ゼンガーみたいな立ち位置の女が生きるシンフォギア世界 作:のうち
リディアン音楽院
「「失礼しました。」」
職員室から出てきた二人
生徒たちが歌う、リディアンの校歌が聞こえていました。
響も鼻歌で校歌を歌い始める。
「ん? なに? 合唱部に触発されちゃった?」
「リディアンの校歌を聞いてると、まったりするっていうか、すごく落ち着くっていうか・・・。皆が居るって思うと安心する。自分の場所って気がするんだ。入学して、まだ2ヶ月ちょっとなのにね。」
「でも、色々あった2ヶ月だよ。」
「うん。そうだね。」
一歩その頃、フィーネの館にクリスが訪れていた。
クリスが屋敷の中を歩いているが、フィーネのいる気配はない、屋敷の中を進んでいくとクリスの足が何かにぶつかった。クリスは足元を見る。
「っ!?」
そこには、男たちの死体がありました。
「何がどうなっていやがんだ・・・?」
ドガッ!と大きな音とともにクリスのいる部屋の壁が崩れ落ち
「っ!?」
そこから弦十郎が現れた。
「違う! あたしじゃない! やったのは・・・。」
弦十郎の後ろから二課の捜査員がゾロゾロとやってきて・・・。
クリスの横を走り抜ける。
「っ・・・。」
怯えるクリスの頭に、ポンと手を乗せる風鳴司令。
「誰もお前がやったなんてこと、疑ってはいない。全ては君や俺たちの傍に居た彼女の仕業だ。」
「えっ!?」
「・・・。」
「風鳴司令!」
「ん?」
I Love You SAYONARA と書かれた紙が残されていました。
捜査員が紙を取ると・・・仕掛けられていた罠が発動し爆発が起こる。
「くっ・・・。」
「うぅ・・・。」
「どうなってんだよ、コイツは・・・。」
「衝撃波は発勁でかき消した。」
「そうじゃねえよ!」
クリス、風鳴司令の腕から脱出。
「何でギアを纏えない奴があたしを守ってんだよ!?」
「俺がお前を守るのは、ギアのあるなしじゃなくて、お前よか少しばかり大人だからだ。」
「大人・・・!」
「・・・。」
「あたしは大人が嫌いだ! 死んだパパとママも大嫌いだ!
とんだ夢想家で臆病者! あたしはあいつらと違う! おセンチで難民救済? 歌で世界を救う?
いい大人が夢なんて見てるんじゃねえよ!」
「大人が夢を、ね・・・。」
「本当に戦争を無くしたいのなら戦う意志と力を持つ奴を片っ端からぶっ潰していけばいい!
それが一番合理的で現実的だ!」
「そいつがお前の流儀か。なら聞くが、そのやり方でお前は戦いを無くせたのか?」
「っ!! それは・・・。」
「いい大人は夢を見ないと言ったな。そうじゃない。大人だからこそ夢を見るんだ。
大人になったら背も伸びるし、力も強くなる。財布の中の小遣いだってちっとは増える。
子供の頃はただ見るだけだった夢も大人になったら叶えるチャンスが大きくなる。
夢を見る意味が大きくなる。お前の親は、ただ夢を見に戦場に行ったのか? 違うな。歌で世界を平和にするっていう夢を叶える為、自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」
「なんで、そんなこと・・・。」
「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられるという揺るがない現実をな。」
「っ・・・!」
「お前は嫌いと吐き捨てたが、お前の両親はきっとお前のことを大切に思っていたんだろうな。」
「うっ・・・うぅっ・・・・。」
風鳴司令、涙を浮かべるクリスを黙って抱きしめる。
「うわああああん!!」
捜査員たちは撤収。
「やっぱり、あたしは・・・。」
「一緒には来られない、か?」
「・・・・。」
「お前は、お前が思ってるほどひとりぼっちじゃない。お前が一人道を行くとしても、
その道は遠からず俺たちの道と交わる。」
