
背中を殴られる。
振り返ると、真月が顔を赤らめて立っていた。
なんだか恥ずかしそうだ。軽く睨まれている。
……で、気づく。
美味しいって、別に性的な意味じゃないから!
……まあ、その辺の誤解は後で話し合って解くとして。
「マグネタイトの味が良いらしい。俺の嫁さんと交渉して、見返りにマグネタイトを貰った悪魔は皆そう言ってる」
「ほほぅ……」
パズス、興味津々の用だ。
これは……
「真月」
「わかりました」
といって、パズスに手を差し出す。
握りに行くパズス。
そして……
「おお……」
パズス、幸せそうな顔。
「これは良いな」
「……だろ?」
そして。
新宿の平和は約束された。
パズスが引き続き、新宿の悪魔に人間襲撃禁止の令を出し続けると言ってくれたから。
見返りに、定期的にマグネタイトを献上しに来いと言われた。
まぁ、しょうがないよな。
しかし……
「はああああああ」
溜息が出る。
「……どうしたの?」
真月が、俺の嫁さんが俺を心配してくれる。
嬉しい。
けど。
すまない。
これは大したことじゃ無いんだ。
……折角、ゴリッゴリに戦って、君にかっこいいところを見せようとちょっとだけ思ってたのに。
できなかった。
会話で終わってしまった~~~~!!
まぁ、理不尽なんだけど。
これはしょうがないよね。
そして。
俺たちは新宿を後にした。
次の目的地は渋谷。
新宿の人は大喜びで見送ってくれた。
オザワ一派は悪さをしないように、真月が「不本意だけど」彼らを”調和大好き人間”に変えたし。調和の態度を保つことに人生の全てを賭ける異常者……!
俺たちが来たせいで、泣く人が出なくて本当に良かったと思う。
「真月」
俺はバイクの運転をしながら、サイドカーに乗ってる嫁さんに語り掛けた。
「なぁに?」
真月はそう、答えてくれる。
……なんだかさ。
二人一緒ならなんでもできそうな気がするよ。
そう、言いたかったんだけど。
「ありがとうな」
言えなかったので、そう言った。
「……何が?」
その後、そう突っ込まれてしまったが。
これにて新宿編終了!