魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター 作:MTHR
色々とリアルが忙しくなっている為、執筆が遅れてしまっています。
タイトルで分かる通り、今回からあのポケモンが登場することになります。碧の仮面を書くなら出した方が良いと思って書きましたが、その場の勢いで書いている行き当たりばったりなお話なので、かなり稚拙な文となっていると思われます。
イイネイヌ、マシマシラ、キチキギスの3体からオーガポンのお面を取り戻したイルマ達は、スグリに連れられ、オーガポンも連れてキタカミセンターに向かっていた。
リザードンはまだボールの中で、チルタリスでは明らかに定員オーバーなため、日が完全に沈んだ頃に、一同は走りながらキタカミセンターに辿り着いた。
「キビキビー!!」
「キビキビー!!」
「「「キビキビーッ!!」」」
「「「「皆大声で叫びながら踊ってるーーっ!!?」」」」
そう、そこにはスグリの言う通りの光景が広がっていた。
キタカミセンターにいる人々は、意味不明な言葉を叫びながら、握り拳を胸の辺りに持っていき、脇を閉めて開くと言う謎のダンスを踊っていた。そんな奇妙な光景に、イルマ、リコ、ロイ、ゼイユの4人は盛大なツッコミをいれた。フリードとバチコも声はあげなかったが、流石に目の前の光景に驚いて唖然としていた。
「こ、これは一体……オモテ祭りの催し物ですか?」
「こんなワケわかんない催し物無いわよ!」
「ぽ、ぽに…!」
「どちらにしろ、ただ事じゃなさそうだな……」
その時、先程までキビキビ叫んで踊っていた人々が、一斉にイルマ達の方に顔を向けた。イルマ達は、一斉に視線を向けられてビクッと肩を震わせる。
「な、何々?」
「急に静かに……」
「「「「「……キビキビーーーッ!!」」」」」
その瞬間、踊っていた人々が、一斉にイルマ達に襲い掛かった!
「「っ!!?」」
「ピカァッ!」
「「「「「「わぁあああああっ!!?」」」」」」
「「きゃああああああっ!!?」」
「もふぅーー!?」
「ぽにぃーー!!?」
「ニャ~!?」
「ホゲーー!?」
フリードとバチコとキャップを除いた6人と4匹は、突然の事に悲鳴を上げながらも、襲い来る人々を避けていく。
「な、ななな何ですかこれ!?ゼイユさんが何かしましたか!?」
「ちょっ、何であたしよ!?」
「というか、どう見てこれは怒ってるとかじゃ無いだろう!」
襲い来る人々をヒョイヒョイとかわしていくイルマの言葉に慌てて回避をするゼイユがツッコミを入れ、バチコがツッコミをいれる。フリードやロイは持ち前の身体能力でヒョイヒョイと避け、リコとスグリは慌てながらも何とかかわしている。
チリーンやオドシシといったポケモン達も襲いかかってくるが、それはキャップやニャオハ達が技を放って対処している。
「ッ、リコ危ない!」
「ひゃあっ!?」
その時、リコの背後から人が襲いかかろうとしているのを見たイルマが咄嗟にリコの腕を掴んで、自分のもとに引き寄せる。
「リコ、大丈夫!?」
「うぇっ!?あ、うん。大丈夫…///」
イルマはリコを肩に抱き寄せ、顔を覗き込んで無事を確認する。その顔の近さにリコは顔を赤らめ、恥ずかしそうに視線を彷徨わせる。
すると、そうしてラブコメしている間にも次々と踊っていた人々がこちらに向かってくるのが見えて、リコの思考は一瞬で切り替わった。
「(訳分かんないけど、このままじゃ皆危ない!)ニャオハ、“このは”いっぱい!!」
「ニャーーーーッ!!」
ニャオハの十八番である“このは”の嵐が炸裂し、キタカミセンター一面が輝く葉っぱで覆い尽くされ、人々の司会を遮る。
「なっ、何よこの“このは”!?桁違いじゃない!!」
「今はそんなことより、ここから離れるぞ!!」
「う、うん!」
ゼイユが始めてみるニャオハの“このは”に驚くが、フリードはそんなことを言っている場合ではない逃げるように指示し、スグリやロイ達は直ぐにキタカミセンターから離れるように走り出した。
