ライスシャワーお姉ちゃん【完結+おまけ不定期】 作:稗田之蛙
件のウマ娘が決起し、そして見事に野望打ち砕かれた時より少し時間は遡る。
「お姉ちゃんが最近ぬいぐるみに愛の告白をしてる……」
ライスシャワーがそんな相談を受けたのは、親戚の実家で家事を手伝っている時の話だった。
深刻な顔つきでライスシャワーに相談を持ちかけたのは、件の親戚の、その弟に当たる子だった。
「きっと好きな人が出来たからその練習してるんじゃないかな?」
ライスシャワーはそんな親戚の甘酸っぱい秘密にあまり立ち入らないように考えつつも、隣で皿洗いを頑張る小学生の男の子をやんわりと宥めた。
しかしその子は、手に持った食器を落とさないようにしながらも、首をぶんぶんと横に振る。
「だったら、なおさら心配だよ。だって、明らかに女の人に向けての告白だもん。変だよ」
ライスシャワーの耳がぴくりと動いた。トレセン学園は、事実上の女子校である。男女共学と比べれば、同性に対してその手の憧れを持つ事は決して少なくはない。フジキセキやタキオンが後輩から黄色い声で騒がれているのをライスシャワーも知ってる。
だから、同性に対して恋愛感情を抱くというのも別に変な話ではないのだろう。それがこの男の子が語るように奇異に映るのかもしれないし、「許容しろ」と声高に叫ぶ事もしないが。少なくとも、ライスシャワー自身は他人の恋愛観に対して軽蔑も批難もしないように受け止めている。
「……お姉ちゃんが、女の人好きになっちゃったら弟くんは嫌?」
だから、大事なのは当事者達の気持ちだ。ライスシャワーはそう思って、軋轢が起こらないように相手の悩みを解す事に努めた。
ライスシャワーの問いかけに、その子は……また少しうつむいた。
「やだ。だってさ……あんまり嬉しくないもん」
その子は顔をくしゃくしゃに歪めながら、そう呟いた。自分の中のモヤモヤとした気持ちを言葉にするのが難しくてもどかしさを感じているのかもしれない。
「うん、そうだね。でもお姉ちゃんにむやみに『やだ』って気持ちをぶつけてないのは、えらいことだとライスは思うよ」
ライスシャワーは、手を拭いてから。その子の頭を優しく撫でた。
姉を慕う気持ちが入り混じったり、姉が女性を好きになる事への拒否感だとか……幼いながらに、様々な感情を織り込み乱れているのが見て取れた。
「もしかしたら、学園でやる予定の演劇の練習とかだったりするかも。お姉ちゃん、背が高いから王子様役を回されたりとか?」
「そうかなぁ……」
不安そうにしているその子の顔を見ると、ライスシャワーは彼の頭から手を離して、少し前屈みになって――その男の子の不安を晴らしてあげたくて――ライスシャワーは柔らかい笑みを浮かべて、こう答えた。
「じゃあ、ライスがお姉ちゃんに聞いてきてあげる。『好きな人はいるのか?』って」
「私は、あなたの事が好きだ……」
彼女の部屋の扉をそっと開いて聞こえてきた甘ったるい言葉に、ライスシャワーは硬直していた。
扉の隙間からそっと覗き見れば、ベッドに腰掛けた彼女は膝枕にウサギのぬいぐるみを乗せて、まるで意中の片思いの相手と対面しているかのような面持ちで、そう告げている。
ウサギのぬいぐるみに腕を回し、割れ物のように抱きしめ、かと思えば、柔らかいぬいぐるみが少し歪になるくらい強くぎゅっと抱きしめて、ぬいぐるみの頭に頬をすり寄せたり……。
「……う、うわぁ……」
ライスシャワーは、思わず声が漏れた。彼女とは長い付き合いだと思っていたものだが、意中の人が男にせよ女にせよ、こんな熱烈な恋心を内に秘めているのだと知ってしまうと、なんだかライスシャワーの方も恥ずかしくなってくる。
彼女の恋愛に思い焦がれる姿は、どこか子供っぽいながらも、秘めた想いのぶつけようがなく、枕に顔をうずめて足をバタバタさせているようないじらしさと切なさが伝わってくる。
