魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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パルデア編第一話です。
今回は原作との絡みも薄いですし、ヒロインであるリコの出番も殆んどありません。
色々と詰め込んだ結果雑な感じになっていると思いますので、稚拙な駄文が気に入らない方はブラウザバックを推奨します。


パルデア編~森のオリーヴァとロイの新たな仲間~
14話 パルデア帰還、そして新しい一歩


 パルデア地方。

 北東部が接続した半島状の地域。雄大な自然が広がっており、非常に起伏の激しい地形に多数の川が流れ、湖や沼地、荒野に砂漠、雪山など様々な環境がひしめき合っている。

 気候もどちらかというとカラッとした乾燥帯で、燦々と大陽の光が照りつけ、緑生い茂る草原にはよく風が吹きぬける。

 

「……こうしてみると、何だが感慨深いなぁ」

「もふ?」

 

 パルデア地方の草原に止めたブレイブアサギ号から降りたイルマは、船を見上げながらそう呟いた。最早指定位置になったイルマの肩の上で、モクローは首をかしげた。

 イルマの隣には、ニャオハを肩に乗せたリコが、イルマと同じ様にブレイブアサギ号を無言で見上げていた。

 

 マードックは買い出しに行き、モリーとオリオはショッピング、フリードとバチコは、イルマとリコを送り届けるまでの護衛だ。

 

 元々、イルマとリコがこの船に乗った理由はそれぞれの保護者からパルデアまで送り届けて欲しいと言う依頼されていたからだ。つまり、パルデア地方に辿り着いた今、イルマとリコの旅はこれで終わりと言う事になる。短い間であったが、今までの人生の中で最も濃い思い出になったのだ。終わりと言われてしまえば、寂しいような気もするし、物足りないような気もしてくる。

 

(それにしても、どうしてお爺ちゃんは僕までパルデアに届けたんだろう…?)

 

 ふとイルマはそう考える。未だにリコ以外のメンバーは『さん』や『くん』を付けて呼んでいるとはいえ船の生活にはかなり馴染んで来ているが、結局イルマの祖父が何故自分をリコの旅に同行させたのか、その理由は分からずじまいだった。依頼を受けたライジングボルテッカーズの面々も詳しい事情は聞かされていないので仕方ないとはいえ、こうして目的地まで来てしまえばやはりその理由が気になってしまう。

 

「ねぇねぇ二人とも!」

 

 そこへ、ロイとホゲータが船から小走りに船から降りてき来た。

 

「僕も一緒に行って良い?パルデアを見て回りたいんだ!」

「ロイ、オメーな。あッチらは遊びに行くんじゃないんだぜ」

「えー!二人の家も見てみたいし!」

「ホゲホゲ!」

「うん。少しくらいなら案内するよ」

「じゃ、少しだけだぞ」

「やったーー!!」

「パルデア!」

 

 こうして、イルマ・リコ・ロイ・フリード・バチコの面々は、まず最初にリコの母親(ルッカ)が勤めているオレンジアカデミーがある【テーブルシティ】に向かい、ちょっとした観光を楽しんでいた。

 【モトトカゲ】を見たロイが目を輝かせたり、服屋の品を眺めたり、眼鏡屋で眼鏡をかけてみたり、イルマが再びバチコに女装させられてイルマの女装姿をリコが密かにスマホロトムで写メッたり、ホゲータが露店に目を輝かせたり、露店で買ったお菓子を食べたり、ニャオハが洋菓子店のスイーツに目を輝かせたりなど、まぁ色々あった。

 一時休憩の際にフリードが何度電話をかけてもルッカと連絡がとれず、一行はルッカに会うより先に先ずイルマとリコの実家に向かうことにした。

 道中、フリードとバチコとロイの後ろで歩いていたイルマは、更に自分の後ろでゆっくりとした足取りでニャオハと共に歩いているリコの姿を捉え、歩く速度を緩めてリコの隣まで来ると、イルマは無表情のリコに向けて口を開いた。

 

「リコ、なんか元気無さそうだけど大丈夫?」

「え!?う、うん。何でもない!」

「そう?何か悩んでる感じだったけど……」

「大丈夫!本当に大丈夫だから!」

「なら良いんだけど……」

 

 そうこう話している内に、一同はまず最初にイルマの自宅へと辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イルマの家は、パルデア地方の南東、南1番エリアと呼ばれる場所にある。

 湖が多い草原にドカンと建った、普通の一軒家の6~7倍はありそうな豪邸の敷地内には、コフキムシやハネッコ、ヤヤコマといった野生のポケモン達がよく敷地内に入り込んで遊んでいる姿が見られる。

 

「すっげーーー!!イルマってお金持ちなんだ!!」

「…まぁ、ちょっと広すぎるんだけどね……」

 

 大きな声をあげるロイにイルマは苦笑いしながら、3mはありそうな門扉に手を掛ける。

 その瞬間、豪邸から一つの大きな黒い影が飛び出し、その影は背中に生えた翼を羽ばたかせながら猛スピードでイルマ達と距離を積めて行き、あっという間にイルマとその隣に立っていたリコの目の前に降り立った。

