魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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リアルが忙しくて、執筆が大幅に遅れてしまいました。

ともっこ戦からそのままキビキビパニックに突入したので、何かオリジナルを入れてみようと考えてみたのですが、結局何も思い付か無かったので、今回は殆どゲームの番外編通りになっているかと思われます。


30話 キビキビパニック

「何とか船についたな……」

 

 突如現れたモモワロウと呼ばれるポケモンと、そのポケモンに操られたモリー達から逃げてきたフリード達は、ともっことの戦いで傷付いたポケモン達の回復と仲間達にモモワロウについての話をするためにブレイブアサギ号に戻ってきた。

 

「でっかい飛行船ね~…」

「わやじゃ……」

「ぽにぃ~!」

 

 ゼイユ、スグリ、オーガポンは、巨大な飛行船を見上げながら感嘆の声をあげた。特に、飛行船そのものを知らないオーガポンは何処かキラキラした目をしていた。

 しかしいつまでもそうしている訳には行かないので、リコ達はゼイユ達を促して船に乗る。

 

「俺とバチコは、倉庫にある木の実でリザードンとジュナイパーを回復させてくるから、皆はミーティングルームで待っていてくれ。既にメールしてあるから、マードックたちも集まっているだろう」

「わかった」

 

 フリードの言葉にうなずいたリコ達は分かれて行動し、リコ、イルマ、ロイ、ゼイユ、スグリパイモン、キリヲはミーティングルームに向かっていく。

 そしてミーティングルームに向かう途中で、リコ達は曲がり角のところである人物と鉢合わせた。

 

「ドット!」

「リコ、ロイ、イルマ……」

「クワッス!」

 

 そこにいたのは、紫色の髪で目が隠れている少女、ドットだった。彼女の足元には、相棒であるクワッスもいる。

 イルマがゼイユ達にドットの事を説明し、リコはドットに笑顔で話しかける。

 

「ドットもミーティングルームに?」

「そうじゃない。喉が渇いたからキッチンに行っていただけ。会議は部屋からでも出来る…」

 

 ドットはそう答える。

 ハッコウシティの一件以降、ドットは最近少しずつ顔を合わせるようにもなってきているが、あまり部屋からでないことはあまり変わっていない。会議の時も、基本的に彼女は自室から通話で参加している。彼女が部屋からでてきていたのは、喉が渇いていた為にツボツボが作るジュースを飲みに行っていただけである。

 

「あっ!マードックさん!」

 

 そこで、イルマがミーティングルームに続く廊下の先に、見覚えのある男性の姿が見えて声を上げた。その声を聞いたリコ達もその人物に顔を向けると、そこにはライジングボルテッカーズのコック、マードックの姿があった。

 イルマの声に気付いたのか、マードックは無言でイルマ達の方を見る。普段なら明るく返事をしてくれるであろうマードックの様子にリコ達ライジングボルテッカーズが訝しげな表情を浮かべると同時に、彼女達の前まで歩みよったマードックは、手に持ったあるものをイルマ達に差し出した。

 

「…おモち、ドうゾ」

「え?いや、マードック、今はお餅とか言ってる場合じゃないんで……って、そのお餅!?」

 

 マードックのおやつは、普段なら全員喜んでいるだろうが、モモワロウにモリーを洗脳されている今、おやつとか言っている場合じゃないとリコがやんわりと断ろうとした瞬間、マードックが差し出してきた皿の上に乗せられたおやつを見て、リコ達は揃って目を見開いた。

 何故なら、マードックの持つ皿に乗せられたのは、モリーやキタカミの人々を洗脳したモモワロウのお餅だったのだ。リコ達はズザザザザッという音を立てながら、マードックから距離を取る。

 

「ミんナも、お、もち、た、ベ、テテ…」

「マ、マードック!それ食べちゃダメなお餅だから!早く捨てて!」

「っていうか、何であの人があのお餅を持ってんのよ!?」

「く、口調もなんかおかしいような…?」

「なんか嫌な予感がする……」

「おめぇら、わたすの後ろに下がっでろ。アブリボン」

「ぶりぃ」

 

 片言で餅を薦めてくるマードック。リコはその餅が有毒であると訴え、ゼイユが何故マードックがモモワロウの餅を持っているのかと叫び、ロイがマードックの喋り方に疑問符を浮かべ、イルマが嫌な予感がして冷や汗をかく。何かを察したパイモンは、アブリボンと共にイルマ達の前に立った。

