魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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今回はアニポケと所々内容が変わっています。


9話 エクスプローラーズの襲撃

 リコはロイと、イルマはクララとの出会いがあった日の夜。

 太陽は完全に沈んでおり、ライジングボルテッカーズは全員自分達の部屋で寝静まっていた。

 

 イルマは自身の部屋のベッドに横になり、穏やかそうな表情で眠りについている。枕元の隣には、座っているような姿勢で眠るモクローの姿がある。殆んどのモクローは夜行性だが、イルマのモクローは基本的に日中に活動することが多い為、夜はこうしてイルマと一緒に眠っている。

 そんな中……

 

バリバリバリバリッ!!

 

「うわぁああああッ!!」

 

「ッ、うわぁっ!?何!?」

「もぶぅ!?」

 

 突如、外から聞こえた電撃音と目映い光、そして聞き覚えの無い悲鳴により、イルマはガバッとベッドから飛び起きた。その衝撃で、バランスを崩してベッドから墜落したモクローが顔を床にぶつけ、くぐもった声で悲鳴を上げる。

 イルマはモクローを抱え上げて大慌てで部屋から出て、ブレイブアサギ号の甲板に飛び出した。

 そこにいたのは……

 

「キャップ!それと…誰?」

 

 そこにいたのは、褐色肌に黒髪に(ピンク)色の前髪をした赤いシャツとハーフパンツとサンダル姿の少年が、彼の上で仁王立ちするキャップの電撃を食らったのかやや焦げた状態で倒れている姿があった。

 すると、イルマと同じく電撃音と悲鳴を聞き付けたのか、リコとニャオハも船内から飛び出してきた。

 

「えっ、ロイ…?」

「え?この人が?」

 

 リコの思わずといった風な呟きに、イルマは少年をマジマジと見つめる。どうやらこの少年が昼間ホゲータを保護してくれた【ロイ】という少年らしい。

 

「侵入者か!」

 

 すると、リコに続くようにフリード、リザードン、バチコ、オリオ、マードック、モリー、ラッキーと船内から次々とライジングボルテッカーズの面々が現れた。

 

「でかしたぞキャップ!……って」

「!フリードさん!良かった…あ、リコも!」

 

 フリードの声を聞いて振り返ったロイは、フリードとリコの姿を見て嬉しそうに顔をパァッと明るくする。当然、イルマと違いロイの事を聞かされていない面々は全員頭に疑問符を浮かべており、代表してバチコがフリードに尋ねる。

 

「何だ?知り合いか?」

「あぁ。昼間偶然あったんだ。リコを助けてくれたんだ」

「はい、彼はロイ。でも、なんでここに…?」

 

 リコがロイの方を向いてそう呟いた次の瞬間、ロイはキャップを押し退け、ズイッとリコに積めよった。

 

「リコ!会いに来たんだ!」

「ふぇ!?」

 

 ロイの言葉に、リコは何を思ったのか頬を赤く染め、慌てたように声を出す。尤も、何故かその声は緊張と混乱が影響しているのか小人のように聞き取るのが困難な程小さな物であった。

 

「そ、その……気持ちは嬉しいんだけど…私には…その…」

「ホゲータに!」

「うぇ?ホ、ホゲータ…?」

 

 リコの(思い込んだ)予想とは全く見当違いの回答に、思わずリコは間の抜けた表情になる。その様子にイルマは首をかしげ、耳が良いのかリコの小さな声を聞き取っていたバチコは深い溜め息を吐いた。

 すると、今度はフリードがロイに話し掛けた。

 

「ロイ、だからって勝手に乗り込むのは駄目だ」

「あっ、それは…」

「この船は俺達、ライジングボルテッカーズのだ」

「いわばあたし達の家みたいな物なんだよね」

「ごめんなさい!もうしません!」

 

 直ぐに頭を下げて謝るロイ。

 すると、キャップを肩に乗せたフリードは軽く笑みを浮かべてロイに声掛ける。

 

「で?ホゲータに会いたいってのは?」

「ホゲータと、このままお別れしたくないんだ!」

「えっ?」

「ニャ?」

 

 ロイの言葉に、リコとニャオハが目を瞬かせ、ロイは更に必死に語る。

 

