真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
✭★★(真月)
これで、妖精タム・リン、女神キクリヒメまで揃った。
後は夜魔インキュバスのみ。
こいつをどうすれば仲魔にできるか……。
生息場所がちょっとわかんないのよね。
「どうしたの?」
考えていると、忍が私にそう声を掛けてきてくれた。
なので
「インキュバスをゲットする方法が分からないの」
正直に答える。
夫婦だもの。問題は共有しなきゃね。
すると
「……どういう悪魔なのかな?」
ん。
そこを聞いてしまいますか。
それはですね……
「睡眠中の女をレイプして、妊娠させることを喜びとする変態悪魔よ……」
ちょっと言いづらかったけど、一応正しくインキュバスを夫に伝える。
思わず少し視線を外しちゃった。
すると
「……ゴミみたいな悪魔だね。女を玩具か何かだと思ってるのか」
少し、不快になってるみたい。
……少し、きゅんときた。
「魔王マーラに聞いてみよう」
私の話を聞いて、開口一番に夫からそういう提案があった。
え……?
正直、マーラの力は「やむを得ない催眠術行使」以外使いたくないのだけれど。
でも、夫の言葉には説得力があったんだ。
「餅は餅屋って言うだろ」
……確かに。
こういう変態悪魔に関しては、同じ変態に話を聞いてみるのが一番良いのかもしれないよね。
よし……気が進まないけど、やるか……!
私はアームターミナルを操作して……
『魔王召喚』
「グワッハッハッハ! 今日は何用じゃ真月召喚士!」
……魔法陣が描かれて、呼び出されてきた存在。
初めて見たのか、サイコダイバーがドン引きしていた。
うう……。
だから呼びたくなかったのに。
でも、今更仕方ない。
「……夜魔インキュバスを仲魔にする方法が知りたいの」
すると
「そんなん楽勝じゃよ? いいか? 良く聞くんじゃ……」
教えてくれた……
私たちじゃ到底思いつかない、イカレた方法を……
私は棒を2本と紙を組み合わせ、
こんなので本当に、インキュバスが捕まるの……?
私たちがマーラに教えられた方法、それは……
①幟を作る。
②幟には「私は排卵日です」と書く。
③その幟を立てて、すぐ傍で寝たふりをする。
④幟の文字と、睡眠中の女に惹かれて、まるで誘蛾灯のようにインキュバスが現れる。
……本当に?
イマイチ、信じられなかったが、これしか方法が無い。
やるしかなかった。
「幟、出来たね」
「うん……」
夫と見つめ合い、抱き合った。
これから危険な賭けをする。
だから……
「必ず、守るから……」
「うん……」
無論、信じている。
この世の誰よりも、信じている。
「お願いね」
幟を立て。
その場でコロンと横になる私。
✭★★(忍)
「これで本当にインキュバスが引っかかるのか……?」
俺は半信半疑だったけど。
これに賭けるしかなかったから。
大人しく従った。
でも……
「私は排卵日です」の幟を立て。
その傍で、眠る真月。
とても綺麗で……とてもドキドキした。
ダメだ……
排卵日の愛妻なんて……
メチャクチャドキドキしてしまう……
こんなことで心を乱している場合じゃ無いのに……!
