魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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ポケモンバトルは今回初めて書きますので、稚拙な駄文になっていると思います。ご了承下さい。
今回はリコが空気です。


3話 イルマの初バトル

 セキエイ学園の授業は座学に限らず、ポケモンバトルの実技もある。なので、本日のイルマ達のクラスの授業はルームメイトとの一対一のバトルとなった。バトルを通してポケモンとの信頼関係を育み、ルームメイトとの親睦も深める事も出来て、まさに一石二鳥の授業と言うことである。

 そして、現在はリコとアンがバトルをしていた。

 

「えっと…ニャオハ!この…」

「ニャーーッ!!」

「あッ!?」

 

 リコの指示も聞かず、ニャオハは鋭い爪を出現させて、アンのミジュマルに飛び掛かる。

 

「ミジュマル!“みずでっぽう”!」

「ミジューーッ!」

「ニャアッ!!」

 

 アンのミジュマルがジャンプして一気に距離を積め、口から凄まじい勢いの水を発射する。空中、しかも距離が近いこともあり、ニャオハはこれを避けることが出来ず、水浸しになって地面を転がった。

 

「そこまで!勝者アン!」

 

 そこへ、現場監督と審判を務めているカルエゴの声が響く。

 慌ててニャオハの下に駆け寄ってニャオハを介抱するリコに、ミジュマルを頭に乗せたアンに「勝負にならない」と言って、ニャオハの頭を撫でながら「何考えてるのか分かんない…」と呟くリコの様子を眺めつつ、カルエゴは声を上げる。

 

「次、アリス対イルマ。前へ出ろ!」

 

 その声を聞いて、リコとアンはパートナーを抱き抱えながら離れ、代わりにベンチに座って観戦していたイルマとアリスが前に歩いてきた。

 そして、イルマの肩にいたモクローが羽ばたきながらバトルコートに立ち、ヒトカゲもアリスの前に出る。二体ともヤル気満々といった様子であり、何時バトルを始めても問題なさそうだ。

 

「──始め!」

 

 カルエゴの開始の合図が響き、先にポケモンに指示を出したのはアリスだった。

 

「ヒトカゲ、“かえんほうしゃ”だ!」

「カゲーーッ!!」

 

 アリスの指示を聞き入れたヒトカゲは、口から灼熱の炎を吐いた。

 

「ッ!?モクロー!飛んで避けて!」

「もふぅ!!」

 

 イルマは一瞬だけ目を見開くも、直ぐにモクローに指示を出し、モクローは翼を羽ばたかせて空を飛ぶ。標的を失い、空振りとなった炎が地面を焼く。

 

「逃がすな!もう一度“かえんほうしゃ”!」

「モクロー!今度は右!」

 

 トレーナーの指示が交差し、ヒトカゲが空中にいるモクロー目掛けて炎を吐き、モクローは右側に飛んでそれをかわした。

 

 そのバトルを観戦いた他の生徒達が、オオッ!と歓声を上げた。

 審判を務めているカルエゴも同じ心情であり、周りには聞こえない程小さな声で「ホゥ」と呟いた。

 

 ポケモンスクールで配布される炎タイプのポケモンが覚えている炎タイプの技は“かえんほうしゃ”の下位互換の技、“ひのこ”だ。

 アリスのヒトカゲも例外ではなく、配布する前に持っていた炎技は“ひのこ”のみだった筈だ。

 

(配布されてから今日までのごく僅かな時間で“ひのこ”を昇華、または覚えさせた…ということか)

 

 確かに、炎タイプのヒトカゲが“かえんほうしゃ”を使える事は何もおかしい事ではない。しかし、配布された炎タイプのポケモンがたった1日で“かえんほうしゃ”を使えるようになったという事は、セキエイ学園の歴史の中でも例を見ない。

 

アリス(ヤツ)がヒトカゲをどう育てたのかは分からんが、新しい技を十膳に使いこなせるあのヒトカゲも中々の物だ。…いや、トレーナーによって昇華されたか……)

 

 セキエイ学園…というよりポケモントレーナーとしても稀に見る逸材と言える。

 このバトルはアリスとヒトカゲの勝利か…と、カルエゴが結論付けようとバトルに集中すると、カルエゴはあることに気付き、眉を上げた。

 

