魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター 作:MTHR
今回はロイがライジングボルテッカーズのメンバーに入るですが、ほぼ原作通りなのでちょっとテキトーになってるかもしれません。
本作でのレックウザの鳴き声はゲームで出ていたものになっています。
『きりゅりりゅりしぃぃっ!!』
黒い色をした東洋龍の様な外見をしており、前足はあるが後ろ足はなく、黒い体には黄色い模様があり、体はまるで宝石のような
「「……ッ!!」」
「あれってポケモン!?…しかも、凄く大きい…!」
「このボール空っぽじゃなかった……まさか黒いレックウザが……!」
「黒い…レックウザだと…!?」
「伝説のポケモンの色違い?そんなのがいんのか…!?」
「何、アイツ!?」
「見たことないぞ…!?」
砂浜にいた者は、誰もがバトルを中断させられてそのポケモン──【レックウザ】の姿を驚愕しながら見上げている。
その姿はブレイブアサギ号にいた面々、森の中で待たされていたクララとワニノコ、更には村に住む人々の目にも入り、島にいる誰もがレックウザを凝視した。
「次から次へと驚かせてくれる…!」
「ロトム、あのポケモンは!?」
リコはポケモン図鑑を起動し、スマホロトムに目の前に滞空するポケモンのデータが表示される。
『レックウザ。てんくうポケモン。ドラゴン・ひこうタイプ。何億年もオゾン層の中で生きてきたポケモン。真夜中を飛ぶ姿は流れ星に似ている』
「レックウザ……」
「でも、あのレックウザは黒いし、何かキラキラしてる……」
スマホロトムに表示されたレックウザの色は緑だが、目の前にいるレックウザの色は黒だ。しかも、体は宝石のように煌めいている。バチコのジュナイパーと同じ色違いの個体だとしてもこれはおかしいとイルマが声を上げる。
だが、リコが気になったのはそこではなかった。未だに空を飛びながら雄叫びを上げるレックウザの姿から何かを感じとり、リコは茫然と呟いた。
「……怒ってるの?」
「リコ!イルマ!ロイ!」
「ッ!フリードさん!バチコさん!」
そこへ、リザードンに乗ったフリードとチルタリスに乗ったバチコが三人の前まで飛んできて、リコ達はフリードとバチコの元へ集まった。
「一体何がどーなってんだ!?」
「分かんないよ!このボールから出てきたんだ…!」
バチコが尋ねてくるが、当然レックウザがボールに入っていたことなど知らなかったロイに応えられる筈がない。
『きりゅりりりりぃぃっ!!』
「「「「「ッ!?」」」」」
その時、先程まで滞空しているだけだったレックウザが一際大きく吠え、リコ達は思わずレックウザに目を向ける。
レックウザが顔を上に向けて口を開くと、口内に紫色のエネルギーが蓄積して行き、次の瞬間、天に向かって紫色のエネルギーが飛び上がる。エネルギーはレックウザの数十メートル程の上空まで昇っていったかと思うと、紫色のエネルギーはまるで花火のように弾け、四散したエネルギーが岩石と共に辺り一面に雨のように降り注いだ。
「うわぁっ!?」
「くっ!?」
ドラゴンタイプ最強の技“りゅうせいぐん”が降り注ぎ、隕石が着弾した場所から起きた爆発の余波に、イルマ達は思わず腕で顔を覆う。その余波はブレイブアサギ号にも降り掛かり、船に乗っていたオリオやマードック、船の修理をしていたストライク達は、船が揺れた影響で思わずバランスを崩しそうになる。
「アメジオ様!」
「このままではッ!」
「クッ………撤退だ!」
エアームドに乗ったジルとコニアの警告を聞き、悔しげな表情でレックウザを見上げながら撤退を選び、モンスターボールから出したアーマーガアに乗ってジルとコニアと共に飛び去ったいった。