 

「カ~イリュ~~!」

「うわぁっ!?」

「ひゃぁっ!?」

「っ!もふぅ!!」

「ニャッ!」

「リコ!イルマ!」

 

 その影は両腕を広げてイルマとリコを掴み上げ、イルマとリコは思わず声をあげる。

 それを見て、モクローとニャオハ、そしてロイとホゲータが臨戦態勢を取ろうとしたが、次の瞬間に目の前で起きている光景に、目を丸くして硬直した。

 

「カイリュ~♪」

「か、カイリュー…久し振り!」

「くすぐったいよ…」

 

 飛び降りてきたのは、山吹色の体をしたドラゴン型のポケモンだった。そのポケモンは笑顔を浮かべながら両腕で持ち上げたイルマとリコの二人を力強く抱きしめて順番に頬擦りしており、イルマとリコはくすぐったそうにしながらも笑顔でそのポケモンの抱擁を受け入れている光景だった。

 目を丸くするロイとポケモン達に、バチコが説明をいれた。

 

「安心しろ、アイツはサリバンさん…イルマのお爺さんのポケモンだ。あの二人とは昔から面識があるんだよ」

「そ、そうなんだ。このポケモンって……」

 

 そこでロイはスマホロトムを取り出してポケモン図鑑を起動させ、未だに二人を抱きしめているポケモンを検索する。 

 

『カイリュー。ドラゴンポケモン。ドラゴン・ひこうタイプ。大きな体格で空を飛ぶ。地球を約16時間で一周してしまう*1

 

「地球を16時間で?凄い!」

「カイリュッ!」

「でも、カイリューはお爺ちゃんと一緒にカントーにいた筈なのに…。もしかして……」

 

 カイリューのハグから解放されたイルマがある可能性を考えてそこまで言った瞬間、突如屋敷の扉がバァンッと轟音を立てて開け放たれ、そのドアを開けた人物はドドドドドッという音を立てながら近づいて行き、門扉をバァンッと開くと、その人影は先程のカイリューと同じ様にイルマに抱き付いた。

 

「イッルッマッくぅ~~ん!!」

 

 剥げた頭に丸い眼鏡が特徴の背の高い老人──イルマの祖父サリバンは滝のような涙を流しながらイルマを力強く抱きしめる。

 突然の出来事に、リコとロイは目を丸くする。

 

「あ、あの人がイルマのお爺ちゃん…?」

「う、うん。セキエイ学園の理事長のサリバンさん。今はまだカントーにいる筈なんだけど……」

 

 自信の祖父とは真逆な性格をしたサリバンにロイが困惑したように呟き、リコはそれを肯定したと同時に考え込むように顎に手を当てた。

 カントー地方の学園の理事長を勤めるサリバンは、本来ならこの時期はカントーのセキエイ学園で仕事をしている筈だ。なのに何故パルデアにいるのだろうか?セキエイ学園の理事長が変わった話しなんて聞いた覚えがない。リモート授業とはいえ、理事長交代なんて情報が生徒であるイルマとリコの元に届かない筈がない。

 そんな彼等の当然の疑問に、サリバンは未だに涙を流した顔でイルマを抱きしめながら答えた。

 

「あーそれね。有休使ってコッチに来たんだよ」

「し、仕事とか大丈夫だったの…?」

「大丈夫!カルエゴ君に僕がいない間の理事長の代理を任せてるからね。自分のクラスの担任もあるけど、カルエゴ君は優秀だから問題ないさ!」

「しょ、職権乱用……」

 

 明るい笑顔で何気に滅茶苦茶やっていたらしいサリバンに、抱きしめられた状態のイルマや、リコ達は苦笑いした。

 だがサリバンは気にした様子もなく、イルマの掴んでまた涙を流す。

 

「フリードくん達は信頼してたけど、本当に毎日心配してたんだよ~!大丈夫?トラウマとか残ってない?お外出るのやめる?」

「いやいやいや。フリードさんもバチコさんも皆頼りになったし、色々あったけどこの冒険も楽しかったから、大丈夫だったよ!」

 

 イルマはサリバンを安心させるように笑い掛ける。

 その笑顔を見たサリバンは涙を引っ込めて……

 

「立派になってー!!」

 

 サリバンは再び涙を流した。

 孫が自分の見ない間に一回り成長しているのを見て感動しているのだろう。再び、イルマをぎゅうっと力強く抱きしめる。

 微笑ましい光景だが、これでは何時まで経っても話が前に進まないと思ったフリードは、苦笑いしながらもサリバンに話し掛けた。

 

「久し振りですね。サリバンさん」

「おー、フリードくんにバチコちゃん。イルマくんをここまで送ってきてくれて本当にありがとうねー!」

「はっ、そんなっ、へへへ……」

 

 珍しく敬語を使いながら軽く挨拶をするフリードに対し、バチコは顔を真っ赤にして慌てふためくように返事になっていない返事をする。

 

(((……誰?)))

