魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター 作:MTHR
ダークライは作者も好きなポケモンなので、もしかしたら作者のノリで主人公の手持ちになるかもしれません。サンムーン編ではサトシがウルトラビーストと幻のポケモンをゲットしてましたし。
『碧の円盤』の配信は目前ですね。配信日の12月14日は平日で専門学校もあるので、本格的にプレイするのは休日や冬休みの時になると思い、その影響更新が遅れるかもしれません。
今回はロイとコルサのバトルの話ですが、改編するところが見つからなかったのでバトルシーンのびょうしやが少し適当になっていると思いますが、ご了承下さい。
「モクロー、どんな感じだった?」
「もふ」
「アッチだね…」
イルマの肩に止まったモクローに、イルマが質問する。
モクローは翼で方角を指し示し、イルマはモクローの案内にしたがって小走りに駆け出す。
「あっ、見つけた!」
自販機の前で商品を眺めるように佇んでいるキマワリを発見し、イルマは弾んだ声を上げた。4体のキマワリを後ろに連れ、イルマのモクローは町を散策する。
「これで四匹…もっと沢山集めないとね」
「もふもふ」
黒いレックウザの情報を知る【コルサ】という芸術家を元気にするため、イルマはこうしてモクローに空からキマワリを探し出してもらい、現在は4匹まで見つけていた。広範囲に辺りを見渡せるモクローなら、町に佇んでいるキマワリの居場所を直ぐに特定して見つける事が出来るのだ。
「ここかな……あっ、またハズレ…」
「もふ」
「そうだね。もっと他のところを探してみよう」
「もっふぅ!」
だが、やはりと言うべきかそう上手くは行かない。モクローの情報で場所を特定しても、それがコルサの作ったキマワリのオブジェである事もしばしばあった。
だが、こんなことではめげない。再びキマワリを連れ、イルマはモクローと共に歩き出した。
「なんでアイツ等が……」
「リーニョ…」
そんなイルマ達の姿を、看板の影から眺めるコルサの姿と、コルサを心配そうに見つめるオリーニョの姿があった。
「ジャーーンッ!」
「すっげぇ!こんなに見つけたのか!!」
リコとニャオハの後ろに集まった30体以上のキマワリを見て、ロイが称賛の声を上げた。イルマ、アメリ、ネモも「おぉーー!」という声を上げている。
リコは太陽の象徴と呼ばれるキマワリを探すため、日向ぼっこが好きなニャオハが行きたいところに向かっていった結果、日当たりの良い場所に集まっていたキマワリを見つけたということだ。
因みに、イルマが見つけたキマワリは6匹、ロイは10匹、ネモは15匹、アメリは20匹だ。そのキマワリ達を広場に連れていくと、案の定広場はキマワリでギュウギュウ詰めになった。
「凄い笑顔の数…!」
「これなら、コルサさんも笑顔になれるよね!」
「よし、コルサさんを呼んでこよう」
そう言って、イルマは踵を返してコルサのアトリエに向かおうとキマワリで一杯のキマワリ広場から出ようすると、突然イルマの前に小さなポケモンが立ちはだかった。
「リーニョ!」
「うわっ!?」
「オリーニョ…どうしてここに?」
「リー…ニョ!!」
そう、現れたのはオリーニョだった。しかもこの個体、コルサが連れていたオリーニョである。
イルマ達が困惑していると、オリーニョはクルリとイルマ達に背を向け、頭の実からオイルを水鉄砲のように放射した。そのオイルはキマワリ広場の出入り口の影に隠れていた人物に振りかかり、その人物は「うッ!?」と声を上げた。イルマ達はつられてオイルを掛けられた人物に一斉に目を向けた。
「えっ、コルサさん…!?」
オイルを振りかけられたのは、オリーニョのトレーナーであるコルサであった。