「レックウザ!この中に戻れ!」
『きりゅりりゅりしぃぃっ!!!』
アメジオ達海の向こうへ飛び去っていくことに気付いた様子もなく、ロイは例のモンスターボールを掲げてレックウザに呼び掛けるが、肝心のレックウザはその言葉を聞き入れず、ロイ達に向かって咆哮を上げる。その際に発生した突風に、リコ達は思わず顔を腕で覆う。
次の瞬間、吠えるのを止めたレックウザは何かに気が付いたようにある場所に目を向ける。
「え…?」
レックウザの視線の先にいた人物──リコはレックウザと目があった事で目を見開くと同時に、レックウザは急に顔を背けて空の向こう方を向いたかと思うと、とぐろを巻きながら空高く飛び上がって行き、キラキラ光る粒子を降らせながらその姿が見えなくなっていった。
「…ハァ、助かった……!ニャオハ、大丈夫?」
「ニャオハ……」
「モクロー、平気?」
「もふぅ…」
「…傷は多いけど、大丈夫みたいだよ」
「そっか…よかった~……」
安堵の息を吐いたリコとイルマは自身のパートナーに声をかけ、ニャオハとモクローは傷だらけになりながらも笑顔で応える。ニャオハの無事を確認したリコはフゥーと息を吐くと、未だにレックウザが去っていった空を茫然と見上げていたロイに視線を向ける。
「ねぇ、ロイ……」
声を掛けた直後、ロイは砂浜に背中から倒れこむ。イルマ達は恐る恐るロイの顔を覗き込むんでみると、倒れたロイの表情はとても清々しい物であった。
ロイは仰向けに倒れた状態でレックウザが去っていった空を見上げながら感極まったように声を上げた。
「行っちゃった~……!!」
その声を聞き、緊迫した空気が緩んだのを感じたイルマは、チラリと海の方に視線を向けた。
色々と気になることが有りすぎるが、一先ずエクスプローラーズからリコを守ることは出来た。取り敢えず今は気分を落ち着かせようと、イルマは砂浜に腰を下ろそうとすると……
「ドーーンッ!!」
「ええぇえええっ!?」
「い、イルマ!?」
突然、後ろから元気一杯な声と共に何かが物凄い勢いで突進し、直撃を受けたイルマは勢いよく吹っ飛ばされ、砂浜に上半身がめり込んで下半身が逆立ちのような姿勢をした犬○家のあのポーズとなった。
リコは慌てて砂浜にめり込んでいるイルマに駆け寄り、バチコ達は突然の事に目を見開きながらもイルマに突進してきた者に目を向けた。リコに助けてもらって砂浜から抜け出たイルマも、髪と顔が砂まみれになりながらも振り向いた。
「あっははは!命中!」
「ワニャー!」
「ク、クララ…?」
そこにいたのは、エクスプローラーズとの戦いに巻き込ませないために森の中に待機させていたクララとそのパートナーであるワニノコであった。
「な、何でここに…?」
「森の中でキラキラくんが見えて…」
『キラキラくん』とは、十中八九黒いレックウザの事だろう。
クララは顎に人差し指をあてて考え込むと……
「……来ちゃった!」
「説明に飽きないで!!」
要点を省いて説明を終えたクララにイルマが即座にツッコミを入れる。相変わらず、奔放すぎる女の子である。
すると、砂場に寝そべっていたロイがクララの姿を捉え、ガバッと起き上がって笑顔を浮かべた。
「クララ!」
「ん~?あ!ロイロイ!こんなとこで何してるの?」
「え?知り合い?」
「うん!僕が森へ行くといつも一緒に遊んでたんだ!」
驚いたことに、ロイとクララは知り合いだったらしい。まぁ、同じ島に住んでいてほぼ同年代ならばそんなこともあるか…とイルマとリコが納得していると、クララは突如、イルマの左腕をガシッと掴んだ。