「気にすんな。バチコはサリバンさんと対面すると何時もああなるんだ」

 

 普段のバチコからは考えられない表情と態度に、イルマ・リコ・ロイの3人は目を丸くし、苦笑しながらもフリードが補足をいれる。

 そこで、ようやく泣き止んだサリバンがスッと立ち上がり、人差し指を立てて提案をする。

 

「それじゃあ、報酬の支払いだね。皆屋敷においで。お茶も出すよ」

「あぁいや、俺はこれからリコを実家に送り届けるんです。ここから先は、バチコに任せていますんで」

「成る程ね。それじゃあ、イルマくんとバチコちゃん。積める話もあるし、中にはいれるかな?」

「う、うん!」

「はっ、ははははい!」

「ロイ、お前はどうする?」

「うーん…。この家の中がどうなってるのか気になるけど、リコの家も見てみたいし、僕はリコの家の方に行くよ!」

 

 そういって、フリードとロイとリコの3人は、リコの自宅に向かって歩いていく。

 モクローを肩に乗せたイルマは三人の後ろ姿が見えなくなるまで手を振り続け、ロイ達もそれに応えるように互いの姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。

 

(パルデアから発つ時は…見送りくらいは行っても良いかな……)

 

 完全に見えなくなった3人が向かった先を見て、イルマはそんな風に考えながら踵を返し、先に屋敷の中に入って行ったサリバンとバチコを追うように屋敷の扉を潜り抜けて行った。

 

「おかえりなさいませ、イルマ様」

「オペラさん!」

 

 屋敷の中でイルマを迎えたのは、赤い髪をし鋭い目を持つ中性的な顔をした屋敷の使用人【オペラ】であった。同時に、オペラの足元に彼のパートナーであるニャオニクス♂とニャオニクス♀がフワフワと浮かび上がりながらやって来た。

 

「ニャオ!」

「ニャオ!」

「ニャオニクス達も久し振り。こっちは僕のパートナーのモクローだよ!」

「もふぅ!」

 

 イルマの肩から降り立ったモクローは翼を広げて挨拶をすると、2体のニャオニクスはモクローに近付いてスンスンと臭いを嗅ぐように鼻をならすと、直ぐに笑顔を浮かべ、モクローとじゃれあい始めた。どうやら受け入れてもらえたらしい。

 仲良さげな3体の様子をイルマが笑顔で眺めていると、横からオペラが声をかけた。

 

「モクローの歓迎は後にしましょう。サリバン様とバチコさんがお待ちです」

 

 オペラによって応接室に案内されたイルマは、部屋に設置されたソファーに座っていたバチコの隣におずおずと座って腰掛けた。ソファーの直ぐ横には、オペラが用意したポケモンフーズを頬張るモクローやカイリューの姿がある。

 ケーキ等のデザートが大量に並べられたテーブルを間に置いて対面するように設置されたソファーに腰掛けたサリバンはオペラとニャオニクス達が淹れてきた紅茶を飲んで一服すると、ソファーの隣に置かれてあったアタッシュケースを持ち上げ、それをドンッとソファーの上に置いた。

 

「それじゃあ、これが報酬。指定していた金額はちゃんと入ってるよ」

「あっ、ありがとうございます……」

「ホント君達に頼んで良かったよ~!バチコちゃんの実力は四天王にも匹敵するからね~!」

 

 バチコは未だに恥ずかしそうに顔を俯かせながらもそのアタッシュケースを受けとる。

 アタッシュケースを開けてみると、そこには綺麗に整頓された札束が敷き詰められており、それを見たイルマはひきつった笑みを浮かべておずおずと祖父に訪ねる。

 

「あの-…お爺ちゃん?僕を連れてくる依頼って…一体幾らしたの…?」

「ん?あー、別に高額を請求された訳じゃないよ。大事な孫を無事に連れてきてくれたんだからね、一千万円くらい安いもんだよ」

 

 「アッハッハ」と笑うサリバンに、イルマは苦笑いで返した。

 サリバンは昔から、イルマが絡むと暴走しがちな面がある。ショッピングにいけば服の買い占めなんてよくあったし、帰りは毎回ポケモン達に運でもらわなければならない程の品を買うなんてよくあった。それほどまでにイルマの家は裕福なのだ。

 そこまで考えたところで、イルマはずっと前から気になっていた事を訪ねる事にした。

 

「…あの、お爺ちゃんは、どうして僕をライジングボルテッカーズの旅に同行させたの?」

 

 そう、イルマがライジングボルテッカーズの船に乗ることになったきっかけは、サリバンがバチコ達にイルマの同行を依頼したからだ。だが、ライジングボルテッカーズはリコとペンダントをエクスプローラーズから保護し、リコをパルデアまで送り届ける為にカントーに来たのであり、言い方は悪いがリコの事情はイルマには関係がなかった。そもそも、孫と離れて生活するのが寂しいからイルマをセキエイ学園に入学させたのに、何故わざわざサリバンから離れるようにしたのか、イルマはそれが知りたかった。

 そんな孫の質問に、サリバンは先程までのおちゃらけた様な雰囲気が消えたかと思うと、机に肘をついて手の甲に顎を乗せるてイルマを見据え、優しく微笑みながら口を開いた。

 