ひとしきり抱きしめ終えると、繰り返し、ぬいぐるみの頭を撫でながら、愛おしい相手を慈しむように、 恋の囁きは続く。相手を肯定する言葉。相手を褒めるような言葉。
「女性同士でも関係無い。慕っています……じゅてーむ……いや、違うよな……うん、相応しくない……そもそも女性同士でも問題ないような……」
一連の行動は一種のイメージトレーニングなのだろうか。合間に挟まれる自問自答が、ライスシャワーの耳にも入ってくる。
この場面が、彼女の弟に目撃されたのだろう。この甘すぎる『恋愛模様のイメージトレーニング』を目に入れるには、姉を慕う小学生男子には少し刺激が強すぎるというものだろう。
しかしどうしたものかと、ライスシャワーは悩む。今入っていけば、彼女は取り繕おうとするだろう。そうなれば好きな人がいるなどという話は、聞き出せない。
甘酸っぱい練習が知られてしまったからには、事実を隠そうとするはずだ。それは彼女の心に余計な負荷をかけてしまう結果になりかねない……とライスシャワーは考える。
なにより、彼女が誰に恋心を抱いているのであれ。邪魔をしたくないという気持ちが強かった。
なので、ひとまずこの場を去る事にしようとした。
その瞬間。不意に、ライスシャワーの耳に囁くような声が届いた。
「私は、ライスシャワーが……貴方が好きでした……」
その声に、ライスシャワーは心臓が飛び跳ねた。尻尾がピンと立ち、耳がぴょこんと立ち上がる。
その声が彼女の耳に届いた瞬間。ライスシャワーは、去ろうとしていた足を止め、扉にピタリとウマの耳をくっつけて、耳を澄ませてしまった。
「自分が幼い頃から……たとえるなら、自分にとっては貴方は絵本の中の英雄みたいな存在で……」
ライスシャワーも恋愛感情を抱いていたといえば、きっとそれは違うのだろう。
ライスシャワーにとってはむしろ逆。「今の関係」が崩れてしまうような不安こそがあっての行動である。
だから、どういう感情でいればいいのか混乱して顔が青ざめたり赤くなったりを繰り返し、大きな耳はせわしなくぴょこぴょこと動いてしまっていた。
「……私は、貴方が宝塚記念を走り切れてよかったと思っている」
聞こえてきた言葉は、何処かしんみりしていて。憂いを秘めたものだった。
何故そんなに悲しそうにしているのかは、ライスシャワーにはよく分からない。チームメイトの出迎えを受けた時は、彼女も周囲に負けず劣らず大はしゃぎで喜んで、感極まって泣いていた記憶がある。
気づいてみれば、先からの囁き声には甘ったるいモノが混ざっていない。まるで、先に熱烈に現していた『想い人』とは別の誰かに手向けた言葉のようにも聞こえる。
……それはきっと「自分に向けられたものではない」のだろうと、ライスシャワーは直感的に思った。けれど、不思議な事に内容的にはライスシャワーに向けたものとしか思えない。
「……私は、貴方にもっと幸せになってほしい……」
一体それが何故なのかは、ライスシャワーには決して分からない。
その言葉の意味を問いただしたいとも思ったが、きっとそれは彼女のために良くないことなのだろうと思い直す。
昔からなのだ。彼女が自身の事を深く語りたがらない事を、ライスシャワーは知っている。
それを無理に暴くのは、無粋というものだ……と自分を納得させて、ライスシャワーは聞き耳を立てるのを止めにした。
そして扉から離れる。
あれはきっと自分の事ではないだろうが、彼女が抱える悩みの片鱗を知ったからには力になりたいと思ってしまうのもまた、ライスシャワーだった。
「よしよし……ママですよ……一週間がんばりましたね……♡」
だから、時間を変えて二人っきりになった時に盛大に甘やかすようにした。
膝に寝かせた彼女の頭をぎゅっと抱きしめて、優しく撫でてあげる。
「いや……ライスの姉さん。貴女はママとかじゃなくて……」
「二人っきりの時は、ライスお姉ちゃん。……今は、ライスママかな? ふふ」
