魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター 作:MTHR
リコとイルマの関係に変化が起きるかもしれないオリジナルストーリーになっています。
最近、ポケまぜをインストールしてプレイしてみてます。作者はイーブイやキルリアを好んで使っています。しかし、夢中になりすぎて執筆が遅れました。
今回のサブタイトルの元ネタは仮面ライダーエグゼイド第19話『Fantasyは突然に!?』からです。
ドットが新たにカヌチャンをゲットした翌日に、バトルの練習でニャオハの“このは”が誤爆してリコに怪我をさせてしまい、責任を感じたニャオハは船を飛び出して、猫ポケモン専門のブリーダーハウスに戻っていってしまったあと、ポケモンブリーダーのマーニャから話を聞いたリコに説得されて和解し、ミブリムとテラパゴスを捕縛したワナイダー相手に“このは”から昇華する形で新たに“マジカルリーフ”を習得し、その後ドットの母・ブランカがパートナーのルガルガン(まよなかのすがた)と共にやって来てドットを連れ帰ろうとしたが、ドットは母とのバトルの中で本音で母とぶつかり合い、クワッスが“けたぐり”を習得してルガルガンに打ち勝ち、ドットは正式にライジングボルテッカーズのメンバーになりたいことを母に頼み、正式にドットを船のメンバーとして迎え入れたライジングボルテッカーズは、テラパゴスの秘密を探る為にパルデア地方へ旅を続け、パルデア地方のビーチに辿り着いた。
「到着しました!」
黒地に黄色のラインが入った海パンを履いたロイがホゲータとイワンコと共に波打ち際で遊んでいるなか、フリードと共に砂浜にレジャーシートを敷いてパラソルを立てたマードックが、ロイに声をかけた。
「ロイ、ホゲータ!たくさん遊んで腹を空かせておけよ!今夜はバーベキューだ!」
「バーベキュー!?やったぁ!!」
「オリオとモリーは?」
「勿論来るさ」
「働き者の二人には、しっかりご馳走してあげないとな」
現在、オリオは船の機関室で船の整備をしており、モリーはポケモン達の健康診断をしている。
「俺達は材料の調達に行ってくる」
「お前らだけて遠くまで行かないこと」
「「「はーい!」」」
「ワシが、見ているとしよう」
「ああ、頼んだ」
「「「いってらっしゃい」」」
そこで、レジャーシートに腰を掛けてお茶を飲んでいたランドウがリコ達を見ていると言い、町へ買い物に出掛けると、ロイはランドウも海で泳がないのかと尋ねるが、ランドウは「海は見るのが専門」と答える。
そんな中、紺色の海パンとウェットスーツの上に白のラッシュガードを着たイルマが、思い出したようにリコに尋ねる。
「そういえば、ドットさんは来てないんだね?」
「誘ってはみたんだけど…『はぁ?海!?入ったあとベトベトになるし、日焼けしてヒリヒリして痛いし、皮なんか剥けたら最悪…行くわけないだろ!』って……」
「アハハ、ドットらしいや!」
全力拒否しているドットの姿が浮かび、イルマとロイは共に笑う。
すると、リコは突然顔を赤くして、モジモジと恥じらうようにイルマに話し掛けた。
「ね、ねぇ…イルマ……」
「?」
「この水着……変じゃないかな?ほら、フリードが海に行くって言うから、昨日モリーとオリオと一緒にかいに行った奴なんだけど……」
リコの水着は、フレアトップにスカートが着いて、フリルには木の葉が書かれているライトグリーン調であり、髪は木の葉の形のゴム紐で纏めている。
改めて、リコの水着姿を見てしばらくの間、リコの姿に見惚れていたイルマだが、リコから「変、だった……?」と不安そうに尋ねられると、慌てて答えた。
「……う、うん、凄く可愛いよ!」
