真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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新宿をどうするか?


09:不本意ながら

★★★(忍)

 

 

 悪魔との取引をやめても、新宿の安全を確保する。

 それを実現するには、たったひとつしか方法が無いと考えた。

 

 それは……

 

「俺が、その悪魔を屈服させる」

 

 その悪魔を屈服させ、人間に牙を向けたりしないように仕向ける。

 ……ようは力で従わせる。

 

 真月の悪魔ナンパで、たまに見る光景だ。

 だから、この発想が出た。

 俺にも。

 

「……魔王パズス様です」

 

 虚ろな目でそう答えるオザワ。

 

 パズス……

 どっかで聞いたな。

 

 あれか? 漫画だっけ?

 ゴッドサ〇ダー?

 

「中東の方の悪魔だよ」

 

 さすがは真月。

 俺が悩んでいると答えをくれた。

 

 そうか……あの辺の悪魔なのね。

 

 

 

「……信じてるから」

 

 全く疑いなくそんな目を向けてくれる俺の奥さん。

 ……そりゃどうも。

 あの後、魔王の居場所も聞いた。

 

 魔王パズスは、繁華街を離れたところにあるビルに居るそうだ。

 行けば確実に会えるらしい。

 外出が嫌いな魔王だそうで。

 

 どうする? 行く?

 

「行く前に、悪魔に話を聞いてみようよ」

 

 ……そうしようか。

 

 

 

「パズス様は風と炎の魔王だけあって、衝撃系と火炎系の魔法が得意でいらっしゃるホー」

 

「パズス様は他者に魔法の力を与える能力を持っていらしゃるわ。代償は要求されるけどね」

 

「パズス様? 食べることが大好きで、動くことが嫌いな方だな。大食漢で好物は人間で、そのせいで食人魔王って呼ばれていたこともあったみたいだね」

 

 ……なるほど。

 食べるの大好きで動くのが嫌いということは、太ってるのかな?

 ということは、動きが鈍いのか?

 スピードで攻めればいける?

 

 あと、他人に魔法の力を与える能力を持っている。

 上手くすれば、真月に魔法の力を与えることだって……

 

「どうする?……行く?」

 

 情報を整理し終えたころ。

 真月は俺の隣で、俺の顔色の確認をしていたんだと思う。

 俺の自信のほどを知りたかったのか。

 

「そうだな……」

 

 これ以上、情報を集めても仕方ない気がする。

 ……行くか。

 

 

 

 教えてもらった場所。

 問題のビルなんだけど……

 

 門番がいた。

 中華風の甲冑で武装した戦士2名。

 

「……何用だ?」

 

 聞いてくる。

 中東の方の魔王なのに、門番が何で中華なんだろうな。

 まあ、どうでもいいけど。

 

 とりあえず、俺は話しかけた。

 

「ちょっと、パズス様と話がしたいんだけど、通してもらえるかな?」

 

「……要件は?」

 

 中華戦士がつっけんどんな感じで聞いて来る。

 

「生贄の供給について」

 

「……入れ」

 

 おお、案内してもらえた。

 

 

 

 ビルの中に入ると。

 なんだか生物的なグロテスクな装飾が目についた。

 なぁ、これって……パズスの趣味なのかね?

 

 階段を登っていく。

 階段部分は綺麗だった。

 壁はグロテスクで汚いけど。

 

 そして5階くらいまで来たとき。

 

「……おお、良く来たな……」

 

 一際大きな部屋があって、そこに悪魔が居た。

 

 見た目は金髪の青年だった。

 素っ裸の金髪青年。

 頭のてっぺんに、とさかみたいな突起物があり、背中に4枚の翼が生えている青年。

 手は人間のようだったが、足先だけが鳥のような感じになっている。

 

「生贄の話と聞いたが。次の生贄の予定の話か?」

 

「……失礼を承知で言うが、太ってないな」

 

 相手の話をガン無視し、感想をまず言った。

 だって、聞いてきた話とあまりにも違うから。

 それに、こういう感じの話は相手にとっても……

 

「……食事制限を掛けているんだ。昔は量を求めたが、それで一回飛べなくなるほど太ったんでな」

 

 なんか、遠い目をして言われてしまう。

 ……なるほど。

 

「それで美食に走ったというわけか」

 

「……いかにも!」

 

 ……ん。

 なんかダイエットあるあるを聞かされてる気がする。

 

 高校の時聞いたぞ?