「それじゃあイルマち!遊びの続きしよ!折角だから、ロイロイとその子も一緒に!!」
「えぇ!?ちょっと、今は少し色々ありすぎて整理が追い付かないと言うか…」
今度らロイとリコも一緒に遊ぼうと言って森の中へと向かおうとするクララに、イルマは躊躇いを覚える。別に遊ぶのが嫌な訳ではないが、先程までの怒涛の展開の後に遊びが出きる筈がない。しかしクララの力は軽くイルマを越えており、イルマはズリズリと引きずられながら森の方へ連行されそうになる。
「ダ、ダメ!!」
すると、クララの登場に茫然としたいたリコが、イルマがクララに連行されそうになったのを見てハッとなると、咄嗟にイルマの右腕を掴んだ、
「リ、リコ?」
「え?あ、その…こ、これからね!あの黒いレックウザの事とかで話し合わなきゃいけないから!イルマも疲れてるし、今は止めた方が良いんじゃないかな?そうしようよ!」
「?綱引き?それなら負けないよー!」
「いやクララ、リコは綱引きなんて言ってないから!っていうか二人とも引っ張ってるのは縄じゃなくて僕の両腕!引っ張らな…イタッ、イタイイタイイタイッ!」
何故かイルマの腕を掴んで引っ張り合いを始めるリコとクララに、取り敢えず止めさせて上げようとするロイに、呆れた様子でイルマとリコを見つめるモクローとニャオハ。ワニ同士気が合うのか、ホゲータはワニノコと挨拶をしている。
「な~にやってんだ、アイツ等…?」
「まぁまぁ、良いじゃないか」
完全に蚊帳の外に追いやられたバチコが呆れたような声色で呟き、フリードが彼女の背中をポンポンと叩いて宥める。
エクスプローラーズの襲撃と黒いレックウザの登場という怒涛の展開の後でも喧しく騒いでいるイルマ達の様子を眺めなが、フリードは苦笑いを浮かべ、バチコは気を紛らわすように懐から取り出したココアシガレットを咥えるのであった。
その後、バチコとフリードがイルマの腕を引っ張り合うリコとクララを宥め、イルマ達はロイの祖父である長老から黒いレックウザやロイの持っている『
そして、黒いレックウザにポケモン博士としての血が騒いだフリードがレックウザの調査を決意したと同時にフリードのスマホロトムにモリーからの通話が入り、ソウブレイズにやられたニャオハとモクローとホゲータの治療が終わったことを聞いたロイは直ぐ様ブレイブアサギ号に向かい、フリード、バチコ、イルマ、リコの四人も後を追うように船に向かっていた。
「ホゲーーターー!お前の気持ちを教えてほしい!」
ブレイブアサギ号の前まで辿り着いたロイは、大声でブレイブアサギ号の中にいるホゲータに呼び掛ける。砂浜や海辺にいたクラブやメノクラゲ達がロイに目を向けた。
その直後にフリード達が砂浜に辿り着き、フリードとバチコは平然と、イルマとリコは肩で息をしながら、ブレイブアサギ号にいるホゲータに呼び掛けるロイの背中を見た。
「このままお別れなんて嫌だ!もっとホゲータと一緒にいたい!もっと一緒に歌いたいし、バトルだってしたい!あんなに胸熱になったのは、お前だけなんだ!!」
自身の正直な気持ちを大声でホゲータにぶつけるロイ。だが、ブレイブアサギ号からホゲータの声は聞こえてこない。
しばらく沈黙が続いていると、船の方から聞き覚えのあるポケモンの鳴き声が二つ聞こえてきた。
「ニャ~オハ」
「もっふぅ!」
「……」
船から顔を覗かせたのは、モリーの治療を受けて全回復したニャオハとモクロー、そしてその奥には無言で佇んでいるホゲータの姿があった。
「ニャオハ!お待たせ!」
「ニャアッ!!」
「遅くなってゴメンね……」
「良かったぁ~…モクローが元気になって……」
「も~っふぅ!」