「もっと一緒に木の実食べたいし、歌の練習したい!」

「もしかして、ホゲータのパートナーになりたいって事?」

「…!そうなのかも!」

「待て二人とも。お前らだけで勝手に話を進めるな」

 

 そこで、フリードが片手を上げて待ったを掛けた。

 

「ロイの気持ちはわかった。だがもう一つ大事なものが有るだろう」

「もうに一つ…?」

 

 ロイの胸に拳を当てたあと、フリードは二つの指を上げながらロイの質問に答える。

 

「ホゲータの気持ちだ。パートナーになりたいお前の気持ち、そしてホゲータの気持ち。それが互いにピタリと合って初めて、本物のパートナーになれる」

「……僕、どうしたら…」

 

 思い悩んだ風に尋ねるロイに、フリードは提案をする。

 

「今夜はここに泊まってけ」

「え?」

「ホゲータともう一度あって、お互いの気持ちを確かめたらいい」

「良いんですか?やったーー!」

 

 両腕を上げて喜びを露にするロイに、イルマは思わず笑みを浮かべた。ロイの雰囲気は、どことなく昼間に知り合ったクララと似ている気がする。

 

「リコ、ホゲータ何処にいるか分かる?」

「アテはあるよ」

「行こう!」

 

 そうしていると、ロイとリコはホゲータを探して小走りで船内へ向かっていく。

 

 それを眺めていたイルマは、突如バチコに肘で脇腹をつつかれた。「グフッ」と声を漏らした瞬間、イルマはバチコに肩を捕まれて頭をバチコの顔の近くまで引き寄せられる。

 何がなんだか分からないイルマに、バチコはニヤニヤと面白がるように口を開いた。

 

「…いいのか?あの二人結構仲良さそうだぜ?」

「?良いことじゃないですか」

「………お前、もしかして分かってねーのか?」

「えっと…何がですか?」

 

 本気で何の事だか分からないイルマに、バチコは先程の面白がっているような顔から一転し、ハァーとふっか~い溜め息を吐いた。

 

「…イルマ、オメーはもう少し女を勉強しろ」

「え?ど、どうしてですか…?」

「自分の胸に手を当ててみろ。…ったく、リコが不憫だな」

「えぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 リコとロイは船内へとホゲータを探しに行ってきたのだが、結局ホゲータを見つけることは出来なかった。更に、船の穴が空いた箇所も、オリオが塞いでも塞いでも別の所に穴が空いてしまい、イタチごっこならぬオタチごっこ状態となっていた。

 そしてロイとリコ、フリードの三人は、修理のために野生のポケモン達に手を貸して貰おうと、ロイの祖父の元へ行くこととなり、リザードンとキャップを含めた残りのメンバーはブレイブアサギ号の修理と見張りを行っていた。

 

 そして、他のメンバーが船を砂浜の方へ動かしていくなかで、イルマはモクローと共に船の掃除を行っていた。イルマには船の操縦や修理で手伝えることはない。裁縫はそれなりに出来るが、オリオが徹夜でやってもオタチごっこでしかないのが実証されているので、イルマがやったところで無駄だろう。なので、せめて何か役に立とうと自ら掃除係を志願したのだ。

 

「イルマちーーー!!」

「!この声って…」

 

 すると、船の外から聞き覚えのある声が聞こえてきて、イルマは船から身を乗り出して見てみると、そこには昨日知り合った黄緑色の髪をした少女、クララとそのパートナーであるワニノコが、移動しているブレイブアサギ号から少し離れた場所て場所で手を振っている姿があった。

 

「クララ!」

「遊びに来ちゃったー!!」

「何?イルマの知り合い?」

 

 そこへクララの大きい声を聞き付けたのか、パートナーである【メタグロス】の頭の上に寝そべる様に乗ったオリオがやって来た。

 

「あ、オリオさん。えっと…あの子は昨日知り合ったクララっていう子で遊びに来ちゃったらしくて…」

「あら、それじゃあ行ってきな」

「え?いや、それは悪いですよ…」

 

 オリオの提案に、皆が頑張っているのに自分だけ遊びに行くなんて出来ない、そう言うようにイルマは難しい表情をするが、オリオは気にするなといような笑みを浮かべる。

 

「良いの良いの!友達は大切にしなきゃ!」

「……すみません」

 