その時、フリードのスマホロトムに通信が入った。
『フリード!』
「モリー、どうかしたのか!?」
『スイリョクタウンで、キビキビ叫んで踊ってる人達が続出してるんだ。偶然居合わせたパイモンさんが全員倒してくれたんだけど、そっちはどうなってる!?』
「そう言えばスイリョクタウンも同じって言ってたな…直ぐそっちに向かう」
『わかった』
スマホロトムの通話を切り、フリードは振り替えって仲間達に呼び掛けた。
「そう言うことだ。スイリョクタウンに向かうぞ!」
フリードの言葉に頷き、一同はスイリョクタウンに向けて走り出していった。
「モリー!パイモン!」
「皆!」
スイリョクタウンに辿り着いた一同は、桃沢商店の前に集まっていたモリーとパイモンのもとに駆け寄った。
「…チッ、テメェは正気だったか。狂って襲ってきてりゃあ文句なしに殴れたってのに…」
「あ゛ぁ゛?オメェの仲間を守ってやったのは誰だと思っでんだぁ?」
再開直後にメンチを切りあうバチコとパイモン。
フリードの言う通りその光景に慣れてきたのか、それとも今はそんな場合ではないのか、誰も気にした様子もなく集まった。
「モリー、大丈夫だったか?」
「あぁ。町を歩いていたら突然キビキビ叫ぶ人が出てきてね。襲われそうになったところを、パイモンさんが助けてくれたんだ。襲ってきた人達は一先ず拘束してもらってるよ」
そう言ってモリーが指差した先には、目を回している人々が縄で拘束されている姿だった。この中には、スグリとゼイユの祖父母も含まれていた。
「じーちゃん…ばーちゃん……」
「二人も、ああなっちゃってるの?」
スグリとゼイユの質問に、モリーは頷いた。
その時、桃沢商店から「ガタッ」という音がした。その音を聴き、一同は一斉に桃沢商店の方に視線を向けて身構える。
そのまま重たい空気が辺りを支配し、桃沢商店から出てきたのは……
「ケホッ、ケホッ……あぁ~、アカン。完っ全に気絶しとったわぁ~」
「…って、キリヲじゃない!」
そこから出てきたのは、口から血を垂らしたキリヲだった。彼に続いて、イオルブも姿を見せる。キビキビ叫んで変な躍りを踊っていない辺り、彼は正気なのだろう。敵が出てくるわけではないという安堵に、リコ達は大きく息を吐いた。
「もう、ビビったじゃない!何であんたが桃沢商店で倒れてたのよ!?」
「え?あぁ~、何かキビキビ叫んでる奴等が枚に溢れかえってな。それから逃げてここに隠れてたんや。途中でスッ転んで気絶してしまったんやけどな……」
驚かされたことに対して理不尽な怒りを露にするゼイユの質問に、キリヲは口から血を垂らしたまま苦笑して説明をした。
その時、リコは桃沢商店の影に、小さな丸い影が映っていることに気付き、桃沢商店の方を振り向いて視線を上に向けて見ると、桃沢商店の屋根の上で、丸っこい何かがドローンの如く浮かんでいることに気付き、慌ててそれを指差した。
「皆、上!屋根の上になにかいる!」
「!ホントだ!!」
一同が桃沢商店の屋根の上に視線を向けると、確かにそこには、フヨフヨと浮かぶ何かがあった。
毒々しい色の桃のような見た目に、割れ目のような線に顔のようにも見える模様がある。
「ドローン…?桃…?」
「ポケモンか…?」
「……あれ?あの桃は確か……」
ロイとフリードが呆然と呟き、イルマは宙に浮かぶ桃に見覚えがあり、自然とその桃の真下──桃沢商店に目を向ける。そして、先日まで商品棚の上にあった筈の置物が消えていることに気付き、イルマは目を見開いた。
「失くなってる…やっぱりあの桃が…!」
「…がお゛ぼう゛ッ!!」
「えぇっ!?オーガポンが怒り出した!?」
「ど、どうしたの!?」
「落ち着いて!」
イルマが呆然と呟いた瞬間、碧の仮面を被ったオーガポンが聞いたことのない声を上げた。そして何処からか、蔦が巻かれたような碧の棍棒を取り出して、今にも空中に浮かぶ物体に突撃しようとしている。今までの様子からは考えられないその剣幕に、イルマはオーガポンを羽交い締めにして落ち着かせようとする。