出入り口の影に隠れていたコルサはスクッと立ち上がり、踵を返して歩き出そうとするが、その直前にロイが大声で呼び止めたことで、コルサは足を止めた。
「待ってください!コルサさんに笑顔になってもらいたくて、集めてきました!」
「町の子供達も、皆待っています!」
ロイとネモの必死な呼び掛けに、コルサは背を向けたまま肩を震わせたあと、決然とした表情で振り返った。
「……よかろう。ならば話そう、私の身に起きた圧倒的アバンギャルドな出来事を…!」
そうして一同が案内されたのは、コルサのアトリエの作業場だった。
部屋の明かりが付けられ、その部屋にあったモノの姿が露になった事で、一同は驚愕しながらそれを見上げる。
そして、ロイが大声で叫んだ。
「レックウザだーーーっ!!」
そう、コルサの作業場には、黒いレックウザの姿があったのだ。
しかし、リコはそのレックウザがピクリとも動かない事に疑問を抱いた後、直ぐにあることに気付いた。
「ちょっと待って……これって、彫刻?」
「その通り」
「え?」
部屋の明かりを付けたコルサはリコ達の方に歩み寄りながら、語るように説明する。
「これは、私がかつて制作した『黒龍に睨まれたキマワリ』。アレックスさんの作品からインスピレーションを受けて作ったのだ」
「そうだったんだ…」
「本当だ。ここに怯えたキマワリが…」
見ると、確かに黒いレックウザの彫刻の前に、レックウザに向かい合って怯えているような表情をしたキマワリの彫刻が置かれてあった。
「私は、黒いレックウザの迫力をキマワリから視線で表現しようとしてこの2体の像を……だが先日、遭遇してしまった…本物の黒いレックウザに…!!」
「「「「ッ!?」」」」
「えぇっ!本物の!?」
コルサの言葉に、リコ達4人は目を見開き、ロイは目を輝かせる。
そして、コルサはまるで演技をするように身振り手振りをしながら話す。
「それは夜の事!私は私は町外れの森を歩いていたのだがそこへ凄まじい勢いで黒いレックウザが現れた!それを見た時の私はまさに…『黒龍に睨まれたキマワリ』!」
そこまで言われたことで、リコ達はようやくコルサがジムを閉鎖してアトリエに籠っていた理由が分かってきた。
そしてその予想は、コルサの言葉で的中したことが分かった。
「私は圧倒され…そして完全に打ちのめされてしまったのだ……」
「つまり、本物の黒いレックウザと自分の彫刻の差を痛感してしまった、と言うことですか……」
「それでスランプに……」
「以来作品を産み出すも到底納得できず、ジムでバトルする気も無くし、このアトリエに籠るように……。私は…レックウザなる究極の芸術に負けたのだ……!!」
「リーニョ……」
苦しんでいる様子のコルサを、オリーニョが心配そうに見つめる。
リコ達も、なんと声をかけて良いのかが分からずに困ったような顔でコルサを見ているなか、唐突に口を開くものが現れた。
「凄い…!」
「…?」
「やっぱり凄いよレックウザは!!僕、ますます会いたくなった!!」
その人物──ロイは、キラキラと目を輝かせながらそう言った。
だが、今この空気でその明るい雰囲気を出すのは少々場違いなため、思わずコルサは立ち上がる。
「私の話を聞いていなかったのか!?」
「後ね、コルサさん!」
「…?」
「このレックウザ、本物にも全ッ然負けてないよ!!」
「ッ!?」
真っ直ぐな目でそう語ってくるロイに、コルサは思わず息を飲んだ。
だがロイはお構い無しに、踵を返してアトリエの外に向かって走り出そうとする。
「町外れの森だね!今すぐ行かないと!」
「待て!!」
そこでコルサに呼び止められ、ロイは足を止めて振り返る。
コルサは真剣な表情でロイに問いただす。
「何故そこまでレックウザを追う?」
「…レックウザは、僕の始まりの一歩だから!」
「!始まりの…一歩……」
ロイは真っ直ぐな目でそう答え、その答えを聞いたコルサは目を見開きながら硬直していると、コルサは口の角を吊り上げた。
「なんというアバンギャルドな少年…これ程の情熱を持つ思春期に出会えるとは…!」
そう呟いたかと思うと、決然とした表情でロイと向かい合い、宣言するように声を上げた。
「いいだろう!ならば私はジムリーダーとして、貴様にレックウザに挑む実力があるか…試してやろう!!」
「挑戦者よ!表現しようとして最高の芸術を共に作ろう!!」
「ヘヘッ、ジムリーダーとのバトルは初めてだ!」
「貴様の情熱見せてみろ!」
こうして、コルサとロイのバトルが始まった。
ロイのホゲータに対してコルサが繰り出したのは松の木を彷彿させるポケモン【ウソッキー】だ。
バトルが開始され、見た目から草タイプと判断したロイが、先手必勝とホゲータに“ひのこ”を撃たせるが、ウソッキーには全く効いておらず、逆に効果抜群の”いわおとし”を受けてしまう。そしてネモからの助言でウソッキーが岩タイプであることが分かったロイは接近戦に持ち込もうと“たいあたり”を繰り出させるが、ウソッキーが“みがわり”を使った事で本物が分からなくなってしまった。
やけくそで突撃するも全てみがわりの岩で、みがわりを破壊してもまた再びみがわりが現れ、たいあたりで攻撃するも全部みがわりで、何度やっても本物には当たらない。そこへウソッキーの“ちょうはつ”が炸裂し、ホゲータは赤面させて地団駄を踏む。
ロイが“たいあたり”を繰り出すように指示するも、ウソッキーの挑発に乗ってしまったホゲータは指示を聞かずに“ひのこ”を放ち続ける。
「芸術的センス0……貴様が今その目で見るべきは何だ!?」
「決まってる!本物のウソッキーだ!!」
「フン!その程度でレックウザに挑むなど夢のまた夢!」
「クッ、どうすれば…!」
言葉を否定できず、焦りを見せるロイに、コルサはロイを指差して叱咤した。
「バトルにおいて最も見なければならないもの…それは己のポケモンだ!!」
「!己のポケモン……」
コルサに言われ、ロイはホゲータを見る。
そこで、挑発により怒り狂っているホゲータはダンダンと地団駄を踏み鳴らし、バトルフィールドがひび割れている事に気付いたロイは、ホゲータに思いっきり暴れろと指示。その指示を聞いたのか、ホゲータはどんどん力を込めて地団駄を踏み鳴らすと、フィールドに亀裂が広がり始める。やがてその振動がフィールド全体に伝わり、その影響でウソッキーのみがわりが消え、本物が見つかった。
怒りにより力が増したことで、ホゲータは新たに“じだんだ”によって地面から飛び出した瓦礫が直撃、効果抜群の地面タイプの技を受けた岩タイプのウソッキーは仰向けに倒れた。
「トドメだ!決めろホゲータ!!」
「ホゲーー!!」
隙だらけのウソッキーに向かって突撃するホゲータ。
絶対絶命とも言えるその状況で、コルサは逆に不適な笑みを浮かべる。そして懐から、モンスターボールに似た形状の宝石を取り出した。
それを見たイルマは目を見開く。
「あれは…テラスタルオーブ!」
「見せてやろう…アーティスティックなタクティクス!」
その言葉を言い終えた瞬間、コルサが手に持つテラスタルオーブに宝石のような煌めきを持つ光が凝縮されて行き、辺りの景色がやや暗くなり、テラスタルオーブが目映い光を放つ。
「究極の…最高傑作を!!」
そう叫びながら、コルサはテラスタルオーブをウソッキーに向けて投げる。
その瞬間、ウソッキーの頭上に光がマークを作って輝くと、ウソッキーは輝く岩のようなものに閉じ込められ、それが弾けた。
そこにいたウソッキーは、全身が宝石のように光り輝き、頭に色とりどりの花束を模したスワロフスキーとも見紛う豪勢な冠・テラスタルジュエルが乗った姿に変身していた。
「頭に…花が生えた!?」
「ホゲ…!?」
「ポケモンを輝かせるパルデアの奇跡、テラスタル!」
「題して『嘘から出た誠』。ウソッキーは今、くさテラスタイプになったのだ!」
「ウソッキー、カッケー!…って事は、今はくさタイプ…ほのおタイプは逆に有利!行けるホゲータ!“ひのこ”だ!!」
「ホー…ゲーッ!!」
あまりの衝撃に、ロイとホゲータは動きを止めてしまうが、ウソッキーのタイプかくさテラスタイプ、つまりほのおタイプのホゲータに有利なタイプになった事を知って指示を出し、ホゲータは“ひのこ”を撃ち放った。
「ではそろそろ作品の完成と行こうか…!ウソッキー、“くさわけ”!!」
「ウソソソソ…ウソッキー!!」
「ホゲーー!?」
目にも止まらぬ速さでひのこを避けてホゲータと距離を積めたウソッキーのパンチが炸裂し、吹き飛ばされたホゲータは仰向けに倒れ、目を回して気絶した事で、コルサとロイのバトルが終了した。
「ホゲータ……ホゲータ!」
「ホゲ…」
「頑張ってくれてありがとな…」
ロイは膝に寝かせたホゲータに声をかけ続けていると、ホゲータは目を覚まし、ロイは彼の頭を優しく撫でた。その周りにはイルマ達やネモ達が集まっており、一同は子供達に囲まれているコルサに目を向けた。
「でも、凄かった…」
「うん。テラスタルを使うと、こんなバトルが出来るなんて……」
「コルサさんは、いわタイプのウソッキーを、くさテラスタイプにすることで、“くさわけ”の技の威力を上げたんだ」
テラスタルとは、パルデア地方に見られるポケモンのパワーアップ現象だ。
全てのポケモンが『テラスタイプ』を1つずつ持ち、テラスタル中ポケモンは自身が持つタイプの力がパワーアップし、一致技の威力が大幅に強化される。
「テラスタルの面白い所は、テラスタイプがポケモンごとに決まっているわけではなく個体によって異なり、テラスタイプ次第では全く別のタイプに変化できるという点だ。例えばグレンアルマなら、基本的にはほのおテラスタイプとエスパーテラスタイプの二種類だが、稀にくさテラスタイプやかくとうテラスタイプのグレンアルマが存在する」
「あっ、成る程。グレンアルマと相性の悪いみずタイプやあくタイプのポケモンにも有利に戦えるって事ですか」
「そう!テラスタルを使いこなせれば、ポケモン達がもっと輝くんだから!」
「バトルに選択肢が増やせるんだ……」
「僕もやってみたい!」
コルサを見ながらそう話していると、アメリが隣に立っていたイルマに話し掛けた。
「ところでイルマ、お前もテラスタルオーブを手に入れたんだろう?お前もコルサさんとバトルをしてみたらどうだ?」
「?」
確かにイルマは今朝テラスタルオーブを手に入れたのだが、それは今朝一番に会ったバチコにさえ言っていない。当然、アメリがそれを知っているはずがない。
リコとロイがその事を聞いて軽く驚いているなか、イルマはアメリに問い掛けた。
「あの…確かに僕はテラスタルオーブを貰いましたけど、何でそれをアメリさんが知ってるんですか?」
「あっ、いや…それはだな……」
何故か顔を赤くして言い淀むアメリに首を傾げるイルマと、何故か視線が鋭くなるリコ。そんな中、ネモが声を弾ませた。
「あっ!思い出した!イルマって、もしかしてサリバンのお孫さんだよね!?」
「え!?は、はいそうですが……」
「ネモ、イルマのお爺ちゃんの事知ってるの?」
「そりゃあ勿論。オレンジアカデミーのポケモントレーナーの間では有名だよ」
「そんなに…?」
「イルマ、サリバンさんって本当に何者なの?」
「さぁ、リコのお婆ちゃんと昔旅をしてたとしか……」
割と昔から周囲からの人望が厚い人なのだが、そこまでとは。イルマ達は、サリバンの過去が本気で気になってきた。
だが、それを聞くと長くなりそうなので、取り敢えずイルマは話を無理矢理戻した。
「それで、何でアメリさんが僕がテラスタルオーブを持ってるって…?」
「あ、うん。昨日さ、サリバンが
「あっ、裏技ってそういう…」
イルマは今朝のサリバンの言葉を何となくだが理解した。いかに昔勤めていたとはいえそう簡単にテラスタルオーブの所有が認められるかと疑問に思っていたが、生徒会副会長にしてチャンピオンランクのアメリが共に推薦したとなれば影響も大きいだろう。
「そうだったんですね……すみません、アメリさん。ご迷惑をお掛けして」
「きっ、気にするな!好きで推薦したのだからな!」
「アハハ、二人は仲良いんだね」
「……むぅ」
「リコ、どうしたの?」
丁寧に頭を下げるイルマに、アメリは顔を赤くしながら手を首を横に振る。それを見て笑うネモ、そして不機嫌そうに頬を膨らませるリコに疑問符を浮かべるロイ。
「ま、まぁ?お前もこれからパルデアのジムを巡ってチャンピオンランクを目指すのだから、私からのちょっとしたプレゼントと思ってくr……」
「?あのー、アメリさん?僕はパルデアには住みませんよ?レックウザを探しに行った後、しばらくはライジングボルテッカーズと一緒にいろんな地方を旅する予定です」
アメリの台詞がおかしいことに気付いたイルマが彼女の言葉を遮って訂正すると、突然金縛りにでもあったように彼女の体が凍り付いた。何故か、「ピシッ」という音が聞こえ、空気の温度が下がる。
次の瞬間、アメリはイルマにズイッと詰め寄り、捲し立てるように口を開いた。
「どう言うことだ!?パルデアに移り住んでチャンピオンランクを目指すのでは無かったのか!?」
「えぇっ!?そ、そんな事言っていませんよ!?」
イルマどころか、一緒に推薦をしたサリバンすら言っていない。思い込みが激しいアメリが勝手に勘違いしただけなのだが、凄まじい彼女の剣幕にイルマは若干たじろいだ。
そこへ、ジムリーダー復帰に換気していた子供達が落ち着いたことでコルサがこちらに歩み寄ってきて、ネモに呼び掛けられたアメリは一旦落ち着いた。
「良い作品になったな。このバトルで学んだこと、忘れるんじゃないぞ?」
「はい!ありがとうございます!」
コルサの言葉にロイは力強く答えると、コルサは思案顔になって顎に手を当てた。
「レックウザの事を話したのなら…もう1つの真実も教えねばな」
そうして、一同は再びコルサの作業場に招かれた。
コルサは『黒龍に睨まれたキマワリ』が堂々と立つ部家の端に置かれた、白い布が掛けられた物の前に歩み寄ると、その布を剥ぎ取った。
そこに現れたのは、まるで樹木や茨のような物に、オリーブの実が左右に3つずつ着いている彫刻だった。
「これって……?」
「森のオリーヴァ」
「…!」
リコの呟きにそう答えるコルサ。その言葉に、イルマはピクッと反応する。
オリーヴァとはミニーブの最終進化系のポケモンで、穏やかで慈悲深い性格で弱ったポケモンがいれば栄養満点の美味しいオイルを分け与えて元気にしてくれる反面、敵と相対すると両腕についた実を砲台のように展開して岩石を撒く砕く勢いでオイルを噴射し返り討ちにする結構恐ろしいポケモンだ。
「森のオリーヴァ…」
「これがどうしたんですか?」
「私がレックウザを見たのは、このオリーヴァがいる森だったのだ。そしてその時、レックウザに共鳴するようにオリーヴァが輝いて…」
「輝く?なんで?」
「わからん…だが私には、レックウザと何か関わりがあるように見えた」
そこまで言われたことで、イルマの頭の中でずっと浮かび上がっていたある可能性のパズルのピースがピタリと嵌まり、イルマは
「!もしかして……ルシアスのポケモン!?」
「ルシアス!…って誰!?」
「ズコーッ!」
「もふーっ!」
コルサ達は兎も角、リコとロイまでルシアスという言葉の意味が分からなかったらしく、イルマとモクローは盛大にズッコけた。後頭部を擦りながら起き上がる。
「し、知らないの?昨日バチコさんがフリードさんに伝えるって言ってたんだけど……」
「ご、ごめん……」
「色々あって……」
どうやらこの2人はルシアスの事を聞いていなかったらしい。
1から10まで説明すると長くなるので、イルマはアレックスが書いた絵本の事、ルシアスの事、六英雄と呼ばれるポケモンの事を簡潔に短く説明すると、当然というべきかリコとロイはパートナーと一緒に大きく目を見開いた。
「じゃあ、そのオリーヴァが『傷を癒すポケモン』…六英雄の一体ってこと?」
「確証はないけど…レックウザと関わりがあるって言ったらそれが一番説得力があるよ」
「ってことは、レックウザは仲間を探してるってこと?」
「うーん…」
イルマ、リコ、ロイの3人が頭を捻っていると、アメリがふと思い出したように声を出した。
「……お前達が言う六英雄かは分からんが、確かにあの森には通常のオリーヴァでは考えられない程の大きさと力を持つオリーヴァがいる。ヌシポケモン…とも考えられている。ですよね、コルサさん」
「あぁ、傷ついたポケモンを癒してくれる実にアバンギャルドなポケモンだ」
「ヘェ~~。それじゃあ、そのヌシのオリーヴァを探しみれば良いかな…」
アメリとコルサの情報に、イルマは腕を組みながら考える。
六英雄のオリーヴァといっても、オリーヴァ自体はありふれたポケモンなので捜索が困難になると思っていたが、そんな特徴があるなら的を絞り込みやすい。ヌシポケモンとは、1つの森に何体もいるものではないのだ。
そうして方針を決めていると、アメリが再びイルマに話し掛けた。
「イルマ、悪いんだがその森に行くのなら、私も同行させて貰えないか?」
「え?どうしてですか…?」
「近々あの森には行ってみる予定だったんだ。調べておきたいことがあったからな」
「…それは?」
首を傾げるイルマ達に、アメリは言いにくそうに答えた。
「実は、そのオリーヴァの森が、つい先日落雷の影響で山火事になったんだ。幸いにも全焼にはならなかったがな。だがそれからというもの、森のぬしポケモンが荒れているんだ。その森の荒れていない場所に入ったトレーナーが、オリーヴァによって何人も大怪我を負わされている」
「そんなことが……」
「だから、近い内にそのオリーヴァを宥められないかと思っていたんだ…。お前達がその森に行く時に同行した方が、互いにとっても都合が良いからな」
「成る程…一度帰って仲間達と方針を決める必要があります。話が纏まったら連絡するので、少し待って貰えますか?」
「あぁ、構わん」
こうして、オリーヴァの森の調査にアメリが同行する事になった。ロイも特に異論はないようであった。
普段ならばアメリに嫉妬するなり口を挟むなりしていたであろうリコは、口を挟まずにコルサの作品であるオリーヴァの彫刻をジッと眺めていた。
(何?この苦しそうな気持ち……この子から感じる、悲しみ……)
オリーヴァの彫刻から感じる『悲しみ』の感情に、リコは彫刻から目を離す事が出来なかった。
オリーヴァの森でトレーナーが大怪我負わされた話しは完全に捏造です。アメリの出番を増やしたかったので。次回もネモより出番あります。
感想、評価お待ちしております。
パルデア編の次に行うキタカミ編で、ゼイユとスグリを登場させますか?
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