 門下生だった中学生の平君に。

 

 ……多分だけどさ。

 この魔王、ここまで来るのにだいぶ苦労している気がする。

 

「なあ、訊きたいんだけど、いいかな?」

 

「なんだ?」

 

 自分の苦労話をして気持ちがいいのか、なんだか嬉しそうだ。

 

「昔は人間を大量に食べていたのに、今は少量の美食で満足しているのは何で?」

 

「それは、味で腹の重さをカバーできると気づいたからよ」

 

 誇らしげ。

 うん、そうなるよな。

 

「つまり、今は腹の溜まりは大した問題じゃ無いわけね?」

 

「……うむ!」

 

 ……これ、いけるかも。

 

「もっと良い方法を教えてあげようか?」

 

「む?」

 

 パズス、俺の話に興味を持ったようだ。

 続けた。

 

「食べる欲望を、他の欲望と置き換えるんだ。何かないの? そういうの?」

 

「新宿の悪魔の統制作業は、頭を使う感じが気持ちがいいな」

 

 ……ふーん。

 

「あのさ」

 

「なんだ人間?」

 

 ……これ、通るかなぁ?

 

 やってみるか。

 

「俺の嫁さん、マグネタイトが絶対に切れない体質で、かつ美味しいのね」

 

「美味しいとは?」

 

 ……食いついた!

 

 と思ったら

 

 バシッ!

 

 背中を殴られる。

 

 振り返ると、真月が顔を赤らめて立っていた。

 なんだか恥ずかしそうだ。軽く睨まれている。

 

 ……で、気づく。

 

 美味しいって、別に性的な意味じゃないから!

 

 ……まあ、その辺の誤解は後で話し合って解くとして。

 

「マグネタイトの味が良いらしい。俺の嫁さんと交渉して、見返りにマグネタイトを貰った悪魔は皆そう言ってる」

 

「ほほぅ……」

 

 パズス、興味津々の用だ。

 これは……

 

「真月」

 

「わかりました」

 

 といって、パズスに手を差し出す。

 握りに行くパズス。

 

 そして……

 

「おお……」

 

 パズス、幸せそうな顔。

 

「これは良いな」

 

「……だろ?」

 

 

 

 そして。

 新宿の平和は約束された。

 

 パズスが引き続き、新宿の悪魔に人間襲撃禁止の令を出し続けると言ってくれたから。

 見返りに、定期的にマグネタイトを献上しに来いと言われた。

 まぁ、しょうがないよな。

 

 しかし……

 

「はああああああ」

 

 溜息が出る。

 

「……どうしたの?」

 

 真月が、俺の嫁さんが俺を心配してくれる。

 嬉しい。

 

 けど。

 

 すまない。

 これは大したことじゃ無いんだ。

 

 ……折角、ゴリッゴリに戦って、君にかっこいいところを見せようとちょっとだけ思ってたのに。

 できなかった。

 

 会話で終わってしまった~~~~!!

 

 まぁ、理不尽なんだけど。

 これはしょうがないよね。

 

 そして。

 

 俺たちは新宿を後にした。

 次の目的地は渋谷。

 

 新宿の人は大喜びで見送ってくれた。

 オザワ一派は悪さをしないように、真月が「不本意だけど」彼らを”調和大好き人間”に変えたし。調和の態度を保つことに人生の全てを賭ける異常者……!

 俺たちが来たせいで、泣く人が出なくて本当に良かったと思う。

 

「真月」

 

 俺はバイクの運転をしながら、サイドカーに乗ってる嫁さんに語り掛けた。

 

「なぁに?」

 

 真月はそう、答えてくれる。

 

 ……なんだかさ。

 二人一緒ならなんでもできそうな気がするよ。

 

 そう、言いたかったんだけど。

 

「ありがとうな」

 

 言えなかったので、そう言った。

 

「……何が?」

 

 その後、そう突っ込まれてしまったが。




これにて新宿編終了!
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