 モクローは相変わらず、ヒトカゲの吐く炎をギリギリで避けるだけ。

 再びアリスの指示を聞いたヒトカゲが炎を吐けば、モクローは右へ左へ、小さな羽を動かして避け続ける。

 

「…あれ?」

 

 生徒の中で最初にそれに気付いたのは、リコだった。そして、他の生徒達もようやくそれに気付いた。

 

 このバトル、イルマのモクローには圧倒的なまでに不利なバトルである。実際、モクローは先程からずっと、ヒトカゲの“かえんほうしゃ”を避けてばかりだ。

 しかし、それがおかしいのだ。

 一度だけならば偶然という言葉で片付けられる。2~3回ならば運が良いで済ませられる。しかし、それが何度もとなれば、偶然でも運でも片付けられない。

 

「何故…何故当たらないんだ!?」

「カゲ…カゲェ…」

 

 アリスが信じられないと言うように叫び、炎を吐くのを止めたヒトカゲは息を切らしている。

 そう、バトルが開始されてから、ヒトカゲが何度“かえんほうしゃ”を放っても、モクローはその炎を全て紙一重で避け続けているのだ。

 どんな攻撃も当たらなければ意味がないと言う言葉が、この状況にピッタリだろう。実際、モクローは少し息が乱れた程度にしか消耗しておらず、その目は闘志に溢れていた。

 

イルマ(アイツ)の洞察力と判断力、そしてモクローの知能の高さが合わさった結果か…)

 

 カルエゴは再び思案する。

 イルマはこのバトルが始まってから、右へ左へ上へと、ずっと指示を出していた。しかも、ヒトカゲがアリスの指示を聞いて炎を吐くのとほぼ同時に。

 つまり、イルマはそれだけ洞察力と判断力が優れていると言う事だ。意識的なのか無意識なのかは分からないが。

 パートナーであるモクローもその要因だろう。モクローは飛ぶのが速くないかわりに知能や判断能力が高いポケモンだ。イルマの指示した方向へ、より最適な動きで炎を避ける事で、今この状況を作り出しているのだろう。

 

 そして、今度はモクローが技を繰り出す番となる。

 

「モクロー!“このは”!」

「もふぅ!」

「ッ!ヒトカゲ、避けろ!」

 

 モクローは羽を広げ、発生させた緑に光る木の葉がヒトカゲに迫る。

 アリスは咄嗟に指示を出すが、技の撃ちすぎで消耗していたヒトカゲは反応が一歩遅れてしまい、ヒトカゲに木の葉が直撃した。

 

「カゲェ……」

 

 しかし、“このは”の直撃を受けたヒトカゲにはあまりダメージは入っておらず、軽い傷を負いながらもしっかりと二本足で立っていた。くさタイプの技は、ほのおタイプのヒトカゲには効果が薄いのだ。

 

「いいぞヒトカゲ。避けられるならば誘き寄せるのみだ!ひの…ッ!?」

「カゲッ!?」

 

 空を飛んでいるモクローに遠距離戦は不利だと判断したアリスは、空にいるモクローを地上まで誘導するために、“かえんほうしゃ”の下位互換である“ひのこ”を放つように指示しようと、モクローが飛んでいた場所に目を向けた途端、ヒトカゲと共に、その目が大きく見開かれた。

 

 先程まで空中を飛んでいたモクローの姿が、見えなくなっているのだ。先程モクローの“このは”が直撃したヒトカゲに注目したその隙に、既にモクローは移動していたのだろう。

 それはリコやアン、その他の生徒達も同様であり、バトルに注目していた生徒達はキョロキョロとモクローを探している。

 

 そんな中、アリスは冷静な思考を取り戻し、モクローの位置を知っているであろうイルマに目を向ける。

 イルマは、アリスもヒトカゲも見ていない。腕で目に日陰を作り、空を見上げている。

 

 ハッとアリスが視線を上に向けると同時に、ヒトカゲの頭上を影が覆う。

 

「しまった…ヒトカゲ、上だ!!」

「モクロー!“たいあたり”!!」

 

 二人の声が響き渡る。

 アリスの警告を聞いたヒトカゲは、反射的に真上を見上げる。そこには、落下の勢いを付けて猛スピードで急降下してくるモクローの姿が見える。

 

 しかし、咄嗟に上を向いたのは悪手であった。

 此方に向かって急降下するモクローが背後の太陽の影となった事でモクローの姿が暗く見え、上を向いたヒトカゲは逆光を浴びる。

 あまりの眩しさに、ヒトカゲは思わず目を瞑って腕で覆ってしまい、その場から動けなくなってしまう。

 

 その間にも、高所からの落下による重力加速をつけたモクローが迫る。そして、

 

ドォオオオオオンッ!

