真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
01:メシア教徒の街
✭★★(忍)
サイコダイバーを見送って。
俺たちはふたり、渋谷の地に残される。
「……さて、じゃあやることやっちゃおうか」
真月の言葉。
そうだな。
渋谷の次はどこに行けばいいのかと、品川への道筋を聞かないと。
しかし……
ここ、渋谷の街は、メシア教徒の勢力が強い。
無論、本家の品川ほどじゃないんだろうけど。
行きかう人は、大部分がメシア教の一般宗教服、通称「メシア服」を着用している。
確か、ほぼ義務みたいなもんらしい。特別な理由が無い限り、衣服はこれを着用し続けるとか。
色は白が基調で、赤や青のラインで縁取りされているデザイン。
パッと見、正義の使者、ってイメージが湧く服。
……やってることを覆い隠すかのように。
実際は、自分たち以外に人権を認めず、何をやっても許されると考えている連中なのに。
「確か新宿で聞いた話だと、次は六本木って話だったけどさ」
六本木の下に地下道があって、そこから銀座に行けて、そして品川に通じているらしい。
でもこれは新宿の情報だから、ここでは違うかもしれないわけで。
その確認のためにも。
「……やっぱ、飲み屋さんか、食べ物屋さんを探すのがいいわね」
うん、俺もそう思う。
そういうわけで、俺たちは飲み屋を探したんだけど、全然見つからない。
利用者が少ないのか?
「……飲み屋、全然ないな」
「……メシア教って……飲酒をしてはいけないって制限は無かったはずだけど」
真月、しばらく考え込んで、一言。
「……メシア教って、心神喪失、心神耗弱の概念がなかった気がするから、そのせいかも……」
あー、つまり。
飲んでいたからと、酩酊時の狼藉を甘く見るような社会じゃないから、そういうことになったんだと。
……あくまで彼女の予想だけどな。
「そういうもんなのか……?」
少し、首を捻る。
そこまで考えて飲酒するかな? 普段?
俺もまあ、普段は嗜む程度にはするけどさ。
それで暴れたときのことを予測することは……無いけど。
と。
そんなことを話していると。
俺たちの傍を、2人の若い女性メシア教信者が通り過ぎようとしていた。
一人は黒髪ロングヘアー。前髪ぱっつん。
真月と似てるけど、目つきがちょっと違ってて。
彼女はくりくりして可愛い感じ。ウチの嫁さんはシュッとして綺麗な感じだけど。
大人しそうな感じの女の子。
もうひとりは同じロングヘアの女の子。なんだけど、目つきが少しキツイ。
多分も性格もキツイんだろうな。
二人ともメシア服を着用しているから、メシア教徒なのは間違いない。
真月が自分の顔をサッと隠す。
メシア教徒に顔を見られてトラブルになるのを避けるため。
俺は二人に話しかけた。
「ねぇ、君たち。俺たちちょっと飲み屋さんを探しているんだけど、見つからないんだ。……ひょっとしてこの街、飲み屋が無いの?」
すると
「……どうするサホリ、異教徒みたいだけど」
「……いいんじゃないのタオ? 将来も異教徒とは限らないと思うよ」
……なんか、ごにょごにょ話している。
うーん……どうせ傲慢なことを話してるんだろうな。
すると
「……お酒を飲む店は基本、無いですね。諦めて下さい」
にこにこと、くりくり目のメシア少女がにこやかに教えてくれた。
「……それはやっぱり、飲んで暴れることを考慮して、無いのかな?」
「んなわけないじゃないですか」
にこにこしながら、全否定。
えっと……?
彼女の後を、キツイ感じの子が続けた。
「……外で飲むとお金が余計に掛かる。浪費は困窮を呼び、十罪に繋がる……だから誰もやらないの。家で嗜むのが常識なのよ。分かった?」
……予想通りだけど、言い方がキッツイなぁ。
でも、理由が分かったのは良かったか。
……思ったより、理由はちゃんとしてんのね。
この街に飲み屋が無い理由。
そんな理由で飲み屋がやっていけないくらい商売あがったりになるんなら。
メシア教徒ってのは、少なくとも己を律する強さは相当なんだな、ということが分かった。
……多分、人間としては良い人間が多いのかもな、と。
頭の片隅で少し、思った。
さりげなく真Vキャラ。
この2人、原作ゲームでもっと掘り下げて欲しかったですわ。
惜しい。