 その瞬間、マードックは無表情になって、腕をダランを下げた。餅を乗せた皿が手から滑り落ち、ガランッと言う音と共に、紫色の餅が辺りに錯乱する。

 そして……

 

「…キビキビーー!!」

 

「「えぇええええっ!!?」」

「マードックさんも洗脳されてたぁっ!?」

 

 突如、モリーもやっていたあのダンスを踊り出して奇声を上げるマードック。それを見たリコとロイは驚愕して叫び、既にマードックもモモワロウに洗脳されていたことを悟ったイルマが叫ぶ。そうしている間に、ヘンテコなダンスを踊るマードックがゆっくりとこちらに迫ってくる。

 

「アブリボン、“かふんだんご”」

「あ~ぶりぃ!」

「キビビィ!?」

 

 アブリボンが丸めた花粉で出来た団子が、マードックの顔面に投げ放ち、直撃を食らったマードックを悲鳴を上げる。花粉が目には言ったことで目を押さえてのたうち回る。

 

「よし、今のうちに逃げんべや」

「は、はい…」

 

 恐らくモモワロウに操られているだろうから仕方ないとは言え、目に花粉を直接ぶちこむと言う過激な手段を迷わず選んだパイモンに少し引きつつも、彼女の言葉にしたがってリコ達はこの場を離れようとする。

 すると、リコ達の道を塞ぐように、マードックの相棒であるイワンコが立ち塞がる。彼の背中には、マホイップもいる。それを見てリコ達が立ち止まると、イワンコは姿勢を低くして唸り声を上げ、マホイップがまるでビームのような極太のクリームを放つ。

 

「イオルブ、“ひかりのかべ”や」

「オル!」

 

 キリヲの指示を聞いたイオルブがリコ達の前に飛び出し、光で出来た障壁を作り出し、マホイップが放つクリームのビームを防いだ。

 

「ありがとうございます。キリヲさん、イオルブ」

「気にせんでええ…ゴフッ」

「キリヲさーん!?」

「オル!」

 

 礼を言うイルマに答えようとしたキリヲは、言い終える途中で口から血を吐き出した。そのまま倒れそうになるキリヲを、イオルブが“サイコキネシス”で彼の身体を浮かせる。

 

「コントやってねーで、今は船内から出るべ」

「は、はい!」

「ドットと一緒に行こう!」

「えっ、ちょっと!」

 

 走り出したパイモンに続いて、リコ達はドットを連れてイワンコとマホイップの間を通り抜けて、船の外まで走る。

 船の甲板に出ると、リコ達は扉を出てきた直後に、見慣れた人影を見つけた。

 

「キビキビーー!!」

「そんな…オリオまで!」

 

 そこにいたのは、マードックと同じくライジングボルテッカーズのメンバーであるオリオだ。しかもマードックと同じ様に、手を胸の前にして腕を上下させる変な躍りを踊っている。同時に、彼女の背後に、数時間前に見た、毒々しい桃のような物体が飛来した。

 

「モゲゲー!!」

「モモワロウ!」

「ぽにぃ!!」

「キビ…キビキビーー!!」

「モリーもいる!?」

 

 そう、そこにいたのは全ての元凶であるポケモン、モモワロウが浮遊していた。その姿を見て、オーガポンは。更には、モモワロウに洗脳され、やや恥ずかしがりながらも踊るモリーもいた。

 

「な、何でここに…」

「もしかして、僕達がフジの原に行ってる間にここに来てたんじゃ……」

 

 イルマの推測通り、スイリョクタウンでイルマ達を逃がしたモモワロウは、フリード達がフジの原に逃げ込んでいる間に、モリーの案内でイルマ達がやって来る数分前にブレイブアサギ号までやってきて、身体の毒を使って作る“くさりもち”と呼ばれる餅を使って、マードックとオリオを洗脳したのだ。ドットにまで魔の手が及ばなかったのは、単純にモモワロウがついさっきオリオを洗脳したばかりで、ドットのところにはまだ来てなかったのだ。

 ヘンテコなダンスを踊りながら、モモワロウを守るように並んで立つオリオとモリーがジリジリと迫る。更には、船内の方から何かが近付いてくる音が聞こえてくる。恐らく、マードック達だろう。

 

「ど、どうするのよこれ!」

「このままじゃ、おれ達もあの餅食べさせられる……」

 

 ゼイユが焦ったように叫び、スグリが怯えたような声色で呟く。絶体絶命かと思われた、その時、

 