「ッ!?か、可愛い…?あ、あ、ありがとう……エヘヘ……」
リコは赤くなる頬を両手で挟み、体をくねらせてイヤンイヤンしていた。
その仕草に謎のトキメキを感じたイルマは心臓の辺りを手で抑えながら顔をそらしていると、後ろから聞き覚えのある声がかけられてきた。
「──イルマ、こんなところで何をしているんだ?」
「ッ!その声、アメ……」
その言葉を聞いて、イルマが振り返ると、目の前にたっている人物──アメリの姿をみて、ぎょっとした。
目の前に立っていたアメリは、普段の腰まで届く紅い艶やかな髪をポニーテールにしており、豊満な胸を紅い三角のビキニで包み、ほっそりと括れた腰には花の模様が描かれているピンク色のパレオを巻き付けており、歩く旅に道行くひとの目を引いていた。
「あっ、アメリ!どうしてここに?」
「あのときのお嬢さんか、久し振りじゃな」
「久し振りだな、ロイ、リコ、それとランドウさん。私は単純にバカンスので来たけだ。ここ最近、生徒会の仕事も忙しくなってきたし、グレンアルマと共にな。そしたらお前達を見かけたというわけだ」
「アルッ」
「くふぅ~」
アメリが後ろに視線を向けてみると、彼女のパートナーであるグレンアルマが、ビーチボールやパラソルを手にしながらこちらに歩み寄ってきている姿があり、フクスローがグレンアルマに「久し振り」というように挨拶をする。
フクスローの姿を見て、アメリはイルマが連れていたモクローが進化したのだと察して興味深そうにフクスローを眺めていると、アメリのもとに歩み寄るポケモン達の影があった。
「ぽにぃ~?」
「ぶい?」
「ラル」
「サザ……」
「あぁ、皆。この人はアメリ。僕の幼馴染みで、今はオレンジアカデミーに在籍してるチャンピオンランクの凄い人なんだ!」
オーガポン、イーブイ、ラルトス、サザンドラは、興味深そうにアメリを眺めており、イルマはオーガポン達にアメリを紹介する。
(な、何ですかアレ……ホントに私と一個違いなの…!?)
そんな中、リコは愕然とした表情でアメリの水着姿を見て、、あまり凸凹の無い自分の体と、アメリの出る所は出て引っ込むところは引っ込んでいる体を見比べ、ズ~ンと凹み掛けてしまう。
「私はアメリだ、よろしく頼む。……ん?お前はあの時のラルトスか?」
「ラル、ラルル!」
「ほぅ…イルマの手持ちになったのか。私の幼馴染みを、これからもよろしくな」
「ラールゥ!」
「も~、アメリ。僕はもう子どもじゃないんだからそんな風に言わ……ないで……」
色違いのラルトスを見て、アメリは彼女がオリーヴァの森で出会った個体だと察して、ラルトスと目線を合わせながらそう言うと、イルマは何となく子ども扱いされた気がして苦言を言おうとしたが、しゃがんでいた為にイルマの視界に彼女の豊満な胸の谷間が入り、イルマはとっさに顔を紅くしてプイッと視線をそらしながら言葉を言い終える。
「………」
「イダッ!?ちょっ、リコ!?今回素肌だからつねると凄く痛いんだけど…って、痛い痛い痛いッ!!」
その様子を見ていたリコは、ややハイライトが消えた目で不機嫌そうになり、イルマの二の腕をつねり、半回転捻りにして力を込めていく。以前のカントー離島でも似たような事があったが、今回は制服ではなく生身であるため、イルマは尋常でない痛みに声を上げる。
すると、オーガポン達と挨拶をしていたアメリが立ち上がってイルマの腕をつかみ、イルマを自身の元に引き寄せた。
「イルマが痛がっているではないか。幼馴染みに対してその態度はどうかと思うが?」
「……私とイルマの問題だから、アメリは口を挟まないで」
「あわわ…ど、どうしてこんなことに……」
『そりゃー…もう理由は一つだけだよな』
「……ニャー(……コイツ、ホントに無自覚もいい加減にして欲しいんだけど)」