その時、宙に浮かぶ桃が揺れ始め、目に見える部分がキラーンと光ると……
「割れたぁっ!?」
宙に浮かぶ桃が縦半分に割れ、中から出てきたのは、見たことのないポケモンだった。
割れた桃のようなものが左右にフワフワと浮かび、鉢巻きを巻いて節を思わせるような人魂のような姿をした、小さなポケモンだった。
「モゲゲーーッ!」
そのポケモンは、左右に浮かぶ桃の内側から、紫色の何かをマシンガンのように連発して放った。
「わっ!?」
「ッ」
「「おっと!」」
「うわぁっ!?」
「ふげっ!?」
「きゃっ!?」
「でっ!?」
「げふっ!!」
「むぐっ!?」
迫り来る紫色の何かに、イルマ、フリード、バチコ、ロイ、ゼイユ、パイモンの6人は紙一重でそれを回避し、リコとスグリの額にそれが直撃し、二人は短く、キリヲは血反吐を吐きながら悲鳴を上げた。
そして、驚きのあまり口を開けていたモリーの口に、そのポケモンが放った何かが口の中に入り込んだ。
フリードは、足元に転がった楕円形の形をしたそれを拾い上げて、観察する。
「これは……餅か?」
「ムグ…ほのかな甘味が……イケる…」
「えっ、それ食べて良い奴なの…?」
モリーが口の中に入り込んだ餅をモゴモゴと租借し、ゴクンと飲み込んだ。
「ッ、これは…!?」
「!モリー!?」
その瞬間、モリーの腕から紫色のオーラのようなものが吹き出し、そのオーラはやがてモリーの身体を包み込む。同時に、モリーは頭を抱えて苦しみ始め、それを見たリコがモリーに呼び掛ける。
「キ……ビ……ビ…」
「モリーさん…?」
呻き声のような、しかし何処かで聞き覚えのある単語を漏らすモリーに、イルマ達な恐る恐るモリーに近寄り、あと数歩のところまで来たところで、モリーはバッ!とイルマ達の方を振り返った。
「キビキビーーッ!!」
そう叫びながら振り返ったモリーは、紫色に光る目をして、拳を胸の前に持っていった状態になっていた。
「「「「「えぇええーーっ!?」」」」」
それを見たイルマ、リコ、ロイ、ゼイユ、スグリの五人は、あまりにも唐突な展開に驚愕し、揃って絶叫を上げた。
ただでさえ、数百年前に死んだと言われていたともっこが復活して、苦労してともっこを倒してオーガポンのお面を取り返せたと言うのに、その直後にキタカミセンターの人々がおかしくなって襲い掛かられ、そして桃から出てきたポケモンが投げつけてきた餅で、クールなモリーがおかしくなったのだ。もう滅茶苦茶すぎる。
「モ、モリー!?どうしたの!?本当に何があったの!?」
「キビ……キビキビー!!」
「ま、まさか…あのポケモンが投げてきた餅のせいか!?」
「お、お餅で!?」
「バッカじゃないの!?変な躍りを踊るようになる餅を作るってどういうポケモンよ!?」
「なっ、なにがおこってんだ……!?」
「キビキビ……キビキビー!」
「モリーの奴、ちょっと踊るの恥じらってねーか?」
「微かに自我が残ってんのかもしんねーべ……」
「師匠!パイモンさん!今は冷静に分析してる場合じゃないでしょう!!」
訳の分からない事態に混乱するリコに、フリードがその原因に辺りをつけ、ロイとスグリが驚愕し、ゼイユがどんな能力だとツッコミをいれる。そして、ダンスと絶叫にどこか羞恥心のようなものを感じるモリーに冷静に分析するバチコとパイモンにツッコミをいれるイルマ。
その時、スイリョクタウンの外側から「キビキビー!!」という叫び声が無数に聞こえてくる。方向からして恐らく、キタカミセンターで踊っていた連中だろう。
「クッ、予想よりも早く来たか……皆、ここから離れる!」
「でもモリーが!」
「分かってる!…だが、このままじゃあ囲まれて俺達まであの餅を食べさせられる。今はダメだ!」
悔しそうな表情のフリード。出きることなら今すぐにでもモリーを助けたいが、今は逃げることが最善の手段であることに悔しさを感じているその顔を見て、リコ達は重々しい表情で頷いた。
「モゲゲーーッ!」
「キ、キビィ…!」
「!アブリボン、“マジカルシャイン”!」