「ジュナイパー、連続で“かげぬい”だ!」

「ジュナッ!」

 

 ハスキーな声と共に、矢羽が空中を飛び交い、矢羽はあり得ない軌道を描きながら、オリオとモリーの影を縫い付けた。影を矢で縫い付けられた二人は、まるで足だけが石化されたかのようにその場から足を動かすことが出来ず、キビキビ叫びながら肘を上下させる謎の動きをさせながらもがいている。

 

「皆、大丈夫か!?」

「フリード!バチコ!」

 

 同時に、リザードンの背中に乗ったフリードとキャップ、チルタリスの背中に乗ったバチコとジュナイパーがやってきた。負傷していたリザードンとジュナイパーの傷は既に治っている事から、どうやら木の実での回復は終わったらしい。

 

「さて…船での勝手はご遠慮願おうか」

「ピーカァ!」

 

 船の上に降り立ったリザードンの背中から降りたフリードがモモワロウに厳しい目を向ける。目の前に従えた僕を動けなくされ、守ってくれる味方を失ったモモワロウは、フリード達に鋭い視線を向けられたモモワロウは、殻に閉じ籠った状態で、怯えたように後退る。

 

「モ…モモモー!」

「あっ!逃げた!」

 

 モモワロウは、クルリと身体の向きをかえると、人里の方に向かって飛び去っていく。今は真夜中であるため、モモワロウがブレイブアサギ号から離れていくと同時に、その小さな姿が見えなくなってくる。

 

「追いかけよう!」

「!スグ!」

「…アイツを倒さなきゃ、皆を戻して…鬼さまの仇を取る…!」

 

 町へ逃げ去っていくモモワロウを、船から身を乗り出さんばかりの勢いで睨んでそう言うスグリ。今までの引っ込み思案な態度からは想像も出来ない強気なスグリの態度に少し驚きつつも、彼の言うことは尤もなので、一同は彼の言葉に頷いた。

 そして、一同はリザードンとチルタリスの背中に乗り、人里に向かって逃げていくモモワロウを追って行った。

 

 

 

 

 

 

「この辺りだと思うんだけど……」

 

 モモワロウを追ってイルマ達がたどり着いた先は、ともっこプラザだった。一同は、辺りをキョロキョロと見渡してモモワロウを探す。

 スイリョクタウンの辺りまではモモワロウを追いかけることが出来、後一歩の所で捕まえられそうだったのだが、モモワロウが“シャドーボール”を撃ってきて、地面に着弾したことで発生した爆煙でリコ達の視界を遮られた隙にモモワロウは再び逃げ出してしまったのだ。何とか西方角、つまりともっこプラザやフジの原がある方角に逃げていったことは分かって、ともっこプラザを目指していったのだが、真夜中で道にはろくな明かりがなかったせいで、モモワロウの姿を見失ってしまったのだ。

 すると、辺りを見渡していたイルマがあることに気づいた。

 

「ってあれ?キリヲさんは何処に?」

「え?さっきまで一緒に…って、ホントにいなくなってるじゃない!」

 

 全員でその場を探してみても、吐血でダウンしてイオルブに浮かされていたはずのキリヲは何処にもいない。

 

「何処かではぐれちゃいましたかね。スイリョクタウンの辺りまで一緒だったと思ったんですが……」

「スマホに連絡いれようにも、あたしもキリヲの連絡先なんて持ってないし……」

 スマホロトムで連絡をしようにも、キリヲのスマホロトムの電話番号を知る者は、この場には誰もいない。

 どうするか、その場にいる者達全員が悩んでいると……

 

「モモワーイ!!」

「ッ!?」

「わぁッ!?」

「ひゃあっ!」

「何…ムグッ!?」

 

 突如、背後から聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきて、一同が一斉に振り返った瞬間、紫色の何かが無数に飛来してくる。フリード達は咄嗟に避けたり、リコ達は顔に当たるだけだったが、思わず口を開けていたゼイユは、その紫の何かが口に入り込んでしまった。

 

「ゼイユさん!」

「ねーちゃん!」

「ぽにっ!」

「キ…キビ……キビキビーー!!」

「踊り出したぞ!」

「飲み込んじまったわけか……」

 

 イルマとスグリとオーガポンがゼイユの名を叫ぶが、ゼイユは奇声を上げて変なダンスを踊り出す。リコ達が慌ててゼイユから距離を取ると同時に、ゼイユのすぐ近くで、見覚えのありすぎる影が上から降りてきた。そう、モモワロウだ。