 そう言って、イルマはモクローと共に船から降りてクララとワニノコの元へと向かっていく。

 イルマがやって来た事にクララが歓喜し、イルマの服を掴んでまるで荷物のように軽々とイルマを持ち上げて猛スピードで森の方に向かって走り去っていくクララとワニノコと、それを追うモクローの姿を見送りながら、オリオはメタグロスと共にブレイブアサギ号を移動させる為の作業に戻ろうとする。

 

「ホゲー!」

 

 聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきて、オリオはその声がした方に目を向ける。

 すると、そこには昨晩ずっと姿が見えなかったホゲータが船から飛び降り、必死な様子でイルマ達が向かっていった方向へ走っていく様子が見えた。

 

 その様子にオリオは笑みを浮かべながら、船を動かすのに必死になっているであろうマードック達の手助けをするため、今度こそメタグロスと共に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ずああ~……疲れた……」

「もぶぅ~」

 

 ブレイブアサギ号から数キロ程離れた森の中、イルマとモクローは体力の七割を使い果たし、地面であるとわかりながらも仰向けになって倒れた。

 ブレイブアサギ号から降りてクララと共におままごとや絵本、他にも謎の闇鍋やらクララとワニノコに馬乗りにされたりと、短時間でかなりハードな時間を過ごし、気付いたら体力を消耗してご覧の通りダウンしたのだ。

 

「イルマち、元気ペコペコ?」

「ワニャ?」

 

 そんな二人の顔を、クララとワニノコが上から覗き込む。

 クララもワニノコもイルマとほぼ同じくらい動いていた筈なのに、二人とも息が切れる処かケロッとした表情だ。イルマは運動不足ではないが、かといって体育会系でもないが、同年代で男女の違いもあるのにこの差は何なのだろう。最初に自分を荷物みたいに引っ張ってここまで来た事といい、もしかしたら並みの成人男性よりも凄い身体能力を有しているのかもしれない。

 

「おーーい!」

「ワニャーー!」

 

「「?」」

 

 すると、突然クララとワニノコが森の方に向かって大声で叫びだした。

 訳が分からずに首を傾げていると、直ぐに森の茂みを掻き分け、【ストライク】【キャタピー】【ビードル】【ナゾノクサ】といった野生のポケモン達がやってくる。クララとワニノコが何か話をすると、ポケモン達はコクリと頷いて森の方へ向かっていったかと思うと、直ぐにポケモン達は幾つかの木の実を抱えて戻ってきた。因みに彼等は、前日ホゲータに皆で集めていた木の実を食べられてリコ達を追い回した個体達である。

 イルマとモクローの足元まで来たキャタピーとビードルが木の実を差し出してきて、イルマとモクローはその木の実をおずおずと受け取る。

 

「えっと……これは……」

「あー、私とワニノコ、しょっちゅうこの森に遊びに来るからねー!この森のポケモン達はみーんな友達なの!ねっ!」

 

 クララの言葉を肯定するように、ストライク達は笑顔で鳴き声を上げる。それがなんだか微笑ましく思ったイルマは、モクローと顔を見合わせてフフッと笑みを浮かべながら渡された木の実を齧った。

 すると、森の奥の方から聞き覚えのあるポケモンの声が聞こえてきた。

 

「ホゲー!」

 

「ん?」

「どしたのー?」

 

 イルマ達がそちらの方を見てみると、イルマ達がいる場所からそれなりに離れた場所に、誰かを探すように森を歩く赤いワニ…ホゲータの姿があった。何故かオレンの実を咥えているホゲータはイルマ達の事に気付いていないのか、そのまま歩いて行く。イルマの記憶が確かなら、その先はさっきまでブレイブアサギ号を止めていた場所の近くの筈だ。

 

「ゴメン、クララ。ちょっとホゲータのところに行ってくるね。直ぐ戻るから。行こう、モクロー」

「もっふぅ」

「あー、イルマちー?」

 

 もしもホゲータがロイを探しているのなら、ホゲータが向かっているところにロイはいない。ホゲータを呼び戻しに行こうと、モクローを肩に乗せて小走りにホゲータを追いかけていく。

 イルマが森を抜けると、そこにはオレンの実をもってトボトボと歩いていたホゲータが、海岸の砂につまづいて転んでしまっている姿があった。

 