「今まで戦ってきた者同士が一緒になれると言うのか? 世慣れた大人がそんな綺麗事を言えるのかよ。」
「ホント、ひねてるな、お前。」
「ほれっ。」
「あっ・・・。通信機・・・?」
「そうだ。限度額以内なら公共交通機関が利用出来るし、自販機で買い物も出来る代物だ。便利だぞ。」
「カ・ディンギル!」
「ん?」
「フィーネが言ってたんだ。カ・ディンギルって。そいつが何なのかわかんないけど・・・。
もう完成している、みたいなことを・・・。」
「カ・ディンギル・・・。」
「・・・。」
「後手に回るのは終いだな。こちらから打って出てやる。」
風鳴司令たちは撤収しました。
「・・・。」
『はい、翼です。』
『響です。』
調査から本部に帰ってきた弦十郎から通信を受けていた。
「収穫があった。了子くんは?」
「まだ出勤していません。朝から連絡不通でして・・・。」
「そうか・・・。」
『了子さんならきっと大丈夫です。何が来たって私を守ってくれた時のようにドカーンとやってくれます。』
『いや、戦闘訓練もロクに受講していない櫻井女史にそのようなことは・・・。』
『え? 師匠とか了子さんって人間離れした特技とか持ってるんじゃないんですか?』
響が興味深い発言をしたところで
ピピッ、ピピッ。と通信に誰かが入ってくる。
『お?』
『やぁっと繋がった。ごめんね、寝坊しちゃったんだけど、通信機の調子が良くなくて・・・。』
目を細める風鳴司令。
「無事か? 了子くん、そっちに何も問題は?」
『寝坊してゴミを出せなかったけど、何かあったの?』
『良かったー。』
「ならばいい。それより聞きたいことがある。」
『せっかちね。何かしら?』
「カ・ディンギル。この言葉が意味するものは?」
『カ・ディンギルとは、古代シュメールの言葉で高みの存在。転じて、天を仰ぐほどの塔を意味しているわね。』
「何者かがそんな塔を建造していたとして、何故俺たちは見過ごしてきたのだ?」
『確かに、そう言われちゃうと・・・。』
「だが、ようやく掴んだ敵の尻尾、このまま情報を集めれば勝利も同然。相手の隙にこちらの全力を叩き込むんだ。
最終決戦、仕掛けるからには仕損じるな。」
『『了解です!』』
『ちょっとヤボ用済ませてから私も急いでそっちに向かうわ。』
「カ・ディンギル・・・。誰も知らない秘密の塔・・・。」
「検索しても引っかかるのはゲームの攻略サイトばかり・・・。」
二課のスタッフ総掛かりで検索中。
「些末なことでも構わん。カ・ディンギルについての情報をかき集めろ。」
警報が鳴り響く。
「どうした!?」
「飛行タイプの超大型ノイズが3体・・・!いえ、もう1体出現!」
超大型ノイズが上空を飛ぶ。
逃げ惑う人々。
「合計4体。すぐに追いかけます。」
ヘルメットを受け取って走る翼。
「今は人を襲うと言うよりも、ただ移動している。はい。はい。」
「響?」
「平気。私と翼さんで何とかするから。だから未来は学校に戻って。」
「リディアンに?」
「いざとなったら地下のシェルターを解放して、この辺の人たちを避難させないといけない。未来にはそれを手伝ってもらいたいんだ。」
「・・・うん。 わかった。」
「ごめん。未来を巻き込んじゃって。」
「ううん。巻き込まれたなんて思っていないよ。私がリディアンに戻るのは響がどんな遠くに行ったとしても、ちゃんと戻って来られるように、
響の居場所、帰る場所を守ってあげることでもあるんだから。」
「私の帰る場所・・・。」
「そう。だから行って。私も響のように大切なものを守れるくらい強くなるから。」
響は未来の手を取る。
「あっ・・・。」
「小日向未来は私にとっての陽だまりなの。未来の傍が一番暖かいところで、私の絶対に帰ってくるところ。これまでもそうだし、これからもそう。だから私は絶対に帰ってくる。一緒に流れ星見に行く約束、まだだしね。」
