真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
「イザナミ様、女神キクリヒメを仲魔にしたいの」
私はタム・リンを仲魔にした後。
続きでイザナミ様にその旨を伝えた。
「ふむ。キクリヒメをな」
イザナミ様は、菜々子ちゃんの姿で思案顔。
キクリヒメは黄泉平坂の神話で、イザナギイザナミの離婚の場面で二柱の神の仲裁をしたという女神。
面識のある神様だから、なんとかならないだろうか?
「……正直、連絡を取って呼び出すことは出来るが、仲魔になることを命令することは出来んぞ?」
……向こうに恩があるなら別だがな、恩を受けたのはむしろこちらじゃからな……
確かに。
イザナギに何かを言って、イザナギがそれを褒めたたえて地上に帰っていった。
多分、なんか二人の仲を取りなすような、良いことを言ったんだろう。
だから、向こうには恩はあっても貸しは無い。
そういう状態。
そこまでは分かる。
「それでいいので、お願いします」
……イチから作るのもありではあるんだけど。
直接交渉して仲魔になって貰った方が手早いのは間違いないから。
……正直、時間も無いしね。
5週間しか。いや、もう5週間無いか……。
「うむ。分かった」
言って。
さすがに他の神様の呼び出すのには、パワーセーブ状態の菜々子ちゃん状態では無理があるのか。
私からマグネタイトを吸い取って……
ずず……
体長10メートル級の、真の姿。
腕が何本もある、赤黒い巨大骸骨の姿に変形した。
……横で見てたサイコダイバーがちょっとビビってる。
まぁ、私も最初そうだったし。気持ちは分かる。
「さて……ゆくぞ」
ざぁ、と腕を振り上げる。
同時に、空間が歪み……
その歪みから、ひとりの乙女が姿を現す。
黒い肌と白い髪を持つ、瞳の無い緑色の目をした弥生時代のお姫様。
……これが、女神キクリヒメ。
「久しいの。キクリヒメ」
「これはこれはイザナミ様。ご機嫌麗しゅうございます」
出会って、深々と礼をするキクリヒメ。
ああ、やっぱりすごーく偉い神様なんだなぁ。
イザナミ様。
このまま創造神風を吹かせて、仲魔にしてもらえないものだろうか……?
そんな都合の良いことを考えていたら
「ほれ、真月よ。出番じゃぞ」
……ああ。
ハイ。頑張ります……
私はおずおずと進み出た。
「どうも。単刀直入に言います。あなたを仲魔にしたいです」
頭を下げつつそう言ったら
「そうですか。いいですよ」
……え?
いきなり許可が出た?
そう思って顔を上げたら
「……ただし。私の問いに答えられたら、ですけど」
おお……
やっぱり、そう簡単にはいかないんだね……。
「その問いとは何ですか?」
「それは……」
ここでキクリヒメ、唇に指を当てる仕草で考えて……
「……できれば男性に答えて欲しいですね。これは」
そう言って
「あなたのツレの男性。どっちかでいいので、代わりに答えていただけますか?」
そう、私の頭越しに後ろの二人を見たのだった。
✭★★(忍)
いきなりこっちに指名が来た。
これは俺が答えるべきだろ。
それはほぼ脊髄反射の判断だった。
サッと手を挙げた。
「あなたですね……分かりました」
キクリヒメが俺を見ている。
……一体、何を聞かれるんだ?
「じゃあ、聞きます。……イザナミ様は、一体何に怒ってらっしゃったか分かりますか? あの、黄泉平坂の場面で」
こういう問いだった。
……考える。
……えーと。
確か、黄泉の国で自分の変わり果てた姿を見て逃げたイザナギを追いかけたんだよな。私に恥を掻かせた、って言って。
じゃあ、恥を掻かせたから怒ったんじゃないのか? 違うのか……?
うん……多分違うよな。
そんな字面見れば分かるような内容が、この場面で問題に上がってくるはずが無いし。
と、なると……
怒った理由は「恥を掻かせた」だから、何に対して「恥を掻いた」のか。
ポイントはそこじゃないかな。
……醜い姿を見られたから?
いや、多分それじゃないはずだ。
だったら、最初から言ってるんじゃないかな。
昔の美しい姿はもう無いんだ、って。
それが違うとする。
で、にも関わらず「自分の真の姿を見て逃げ出した夫を見て、よくも恥を掻かせてくれたな」だから……
じゃあ、逃げたことか?
……ちょっと待て。
そういえば、前にライドウさんが
「逃げるのは仕方ない。神道において死の穢れは核廃棄物と一緒」
って言ってた。
俺だって、俺が高濃度核廃棄物と同等の存在になってしまったとしたら、被曝を恐れて真月が俺から逃げてもそれは「仕方のないこと」になると思うし。
じゃあ多分「逃げたこと」これじゃないな。
……じゃあ、何だ?
俺はじっくり考えた。
あまり時間が無いのは分かってはいたけれど。
腕を組む。
そして……
あ、と思った。
そういえば。
何で逃げることになったのか?
それは、イザナギがイナザミとの約束を破ったからだ。
「話をしてくる間、絶対に見るな」っていう。
それに。
その約束をする羽目になったのは、イザナギの言葉のせいだ。
一緒にもう一回暮らそうと言い出したの、イザナギであってイザナミでは無いんだ。
あー、そっか。
ようは「イザナギは自分の言葉に責任を持ってない」んだな。
で、そういう男を夫に持っている妻の立場は……
うん。
……それは恥だろうし、夫に抗議をする案件だよね。
……これかな?
俺は、もう一回手を挙げた。
「……はい。では聞きましょうか」
キクリヒメが見守る中。
俺は俺の考える正解を口にする。
「……自分を、自分の言ったことに責任を持たないような男を夫に持つ女にしたこと、ですか?」
そう、言ったら……
キクリヒメはニコリと笑い、真月に向かって一礼し。
こう言ったんだ。
「私は女神キクリヒメ。今後ともよろしくお願いします」
……一礼しながら。
※これは作者の解釈です。