「いーぶいぶ(今回はイルマをフォロー出来ません)」
「アルマ……(主の恋を応援したいところだが、心配だ……)」
アメリとリコはイルマを挟みながら、バチバチと火花を散らす。
その様子に、修羅場を作り出した張本人であるイルマはオロオロしており、今回もこの状況になった理由を分かっていなかった。
「ホゲー!」
その時、ホゲータが大きな声を上げ、一同の意識がそちらに向くと、そこにはホゲータが、地面から顔を出す白い顔を見つけた。
「白いディグダ?」
「いや、ウミディグダだ」
「ウミディグダ…?」
その時、アメリに【ウミディグダ】と呼ばれたポケモンが、にゅ~っと長い体を出してきて、リコ達はそれに驚きながら、スマホロトムで情報を検索する。
『ウミディグダ。あなごポケモン。みずタイプ。ディグダに似ているが、まるで別の種類のポケモン』
「そうなんだ……」
スマホロトムが読み上げる情報を聞いてからウミディグダの方に目を向けて見てみると、そこには【ヤドン】【カムカメ】といった水辺に住むポケモン達が数多くいた。
「おぉ~っ、ポケモンがいっぱいいる!」
「海も砂浜も凄くきれいだし、暮らしやすいのかも!」
「なのだ!!」
「「「うわぁっ!?」」」
「ッ!?」
その時、背後から大きな声が聞こえてきて、とっさに四人が振り返ると、そこにはムキムキの筋肉マッチョな体に海パン一丁で、スイムキャップとゴーグルをつけた男が、ゴミ袋のような姿をしたポケモン【ヤブクロン】と共に立っていた。
「この美しい海をきれいにしているのは、この俺なのだ!日々ゴミを食べるのが好きな相棒のヤブクロンと一緒に、愛する海の美しさを守っているのだ!」
「ヤブー!」
「ビックリした……」
「海パン野郎さん……ここでもか」
「アメリは知り合いなの?……この…この……形容が難しい人」
「海に遊びに行くと大体いるぞ。主にゴミ掃除をしてくれている」
「そう!愛する海のためなら、俺は何でもするのだ!……ハッ、しまった!あんなところにゴミが!行くぞ、ヤブクロン!!」
「ヤブー!!」
そう言って、海パン野郎はヤブクロンと共に踵を返して走り出していった。
「嵐みたいな人だね……」
「よく分からないけど、海をとっても愛してるんだね……」
その時、ロイは海の方から水飛沫のような音が聞こえてきてそちらに目を向けてみると、そこには波を思わせる模様が入った美しい水色のボディが特徴のイルカの姿をしたポケモンがいた。
「皆、見て!」
「あっ、可愛い!」
「ナミイルカ……イルカマンの進化前だな」
「…そう言えば、アメリ持ってたよね。イルカマン……ナミイルカと見分けつかないけど」
そのポケモン──ナミイルカを見て、アメリがその進化系を手にしていることを思い出す。因みに、アメリのイルカマンは今アメリの実家で休暇を過ごしており、今アメリが連れているポケモンはグレンアルマだけである。
ランドウは、海からジャンプをするナミイルカ達をみて、一言。
「ホゥ……久し振りじゃのう」
その後、リコ達はそれぞれ自由に海を満喫していた。ポケモン達は砂浜で寛ぎ、リコはシュノーケリングで海中を泳ぎ回るナミイルカを眺め、ロイはナミイルカの背鰭に捕まり海を泳ぎ回る中、波打ち際で海に足をつけていたアメリは、フンスッという効果音がつきそうな様子で意気込んでいた。
(…まさか、休みを利用して来たビーチにイルマがいるとはな……否、まさにこれこそチャンスではないか!イルマはライジングボルテッカーズという冒険家集団と旅をしていることであちこち飛び回っていることで会える機会が全くないのだ。ならば、この機会を使ってイルマとグッと距離を縮め……)