「んー……強いて言うなら、見聞を広めて欲しかったからかな」

「見聞?」

「イルマくんは昔からとっても良い子だったからねぇ。我が儘もおねだりも一回もしなかっし、人やポケモンと仲良くなるが得意だったけど、何故か同年代の子からは遠巻きにされてて、友達が少なかったでしょ?」

「それは……そうだけど…」

 

 困ったような笑みを浮かべて語り出すサリバン。

 イルマはその人柄の良さから人やポケモンに好かれやすい。だがポケモンは兎も角、実は人間の友達はそこまで多くない。好かれやすいのは主に学校の用務員や近所のお婆さん等が主であり、特に男友達なんてセキエイ学園であったアリスと、同じ船に乗っていたロイくらいだった。イルマの友達の中で最も付き合いの長いリコにすら気付かない事を見抜く観察力は流石家族というべきか。

 …だが、それを言われたイルマは表情にこそ出さなかったが、内心では複雑な笑みを浮かべていた。

 

(……僕が遠巻きにされてたのは半分くらいお爺ちゃん達のせいでもあるんだけど…それは言わないでおこう…)

 

 思い起こすのは、お出掛けの際にまだ幼い自分を馬車に乗せて連れ歩き、町につこう物ならオペラが将軍訪問のような台詞を大声で叫び、馬車から赤絨毯を地面に引いて大名行列と化した時の光景だ。しかもこれがしょっちゅうあった。更に言えば、セキエイ学園の時もあの理事長挨拶と称した孫自慢。同年代から遠巻きにされるのも当然というものであるし、イルマも何度恥ずか死にそうになったか分からない。

 だが、善意から来る行動である事のは昔から理解していたので、イルマは何も言わなかった。それに言ったらサリバンがショックで号泣、もしくはショック死しそうだから。

 

「…じゃあ、お爺ちゃんはライジングボルテッカーズの皆と友達にさせるためだけにバチコさんに依頼をしたって事?確かに同年代の友達少ないけど、そんな事の為にわざわざ冒険家集団に依頼なんてするの?」

 

 頭の中に浮かんだ可能性に、イルマは訝しげな表現で訪ねた。先程も言ったように、イルマは同年代の友達が少ないが、別に友達に全くいないという訳ではない。パルデアにいた頃も、1つ年上だがリコ以外の友達はあと1人いるのだから。…それはそれでなんだか悲しくなってくるが。

 兎も角、そんな事の為にライジングボルテッカーズの船に乗せてもらう必要何てなかった筈だ。第一、当のイルマには同じ学園にいながらなにも説明されていなかったのだし。

 

 だが、サリバンは質問に軽く首を振った。

 

「流石にそんな理由でバチコちゃん達を巻き込まないよ。僕が心配していたのは、イルマくんの主体性だよ」

「主体性?」

「そっ。さっきも言ったように、イルマくんは我が儘もおねだりもしなくて、僕がセキエイ学園の入学を勧めた時だって、イルマくんは二つ返事で入学を決めてくれたからね。人の頼みやお願いを素直に受け入れられるのは美徳だけど、それだとイルマくんが本当にやりたい事が出来なくなるかもしれないからね」

 

 イルマが入学する前、サリバンがリモート通話でカントーからオペラと共にパルデアにいたイルマにセキエイ学園の勧めた時、サリバンはイルマが他の学校に行きたいと言うのなら別にそれでも良かった。愛しの孫と一緒にいたいから、自分が勤める学校に通って欲しいのは紛れもない事実だが、保護者として、教育者として、サリバンが尊重すべきなのはイルマの意思だからだ。だが、イルマは悩む素振りも見せずに入学を決めた。他に入学する学校を決めていなかったとか、そう言うわけではないことくらいはちゃらんぽらんのサリバンでも分かっていた。

 

「僕はね、イルマくんが将来色んな道を選ぶ時のために、“冒険”って道も作っておいて上げたいんだよ。バチコちゃん達に君を同行させる依頼をしたのもその為だよ。勿論、君がそれを望まないなら、僕も何時までも休んでいられなれないし、一緒にセキエイ学園に帰ることも出来る。要するに、いつものお爺ちゃんのお節介さ」

「…そっか」

 

 サリバンの言葉に、イルマは短くそう返した。

 そして、しばらくの間優しく微笑んでちるサリバンを見つめ続け、サリバンもそれに応えるように言葉を発さずに見つめ返した。やがて、イルマはサリバンの言葉と想いをゆっくりと飲み込み、気分を落ち着かせるように深呼吸をすると、真っ直ぐにサリバンの目を見て、口を開いた。

 

「あのね、お爺ちゃん。僕、ライジングボルテッカーズの皆ともっと旅がしたい…」

「……」

「リコみたいにペンダントの秘密を知りたいって訳でもないし、ロイくんみたいに叶えたい夢があるわけでもない。でも、あの人達と一緒にいれば、僕のやりたい事や、自分の夢を見付けられる気がするんだ。勿論、危ない事もあるかもしれないけど……モクローが一緒にいてくれるから、きっと大丈夫だと思う。リコも言ってたから、『ポケモンと一緒は大丈夫』って」