 

「モモワーイ!」

「モモワロウだ!」

「逃げたり不意打ちしてきたり面倒臭い奴だな…」

 

 ゼイユを盾にするように前に立たせて声を上げるモモワロウに、入間達は身構える。姿を消したキリヲは気掛かりだが、モモワロウが出てきたのなら、こっちに集中するしかない。それに、モモワロウがここにいたなら、こことは違う場所にいるであろうキリヲは無事である可能性は高い。

 味方をつけて強気になったのかと思ったバチコが苛立たし気に呟きながらボールを投げてジュナイパーを出すと同時に、モクロー、オーガポン、ニャオハ、ホゲータ、キャップ、アブリボンがトレーナーの前に立ち、スグリもボールからカミッチュを出し、ポケモン達は未だに奇声を上げて踊り続けるゼイユの後ろにモモワロウを見据えて臨戦態勢を取る。

 しかし、その直後に背後から聞こえてきた複数の声に、フリードは後ろを振り返った。

 

「どうやら、追い詰められているのはこっち方らしいな…」

 

 その言葉に反応して一同がフリードと同じ方に顔を向けると、そこには管理人を始めとした、モモワロウに洗脳されてキビキビ叫びながら踊っている人々が、ジリジリと此方に迫ってくる光景があった。

 どうやら、モモワロウはただ怯えて逃げるだけに見えて、柵に囲まれた場所で僕を集め、一網打尽にしようとしていたらしい。しかし、状況は更に悪化することとなった。

 

「ヌンダフルッ!」

「マシッキャー!」

「キチチチキス!」

 

「うわっ!?」

「きゃあっ!?」

「はわわ!?」

 

 突如、上空から雄叫びをあげて何かが降ってきて、同時に虹色の光と禍々しいエネルギー弾も振りかかってくる。第六感が働き、真下にいたリコ、ロイ、イルマの3人は慌ててその場から飛び退くと同時にその三つが地面に着弾し、爆発を起こした。

 

「わっ!」

「カミッ!」

 

 その爆発に怯んだスグリは、その場で尻餅をついてしまう。カミッチュがスグリを心配して駆け寄ると、ゼイユの後ろにいたモモワロウが飛び出してきて、二つに割った殻から、紫色の餅を無数に発射した。

 

「モモワーイ!!」

「スグリ君!」

「ッ!?」

 

 イルマがスグリの名を叫び、スグリとカミッチュは迫り来る餅に口に入れないように口をキュッと閉じて目を瞑る。

 ……しかし、口に入るどころか、身体に餅が当たった感触すら来ないことに疑問を持ったスグリとカミッチュは、恐る恐る目を開ける。そこには…

 

「ぽにぃ!」

「お、鬼さま…!」

 

 碧の面を被り、蔦が巻かれた棍棒を手にしたオーガポンが、スグリとカミッチュの前に立っていた。彼女の足元にはモモワロウがスグリとカミッチュに向けて放った餅が散らばっていることから、彼女が餅を弾いてくれたらしい。

 

「……がおぉ…!」

「モ、モゲゲ……」

 

 オーガポンは仮面を上にずらして素顔を露にしてチラリとスグリに眼を向けた後、直ぐに仮面を被り直し、目の前のモモワロウを睨んで低い声で唸る。その声を聞いたモモワロウは怯えたように殻に込もって後退る。すると、モモワロウとゼイユの前に、3体の影が降り立った。

 

「ヌンダッ!」

「マシャシャキー!」

「キチチチチ…」

「イイネイヌ!」

「マシマシラにキチキギスまで…!」

 

 そう、モモワロウの前に降り立ったのは、オーガポンのお面を取り返すためにイルマ達が倒した筈のイイネイヌ、マシマシラ、キチキギスの“ともっこ”達だった。

 ともっこ達は、楽土の荒地、フジの池、ひやみず洞で倒されたが、フリード達は気絶して倒れていたイイネイヌ達をそのままにしてしまっていた。オーガポンに取り返したお面を返しに行く事やモモワロウにスイリョクタウンやキタカミセンターをメチャクチャにされていた事で、完全にともっこをどうするのかを失念していた。その結果、イルマ達がモモワロウに洗脳された人々から逃げ回っている間に、目を覚ましたともっこ達は体力を回復させ、復活した主人(モモワロウ)の元に戻ってきていたのだ。