皆様はお気付きだろうか?そう、オレンジアカデミー副生徒会長にしてチャンピオンランクのアメリは、幼馴染みのイルマに恋をしているのだ。
恋をした敬意については脱線してしまうので省くが、アメリは自身の恋を成就させるために、ブレイブアサギ号に乗って世界を旅している事で会うことが出来なかったイルマと距離を縮め、その果てにイルマと恋人同士になろうと考えているのだ。
「ひゃあんっ!!?」
その時、アメリの背中に冷たい水が掛けられ、アメリは思わず艶やかな声を上げて後ろを振り返ると、そこには海水に足をつけるイルマの姿があった。
「…フフフッ、アメリ。一緒に遊ぼう?」
「~~ッ!あぁっ、イルマ!お返しだ!!」
「わぷっ!?」
イルマの笑顔にトキメキつつ、アメリは手を使い、イルマに海水を掛ける。
『デレデレしてんなぁイル坊の奴…また後でリコが怖くなるな』
サングラスをかけ、ワイングラスに入れられた木の実のトロピカルジュースを飲みんでいたフクスローは、そんなキラキラ空間を作るイルマとアメリや、砂浜でこの辺りに生息している【ブイゼル】や【フローゼル】とおいかけっこをして遊んでいるニャオハ達の様子を眺めていた。
その時、フローゼルと鬼ごっこをしていたオーガポンは、ふと気配を感じて後ろを振り返ってみると、そこには真っ白い羽をした蝶の姿をした【ビビヨン(ひょうせつのもよう)】が飛んでおり、それを見たオーガポンはビビヨンに興味を引かれたのか、フローゼルからビビヨンを追いかけ始めた。
「ぽに~~!」
「ラル、ラルル!?」
「ぶーいっ!」
『ん……?って、お前らどこに行くのよ!』
「……」
オーガポンを追いかけて、ラルトスとイーブイもオーガポンを追いかけて行ってしまい、それを見たフクスローも、サングラスを掛けたまま彼女達の後を追いかける。その騒がしさに、パラソルの下で昼寝をしていたサザンドラはパチリと目を開けてその様子を一瞥するが、すぐに大きく欠伸をして、再び昼寝を始めてしまった。一緒に追いかける気はないようだ。
『イル坊、オーガポン達がどっか行こうとしてるぞ!イチャコラすんのは後にしていいから、アイツ等を追うぞ!』
「い、イチャコラとかしてな……って、オーガポン!?」
「お、おい、イルマ!?」
フクスローの言葉を聞いて振り返ったイルマも、オーガポン達がどこかへ走り去っていくのをみて、イルマはアメリとの水の掛け合いを止めてオーガポン達を追いかけた。
数十分後。
「……ここ、何処?」
「ぽに~?」
やっとの思いでオーガポンを捕まえたイルマは、薄暗い森の中にいた。走り回っているうちに何処から来たのかも分からなくなっており、イルマは完全に迷子になっていた。
「まぁ…ラルトスがいるから大丈夫ではあるんだけどね。ラルトス、“テレポート”」
「ラルル……ラッ!?」
「へ?」
その時、ラルトスはイルマの背後を見て顔を強張らせ、その様子に疑問を持ったイルマが後ろを振り返ると……
「ブォオオオオオオオッ!!!」
黒い牛の姿をしたポケモン──【ケンタロス・パルデアのすがた】が、物凄い勢いでこちらに向かってきているのだ。ケンタロスは興奮状態なのか、真っ直ぐにこちらに向かってくる。
突然の事にイルマ達は困惑し、反応が一歩だけ遅れてしまい、その間にもケンタロスは物凄い勢いでイルマ達に突撃し……
「───バシャッ!!」
「ブモッ!?」
真横から飛来した紅い影が、ケンタロスに鋭い蹴りを食らわせた。
ケンタロスはズザザザッ!と地面を滑り、イルマ達の前にあるポケモンが降り立った。
「バシャー!」
「このポケモンって……」
『バシャーモ。もうかポケモン。ほのお・かくとうタイプ。強靭な足腰を持ち、30階建てのビルも楽々飛び越すことができる。 炎のパンチで相手を黒焦げにする』