 

 落下の勢いを付けた事で威力が倍増しされたモクローの体当たりがヒトカゲに直撃し、土煙が上がり、二体の姿を隠す。

 やがて煙が晴れてくると、そこには目を回して倒れているヒトカゲと、肩で息をしながらも両足で地面に立っているモクローの姿があった。

 

「そこまで!勝者、イルマ!」

 

 カルエゴの声が響いた。

 観戦していた生徒達は歓声を上げ、イルマは笑顔でモクローを抱き上げながら、快哉の声を上げた。

 

(全力…だった。私もヒトカゲも……)

 

 そんなイルマとモクローの様子を見やりながら、ヒトカゲを抱え上げたアリスは噛み締める。

 悔しいという気持ちは確かにある。しかしそれ以上に、晴々とした気持ちが湧いてくる。

 すると、モクローを肩に乗せたイルマが此方に歩いてくることに気付いた。

 

「…?何だ?」

「うん。アリスくん、凄く強いんだねって。モクローも楽しんでたみたいだったし」

「もふぅ」

 

 屈託のない、眩しい笑顔で手を差し出すイルマ。

 その笑顔を見たアリスは思わず頬を赤くすると、プイッとそっぽを向きながらも、握手に応じた。

 

「ま、まぁ…君もモクローも中々やるようだか。…君がどうしてもというなら、またバトルをしてやろう」

「……?うん!」

 

 別にまたバトルしようとは言ってないけど、それに何か顔赤いし、何でそっぽ向くんだろう……と首をかしげるイルマ。同時に、視界の端でベンチに座っているリコが自分達に複雑そうな視線を向けているのが気になったが、両方とも気のせいだろうと思い、イルマは再びアリスに笑いかけた。

 

「貴様等、次の生徒のバトルがあるのだ。話をするなら向こうで話せ!」

 

 そこでカルエゴの声が響き、そういえまだバトルしていない生徒がいる事に気付いた二人は、小走りにバトルコートの外側に戻っていく。

 モクローを肩に乗せたイルマがバトルコートから離れて芝生のところまで歩くと、ニャオハを抱き抱えたリコがイルマに話し掛けてきた。

 

「イ、イルマ…。さっきのバトル、凄かったね…」

「!リコ、ありがとう。でも、モクローが頑張ったお陰だよ。ね!」

「もふ」

「そ、そうなんだ……」

 

 第三者が見れば普段通りに見えるが、リコの頬がやや赤く、態度も普段よりも控えめなのがイルマには分かる。理由は十中八九、昨日の()()だろう。先程までリコが座っていたベンチには、一緒に座っていたアンがミジュマルを頭に乗せながら、興味深そうな、或いは面白そうに自分達を見ている…様な気がする。

 

 その後、他の生徒達のバトルも何事もなく終わり、本日の授業は終了した。

 なお、授業が終わった後に寮に戻ろうとしたイルマをサリバンが理事長室に呼び出して、『イルマくん初バトル勝利おめでとうパーティー』を開こうとしたり、イルマとアリスのバトルを様子を(いつの間にか)撮った写真を学園のホームページにアップしようとしたりするのを必死に止めようとイルマが物凄く苦労したのは完全に余談である。

 

 

 




主人公の二体目の手持ちポケモンの候補はありますが、どのポケモンがいいのか決まらないので、アンケートを実施します。
内容のポケモンは作者がゲームでストーリー攻略で手持ちに使っていたポケモンです。

イルマくんの二体目の手持ちポケモンは誰がいいですか?

  • ラルトス
  • イーブイ
  • リオル
  • ヌメラ
  • オーガポン
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