リコとイルマの姿を見て、船から降りたニャオハはリコの胸の中に飛び込み、リコもニャオハを抱き締める。船から飛び立ってイルマの肩に止まったモクローにイルマが労りの言葉を掛けると、モクローは「この程度余裕ですが?」というように胸を張る姿を見たイルマは苦笑した。
そして、ホゲータはゆっくりと歩きながら船を降り、ロイの目の前まで歩み寄ってくる。
「ホゲータ…!」
「……」
「僕の、パートナーになって欲しいんだ…!」
プルプルと震えるホゲータに目線を合わせて悲願するロイ。
「ホゲェ……!」
すると、ホゲータが顔を上に向けたかと思うと、ホゲータは口を開け、口内に合った何かを吐き出した。
「え?モンスターボール…?」
「口から…?」
ロイの目の前まで転がってきた物──モンスターボールを見て、リコとイルマが呟く。
目の前まで転がってきたボールを、ロイはゆっくりと拾い上げる。
「このボールでゲットして良いって事…?」
「ホゲー…」
「僕と…一緒にいたいって事?」
「ホゲー!」
「ホゲータ…!!」
「ホーゲー!」
笑顔で応えるホゲータに、ロイは瞳に涙を浮かべる。
「決まりだな。こんなの見せられたら……」
フリードの言葉にリコとイルマは笑顔で頷き、バチコやブレイブアサギ号に乗っていた面々も、ロイとホゲータの姿を優しい笑顔を浮かべながら眺めている。
モンスターボールを手に持ったロイはホゲータから距離を取ると、大きく深呼吸をする。
「ずっと練習してきたんだ…今この時の為に!君が良いって、決めたんだ!行くよ、ホゲータ!!」
ロイはまるで野球選手のようなフォームで構えると、ホゲータに向かって勢い良くモンスターボールを投げる。ホゲータの額にぶつかったモンスターボールが、ホゲータの頭上に跳ね上がる。
「ホゲッ!」
ジャンプしたホゲータが空中のモンスターボールに頭を当てると、モンスターボールが開き、ホゲータはボールの中に吸い込まれて行く。ボールの蓋が閉じると、モンスターボールは重力に従って砂浜に落ちた。
ボールが数回揺れたあと、星のようなエフェクトと共に音が鳴る。ゲットが完了した合図であった。
ロイはホゲータが入ったボールを拾い上げると、上空に向かってモンスターボールを投げた。
「ホゲータ!」
「ホゲー!」
「ホゲータ…!!」
青い光と共にホゲータがボールから飛びだし、ロイはホゲータを抱き上げて共に笑い合い、歌を歌う。
リコとイルマがそんな二人の様子を感動しながら眺めていると、フリードがロイに歩み寄る。
「おめでとう、ロイ。今日からお前はポケモントレーナーだ」
「ポケモントレーナー……」
「友達を越えて、相棒になった。ロイ、ホゲータをよろしくな」
「……!」
互いを見つめ合うロイとホゲータに、フリードは腕を組みながら話し掛ける。
「俺達はこれから、パルデア地方に向かわなくちゃならない…」
「そっか…皆とは、ここでお別れなんだ……」
何処か悲しげな表情でホゲータを下ろすロイに、ホゲータは両腕を振って必死でロイに何かを語り掛ける。
「ホ~ゲ~!」
「ホゲータ…!」
「──言ってたよね。世界を巡って旅した、冒険者に憧れてるって」
ホゲータの姿を見つめるロイにリコは歩み寄り、笑顔で話し掛ける。
「ロイも一歩踏み出してみたら?」
「…でも…旅に出るなんて、あのじーちゃんが許してくれるわけないよ」
「ううん。ロイにはもうホゲータがいる。ポケモンが一緒なら大丈夫!新しい一歩を踏み出せるんだって、私もニャオハに教えてもらった」
「ニャオハ!」
「ホーゲー!」
ニャオハとホゲータも同意するように声を上げ、ロイは少しの間考え込むような表情で沈黙したあと、拳を握りしめながら決意を声にした。
「……冒険に行きたい!」