「ホゲータ、大丈夫?」

「もふぅ」

「ホゲ…ホゲッ!?」

「イルマちー、ホゲ君見つかった~?」

 

 慌てて駆け寄ったイルマに抱き起こされた瞬間、顔が砂まみれになったホゲータは何かに気付いたかのように海の方を凝視する。森を抜けてきたクララとワニノコや一緒に来たストライク達にも気付いていない様子だ。

 それを疑問に思い、イルマとモクローはホゲータと同じ方向、つまり海に目を向ける。

 

「あの人達は…!」

 

 そこにいたのは、潜水艇らしき乗り物に乗って島の海岸に向かって行く、エクスプローラーズの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇっ!?エクスプローラーズが!?」

『うん!間違いないよ!』

 

 ブレイブアサギ号の修理できるポケモンがいないかを聞くため、ロイの家へと向かって行ったリコとフリード。

 長老であるロイの祖父からロイが勝手に船に乗り込んだお詫びとして出された串団子からヒントを得て、野生のキャタピーとビードルの糸で船の穴を塞ごうと言う解決策を見出だした後、ゲットされていない野生のポケモンと村の人達が仲良く暮らしている光景を微笑まし気に眺めていた所で、船で留守番をしていたイルマからの通話に応答したリコは、イルマから伝えられた情報に顔を強張らせた。

 思わず声を上げたリコの言葉を聞いたフリードは表情を引き締め、リコのスマホロトムを借りると、イルマと通話をする。

 

「イルマ!船は今大丈夫なのか!?」

『フリードさん…えっと、色々あって僕は今船から降りてるんです。それにエクスプローラズが船を狙ってるって聞いてホゲータがどっか行っちゃってて、今クララと一緒に森の中にいまして……』

 

 イルマの返事を聞き、フリードは少しだけ考えるような表情になる。しかしイルマはそれに気付かず、更に現状をフリードに伝えていく。

 

『バチコさんにはもう連絡してます!ホゲータを見つけたら直ぐに僕も船に戻って……』

「そうか…。イルマ、今森の中にいるなら、野生のキャタピーとビードルを説得して船に連れていけないか?」

『え!?キャタピーとビードル?どうして…』

「キャタピーとビードルの糸を修理に使う。ポケモン達を連れて船を修理したら、船を一度安全な場所まで動かす。バチコがいるなら暫くは大丈夫だろうから、俺がホゲータを見つけたら直ぐにそっちへ向かう!」

『わ、分かりました!』

 

 そう言って、フリードは通話を切ってスマホロトムをリコに返す。

 

「リコ、エクスプローラーズって…?」

 

 事情を全く知らないロイはリコに尋ねる。しかし、リコとフリードの様子から不穏な空気は感じ取っているらしく、どこか不安が入り交じった表情だ。

 そんな二人を見ながら、フリードはブレイブアサギ号を止めている海岸に視線を向ける。

 

「二人はここにいろ。長老、この子達を頼む!」

「オイ、フリード!」

 

 長老にそう言うと、フリードは直ぐにブレイブアサギ号に向けて走り出した。すると、自分が走る道の向こうから、見覚えのある小さな影が土煙を巻き上げながら猛スピードでこちらに向かってくるのをみて、フリードはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「俺とイルマが探すまでもなかったな…!」

 

 そう言いながらも足は止めず、フリードはその影を通り過ぎる。その影は必死に走っているせいかフリードに気付くことはなく、そのまま真っ直ぐに走り続けていた。

 

「ホゲーーーッ!!」

「ッ、ホゲータ!?」

「ホゲータ!!」

「ホゲッ!」

 

 直ぐに後ろからその影の正体…ホゲータとリコ、ロイの声が聞こえてきて、「一先ずホゲータの方はこれで安心だな」と思いながらも直ぐに思考を切り替えてブレイブアサギ号に向かって走っていると、海岸の方からキャップを頭に乗せたリザードンがこちらに向かって飛んでくるのを捉えた。

 

 

 

 

 

 