「「!?」」
そこへ、あの小さなポケモンが逃がさないというように声を上げ、それをに従うようにヘンテコなダンスを踊るモリーが前に立つのを見て、パイモンは指示を飛ばす。それを聞き入れたアブリボンは身体から目映い光を放ち、モリーと小さなポケモンはその光に目が眩む。
「頼んだぞ、リザードン!」
「出番だチルタリス!」
「オーガポン、君も行くよ!」
「がおっ!ぽにぃ!!」
同時に、腕で目元を覆っていたフリードとバチコが各々の飛行ポケモンをボールから出し、一同は一斉に彼らの背中に乗り込んだ。イルマは未だに怒りを露にしているオーガポンを抱き上げて、チルタリスの背中に乗る。
全員が自分達に乗った事を確認したリザードンとチルタリスは、翼を羽ばたかせて、同時に飛び出した。
「この辺りなら大丈夫だろうな…」
「そうだな。リザードン、ここで下ろしてくれ」
「リザァ」
「チルタリス、お前もだ」
「チルッ」
スイリョクタウンからフジの原まで飛んでいったリザードンとチルタリスは、ゆっくりと高度を下ろして降り立った。彼らの背中に乗ったり、抱えられていた面々は地面に足をつけ、安堵のため息を吐いた。
「何とか撒けたな…」
「助かったわぁ~」
「リザードン、よくやってくれたな」
「リザ…」
マシマシラとの闘いで負傷して毒を受けていたリザードンだが、どうやら気合いで治していたらしい。とはいえ体力はそう簡単に回復はしないので、傷を負いながらも頑張ってくれたリザードンにフリードは労りの言葉を掛ける。医療班のモリーがおかしくなっている以上、後で体力回復に使える木の実をやるかと考える。
そこで一同は、人々がおかしくなってしまった原因である可能性が高い、あの小さなポケモンの事について話し合う事にした。
「…それで、あの桃みたいなポケモン。一体なんだったのよ?餅を投げてきて、食べたら皆踊り出すし!」
「さぁ…でも、桃沢商店に置かれてた
「その置物が、実はポケモンだったって事?」
「可能性はあるが、情報が少なすぎるな……スグリ、ゼイユ。なにか知ってるか?」
「わ、わかんない…。桃沢商店の置物がポケモンだったなんて、始めて知った…」
「スグと同じよ。でも、雰囲気的にともっこに似てない?」
「似てると思うけど……ともっこは3体いるんじゃなかったの?」
「フリード、なにか知ってっか?」
「いや、あのポケモンは始めてみた……。逃げる途中にドットに調査を頼んでみたんだが…連絡がないところを見ると、まだ見つからないらしい」
今までの情報を整理してみるが、やはり答えは出てこない。ポケモン博士であるフリードも、あのポケモンについての知識はないらしく、情報収集担当でスマホロトムで調べることを頼まれたドットもまだあのポケモンの事を調べている最中と思われるため、フリードは頭をかきながら溜め息を吐いた。
そんな中、先程から顎に手を当ててなにかを考え込んでいる様子だったキリヲは、誰にも見えないように口許を僅かに吊り上げたかと思うと、直ぐに普段の表情に戻り、口を開いた。
「──モモワロウ、やな」
「!キリヲさん、あのポケモンを知ってるんですか!?」
一同が驚いたようにキリヲに視線を向けると、キリヲはスマホロトムを取り出して、画面に表示された画像を全員に見せた。
そこには、浮世絵のようなタッチで描かれた、二足歩行の犬と、先程見た桃──【モモワロウ】と呼ばれるポケモンの絵があった。
「これ、さっきのポケモン!?」
「イイネイヌまでいる!」
イルマ達はその両方に見覚えがあった。何せ、ついさっき対峙していたポケモンだったのだから。
「何百年も昔に、イイネイヌは珍しい木の実や上等な衣服を盗む行為を繰り返してたって言われてるんや」
「イイネイヌは、昔から悪い事ばかりしてたのか…」
「…ちょっとまちなさいよ。キリヲ、あんたともっこが本当は悪い奴だって知ってたの?」
「本当は悪い…どういう事や?」
「…?」
ゼイユの言葉に、キリヲは本気でなんの事か分からないというような表情で首をかしげる。そして、キリヲと同じでオーガポンの真実を知らないパイモンも首をかしげる。