「ロイ!」
「分かった。ジーさんを説得できたら、一緒に行こう」
「ちゃんと話してくる!」
「──ワシがなんじゃって?」
そこへ、聞き覚えのある……というか数分前に聞いた声が割り込んできて、一同は一斉にその声がした方に目を向ける。
「じ、じーちゃん…!」
「クララまで…」
ロイとイルマが呟いた通り、そこにいたのは、村にいた筈の
長老の姿を見たロイは僅かに躊躇うような表情をするが、すぐに決然とした表情でホゲータと共に長老の前に歩み出る。
「じーちゃん。僕、ポケモントレーナーになったんだ」
「ホゲ!」
「……やはりその子を選んだか」
「うん!…だから、じーちゃん……僕、ライジングボルテッカーズの皆と旅に出たい!」
「なんじゃと…?」
鋭い視線で睨んでくる長老に、ロイは「うっ…」と声を漏らすが、直ぐにリコの言葉を思い出し、再び長老を必死で説得する。
「ポケモンが一緒なら、大丈夫!!古の冒険者は本当にいたって信じてた!いつか島を出て、伝説のポケモンに会うって夢見てた!あのレックウザを追いかけてゲットしたい!だから旅に出たいんだ!」
「…それがお前の夢か?」
「もう1つある!……ホゲータの夢だよ!」
「ホゲ…」
足元にいるホゲータの背中に手を当てて力説するロイを、長老とホゲータは静かに見つめている。
「ホゲータは、リザードンみたいに強くてカッコよくなりたいんだ!だから僕がホゲータを育てる!トレーナーとして、僕がホゲータの夢を叶える!二人で一緒に!」
「ホゲゲッ!」
両腕を思いっきり広げ、何故か海の方を向いて叫ぶように宣言するロイとホゲータ。
孫とそのパートナーの姿を黙って見つめていた長老は、静かに口を開いた。
「……よかろう」
「…え?いいの…?」
思わずロイは耳を疑った。最初からOKを貰うつもりだったが、かなり時間を掛けて説得しなければならないと思っていたので、こんなにもあっさり許しを貰えるとは思わなかった。
そんな困惑した表情のロイに、長老は真面目な表情のまま口を開いた。
「…昨日までのお前は、自分の夢しか語れなかった。だが今は違う。相棒の夢も語れた。ポケモンとトレーナーは一心同体…その子の為にも力を合わせて頑張るんじゃぞ…」
「…うん!!やったなホゲータ!」
「ホゲー!」
ロイはホゲータと共に喜びを露にし、そんな二人の姿を見た長老は隣にずっと立っていたクララに目を向ける。話を聞いていなかったのか、ボーッとしていたクララは長老の視線に気付いてハッとなると、小走りにロイの前に歩み寄り、ずっとてに持っていた物をロイに手渡した。
「ハイ、ロイロイ!」
「!これって……」
「おじちゃんからだよ!」
手渡された袖無しの黒い上着と荷物が入ったバッグを見てロイが呟くと、クララは長老を指差した。
「…クララちゃんに手伝って貰ってな。必要なものは全部揃っておる」
「じーちゃん、どうして…」
「お前の気持ちは最初からお見通しじゃ。ワシの事は気にせず行ってこい!」
「ありがとう、じーちゃん…!!」
祖父からの心遣いに心から礼を言うロイ。
そんな二人の元へ、離れた場所で様子を見守っていたフリード達が近付いてきた。
「良かったな、ロイ。責任を持って預かります」
「ウム、よろしくな」
「帰ってくる時はロイ、レックウザに乗って戻るんだぞ?」
長老と短く言葉を交わした後、フリードはロイにそう言った。その言葉に、リコ達は笑みを浮かべた。
「楽しみにしててよじーちゃん!じーちゃんも一緒に乗せて上げるよ、ホゲータと一緒にね!」
「ホゲー!」
「フフフ…」
「それならロイロイ!私もキラキラくんに乗りたい!!」
「勿論!」