すらりと伸びた手足に脚が羽毛で覆われており、鋭い嘴と一体化した顔に胸から上を覆う二又に分かれた長髪のような羽根など、全体的に鳥人じみた精悍な姿となったポケモン──【バシャーモ】の姿をロトム図鑑で調べたイルマのもとに、凛とした声と共に手が差し伸べられた。
「……大丈夫?」
「へっ?あ、はい……」
そこに立っていたのは、短い銀髪に険しそうな表情を浮かべており、マントを羽織って黒いチューブトップにホットパンツと露出度の高い格好をしていた女性がイルマに手を差し伸べており、イルマはその他を取って起き上がる。
「…こっち」
「えっ?」
「バシャ」
「くふぅ」
「ぽ?」
「いーぶい……」
その女性は、自身の手持ちと思われるバシャーモと共にイルマの手を握ったまま歩きだすと、イルマは困惑しながらもそれについていくと、いつの間にか森を抜けて、ビーチに戻ってきた。
「でっ、出れた……!?」
安心してイルマが大きく息を吐いていると、銀髪の女性がギロリという効果音がつきそうな様子でこちらの顔を覗き込んでおり、イルマはビクリと肩を震わせる。
「この森の奥には……最近ある建物が建設されて……ポケモン達が騒いでる。今興味本意で入ったら……ダメ」
「すっ、すみせまん……」
「海の家がある方は……あっち……ちょっと遠い……けど」
「あのっ、ありがとうございました!」
凄い迫力に涙目になりつつ、イルマは女性に礼を言って、思い足取りで歩き出す。
「はぁ~……」
『イル坊、随分と沈んでんなぁ……まぁ、いい年して迷子になるなんて情けない真似してんだから当然だよなぁ。オーガポンのせいだけどな』
「ぽ、ぽにぽに……(うっ、ごめんだへ……)」
「いやいや、気にしてないよ……」
ず~んと落ち込むイルマにフクスローがオーガポンをジロリと睨みながら口を挟み、オーガポンは気まずそうに目を泳がせる。
「アイス食べ……る?」
「ッ!?」
その時、急に目の前にさっきの女性が現れ、ソフトクリームが差し出された。
「わぁ!?さっきのお姉さん!?えっ!?なんで……」
「……間違って……アイス、買っちゃった……から」
イルマが戸惑っていると、女性は続けた。
「それに……人混みで下を向いているのは……だめ」
イルマはハッとした。
(僕が落ち込んでたから、気にして追いかけてきてくれたんだ……)
「下を向いているのが……ダメだったら……」
そう言って、銀髪の女性はイルマの手を引いて歩きだすと、ある場所に連れていった。
そこには、バチンウニやシャリタツといったみずタイプのポケモンが無数におり、イルマが興味をもって近付いても気にした様子はないことから、恐らく人に慣れているのだろう。
「たの……し?」
「はい!楽しいです!でも、お姉さんは?」
「ボク……は、触ろうとすると、ポケモンが……逃げる……から」
女性が身を乗り出すと、バチンウニやシャリタツは慌てた様子で逃げていく。
「あのっ、ポケモンは上から触ろうとすると怖がるから、下から手を差し出すのがコツです!」
少し前に教科書で読んだ情報を教えると、女性が言われた通りにかがんで下からおずおずと手を差し出すと、シャリタツ達はピョンピョンと飛び乗り、集まってくる。
「そうだ!せっかくなので……」
イルマは女性のスマホロトムを貸して貰い、シャリタツ達と共に写真を撮る。
「ボク……手持ち以外のポケモンと写真撮ったの……初めて……」
女性はスマホロトムに撮影された写真をみて、何処と無く嬉しそうにしている。それを見たバシャーモは、女性の肩にポンッと手をおき、女性と視線を合わせると、バシャーモの考えを察したのか、イルマの腕を引っ張った。
「ポケモンを……ボールに戻して……」
「え?」
「海の家は……遠い……この子なら……速くつける」