「もふぅ!」

 

 サリバンは孫のイルマでさえ初めて見る程真剣な表情で、イルマとモクローの姿を見ていた。

 そして次の瞬間、眼鏡を掛けた瞳から、滝のような涙を流した。イルマ、モクロー、バチコは目を見開いて困惑し、オペラはサリバンに寄り添ってハンカチを差し出した。

 

「お、お爺ちゃん!?」

「イルマくんがああ!!初めてのお願いをおぉおおっ!!」

「今夜は赤飯ですね」

「せ、赤飯!?なんで!?」

 

 応接室の床に水溜まりを作るほど泣いているサリバンと、それを無表情で宥めるオペラに、困惑しているイルマ。

 そんな彼等の一連の様子を黙って見ていたバチコは、笑いながら口を開いた。

 

「イルマ、オメーは家族から愛されてんだなー」

「お恥ずかしい…」

 

 誉められているのだろうが、今のイルマには恥ずかしさしか感じない。やや顔が赤くなっていた。

 そこへ、ようやく落ち着いたらしいサリバンがスクッと立ち上がり、目の前にいるイルマに向き直った。未だに涙を流しながらだったが。

 

「さっきのお願いの話…勿論OKだよ!」

「お爺ちゃん…!」

「可愛い孫のお願いだもの。モクローくん、イルマくんの事をよろしくね」

「もふぅ!」

 

 サリバンの言葉に笑顔でうなずくモクロー。

 次に、サリバンは再び真面目な顔になり、未だに応接室のソファーに座ったまみだったバチコに視線を向けた。バチコは先程のように赤面して慌てる様子を見せず、真剣な表情でサリバンに向かい合った

 

「バチコくん、これからもイルマくんの事、お願いしてもいいかな?」

 

 サリバンの言葉に、バチコは八重歯を見せて笑って答えた。

 

「勿論。ついでに()()()も、喜んで受けさせていただきます」

「本当!?いやー、ありがとう!正直ダメもとで頼んでみたんだけど、まさかOKしてもらえるなんて!」

 

 バチコの言葉にサリバンは弾んだ声を上げて喜び始めた。

 イルマはそれの話に疑問符を浮かべ、恐る恐る尋ねてみることにする。

 

「あのー…あの話って……」

 

 一瞬、サリバンとバチコが交際するという考えが思い浮かんだが、それはないなと断言した。年の差婚もさほど珍しくない世の中だが、サリバン(祖父)が籍を入れる姿なんて想像も出来ない。

 案の定、話というのはそう言うものではなかった。というよりも、イルマの予想の斜め上を行く答えだった。

 

「実はな、オメーを今日からあッチの弟子にしようって事になったんだよ」

「で、弟子!?」

「そっ。元々、僕はイルマくんをパルデアの旅に同行させるついでに、バチコちゃん個人にそう頼んだんだよ。彼女は優秀だったからね!」

 

 そう言ったあと、サリバンとバチコは事の詳細を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『──弟子?』

 

 ルッカからの依頼を受け、カントー地方にたどり着いた際、展望室の前でスマホロトムでセキエイ学園にいたサリバンに連絡を取り、事情を説明していた。保護者の依頼とは言え、学園内の生徒を連れ去るのだ。下手したら騒ぎになるので、バチコは前もって理事長であるサリバンに連絡した方が良いからだ。

 そして、説明を終えたバチコサリバンからの承諾を得た後に頼まれた、かつて自分とも友好があったサリバンの孫、イルマを同行させて欲しいと言われた直後に追加で頼まれた内容を復唱した。

 

 スマホロトムの向こうから、明るい声が返ってくる。

 

『そっ、イルマくんのパートナーはモクローだからね。ジュナイパー(進化系)が相棒のバチコちゃんなら適任かと思ってさ!』

『……お言葉ですが、それは少し無理があります。パルデアに送り届けたらそこまでですし、あッチは冒険家ですし……』

 

 サリバンの言葉に、バチコは苦々しい表情で答えた。

 学生時代の恩師であり、バチコにたって数少ない尊敬できる人物であるサリバンの頼みとあらば出来る限りの応えてやりたいが、自分はライジングボルテッカーズ(冒険家集団)の一員だ。パルデアに送り届けるまでの短期間に修行なんてつけられないし、バチコ自身、あまり弟子を取りたいとは思っていなかった。

 

『まぁそれはそうなんだけどさ、もしかしたらパルデアで終わりにならないかもしれないからね』

『…?』

『勿論、君の意志は尊重するよ。弟子にするかしないか…それは君がイルマくんと接していく中で決めてくれていいから』

『……分かりました。考慮しておきましょう』

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事があったんですね……」

 

 話を聞き終えたイルマは納得したように頷いた。

 ライジングボルテッカーズと出会ったあの日、バチコがリコの所ではなくわざわざイルマの方から先に来たのは、そ言う理由があったからなのかと。

 