そこでイルマ達は顔を見合わせて合意を確認すると、パイモンとキリヲに公言しない事を約束すると、キタカミの里に伝わる昔話の真実を話すことにした。
全てを聞き終えると、パイモンは顎に手を当て、キリヲは興味深そうに、イルマの後ろで隠れるように背中にしがみついているオーガポンに視線を向けた。
「まっさか、ともっこ伝説の真相がそんな話だったとなんてなぁ」
「なる程なぁ。それで、その子がオーガポンかぁ…」
「ぽ、ぽに……」
キリヲに視線を向けられて、オーガポンはイルマの服をつかむ手をギュッと強める。リコ達は慣れてきているらしいが、初対面の相手はまだ怖いのかもしれない。
そこで、話が少しそれていたことに気付いたイルマが話を戻すことにした。
「えーっと……オーガポンの事は、今は置いておいてください。それでその…モモワロウでしたっけ?そのポケモンとイイネイヌにどんな関係が?」
「そうやな。……それで、いろんなものを盗んでいたイイネイヌは、ある場所に運んでたらしいんや。そこにいたのが……」
「モモワロウ、ってわけか……」
フリードの言葉に、キリヲはコクリと頷いた。
「にしても、そんなポケモンは始めて聞いたな。ポケモンに関しての文献は一通り把握していた筈だったが…」
「モモワロウに関しての情報がある文献は本当に少ないんや。僕も、兄さんから聞いた話やしなぁ……」
あらゆるポケモンの知識を知るフリードだが、このキタカミの里に来てから、自分の知らないポケモンが立て続けに現れる。
「それよりも、何でモモワロウとイイネイヌはキタカミの里に?それに、マシマシラとキチキギスとはどういう関係なんだろう…?」
「文献によると、モモワロウとイイネイヌはある日忽然と姿を見せなくなったらしいんよ。モモワロウには、自分の毒を丸めて作った餅で相手を操るって言われてるんや。イイネイヌも、モモワロウの餅を食べて従ってるって記されてる」
「…見えてきたな。マシマシラとキチキギスは、モモワロウの餅で従えた、いわばモモワロウの家来。お面を狙ってキタカミの里に来、オーガポンのお面を奪うように仕向けたのが……」
「モモワロウ、だったんだ…」
「だからオーガポンはあんなに怒ってたんだね……」
「ぽに…」
一同に視線を向けられたオーガポンは、落ち込んだかのように視線を下に向けた。当時の出来事を思い出してしまったのだろう。オーガポンの目がジワ…と潤んでくると、オーガポンは自然とイルマに抱きついて顔を埋め、イルマはそんなオーガポンの背中を優しく撫でる。
何となく辺りに重い空気が漂う中、意識を切り替えるように「よし!」と声を上げた。
「兎も角、先ずはモモワロウをどうにかしないと、モリーや他の人達も正気に戻らない可能性が高い」
「そうだね!」
「ホゲ!」
「うん!」
「ニャー!」
「はい!」
「もふぅ!」
「…はぁ、次から次へと変なことばっかり起こるわね…」
フリードの言葉に、ロイとホゲータ、リコとニャオハ、イルマとモクローは威勢よく返事をし、ゼイユは疲れたかのよう頭に手を置いた。まぁ、ついこの間まで平穏に暮らしていたのに、突然村の真実を知らされて、復活した強敵と闘い、倒した直後に村が未曾有の危機(?)に晒されているというのだ。頭痛を感じるのも仕方ないだろう。
そこで一同は、先ずこれからどうするのかを話し合うことにする。
「それで、どっちにする?スイリョクタウンに戻ってモモワロウを叩くか、船に戻って体勢を整えるか」
「ぽに!」
「オーガポンはスイリョクタウンに直行する方に賛成みたいです。モモワロウを今すぐぶちのめしたいって」
「そ、そうなんだ…」
「何でポケモンの言葉分かるんや?」
「いや、表情と仕草で」
「あぁ、成る程」
バチコの選択肢を聞いて、棍棒を取り出して声を上げるオーガポンの言葉を訳するイルマ。数百年前のオーガポンの相棒の仇である為か、随分と好戦的である。
「でも、あたしもスイリョクタウンに行くことは賛成かもね。先手必勝って言うし」