「うん。」
「じゃあ行ってくるよ!」
「あ・・・。」
と迎えに来た奏のバイクの後ろに乗る。
バイクで現場に向かう翼達
『翼です。』
「ノイズ進行経路に関する最新情報だ。」
『はい!』
「第41区域に発生したノイズは第33区域を経由しつつ、第28区域方面へ進行中。同様に第18区域と第17区域のノイズも第24区域方面へと移動している。そして・・・。」
「司令! これは・・・。」
「それぞれのノイズの進行経路の先に東京スカイタワーがあります!」
「東京スカイタワー?」
「カ・ディンギルが塔を意味するのであれば、スカイタワーは正にそのものじゃないでしょうか?」
「スカイタワーには俺たち二課が活動時に使用している映像や交信と言った電波情報を、
統括制御する役割も備わっている。二人とも、東京スカイタワーに急行だ!」
(罠だとしても・・・。)
スカイタワーを目指す翼。
「スカイタワー・・・。でも、ここからじゃ・・・。」
バタバタバタバタ・・・。
「うわっと!」
響の上にヘリが現れ・・・。目の前に降りてきました。
『なんともならないことを何とかするのが俺たちの仕事だ。」
一方、緒川さんは・・・。深刻そうな顔で電話を切ると・・・。
車に乗り込みました。カイタワーに迫る超大型ノイズたち。
超大型ノイズが小型ノイズを落とし、
ばら撒き始めました。
ボトボト。ガショ、ガショ、ガショ。
さらに小型飛行ノイズも出撃!
超大型ノイズを追いかける二課のヘリ。
響が超大型ノイズの上に。
手を離して・・・。
飛び降りる。
「Balwisyall nescell gungnir tron」
右手のバンカーを伸ばす。
響のパンチ!
ノイズを貫く!
暗剣殺!
超大型ノイズに向かって剣撃が飛んでいく。
雑魚ノイズは殲滅するものの、超大型ノイズには届きませんでした。
「くっ・・・。相手に頭上を取られるということが、こうも立ち回りにくいとは!」
「ヘリを使って私たちも空から!」
ヘリがノイズの攻撃を受け・・・。
破壊されてしまいました。
「そんな・・・。」
「よくも!」
二人は左右に散って避けました。
「空飛ぶノイズ。どうすれば・・・?」
「臆するな、立花。防人が後退すれば、それだけ戦線が後退するということだ。」
飛行ノイズが大量に襲いかかってきました。
銃撃が飛行ノイズを蹴散らす。
「あっ!?」
響が振り返ると・・・。
そこにはクリスが銃を構えていました。
「ちっ! こいつがピーチクパーチクやかましいからちょっと出張ってみただけ。それに勘違いするなよ。お前たちの助っ人になったつもりはねえ!」
『助っ人だ。到着が遅くなったかもしれないがな。』
クリス「っ・・・!」
「あはは!」
「助っ人?」
「ははは、なんだよずいぶんな特別ゲストだな。」
「そうだ。第2号聖遺物イチイバルの特機型シンフォギア、ヒュッケバインEXを纏う装者・・・。雪音クリスだ!」
「クリスちゃーん! ありがとう! 絶対に分かり合えるって信じてた!」
「このバカ! あたしの話を聞いてねえのかよ!」
「とにかく今は連携してノイズを!」
「勝手にやらせてもらう! 邪魔だけはすんなよな!」
「えぇーっ!?」
「空中のノイズはあの子に任せて、私たちは地上のノイズを!」
「は、はい!」
翼が後ろに飛ぶと・・・。同じくバックステップしたクリスとぶつかってしまう。
「何しやがる! すっこんでな!」
「あなたこそいいかげんにして! 一人で戦ってるつもり?」
「あたしはいつでも一人だ。こちとら仲間と馴れ合ったつもりはこれっぽっちもねえよ!」
「っ!」
「確かにあたしたちが争う理由なんて無いのかもな。だからって、争わない理由もあるものかよ! こないだまでやりあってたんだぞ。・・・!」
クリスが振り上げた手を、響がそっと握る。