膝の上で強張っている彼女は、いつものように体格にそぐう飄々とした雰囲気はもはや何処にもなく、ライスシャワーの撫でる手つきにたじたじと身を任せるしかなくなっている。
「……弟くん、『お姉ちゃん、好きな人がいるかもしれない』って心配してたよ?」
ライスシャワーは、彼女の頭を優しく撫でながら問いかける。
そんな問いに彼女は一瞬ビクリと体を強張らせたが、すぐに平常心を取り戻して冷静を装おうとするが……耳の先がピンと立ち上がったままになっているあたり動揺しているのが丸わかりだった。
「いません」
彼女はすぐさま、きっぱりと断言する。その言葉にいくらかの不安が含まれていた。だから、ライスシャワーは彼女を安心させるために、もっと強くギュッと抱きしめた。
「……大丈夫だよ。誰が好きでも、ライスは貴女の味方だからね……」
彼女の好きな人が誰であれ、ライスシャワーはそれを応援して支えるつもりだ。それが万が一、同性であっても。たとえ思いがけない相手であったとしても。
だから願わくばその恋が叶えばいいと思うし――そして叶うのならば、彼女が誰かの事を「もっと幸せになってほしい」と願うように、彼女自身も幸せであって欲しいとも思う。
ライスシャワーはそんな事を考えて彼女の頭を抱いていたはずが、いつの間にか腕を掴まれていて、そのままベッドに押し倒されそうな形で抱擁を解かれていた。
覆いかぶさる寸前のような姿勢でこちらを見下ろす彼女の瞳には、ぎらついたものが宿っている。
それはまるで、今まで食事を我慢していた餓えた獣を連想させるような獰猛さに見えて……。
「……ど、どうしたの?」
思わず、ライスシャワーは上擦った声でそう問いかけてしまう。
「ライスの姉さん」
彼女の声からは、余裕が消え失せている。それだけに、ライスシャワーは自分に向けられた瞳と声に込められた激情を感じ取っていた。
まるで獲物を見るような目に、ぞくりと身が震えるのが分かる。こんな目をする子だっただろうか……そんな疑問を抱くくらい、彼女は熱の籠もった目でライスシャワーを見つめてきていて……。
「お、お姉ちゃん呼びがいいな……」
その様子にすっかり気圧されたせいで、いつものやり取りも気弱になる。
「……姉さん」
そのせいか、彼女から呼び方を訂正してくれる気配もない。そのまま彼女は震えそうになる声を必死に抑えながら言う。
「私は、ライスの姉さんを甘やかしたい」
彼女の表情からは普段のチームメイトに見せるような飄々さは一切なくなっていて、ただただ一直線な想いだけが宿って見えた。
それがからかいの類いでない事はライスシャワーにも分かる。きっと、自分自身と同じように親愛の情をそうやって現したいのだと、ライスシャワーは察した。
彼女の弟やライスシャワーが「愛の告白の練習」だと思い込んでいたそれは、単にこの時の為の練習であったのだろう。
しかし彼女にとっては、とても言い出しにくい言葉であったのはその様子から見て取れる。だからライスシャワーもまた彼女と同様に真剣になって受け止めなければならないだろうと思って――。
「その……やさしく、おねがいね……?」
おずおずとした調子で、そう答えた。あのぬいぐるみのように、軋むほど強く抱きしめられるのかと想像しながらも。
結果としていえば、別に激しい抱擁を食らうでもなく。ライスシャワーは彼女に膝枕をしてもらう事になった。
「……えへへ、ライス、いつも膝枕してあげてる側だけど……される側って、なんだか不思議な気分……」
高校生になってしまえば、両親にもしてもらう機会がなくなってしまったから。だから、膝枕をされる側というのはとても新鮮だ。しかも相手は親しい友人で、親戚ともなると、ライスシャワーも気恥ずかしい気持ちだった。
けれども、そんな照れくささ以上に……自分の事を「甘えさせたい」とこうも受け入れてくれる存在がいる事は、どこか安堵するものがあった。