レックウザをゲットして帰る宣言をするロイとホゲータに微笑む長老と、自分もレックウザに乗りたいと主張するクララ。
そんな賑やかな光景をリコ達と共に眺めながら、イルマは肩にとまるモクローと顔を見合わせ、同時に笑い合うのだった。
その後、キャップに挨拶をしたロイは正式にライジングボルテッカーズのメンバーに加わり、ロイが拾ってくれた旗を立て、ブレイブアサギ号はカントー離島から飛び立った。
「ピカピカッ!」
「ブレイブアサギ号、出航!!」
長老やクララ、他にも島の住人達の見送りを受け、ブレイブアサギ号はパルデア地方を目指して進む。
リコとロイは海の向こうに見える夕日を眺めながら、
「いよいよだね…」
「あぁ、目指すはパルデア地方。僕の…僕達の冒険が始まる!待ってろよレックウザ!!絶対に、見つけてやる!!」
「おぉー!」
地平線に向けてそう叫ぶリコとロイは、やがてお互いの顔を見合わせて笑いあった。
そんな二人の姿を遠くから眺めていたイルマは、あの空気に割り込むのは野暮だなと特に割って入る真似はせず、モクローを肩に乗せた状態で自室に戻っていくと、ボスッとベッドに腰掛けた。イルマの肩に留まっていたモクローは机の上まで飛んで移動する。
「……何なんだろう、この気持ち?」
先程の仲が良いリコとロイの姿を見ていて、イルマは妙な違和感を感じていた。身体に異常があるわけではない。何と言うか、気分が優れなかったのだ。
モヤモヤすると言うか……
(…もしかして、今日は色々ありすぎて疲れてるのかも。なら今日はしっかり休まないと)
エクスプローラーズとの激闘の直後に伝説のポケモンである黒いレックウザを見てしまったのだ。その後もクララとリコの引っ張り合いやロイの加入の件もあったので、気が緩んだ今になって精神的な疲労が現れたのかもしれない。
「……」
「モクロー、どうかした?君も疲れてる?」
「…もーふぅ……」
「え、何その溜め息……」
何故か同情するような目で自分を見ているモクローに気付いたイルマが話し掛けると、モクローは何処か呆れたようにそっぽを向いて溜め息を吐いた。
相棒の態度に疑問を抱きつつも、まぁいいかと置いておく事にしたイルマは、ふと、窓ガラスの向こうに見える景色を眺めながら考え込んだ。
(ロイくんは凄いなぁ。レックウザをゲットするだなんて…)
伝説のポケモンをゲットするなんて、自分には想像もつかないし、絶対に無理だと断言できる。それをあんなにキラキラした目で堂々と語ることが出来るロイが、イルマには何だか眩しく見えた。
次に思い浮かべるのは、幼い頃から一緒にいた
(……リコも、あの日以来変わったなぁ。堂々としてるって言うか…)
この船に乗る前までのリコと言えば、常に思い悩んだような顔をしてばかりで、自分と話す時には真っ赤になってゴニョゴニョ言ったり気絶したりしてばかりだった。だが、ニャオハと心を通わせて“このは”を成功させた日から、リコは変わった。オドオドした雰囲気はなくなり、前よりずっと明るくなった。
「……はぁ~~~」
そこまで考えて、イルマは大きな溜め息を吐いて全身の力を抜き、ベッドに身体を預ける。そうしていると、今日一日で起きた怒涛の展開による疲れが今になって出てきたのか、身体が重くなって力が抜けていくような感じがした。
(パルデアに着いたら、この旅も終わる。そしたら……僕はどうなるんだろう)
天井を見続けながらそんな風に考え込むイルマ。
モクローはそんなパートナーの姿を暫く見守っていたが、やがて睡魔が襲ってきたのか静かに目を閉じ、直ぐに眠りについた。
クララの出番は終了しちゃいました。ごめんなさい。機械があればまた再登場させるつもりです。
感想、評価お待ちしております。