ゼンガーみたいな立ち位置の女が生きるシンフォギア世界   作:のうち

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第2話

 

シンフォギア。ノイズ。

それらの名を、私が初めて聞いたのは、まだ五歳の頃だった。

 

父はゼンガー・ゾンボルト。母はソフィア・N・ゾンボルト。

どこかで聞いたことがあるような名前だろう。そう、私の父はあのスパロボOGの登場人物そのもの――と言いたいところだが、厳密には別の世界のゼンガーだ。だが、彼が魂を剣に預けた武人だったのは、どの世界でも変わらない。

私は父から薩摩示現流を、母からは様々な知識と知恵を教わって育った。厳しいけれど、温かな家庭だった。

 

……けれど、それは長く続かなかった。

 

基幹学校の卒業を間近に控えたある日。両親はノイズ災害に巻き込まれて、命を落とした。

 

身寄りを失った私は、日本に渡った。父の師であるという人物――稲郷利秋。英語名では“リシュウ・トウゴウ”。スパロボにおけるゼンガーの剣の師であり、私にとっても人生の恩人となった。彼は高校卒業までの私を引き取り、後見人として支えてくれた。

 

その後、私は一度故郷に戻り、ドイツ軍に入隊。戦地――バルベルデ共和国へと送られた。

そこで私は、運命の親友、ヴァレリー・ブランシュタインと出会った。原典ではエルザムの遠い血筋ともされる彼女は、現実には私と肩を並べて戦う、信頼できる戦友だった。

 

私たちは戦場で猛威を振るい、私は“ジャック・ザ・リッパー”、ヴァレリーは“トゥーハンド”または“黒い竜巻”と呼ばれるようになった。

だが、突出した存在は目障りでもある。バルベルデからのドイツ撤退が決まった時、私たちの部隊は、上層部の都合で見捨てられた。

囮作戦。陽動部隊。それが私たちに与えられた最後の“任務”だった。

 

迎えもなく、連絡も途絶えた中、それでも私たちは現地部隊と共闘を続けた。

その日々が一年近く続いた頃――あれは、まさに“災厄”だった。鬼か、修羅か。

そう呼ぶほかにない強大な存在に出会った。

 

私たちの部隊は、その“存在”に一瞬で壊滅させられた。

私自身も太刀を振るい、抗ったが、意識を失った。

 

正直、死んだと思った。

だが、目覚めた時、私の視界に映ったのは――懐かしい天井だった。

利秋先生の家。かつて多感な青春を過ごした、日本の部屋。

 

目を覚ました私の前に、二人の男が現れた。

一人は利秋先生。そして、もう一人――あの修羅だった。

 

名を、風鳴訃堂という。

 

彼は偶然バルベルデに滞在していたらしい。そしてあの戦闘に巻き込まれ、私の太刀筋を見た。利秋先生の技に酷似したそれと、私の姿を見て、何かを察したのだろう。

訃堂は、部隊を一人で沈黙させた後、私を連れ帰ったという。

 

以降、私は風鳴訃堂の元で働くこととなった。

正式名称・特異災害対策零課。対ノイズ兵装の開発・試験運用を目的とした極秘部隊。

様々な適性検査を受けた末に、私は“プロトタイプ・シンフォギア”の装着者として選ばれた。

 

ソハヤノツルギ。

坂上田村麻呂が用いたとされる、伝説の剣の欠片を核としたギア。

その刃は“人ならざるもの”に対して絶対の殺傷力を発揮する。

 

私のギアは、黒いアンダースーツに赤いジャケット、銀の長髪を纏め上げ、アームドギアは大太刀。

それはもはや、私の魂の一部だった。剣そのものが、私の分身だった。

 

訃堂の計画によって、シンフォギアは正式に対ノイズ兵装の候補に上がった。

我々はその実績を示すため、日々ノイズ災害の現場に赴き、戦闘データを積み重ねた。

後にアメノハバキリの装者として選ばれる風鳴翼が実戦投入されるまでの空白を埋める者――

それが、私たち零課だった。

 

……とまあ、長い自分語りはここまでだ。

 

私は司令室の前に立ち、静かに一つ、息をついた。

 

「エレナ・ゾンボルト、これより入室します」

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