そう、ひとりでモンモンとしていたとき。
「うえへへへへ……いただきます」
……放送禁止な表情をしたチャラ男が現れた。
派手な服を着たヒョロヒョロの。
強いて普通のチャラ男と違うところを挙げるとすれば
背中に蝙蝠の羽根が生えているところと。
股間にペニスケースをつけていることくらいだった。
これは、どうみてもインキュバスだな……
本当に、釣れた。
よし。
「うへへへ……排卵日の美形の女が、横になって寝ている……これはもう、赤ちゃん錬金するしか……」
真月の寝姿に視線が釘付けになっているインキュバスに、俺は近づいて裏拳を叩きこんだ。
「ぐぼお!」
まず顔面に一撃。
これで心をまず折る。
そして胴体に鉤突き、膝蹴り、肘落とし。
三連撃を加えて、倒れそうになってるインキュバスの翼を掴み、言った。
「……何を他人の嫁さんを孕まそうとしてんだオマエは?」
ああ、殺すぞ? と目で伝える。
インキュバスの心はもう、この時点で折れていて
「ひいい! すみませんでした!」
謝罪しか口から吐けない状態になっていた。
……なんか、スイッチが入ってしまう。
こいつ、俺の嫁さんを寝取ろうとしたんだよなぁ、って思うと。
こいつに関しては、何をやってもいいんじゃないのかと。
……思えてしまうんだ。
とりあえず、腹パン、膝蹴り、肘打ちを連続で叩き込む俺。
そのときだった。
「あなた!」
後ろから、真月の声が。
振り返る。
彼女は身を起こしていた。
そして彼女は、とても言いにくそうな顔で
「顔はダメ。悲惨度が上がって辛くなるから」
ぶんぶん首を振りつつ
「やるなら服で見えない場所を」
……分かった!
✭★★(サイコダイバー)
これ、やってること美人局とあまり変わりないんじゃないのかな。
俺はそう思ってしまった。
目の前で、インキュバスがぼこぼこにされている。
男の妻に手を出そうとしたという罪状で。
……誘ったのは男の嫁の方だよね?
ああ……
謝罪するなら誠意を見せろ、と言われて。
お金を差し出したら、それをしっかり奪われた上で
「まだ足りない」
「もっと誠意を見せろ!」
……と、言われる。
このまま、悪魔召喚契約にまで行くんだろうなぁ。
う~ん。
この二人。
人間相手にはとってもいい人間だと思うのよ。
新宿を救ってくれたし。
極悪人のオザワも、洗脳を掛けはしたけど、命を奪わなかったし。
こうして、俺の要求も黙って飲んでくれたし。
でもさ。
悪魔相手には……悪魔だよね?
まあ、人間の味方である以上、それは重要視する事柄ではないのかもしれないけど。
ああ……しかし……
ひょっとしたら人種差別の構図って……
こんな感じなのかもしれないなぁ……
差別があるからと、そいつが人格破綻者とは限らないというか……
✭★★(忍)
材料が揃ったので、渋谷にやってきて、即邪教の館に行った。
そして即合体。
3つの合体ポッドに、3体の悪魔を入らせた。
1つは……顔をぼこぼこに腫らした軽装鎧の槍戦士……妖精タム・リン。
2つは……落ち着いた表情で、清楚に立ち尽くしている黒い肌、白い髪、緑の目を持つ弥生時代の淑女……女神キクリヒメ。
3つは……真っ青な顔で、泣きながらぶるぶる震えている有翼のチャラ男……夜魔インキュバス。
合体ポッドが分解液に満たされていく。
そして内部の悪魔が分解されて消え、その情報が中央の魔法陣に集まる。
……そして
光の柱が立ち上り、消えた後そこに一体の悪魔が出現していた。
その姿は、薄絹を纏った銀髪の男性。
手には大鎌を持っていた。
彼はこう、俺たちに言う。
「我は魔神クロノス……人間よ。今後ともよろしく」
「いやあ、ありがとう。これで新宿の人たちを本当の意味で救うことが出来る」
サイコダイバーは嬉しそうだ。
苦労したけど、やった甲斐があったよ。
「まあ、やり残した仕事だし」
「後の始末はお願いね」
そう俺たちはサイコダイバーに言った。
悪魔を1体作って引き渡すだけで、後始末を軒並み引き受けてもらえるなんて。
助かる。
「そうだ! ……お礼なんだけど」
言ってサイコダイバーは、懐から何かを取り出した。
……それはダイヤモンドだった。
「……銀座に行くことがあったら、そこのラグの店で指輪にでもネックレスにでも加工してもらえば良いよ」
指輪……ネックレス……!
正直、やったことがない世界だから。
ワクワクが、止まらない……!
これで真月に、まともな装飾品をあげることができる……!
渡されたそれを見つめつつ。
俺は、喜びを感じていた……。
まあ、そんな幟を立てられちゃあねぇ。
(代々木編はここで最終回)