「…バチコちゃんは昔から人付き合いが苦手だから、引き受けてくれるか心配だったんだけどね」

「……そうですね。最初は顔だけ見て終わりにしようとしましたが…サリバンさんの言う通り、面白い卵でしたからね」

 

 そう言ってバチコはイルマの顔に視線を向ける。イルマもつられてバチコの顔を見返した。

 

「ま、そう言うわけだ。これからあッチの事は『師匠』って呼ぶようにな!」

「は、はい!バチ…し、師匠!」

 

 イルマは笑顔で彼女な呼び方を変える。

 それを微笑みながら眺めていたサリバンは、突然椅子から立ち上がって片腕を上げた。

 

「よ~し!それじゃあ今日はイルマくんの旅立ちを祝ってパーティーだ!オペラ、準備をお願い!」

「承知しました」

 

 明日から長い旅に出るのだから、家族全員で過ごしていられる今は出来るだけ全員で過ごしたいのだろう。イルマも、久し振りの我が家なので、旅の支度もあるので今夜は実家で過ごすことに異論はなかった。バチコも特に何も言わず、踵を返して屋敷を後にしようとする。

 そこで、宴会ムードになるより前にもう一つだけ聞いておきたいことがあったイルマはサリバンに尋ねてみる。

 

「あの、お爺ちゃん。ここ最近、パルデアで黒いレックウザを見た事ってある?」

「黒いレックウザ…?どうしてそれを?」

「知ってるの!?ロイ君が宝物にしてる変わった形のモンスターボールの中から出てきて、パルデアに来ているって情報があったんだ!」

 

 先程のおちゃらけムードから一転し、本気で驚いたような表情になるサリバンにイルマは詰め寄る。話が聞こえていたバチコも、その情報は聞いておきたいようで足を止めて振り返った。

 二人から視線を向けられたサリバンは、しばらくの間真面目な表情で考え込んでいると、意を決したように口を開いた。

 

「黒いレックウザが何処にいるのかは知らないけど、その黒いレックウザが何なのか、そのレックウザが入っていたモンスターボールが何なのかは知っているよ。でも、それを話すとなると僕の昔話から始めなくちゃならないけど、それでも聞くかい?」

 

 イルマとバチコが同時に頷いたのを見て、サリバンはソファーに座り直し、オペラが淹れ直した紅茶を口に含んで喉を潤すと、フゥと息を吐いて口を開いた。

 

「何十年も昔…僕は当時ミニリュウだったカイリューと一緒に旅をしていたんだ。そんな中、一人の旅人と出会って意気投合、一緒に冒険をすることになったんだ……。それがダイアナちゃん…リコちゃんのお婆ちゃんだよ」

 

 明かされたサリバンの過去に、イルマは目を丸くする。サリバンがかつてトレーナーとして旅をしていたことは知っていたし、リコの祖母が冒険家であることは知っていたが、まさか一緒に旅をする仲とは思わなかった。元々、サリバンは今を生きている様な人物だから過去の事とか殆んど話さなかったのだが。

 そこでイルマは、カントーの離島でレックウザが現れた時の事を思い出す。絶体絶命の窮地にリコのペンダントが光だしたと同時に、ロイの持っていた古のモンスターボールが光だしてレックウザが現れた時の事を。

 

「やっぱり、あのペンダントと黒いレックウザは何か関係があるってこと?」

「…あるにはあるけど、それについては僕の口から軽々しく言って良い事じゃないからね。旅を続けるなかで自分達で答えを探すと良いよ」

 

 人差し指を口に当ててウィンクするサリバンに、イルマとバチコはそれ以上何かを言うことが出来なかった。

 

「でも、さっきも言ったように黒いレックウザの事についてなら教えてあげるよ。オペラ、『イルマくんとの思いでの品』16番を持ってきて!」

「かしこまりました」

 

 サリバンの命令をオペラは礼儀正しく聞き入れると、2体のニャオニクスと共に踵を返してスタスタと部屋から退室していく。

 5分もしない内にオペラとニャオニクス達が戻ってくると、オペラは手に持った一冊の本を応接室の机の上に置いた。

 その本の表紙には、赤一色の背景の上にタイトルと黒い帽子、帽子の影には星が煌めいている絵が描かれた本だった。その本を見て、イルマが記憶の中にあったその本に目を見開く。

 

「この絵本って……」

「そっ。アレックスくんが描いた本だよ」

 

 リコの父親【アレックス】は絵本作家であり、彼が描いた本はイルマの家にも子供の頃に読んでいたものが何冊かまだ家に置いてある。この絵本もその内の一冊だ。

 

 この絵本の内容は物語と言うよりも、一人の男の伝説に近い。

 100年前、黒いレックウザを従えた冒険者があらゆる地方で出会った強いポケモン達と絆を結び、冒険者はポケモン達と力を合わせてまだ見ぬ地を探して旅をし、遂に光輝く楽園を見つけ出し、その楽園で幸せに暮らしていたその冒険者は、いつしか『古の冒険者』と呼ばれるようになった、というものだ。

 

「じゃあ、このレックウザと古の冒険者も実在してたって事?」

「そう。この絵本に出てくる冒険者──ルシアスは100年前に実在していた冒険者。そしてロイくんっていう子が持っていたモンスターボールにいた黒いレックウザは、『六英雄』と呼ばれるポケモンさ」