 ジルが取り付けた発信器の信号を追ってこの島まで来たアメジオ達エクスプローラーズは、各々の所有する鳥ポケモンに乗って飛行していた。偵察に行ったジルの情報でリコとフリードとイルマが船にいない事が分かっているので、ジルとコニアが船にいる残りのライジングボルテッカーズを引き付け、その間にアメジオがリコとペンダントを手に入れるという作戦であった。

 

 すると、最初は遠近法により豆粒程だったブレイブアサギ号の姿がどんどん大きく見えてきたアメジオ達の前に、大きな鳥型のポケモンに乗った人影が現れ、アーマーガア達はその場で止まった。

 

「お前は…」

「よぅ、アメジオだったか?こっからどこに行く気だ?」

 

 その正体は、雲のような翼を羽ばたかせて滞空するチルタリスと、その背中に乗るバチコであった。エクスプローラーズがこの島までやって来ている事をイルマからの通話で情報を得たバチコは、リザードンとキャップをフリードのところに向かわせ、船の移動をマードック達に任せてチルタリスに乗って周囲の警戒を行っており、こちらに向かってくるアメジオ達の姿を捉えたバチコは、こうしてアメジオ達を迎え撃つためにやって来たのだ。

 

 フリードと同格の実力を持つトレーナーであり、アメジオですら苦戦は免れない相手が現れるが、アメジオは微塵も動じず、エアームドに乗るジルとコニアに命令を下す。

 

「アメジオ様!」

「お前達は船の方に行け。奴は俺が相手をする」

「「は!」」

 

 短く返事をすると、二人を乗せたエアームドはバチコを素通りしてブレイブアサギ号に向かう。

 

 バチコはその姿を見ながらも、二人を追うことはしなかった。否、出来なかった。今船に残っているメンバーはポケモンバトルを得意としていない故に、マードック達があの二人を相手に善戦できるかどうかすら怪しい。しかし、あの二人よりも高い実力を持つアメジオを相手に出きるのは現状バチコしかおらず、あの二人に対処しながらアメジオの相手をするなんて器用な真似はバチコには出来ない。イルマの連絡を連絡を貰ったフリードが直ぐにリザードンとキャップと合流して船まで来てくれるのを祈るしかないと、バチコは思考を切り替えると、ポケットからランドウが探し出してくれた発信器を取り出し、アメジオを挑発するように笑みを浮かべて口を開いた。

 

「…まさか嵐のゴタゴタに紛れて発信器(こんなもん)を付けて行ってたとはな。この前の無断乗船といい、相変わらずみてーだな」

「…お前に用はない」

「オイオイ、そもそもオメー等が追って来なけりゃあッチ等も相手しねーんだよ…」

「ペンダントとあの娘は何処だ?」

「この前と違って随分単調だな。……教える分けねーだろ?」

「だろうな…ならば!」

 

 すると、アメジオを乗せたアーマーガアは、バチコを無視してブレイブアサギ号を止めている砂浜の方へと飛ぶ。バチコを乗せたチルタリスもアーマーガアの後を追い、2体はブレイブアサギ号から数十メートル程離れた場所で、高度を下げていきながら向かい合う。

 

「バトルだ!」

「アーマァ!」

 

 アーマーガアの背中から飛び降りて砂浜の上に降り立ったアメジオの言葉に、気合いを入れるように声を上げるアーマーガア。

 チルタリスの背中から降りて砂浜に降り立ったバチコは、不適な笑みを浮かべながらチルタリスに声をかけた。

 

「チルタリス!久しぶりのバトルだ!思いっきり行こーぜ!」

「チールー!」

 

 バチコの言葉に、気合いを入れるように声を上げるチルタリス。

 

「“ぼうふう”!」

「“りゅうのはどう”!」

 

 次の瞬間、アーマーガアが翼を羽ばたかせて起こした突風と、チルタリスが吐き出した紫色の竜の形をした光線がお互いの中間点でぶつかり合って爆発し、バチコとアメジオのバトルが始まった。

 

 

 

 

 

「行けぇ!サイドン!」

「ゴルダック、出番よ!」

 

ポンッ!