「確かに、それが良いかも…」
「でも、モリーの他に色んな人が洗脳されたし、その人達と戦わないようにしながらは難しいんじゃないかな…?」
「それもあるな。それに、リザードンやジュナイパーも少し回復させてやりたいしな」
ゼイユの提案に、ロイとホゲータが考え込むと、リコがある可能性を思い浮かべてそう呟く。
モモワロウに洗脳されているのはモリーだけでなく、キタカミセンターやスイリョクタウンにいる人達も含まれている。もしもモモワロウとバトルになった時、モリーを筆頭に罪のない一般人を相手にさせられるかもしれない。
それに、リザードンとジュナイパーは、キチキギスとマシマシラとのバトルで消耗もしている。モモワロウの強さが分からない以上、万全の状態で挑みたい。
それに、船にいるであろうマードック達にもこの話をする必要がある。モモワロウの事を話す別にスマホロトムで通話して伝えるのでも構わないのだが、もしもモモワロウがブレイブアサギ号を狙う場合、一緒に行動しておいた方がいいかもしれない。
「成る程ね。それなら先ずはそのブレイブアサギ号?に行った方がいいわね」
「おれも……それがいいと思う」
「僕はどっちでもかまへんよ」
「そっだらこといわれてもわたす知らんべや。そっちで決めてくんろ」
ゼイユ、スグリ、キリヲ、パイモンの順にそう答える。全員異論はない(パイモンは面倒そうにだが)である。
パイモンの態度にイラついたバチコが何時ものようにパイモンと喧嘩を始める。既に見慣れつつある光景にイルマ達は平然とし、所見である筈のキリヲは神経が太いのか平然とした様子でブレイブアサギ号を目指す事を決める。
「オーガポン、モモワロウを倒しに行くのはもう少し待っててくれないかな?」
「ぽにぃ……がお!」
「分かってくれたみたいやな」
「イルマの言うことは素直に聞くんだべな」
「……」
イイネイヌ達から奪われた全てのお面を取り戻した今、仇であるモモワロウを今すぐぶっ潰したいというかなり過激なことを思っているオーガポンだったが、イルマにそう言われたことで渋々といった風に棍棒をしまう。イルマがオーガポンに気に入られているとは聞かされていたが、実際に目にして見るとかなり懐いているということを確認したキリヲとパイモンが呟く。それを聞いたスグリは少しだけ顔を暗くし、誰にも見えない程度に俯いた。
そこでバチコは、スマホロトムで船にいるドットにビデオ通話をする。
「もしもし、ドットか?」
『バチコ…今フリードに例のポケモンの情報収集を頼まれてるから、手短にお願い』
「あぁ、実はそのポケモンの事が分かってな。色々話すことがあるから、客人をつれて船に戻るぜ。だからもう調べるのやめていいぞ」
『はぁっ!?…まぁ、そのポケモンのことが分かったならいいけど、もう少し説明を…』
「そんじゃあな」
『あっ!ちょっ』
バチコはドットの言葉が終わるよりも早く通話を切る。
「よし、いつまでもここにいちゃあ埒が明かない。早いとこ船に戻るとしようぜ」
「そ、そうだね……」
「その自己中なとこ、まったく変わってねーんだべな。オメェの弟子だっつう子も不憫なもんだべな」
「あ゛ん?服の趣味がわっるいずーずー女が何ほざきやがる?」
「お前らな、じゃれあうのは良いが、今は先にやることあるだろ?」
急いでいるとは言え、余りにも一方通行な会話にリコが少し苦笑いし、スイリョクタウンの仕返しと言わんばかりにパイモンが毒を吐くと、バチコが反応して、2人は再び胸ぐらを掴みあってメンチを切りあう。普段なら見ているだけだが、流石にそれどころではないとフリードが間に入って喧嘩を止める。二人もそれは分かっておるのか、舌打ちをしながらも互いに手を離した。
そんな二人の様子に苦笑いしながらも、リコ達はブレイブアサギ号に向かって歩きだしていった。
モモワロウに洗脳される人は多分まだ出ます(主にゼイユ)。
作者の予定としては、イルマ&オーガポンVSモモワロウみたいな感じで行きたいなと思っています。
感想、評価お待ちしております。