 

 ルシアスに従う黒いレックウザ。

 大地を走るポケモン──エンテイ。

 壁を砕くポケモン──バサギリ。

 空を駆けるポケモン──ファイヤー(ガラルのすがた)。

 傷を癒すポケモン──オリーヴァ。

 海を渡るポケモン──ラプラス。

 

「……とまあ、黒いレックウザの事について僕の口から話せるのはここまでだよ」

「まさか、あのレックウザがそんなとんでもないポケモンだったとは……」

「ファイヤーにエンテイって…2体とも伝説のポケモン……レックウザもそうだけど、ルシアスって本当に凄いんだなぁ…」

 

 明かされた六英雄の名前に、イルマとバチコは唖然とする。レックウザ(しかも色違い)だけでも凄すぎるのに、それと同格に位置する伝説のポケモンを2体も手持ちにしていたトレーナーが100年も昔に実在していたといわれたのだ。驚くなと言う方が無理である。

 

「サリバンさん、やはりそのポケモン達…六英雄が今何処にいるのかは分かりませんか?」

「う~ん……目ぼしい場所は知ってるし、ダイアナちゃんと一緒に調査した事もあったんだけど、結局僕達は見付けられなかったからねェ。数日前からパルデア(こっち)に帰ってきてたけど、黒いレックウザがパルデアに来てたなんて今始めて知ったし……いや」

 

 そこで、ふとサリバンの頭の中にある記憶の棚から、さほど気にしていなかった情報が引っ張り出された。

 

「最近、ボウルタウンでジムリーダーをしているコルサくんが、珍しいポケモンを見たって言ってるんだよ。それとほぼ同時期に、アトリエに籠りきってジムも閉鎖してるんだよね」

「もしかして、その人が見たのが黒いレックウザ!?」

「そこまでは僕も知らないよ。でも、聞いてみる価値はあるんじゃないかな」

 

 サリバンの言う通り、レックウザがパルデアに向かったと言う事以外何も分かっていない状況下では、その【コルサ】というジムリーダーを尋ねてみるしかない。正直、色々な重要な情報が多すぎてまだ整理するのに時間が掛かりそうだが、取り敢えずこれからやるべき事は決まった。

 イルマがそこまで考えた所で、ソファーに座っていたサリバンが再びガバッと立ち上がった。

 

「よ~し!難しい話はこれで終わり!さっそくパーティーの準備だよ~!!」

「シリアスが一瞬で壊れた!?」

 

 先程のシリアスな空気を一瞬で吹き飛ばしたサリバンに思わずイルマが声を上げる。そこへ、応接室の扉が開き、いつの間に部屋から消えていたオペラがピョコッと顔を出した。

 

「パーティーの準備が整いましたよ」

「早ッ!?まだ30分くらいしか経ってませんよね!?」

「ニャオニクス達や屋敷のポケモン達にも手伝ってもらったので」

 

 オペラがそう言うと、オペラの後ろから姿を見せたオスメス両方の【イエッサン】がペコッとお辞儀をした。

 

「…こッからは、家族の時間ってやつだな。そんじゃああッチは一度船に帰ってるぜ。明日迎えに行くよ」

「あっ!バチ…師匠。師匠も一緒に晩御飯にしませんか?勿論、ライジングボルテッカーズの皆さんも一緒に…」

「人数が増えても僕は構わないよ?」

 

 窓の外を見れば、もう日は沈んで真っ暗だ。別に彼女が夜道でどうこうなるなんて微塵も思っていないが、流石に一人で帰らせるのは気が引けるし、どうせなら人数が多い方がいい。

 だが、バチコは首を振った。

 

「いや、この時間帯だともうマードックが飯作ってるだろうしな。それに、サリバンさんからの情報をさっさとフリードに伝えておきたい。オメーがこれからも旅をするって事も伝えなきゃだしな」

「そうですか……」

「まっ、そういうことなら仕方ないね。オペラ、それじゃあパーティーを始めようかー!」

「かしこまりました」

 

 イルマは少し残念そうだ。折角のパーティーだし、出来ることなら皆とワイワイやりたいのだろう。だが冷静になってみると、誕生日でもないのにパーティー開いて人を呼ぶのも恥ずかしい気がしてくる。

 そんな弟子の様子に苦笑しながらも屋敷を後にし、イルマやサリバン達の見送りをうけながらチルタリスの背中に乗ってブレイブアサギ号へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。サリバン家でのパーティーは夜の23時まで続き、その後イルマの自室でサリバンとオペラの3人で川の字になって寝つりについた。

 そして、朝6時から起床したイルマは、サリバンと共に旅の準備のために荷造りをしていた。

 

「「フゥ~…よし!」」

「よしじゃあない」

「もふぅ」

 

 イルマの背丈を越えるほどの大きさまで膨らみながらも入れた物がはみ出ているリュックサックを見て、オペラがツッコミを入れ、モクローが同意する様に声を上げた。

 

