ゼンガーみたいな立ち位置の女が生きるシンフォギア世界 作:のうち
響が寮を出発して30分ほどたったリディアン音楽院地下、二課本部司令室
司令室のテーブルにはすでに弦十郎や副司令のエレナ、了子や奏、翼などの主要な面々が揃っていた。
「遅くなりました。すみません・・・・。」
「では全員揃ったことだし、仲良しミーティングを始めましょう。」
「・・・・」響は翼の方を見るが、
「・・・・」翼は興味なしとばかりに茶をすすっている。
「とりあえず、立花、お前が立ちっぱなしでは何もはじまらん、そこに座れ。」と響に着席を促す。
そして二課の投影型ディスプレイにこの辺りの地図に赤い円形が大量にあった。
「これについてどう思う。」と響にエレナは尋ねる。
「いっぱいですね。」
「ハハハ、全くその通りだ。」
「っ・・・・」
「これはここ一ヶ月のノイズの発生地点だ。立花、ノイズについて知ってることは?」
「テレビや学校の授業で習った程度ですが・・・、まず機械的に人間だけを襲うこと、そして襲われた人間は炭化してしまうこと。時と場所を選ばすに現れて周囲に被害を及ぼすことから特異災害として認定されていることくらいですか。」
「意外と詳しいな。」
「今、纏めているレポートの題材なんです。」
「そうね。ノイズの発生が国連での議題に上がったのが13年前だけど、観測そのものはもっと前からあったわ。世界中に太古の昔から。」
「世界の各地に残る神話や伝承に登場する数々の異能はノイズ由来のものが多いんだろうな。」
「ノイズの発生率は決して高くないの。この事件発生率は誰の目から見ても明らかに異常事態、そこら辺は副司令の方が詳しいんじゃないかしら」とそこで何故副司令?、という疑問を浮かべた顔になった響に弦十郎は解説を入れる。
「エレナ副司令は、ニ課に配属される前、試作型シンフォギアの試験部隊にいてな。翼や奏が装者となる前からノイズと戦って来たのさ。」
「まあ、もっとも今でも奏者として戦場に立つことはあれど副司令という立場上、早々、戦場には上がれることは少ない、それに翼や奏くん達がツヴァイウィングとしてデビューして以降はニ課の用意した芸能プロダクションの代表取締役としても働いてもらっているからな。」
「まあ、確かにここ最近のノイズ発生率は異常の言葉に尽きるいっそ作為じみた何かを感じるまである。」
「作為ってことは、誰かの手によるものだと言うんですか?」
「中心点はここ。私立リディアン音楽院高等科。我々の真上です。サクリストD・・・デュランダルを狙って何らかの意思がこの地に向けられている証左となります。」
「あの・・・デュランダルって一体?」
「ここよりも更に下層、アビスと呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理下にて我々が研究している、ほぼ完全状態の聖遺物。それがデュランダル」
「翼さんの天羽々斬や響ちゃんの胸のガングニールのような欠片は、装者が歌ってシンフォギアとして再構築させないと、その力を発揮できないけれど、完全状態の聖遺物は一度起動した後は100%の力を常時発揮し、さらに、奏者以外の人間も使用できるだろう、と研究の結果が出ているんだ。」
「それが! ワタクシの提唱した櫻井理論!、だけど完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね。まあ、シンフォギアに関していえば特機型のおかげて扱うのにはたいしてフォニックゲインの数値は少なくてもそこそこ戦えるしね。」
「ん、ん〜・・・・」
「あの実験から2年、翼や奏の歌であれば」
「弦十郎の旦那よしてくれ、2年前の私ならともかく今の私は母さ、副司令の直属の部下でニ課の職員だ。とても歌手として復帰できるとは思えない、それに今の私はギアすら纏うことも出来ない半端者だ。」
「っ!」
「・・・・・」
「そもそも、機動実験の認可を政府がくれるとは思えないんだけどけど」
「それ以前の話よ。安保を盾にアメリカが再三のデュランダル引き渡しを要求してきてるらしいじゃないか。
起動実験どころか、扱いに関しては慎重にならざるを得まい。下手を撃てば国際問題だ。」
「まさか、この件、米国政府が糸を引いてるなんてことは・・・?」
翼は紙コップを潰す。
「調査部からの報告によると、ここ数ヶ月の間に数万回に及ぶ本部コンピューターへのハッキングを試みた痕跡が認められているそうだ。さすがにアクセスの出処は不明。それらは短絡的に米国政府の仕業とは断定出来ないんだ。
もちろん痕跡は辿らせている。本来こういうのこそ俺たちの本領だからな。」
「風鳴司令。」
「あ、そろそろか・・・。」
「む、そうか、確か今晩はこれからアルバムの打ち合わせが入っているのだったな。」
「へ?」
「表の顔では、アーティスト風鳴翼のマネージャーをやっています。まあ、ミヤビさんから変わって2代目なんですけどね。」
「おぉ~! 名刺もらうなんて初めてです。これはまた結構なものをどうも・・・。」
と名刺を響に渡して緒川と翼は退室した。
「私たちを取り囲む脅威はノイズばかりではないんですね。」
「うむ。」
「どこかの誰かがここを狙ってるなんて、あんまり考えたくありません。」
「大丈夫よ。なんてたってここはテレビや雑誌で有名な天才考古学者櫻井了子が設計した、
人類史後の砦よ。先端にして異端のテクノロジーが悪い奴らなんか寄せ付けないんだから。」
「よろしくお願いします。」
「うん。」
そして退室して、翼達はエレベーターに向かいながらスゲジュールの確認を行っていた。
「次に、月末に予定しているライブですが・・・。あまり時間がありません。
あとでリハーサルの日程表に目を通しておいてください。それから、例のイギリスのレコード会社からのお話ですが・・・。」
「その話は保留だと先日の記者会見でも伝えたはずです。それでも私は断ることにしようと考えています。
私は剣。戦うために歌を歌ってるにすぎないのですから。」
「翼さん、怒っているのですか?」
「怒ってなどいません。剣にそんな感情備わっていません。」
と翼はエレベーターに向かう。
「感情が無かったら、歌を歌えないと思うんだけどな・・・。」
と緒川は1人呟くのだった。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。