ク「あっ!?」
「出来るよ。誰とだって仲良くなれる。」
響は片手をクリスと繋いだまま、もう片方の手を翼に向かって伸ばし、奏は響に抱き着く。
「「・・・・。」」
「どうして私にはアームドギアが無いんだろうってずっと思ってた。いつまでも半人前はイヤだなーって。でも、今は思わない。何も手に握ってないから・・・。二人とこうして手を握り合える。仲良くなれるからね。」
「立花・・・。」
翼は剣を地面に突き立てて・・・。
二人が様子を見守る中・・・。
クリスに向かって手を差し出す。
「あ・・・。」
恥ずかしそうに顔を逸らすクリス。
その手がためらって震える。
翼は無言でクリスを見つめる。
クリスはためらいながら・・・。
ゆっくりと手を伸ばすと・・・。
翼の方からその手を掴んでくる。
驚いたクリスは慌てて手を離してしまう。
「このバカにあてられたのか!?」
「そうだろうな。そして、おまえもきっと。」
「冗談だろ!」
「ニヒヒ。」
超大型ノイズが上空を旋回中。
「親玉をやらないとキリがない。」
「斬艦刀でぶったぎってやるか。」
「だったら、あたしに考えがある。あたしじゃなきゃ出来ないことだ。イチイバルとヒュッケバインEXの特性は長射程広域攻撃。派手にぶっ放してやる。」
「まさか、絶唱を?」
「バーカ! あたしの命は安物じゃねえ!」
「ならばどうやって?」
「ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える。行き場の無くなったエネルギーを臨界まで貯め込み、
一気に解き放ってやる!」
「だがチャージ中は丸裸も同然。これだけの数を相手にする状況では危険すぎる。」
「そうですね。だけど、私たちがクリスちゃんを守ればいいだけのこと。」
「っ・・・!」
「うむ。」
「うん。」
ガショ、ガショ、ガショ。
響と翼、奏はそれぞれノイズ殲滅へ。
(頼まれてもいないことを・・・! あたしも引き下がれないじゃねえか。)
(誰もが繋ぎ繋がれる手を持っている。私の戦いは誰かと手を繋ぐこと!)
(砕いて壊すも、束ねて繋ぐも・・・。フッ、立花らしいアームドギアだ。)
(立花と再会してから、皆変わったな。フフッ、まあ私も同じか)
「「「託したっ!!」」」
クリスの背部パーツが変形し、フォトンライフルと合体しブラックホールキャノンに変化し
背部スラスターの上部のパーツが開き、ミサイルが出てくる。
そして脚部アーマーが開き、またミサイルが現れる。
大型ミサイルを発射!
さらにミサイルポッドを発射!
ミサイルポッドから小型のミサイルが射出され・・・。
広域殲滅!
さらにガトリング砲を連射し、
小型飛行ノイズを殲滅。
超大型ノイズに命中し、倒していく。
「やった・・・のか?」
「たりめーだ!」
「あはっ!」
人で力を合わせてノイズを全滅させました。
「やったやったー! あははー!」
「やめろバカ! 何しやがるんだ!」
「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよー! えへへ。」
「だからやめろと言ってるだろうが!いいか? お前たちの仲間になった覚えはない。あたしはフィーネと決着を着けて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだ!」
「夢? クリスちゃんの? どんな夢?聞かせてよー!」
「うるさいバカ!」
その時、通信機の着信がなる。
「はい。」
「? 学校が・・・リディアンがノイズに襲われて・・・。ガチャッ。ツー・・・ツー・・・ツー・・・。』
「っ!?」
その通信に響たちは急いでリディアンへと戻るのだった。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました