魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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第一話、投稿します。ご都合主義や稚拙な駄文等が多いと思いますので、気に入らない方はブラウザバックを推奨します。

関係の無い話ですが、作者の好きなポケモンはゲッコウガ、ルカリオ、ヌメルゴン、ニンフィア、サーナイトです。もしかしたら主人公の手持ちポケモンに影響が出るかもしれません。



リコのペンダント
1話 入学式


「…見つけた!22番道路…うん、間違いなし!」

 

 水色の瞳と、黒のセミロングに裏側が青色のインナーカラーの髪に薄茶色の学生服を着たトランクケースを持ち運ぶ少女──【リコ】は、これから自分が通う学校【セキエイ学園】へと向かうバス停を見つけ、歩みを進めた。

 すると、バス停のベンチに座っていた制服を着た女子が、此方に向かって笑顔で手を振ってくるのを見て、リコは戸惑いながらも手を振り替えそうとする。

 しかしその直後に、リコの後ろで、彼女の友達らしき女子生徒が、手を振り返しながら「よっ」と呼び掛け、その女生徒に駆け寄り、隣に座った。女生徒は最初からリコではなく彼女に向けていたのだろう。

 

(……う~~、失敗。気まずい……)

 

 女生徒2人がリコに視線を向けて「知り合い?」「分かんない」という会話を聞きながら、リコは何事もなかったかのように二人の前を素通りして歩く。

 

(分かんない、か。そう言えば、前も何考えてるのか分かんないって言われたな。…そんなこと、自分でも分かんないんだから、分かんないよ……あれ?)

 

 するとリコは、談笑している女生徒二人の奥で、小柄な少年がベンチに座っているのを捉えた。

 

 セキエイ学園の男子制服を着て、触覚が三本生えた外ハネしている青い髪*1を持った、自分と同い年位の少年だ。

 少年は傍らに大荷物が入っているカバンを置いており、膝の上にねずみポケモンの【コラッタ】を乗せて、お菓子を与えている。

 

 その少年の姿を見たリコは、トランクケースを持ち運びながら少年の前まで歩く。

 

「イ、イルマ……」

「ん?あ、リコ。おはよう」

「お、おはよう……」

 

 リコに笑顔で挨拶するその少年の名前は【イルマ】。リコと同じパルデア地方出身で、リコとは幼馴染みという間柄だ。彼も、今年からカントーのセキエイ学園に入学するのだ。

 

 リコはイルマの隣に座ると、先程の失敗をまぎらわす様に、イルマに話し掛けた。

 

「ねぇ、イルマは昨日カントーに来たんだよね?てっきり、もう学園についてると思ったんだけど…」

「あぁー…それがカントーに来た瞬間にお爺ちゃんが歓迎会を開いてさ、学園に来るのが遅れちゃって……」

「あ、そうなんだ……」

 

 頬をポリポリと掻いて苦笑しながら答えるイルマに、リコも連れて苦笑いとなる。

 イルマの祖父【サリバン】は長い事教育者として活動しており、2年程前からかつて自分が勤めていたセキエイ学園で再び教師として務めている。リコも、イルマの家(豪邸)には何度かお邪魔した事があるが、初めてイルマの家に招かれた時にはサリバンが滝のような涙を流して『イルマくんが初めてお友達を連れてきたパーティー』という物を開き、まるで誕生日のようなどんちゃん騒ぎをしたのは今でも記憶に残っている。

 

 そうこうしていると、バスがイルマ達の目の前で停車するのに気付き、リコとイルマは立ち上がった。

 バスから出てきた【ワンリキー】に大荷物を預けると、イルマはコラッタを椅子の上に下ろし、笑顔で手を振った。

 

「じゃあね」

「コラッタ!」

 

 その言葉に、コラッタは笑顔で手を振り返すと、どこかへ走り去っていった。そしてイルマも踵を返してバスに乗り、窓際の席に座ったリコの隣に座る。すると、おずおずとイルマに訪ねてきた。

 

「ねえ、あの子、イルマのポケモンじゃないの?」

「いや、さっき会ったばかりだよ?リコが来る10分くらい前」

「じ、10分であんなに仲良くなったんだ……」

 

 ずいぶんと仲良さそうだったから、てっきりゲットしたポケモンなのだと思っていたが、そうではない事にリコは目を丸くする。

 イルマは超がつく程のお人好しだ。パルデアにいた時も、大荷物を抱えたお婆さんや、怪我をした野生のポケモンなどを助ける光景を見るのは日常茶飯事だった。故に、イルマは人に好かれやすい。とはいえ、たった10分で野生のポケモンとあんなに仲良くなれるなんて……とリコは感心する。

 

 それから暫く席に座ったまま、二人は外の景色を楽しんでいると、反対側の席で、リコはイルマの頭越しに、先程バス停にいた女性と二人が、ニドリーナの着ぐるみを着た動画配信者【ぐるみん】の動画を見ていることに気付いた。

 

(ぐるみんだ!知ってる!というか私も好き!……って、話し掛けたいけど…何話したらいいか分かんないし、止めとこ…)

 

 ストリーマー『ぐるみん』は、セキエイ学園の女生徒からの人気が高い。リコもぐるみんの大ファンである。しかし、それを話題に話しかけようにも、リコは実行が出来ず少しの間俯いた後に、その手前に座るイルマの横顔をジッと眺める。

 

(いつもそうだ……後先考えている内に、動けなくなる。イルマが相手なら、そんな事もないのにな)

 

 そんな事を考えていると、イルマがリコの視線に気付いたらしく、「どうかした?」と問い掛けるような表情でリコに視線を向ける。目があった瞬間、リコは沸騰したように顔を真っ赤にし、慌てて窓の外に顔を向けた。

 その行動に訳が分からず、頭に疑問符を浮かべるイルマ。

 

 そうこうしている内に、学生服を着た生徒達を乗せたバスはセキエイ学園に辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 カントーに地方にある『セキエイ学園』は、座学に加えてポケモンバトルの実技もある全寮制の学校だ。リモートによる授業で長期欠席も認められているが、それ以外の生徒は二人一部屋の寮生活となる。

 

「…よし、この部屋だ」

 

 そして、イルマはこれから自分の部屋となる『333』と書かれた扉の前に立っていた。

 

「……よし!」

 

 イルマは大きく息を吐き、両手で頬をペシッと叩いて気持ちを改めると、ガチャッと音を立てながら勢いよく寮の扉を開けた。

 すると、二人分のベッドと机と椅子と本棚が設置された部屋で、イルマは左側の机に向かって、一人の青年が座っているのを捉えた。扉の音が聞こえたのか、その青年はイルマの方に振り返った。

 

 部屋にいたのは、長身の眼鏡を掛けた美青年だった。薄桃色の髪に新芽のようなアホ毛が特徴的で、どこか大人びた雰囲気を纏っている。よく見れば、部屋の左側は所々に私物らしき物が置かれている事から、イルマは彼がこの部屋のルームメイトなのだろうと推測する。同い年に見えない…と思いながらも、イルマはそのルームメイトに話し掛けた。

 

「君がルームメイトだよね?僕はイルマ」

「……アリスだ」

 

 自己紹介しながら笑顔で手を差し出すイルマだが、桃色の髪の青年──【アリス】はそれに応じずに名前だけ答える。どうやらあまり友好的では無いようだ。

 しかし、これからルームメイトとして同じ部屋で暮らすのだから、もう少し親睦を深めた方が良いなと思うイルマは、何か話すことはないかと思考を巡らせ、何となく気になった事を聞いて見ることにする。

 

「……それ、改造制服?」

「オーダーメイドだ」

 

 イルマの様な薄茶色の制服ではなく、見るからに高級そうな純白の礼服に似た服装のアリスにそう訪ねるも、またも素っ気なく返された。

 どうやら彼は排他的らしく、イルマが今まで会ったことがないタイプの様だ。というかこの学校、改造制服とかアリなんだと割とどうでも良い事を考えながらも、イルマはどうするべきか考える。

 

(うーん…直ぐに仲良くはなれないのかな……。でも、ルームメイトなんだし、きっと仲良くなれるよね)

 

 グイグイ攻めて仲良くなるか、ゆっくり時間を掛けて仲良くなるかを考えて……後者を選んだ。早く仲良くなりたいのが本音だが、学園での生活は長いのだ。焦る必要はないだろう。

 

「取り敢えず、これからヨロシクね!」

「……あぁ」

 

 最後に笑顔でそう声をかけると、イルマはいそいそと自分の荷物の整理を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポケットモンスター、縮めてポケモン。この星の、不思議な不思議な生き物。ポケモン達は、海、空、森、町の中、至る所にいます。人とポケモンは、様々な絆を結び、この世界で生きています。ということで、ここセキエイ学園で、絆を結んだポケモンと一緒に、夢を見突けてください」

 

 翌日、大きな教室にイルマ達新入生が集まり、学園長の話を聞いていた。

 イルマとアリスの席の隣にはリコと、そのルームメイトである【アン】という少女が座っている。

 

「──それでは続いて、理事長挨拶……」

 

 そうして学園長の話が終わると、やたらと目付きの鋭い司会の先生の言葉が教室に響き、気が緩み掛けていた生徒達は再び教壇に注目する。

 

 そして教壇の上に立ったのは、丸眼鏡と口髭にスキンヘッドが特徴の、長身痩躯の老人だった。どこか威圧感のあるその姿を見て殆どの生徒達が緊張で畏まる中、イルマとリコの二人は「…え!?」と小さく呟いた。

 その呟きが聞こえていたのかは分からないが、老人はそんな二人の姿を捉えると……先程までの威圧感が嘘のようにニッコリと笑い、イルマとリコ…正確にはイルマに向けて、楽しそうに両手をブンブンと振った。

 

「イルマくーーん!!お爺ちゃんだよーーーーー!!!」

 

理事長(お爺ちゃん)だったーーーーーっ!!?)

(イ、イルマのお爺ちゃんが…理事長!?)

 

 そう、このセキエイ学園の理事長を勤めるこの男こそがイルマの祖父、【サリバン】なのである。

 イルマもリコも、サリバンがセキエイ学園に務めている事は知っていたが、流石に学園のトップにいるなど想像している筈もなく、二人の頬が引き吊る。

 特に、イルマは既に何か嫌な予感を感じ取り、顔を青くする。

 

「いや~、実は孫が幼馴染みと一緒にこの学校に入学しましてねー。これがもうかわいくてかわいくて……」

(全ッ然挨拶してない!!!)

 

 案の定、サリバンはズラリと並んだ生徒達の前で、理事長挨拶ではなく孫自慢を始めた。

 

「そんな孫のイルマくんと撮った一枚がこれです」

昨日撮った写真(ポスター)ッ!!!)

 

 そう、サリバンが満足そうに頷きながら掲げたのは、イルマがカントーに到着した時にサリバンが『イルマくん入学おめでとうパーティー』というものを開いた際に撮ったイルマとサリバンの拡大写真(ツーショット)だ。

 リコ、アリス、アンの三人を含め、周りの生徒達が自分に向けている視線を痛い程感じ、イルマは羞恥心やいたたまれなさから思わず顔を手で覆う。もう泣きそうである。

 

「後ほど生徒全員に配布しまーす!」

(誰も要らないよそんなのッ!!)

 

 心の中で叫ぶイルマ。そんなもの(自分の拡大写真)を生徒全員に配布なんてされたら、明日から授業に出れなくなってしまう。

 

「よし!言いたいこと言い終わったから…終わり~~!!」

 

 サリバンはそう告げると、バイバイと手を振って引っ込んでいった。

 生徒や教師達は唖然とした(教師の内の一人は忌々しげな)表情でサリバンが去っていく姿を見送っている。

 

((結局孫自慢だけして帰っていった……))

 

 イルマとリコの、心の声がシンクロし、周りの生徒が「凄かったな。孫バカ?」「イルマだってさ」と言いながら、イルマの方に視線を向けている。一瞬にして注目の的とされたイルマは羞恥心から、青い髪とは対極に顔を真っ赤に染めており、そんなイルマにリコは同情するような目を向けた。

 

 そんなこんなで、イルマとリコの入学式は無事(?)に終わったのであった。

 

 

 

*1
髪型はif人間界の佐藤入間をイメージしてください




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