 

「サーイ!」

「ゴルダッ!」

 

 ブレイブアサギ号のすく側の砂浜に降り立ち、エアームドをボールに戻したジルとコニアは、直ぐ様モンスターボールを投げてサイドンとゴルダックをボールから出した。

 

「この船は我々が占拠する!」

「バカなこと言わないで!!」

 

 ジルの言葉に、船から降りたオリオとマードックは怒りを露にする。

 それは彼等のパートナーも同じであり、イワンコとメタグロスは前に出てきて、サイドンとゴルダックに向かい合った。

 

「モクロー、“このは”!」

「もっふぅー!」

 

バシ!バシバシィ!!

 

「サイィ!?」

「なッ!?サイドン!」

 

 次の瞬間、真横から襲い掛かった緑色に光る木葉がサイドンに直撃し、不意打ち気味にそれを食らったサイドンは思わず体制を崩し、ジルは思わず声を上げる。しかしそれほどダメージは受けていなかったのか、サイドンは直ぐに体制を戻す。

 その場にいた誰もが木葉が飛んで来た方向に目を向ける。

 

「皆さーん!ポケモン達を連れてきましたよー!」

「!待ってました!」

 

 すると、彼等が目を向けた方向、つまり森の奥から、ストライクやキャタピーといったポケモン達を連れて此方に走ってくるイルマの姿があった。その直ぐ側にはモクローの姿がある。

 スマホロトムの通話でフリードの指示を聞き、クララの友達だというストライク達を説得してここまでやって来たイルマとモクロー。尚、ストライク達の友達であり彼等を集めてくれた張本人であるクララは流石に巻き込む事が出来ない為、必死で説得した末に、グレッグルの頬を膨らませながらも納得してもらい、彼女とワニノコはまだ森の中にいる。

 

「貴様、あの時の…!」

「サイィ…!」

 

 そこでジルは、乱入してきた少年がペンダントを奪いにセキエイ学園に来たあの日、リコとニャオハを追い詰めていたサイドンを倒した二人の内の一人だったと気付き、イルマとモクローを睨み付ける。自然と彼等に狙いをつけたようだ。

 

「狙いは僕たち…やるしかないよ、モクロー!」

「もっふぅ!」

 

 イルマとモクローは覚悟を決め、モクローはイルマの前に出てきて、ジルとサイドンに向かい合った。

 

「なら、私の相手は…」

「──俺ってことになるな!」

「ッ!?」

 

 マードックとオリオを相手にしようとしたコニアは突如上から響いた声に思わず上を向く。

 すると、フリードとキャップを背中と頭に乗せたリザードンが、翼を羽ばたかせながら砂浜に降りたった。フリードとキャップがリザードンから飛び降りる。

 

「お前は…!」

「フリード!」

「悪い、少し遅れた!マードックとオリオは船の修理を頼む!モリーは野生のポケモン達を避難させてくれ!」

「分かった!」

「ラッキー、行くよ!」

 

 コニアの相手をする事となったフリードの指示に頷いたマードックとオリオはストライクとキャタピー、ビードルを連れてブレイブアサギ号へと戻って行き、入れ違う様にラッキーを連れて船から降りたモリーが、砂浜に住んでいるクラブ達を安全な場所まで誘導しに行く。

 

 アメジオとバトルをしているバチコは、自身の後方数十メートル先で起きた一連の出来事にチラリと目を向け、笑みを浮かべる。

 

「アイツ等…良いタイミングて来てくれたな…!」

「…どこを見ている!アーマーガア、“ぼうふう”!」

「ッ、チルタリス!かわして“りゅうのはどう”!」

 

 真剣勝負の最中に余所見をされ、苛立ちを露にしたアメジオが指示を出す。

 再びアーマーガアが猛烈な勢いの風を放ち、それを察知したバチコの指示を聞いたチルタリスはアーマーガアよりも高くに飛び、再び紫竜の光線を放った。アーマーガアはそれを飛んで避け、チルタリスと同じ高度で滞空する。

 

「“エアスラッシュ”!」

「“チャームボイス”!」

 

 アーマーガアが放った風の刃を、チルタリスが放ったピンク色の可愛らしい音波が迎え撃つ。両者の中間点でぶつかり合った技が、再び爆発を起こした。

 

 




リコとロイは現在ブレイブアサギ号に向かっている最中です。次回には参戦させる予定です。
思い付くままに書いていたらいつの間にかジルのサイドンVSイルマのモクローといった展開になっちゃいました。次回にロイとホゲータが歌でひのこを放てる様にします。

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