そしてまた彼女の方も、普段は自分が甘えるばかりという事もあってか膝に誰かを乗せる行為に強張った様子で……ライスシャワーはそんな彼女の様子につい微笑んでしまう。
「……やっぱり、緊張してる?」
彼女は、仏頂面のまま頷く。誰かに体を許すことを緊張しているのだろう。ライスシャワーもそうだったから、気持ちはよく分かる。
「そうだよね、ヒトに自分の体を触れさせるのって、慣れてないと緊張するよね……」
そう言いながら、相手の手を取った。温かい手だった。彼女が緊張している事を示すように、少し汗ばんでいるのが伝わる。それは不快ではなかったし、むしろ彼女の素直な反応に親しみを感じるものだった。
ライスシャワーは、そんな彼女の手を優しく握ると、互いの五指同士を絡めた。そうしてから自身の頭を相手の膝から離し、ベッドのふちで隣同士になって座る。
「……最初は、手をつなぐ事から練習しよっか」
相手は、無言で頷いた。その素直さにライスシャワーはまた微笑みをこぼすと、彼女の手をギュッと握る。
「……汗ばんでる」
二人はしばらくの間、手を握ったり解いたりしながら、お互いの存在を確かめあうように触れ合っていた。
ライスシャワーは、こうして誰かと触れ合うのが好きになっていた。自分や相手の存在を認識出来るから。これが今の彼女にとっての幸福だった。
家族やチームメイト、友人達もみんな良い人ばかりで。そんな人達とのスキンシップは、いつだって暖かくて、幸せな事だ。
ただ、『高校生』という学年になってしまったからには……こういったボディタッチを含めた交流を他人とするのは、少し気が引けるのも事実である。
だから、こうして気兼ねなく触れ合える相手という存在に喜びを感じていた。
相手としては、やはり恥ずかしいのだろうか。汗ばんでいるのが顕著に分かる。
「ライスもね、お姉ちゃんぶる最初の頃は、これ以上に汗ばんでたんだと思う。だって、自分からでも、すっごく、恥ずかしくって……」
相手と視線を合わせてから、ライスシャワーは頬を赤らめる。彼女の手を取り直しながら、言葉を紡いだ。
「……でもね、安心して? その時に貴女は嫌がらずにライスの“甘やかしてあげたい"って気持ちを貴女は受け止めてくれたんだから……貴女の"甘やかしたい"って気持ちも、ライスは全部受け止めてあげるね……?」
ライスシャワーは、そう言った後に再び彼女の手を握りしめた。
「…………」
相手は、無言のまま握り返す。それはまるで、ライスシャワーの言葉に何か思う所があったかのように感じられた。
握られた手は、とても温かい。ライスシャワーは自分の手と相手の手を見比べながら……「大きいなぁ」と、思った。
ライスシャワーと彼女の体格差は一回りも二回りもあって、とても相手の方が年下とは思えないほどだ。
それでも……小柄な年上であっても、彼女がライスシャワーに対して常日頃から――名前と年齢を明かした辺りからずっと"敬意"を向けてくれている事は伝わってきて、ライスシャワーは嬉しかった。
そう、特に。トレセン学園に入学する前に、菊花賞をテレビで観た時はそれが顕著で……。
「……ライスね、貴女が"あの時"の事、覚えてなくても……貴女の事『幸せにしてあげたい』って思うんだ」
その時の事を思い返し。ふと、そんな言葉が口から漏れ出た。
自分はみんなのおかげで幸せなのだから、彼女も幸せになって欲しい。
「……ライスが天皇賞春の二回目勝ち取れたのも、何故かわからないけど、とっても不安だった宝塚記念も……全部、全部超えられてきたのはきっとライスを見守ってきてくれた"みんな"のおかげ……」
その輪には、無論、手を繋いでいる彼女も含まれている。
そういった意図を込めて、ライスシャワーは彼女の手の甲を愛おしげに撫でたが、相手は子犬がすねた時のように、怯えた時のように尻尾を丸めてそっぽを向いてしまった。