「長旅になるからって詰め込みすぎです。そんな大量に持っていけませんよ」

「だって!これからまたイルマくんを危険な旅に出さなくちゃ行けないんだもの!心配!」

「昨晩笑顔でイルマ様の旅立ちを喜んでいたのは誰ですか」

 

 涙を流してイルマを抱きしめるサリバンをガン無視し、オペラは荷物を仕分けし、不要なものを放り投げていく。

 すると、玄関の方から『リンゴーン』と呼び鈴が鳴る音が聞こえてきて、オペラは仕分けをする手を止め、ニャオニクス達に仕分けを任せて玄関に向かっていった。

 

 ニャオニクス達がイルマに荷物を仕分けしているなか、サリバンは未だに涙を流しながらイルマに色々な物を手渡しながら早口で捲し立てる。

 

「何かあったら直ぐに連絡ね!これはお爺ちゃんの連絡先と探検の心得が書いてある手帳!六英雄について僕達が調べていることも書いてあるから、しっかり目を通しておいてね!」

「う、うん…」

「あとは、これだね」

 

 イルマはズイッと顔を寄せるサリバンに戸惑いながらもその手帳を受けとると、次にサリバンは両掌に収まる程のサイズをした小箱をイルマに手渡した。

 

「…?これは?」

「僕からイルマくんへの餞別だよ♪」

 

 そう言いながらサリバンは箱を開いた。そこに入っていたのは、モンスターボールのような形状をした、紺色の宝石だった。

 それを見て、イルマは目を見開き、イルマの肩に飛び乗って箱の仲を覗き込んだモクローは首をかしげた。

 

「!これって……」

「もふ?」

「『テラスタルオーブ』。イルマくんの為に用意しておいたんだ」

 

 パルデア地方には『テラスタル』と呼ばれるポケモンのパワーアップ現象がある。詳しい詳細は省くが、このテラスタルオーブはそのテラスタルを発動させるために必要なアイテムだ。

 しかし、イルマの知識が正しければ、これはそう簡単に所持を認められない道具のはずだ。

 

「でも、これってオレンジアカデミーで専門の授業受けて認められないと所持できないんじゃ……」

「何事も例外はつきものだよ!イルマくんが旅をするって決めた時から学校に推薦状書いて貰っておいたんだ!実際アカデミーの生徒でもない子にいきなりテラスタルオーブを渡すなんて前例ないんだけどさ、僕にはちょっとした裏技があるからね♪」

「裏技って何!?怖いんだけど!」

「大丈夫!法に違反するような事はしてないよ!具体的な内容は秘密ってことで♪」

 

 その秘密が物凄く気になるが、こんな時のサリバンは問い詰めても教えてくれないのは分かっているので、イルマは特に追求せずにテラスタルオーブを受けとることにした。

 

「イルマー、準備できたかー?これからボウルタウンに調査に行くぜー!」

「!この声、師匠の…」

「ニャオ」

「ニャー」

「あ、ありがとうニャオニクス!」

 

 そこへ、玄関の方からバチコの声が聞こえてきた。どうやら先程呼び鈴を鳴らしたのは彼女だったらしい。

 イルマはサリバンとモクローの二人と顔を見合わせると、いつの間にか仕分けを終えたニャオニクス達が差し出したリュックを背負い、玄関に向けて歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあお爺ちゃん!いってきまーーす!」

「もふぅーー!」

「いってらっしゃ~い!!」

 

 バチコがボールから出したチルタリスの背中に乗り、バチコと共にボウルタウンに向かうイルマは屋敷の前にいるサリバン達に大きく手を振った。サリバンは涙を流しながら、オペラはほんの少しだけ微笑みながら、カイリューとニャオニクス達は笑顔で手を振り返す。

 

 改めて冒険の決意を固めたイルマは、パルデア地方に向かっていった黒いレックウザの情報を求めてボウルタウンへ向かうのであった。

 

*1
『ポケットモンスター バイオレット』より




イルマくんの実家がある場所は、コサジの小道灯台とチオンジェンの祠の間という設定にしてます。他に思い付かなかったので。

イルマとバチコの師弟関係はピクシブ百科事典では『ばちこん師弟』という呼び方をされており、作者は原作でも二人の師弟関係が好きなのでこの作品でも師弟関係にしました。
テラスタルオーブ入手は、以前行ったアンケートでオーガポンのゲットが決定した時から決めていました。他のアニポケ小説でも主人公がメガシンカやダイマックス等を使う作品が色々とあったので、イルマ君にも使わせてみようかなと思いきりました。今のところパルデア編で使う予定はありませんが。

なお、パルデア編が終わった後にはガラル編との間にオーガポンゲットのためにオリジナルとしてキタカミ編を投稿する予定ですが、その際にゼロの秘宝の主要人物であるゼイユとスグリを登場させるのかさせないのかで悩んでいて、優柔不断な作者はどちらにすればいいのか分からないので、アンケートを実施してその結果で決めることにします。どうかよろしくお願いします。

感想、評価お待ちしております。

パルデア編の次に行うキタカミ編で、ゼイユとスグリを登場させますか?

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