 しかし、これはモモワロウに、強力な味方がついてしまったということだ。キタカミ餅による巨大化はもう効果が切れているらしく復活した直後のサイズのままだが、スグリとパイモン以外の面々は彼等の能力の面倒さは既に身を持って味わっている。モモワロウに洗脳された人々を傷付けないように抑えながら戦うのは、凄腕のトレーナーであるフリード、バチコ、パイモンでも難しかった。

 

「ヌンダァア!」

「マシッキャー!」

「キチチチキス!」

「!キャップ、“かみなりパンチ”!」

「ジュナイパー、“リーフブレード”!」

「アブリボン、“かふんだんご”だべ」

「ピッカ!」

「ジュナッ!」

「ぶりぃ!」

 

 ともっこ達が雄叫びをあげ、イイネイヌが“どくづき”、マシマシラが“シャドーボール”、キチキギスが“ダブルウイング”を放とうとするのを察知し、キャップは雷を纏った右ストレートでイイネイヌの“どくづき”を、ジュナイパーは緑色の刃でキチキギスの“ダブルウイング”を、アブリボンは花粉を丸めた団子を投擲してマシマシラの“シャドーボール”を迎え撃つ。

 

 自信の攻撃と防がれたともっこ達は、そのままイイネイヌはキャップとフリード、マシマシラはアブリボンとパイモン、キチキギスはジュナイパーとバチコとの戦闘を開始する。

 フリード達がともっこの相手で強制的にモモワロウから引き離されると、今度はモモワロウに洗脳された人々が、キビキビ叫んで変な躍りを踊りながら、更には、彼等のポケモンであると思われるウリムーやロコンといったポケモン達も、唸り声を上げながらイルマ達に近付いてくる。

 

「ッ、ここは私達が…ニャオハ、“このは”いっぱい!」

「ニャーー!」

「ホゲータ、“じだんだ”だ!」

「ホゲゲゲゲ……ゲッ!」

 

 ニャオハが膨大な量の葉を放って、キタカミセンターの時と同じように人間やポケモン達を怯ませると、ホゲータが地面を踏み鳴らして彼等を転倒させる。

 残ったイルマとスグリとオーガポンは、踊り続けるゼイユと、その背中に隠れるモモワロウに向き合い、モクローとカミッチュとオーガポンは臨戦態勢を取る。

 

「モモモ!!」

「キビキビーー!!」

 

ポンッ!

 

「ソチャチャ……!?」

「ヤバソチャ!?」

 

 ゼイユはヤバソチャをボールから出すとヤバソチャの小さな身体を片手で掴み、何処からか取り出した紫の餅を、ヤバソチャの口に無理矢理押し込んだ。訳が分からずに、思わず餅を飲み込んでしまうヤバソチャにイルマが叫ぶと、ヤバソチャの身体から紫色のオーラが吹き出した。

 

「ソチャチャー!」

「ヤバソチャまで操られた!」

「こ、これ…わやまずいんじゃ……」

 

 踊っていないが、黄色の筈のグルグル目が紫になって臨戦態勢を取るヤバソチャに、イルマとスグリは少しだけ後退る。モモワロウの餅が人間だけでなくポケモンにも効果があるのはイワンコや町のポケモン達で実証されているが、実際に目で見てみると、相手の作り出す餅の厄介すぎる能力が嫌でも実感させられる。間違っても、モクロー達があの餅を食べてしまうようなことがあってはならない。

 イルマは一度目を閉じて大きく息を吐くと、キッとモモワロウに鋭い眼を向けた。

 

「これ以上、好き勝手にさせる訳にはいかない。ゼイユさん達を元に戻すために、全力で貴方を止める!」

「モ……モ……」

 

 イルマの啖呵に、モモワロウはやや戸惑ったようにたじろいでいたが、やがて身体をプルプルと震わせたかと思うと、パッカーン!という音を立てながら殻を開いたモモワロウが、ヤバソチャの隣で大きく声を上げた。

 

「モ モ ワ ロ ウ!!」

「キビキビーー!!」

「ソチャチャー!!」

 

 モモワロウに続いて、後ろにいるゼイユと、隣に並んだヤバソチャが声を上げた瞬間、モクローとカミッチュに向け、2つの“シャドーボール”が放たれた。

 

 戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 




ともっこを再登場させた理由としては、フリード達が鎖餅を食べさせられて洗脳される姿が思い浮かばず、モモワロウ戦から引き離す方法としてこれがいいんじゃないかなと思ったからです。

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