「――だったら、その人達にも向ければいいじゃないですか」
彼女の口から、どこか棘のある言葉が飛び出したのを聞いてライスシャワーは苦笑した。
「……ちゃんと、向けてるよ。表現の形が違うだけ。マックイーンさんにはね、練習の後でこっそり一緒にスイーツ食べにいったり、ブルボンさんとは……」
そういう事を語れば、段々、相手の横顔が、飼い主が他の子と遊んでいる時に寂しくて落ち込んでいる犬のような雰囲気になってきている。
それがたまらなく愛おしく、おかしくなってしまって、ライスシャワーはニコニコ笑ってしまった。
普段はどこか大人びていて、気の利いた事を言ってくれるのに……いや、だからこそだろうか。こうやって時折みせる子供っぽい部分が可愛くて仕方がなかった。
「あはは、やっぱりだ。……こういう話をすると、ちょっとムッとした顔してる」
それでも、相手はツーンとした表情でそっぽを向いている。……だから、ライスシャワーの中で少しだけ意地悪な気持ちが芽生えた。
「妬いちゃう?」
その問いかけに対して、彼女の耳がピクリと反応する。
「……少しばかり」
そう言いながら、また腕を掴もうとしてきた彼女の手を、ライスシャワーは逆に掴んで止める。
そしてそのまま、彼女に寄りかかってベッドに押し倒した。一回りも二回りも小柄の、それも普段は気弱なライスシャワーに押し倒されるなどと思っていなかったのだろう。虚を衝かれた相手の表情が、驚きのそれに変わっていく。
ライスシャワーは彼女を見下ろしたまま、そっと囁くように語り掛ける。
「……だからね、貴女にはこうやって表現してる」
ライスシャワーは、少し恥ずかしくなった。顔が熱い。ドラマで観たような、感情の伝え方を模範したが、少し過激ではないだろうか? そんな事をぐるぐると考えてしまう。
けれども、彼女が勘違いをしているようならばそれを正してあげないといけない。
彼女は、自分にとって特別な人の一人だから。だからこそ、その想いを言葉にしようとした。親愛の情を、耳元で囁こうとした。
「――――っ」
そうしようと顔を寄せた所で、彼女は両腕で自身の顔を覆い隠してしまった。
……まるで、「自分自身にはそんな資格がない」と、ひどく怯えたように。
しかし少なくとも、それがライスシャワーに対する嫌悪や拒絶の類いではない事は理解出来た。
……ならば焦らずに。時間をかけて、ゆっくりと解決していけばいいとライスシャワーは思った。
こういった気持ちは無理に押しつけるものでないし、まだ時間はたくさんあるのだから。
「……はい、ライスが甘える番おしまい♪」
ライスシャワーは、自分の赤くなった頬を隠しながらそう言った。そうして、ベッドのふちに座って、膝枕をしてあげる時の姿勢を取った。
「……それとも『甘やかしたい』って気持ち、まだ残ってる……?」
ライスシャワーは穏やかな笑みを浮かべながら聞いてみた。
「お姉ちゃんに、甘える、側がいいです……」
俯き加減にそう言われた。中学生としては巨躯で、それでいて雄々しい風貌の彼女が弱々しくそう言うのは、どこかくすぐったいような、甘酸っぱい気分だった。
「……私は、ライスの姉さんが、貴女が、好きです……」
かき消えるような、小さな小さな呟きがライスシャワーの耳に聞こえたような気がした。
それは、先の言葉とは違って。ちゃんと自分自身に向けられている好意だと理解できて……ライスシャワーは、安堵した。
「……でもライスの事を『甘やかしたい』って思ってくれたのなら。お姉ちゃん、いつでも受け止めてあげるね……?」
だからライスシャワーもまた、彼女に対して慈愛の気持ちを持ちながら、彼女のやりたい事をありのまま受け入れてあげたいと思い、そう答えた。
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