様々な人が遊んでいるビーチに、紅く巨大なポケモンの影が降り立った。
「す、凄まじかった…」
「大……丈夫?」
「は、はい……」
そのポケモン──バシャーモは、両腕に抱えた女性とイルマを優しく下ろした。30階建てのビルも楽々飛び越すことができるバシャーモに連れていって貰ったイルマは、フクスロー達をモンスターボールから出すと、イルマは改めて女性に礼を言った。
「……あのっ、本当にありがとうございます!迷子になって、落ち込みましたけど……。こうしてお姉さんとバシャーモが親切にしてくださったお陰で、これも一つの思い出にすることが出来ました……!」
「くふぅ」
「ぽに!」
「ラル」
「ぶーい!」
イルマがにこやかに微笑み、フクスロー達が礼を言うように頭を下げると、突如イルマの頭にポンッと手が乗せられた。
「……よし」
イルマの頭を壊れ物を扱うように優しく撫でるその女性は、先程の険しい表情が嘘のように、ほんの僅かに微笑んでいた。
「イルマ!!」
その時、後ろから声が聞こえてきて、イルマがバッと後ろを振り向くと、そこには水着姿のアメリが、切羽詰まったような表情でこちらに向かって走ってきていたのだ。
「アメリ!」
「探したぞ、まったく…!」
「ご、ごめん。でも、親切なお姉さんにここまで連れてきて貰ったから……って、あれ?」
イルマが振り返ってみると、そこには既に、女性もバシャーモも、霧のように姿が消えてしまっていた。
「さっきまで一緒にいたのに…!?」
「幻覚か?イルマ、お前なにか変なものでも食べたのか?」
「いやっ、えっ!?あれ~~……?」
イルマは首を傾げるしかない。だって、さっきのは幻覚でもなんでもないはずだから。
──……へぇ、面白そうだな、あの女…
「ッ!?」
その時、イルマの脳内に、そんな声が聞こえてきた。
辺りを見渡してみるが、同じような声を発するものは誰もいない。
「一体、何だったんだろう…?」
イルマは困惑するように呟いた。
一方、リコ達はナミイルカと泳いでいる間に、海を守るヒーローとして活躍している【イルカマン】と邂逅し、イルカマンの写真を納めようとするカメラマン・スナップ小僧(小僧と呼べる年齢には見えないが)達からイルカマンの凄さを教えて貰い、ロイやホゲータはすっかりイルカマンのファンになっていた。
「そう言えば、イルマとアメリは何処に行っちゃったんだろう…?」
「確かに、さっきから見ないよね」
「フム、ついさっきまで一緒に遊んでいたのは見かけたんじゃがな……」
リコ達は、イルマとアメリの姿が見えないことに気づき、辺りを見渡す。
(もしかして……イルマ、アメリに誘われて何かエッチな事でも起きてるんじゃ……)
そこで、リコは脳裏にモザイク処理されそうな映像が浮かび上がり、顔を青くする。
アメリは性格的にそう言ったことはしない女性なのだが、リコは一度オリーヴァの森でアメリとイルマのハプニングを目の当たりにし、アメリに殺意を抱いていた事があった為、そんな風に考えてしまったのだ。
リコは慌ててイルマとアメリを探すために飛び出そうとした時、男の叫び声が聞こえてきた。
「うわ~~っ!誰か、助けてくれ~~!!」
その悲鳴を聞き、リコとロイは何かあったのかと顔を見合わせ、走り出していった。
「……成る程、言うことを聞いてくれないサザンドラか。お前も苦労しているな」
「そうなんだよね……普段から親睦を深めようとしてるんだけど、中々上手く行かなくて……」
その頃、合流したイルマとアメリは、リコの予想に反して海の家で買ったアイスを食べながら穏やかな雰囲気で、イルマのこれまでの旅にあった出来事や、イルマの手持ちのポケモン達の事の話をしていた。
「どうだ?ポケモントレーナーとして旅をしてみて?」
そんな中、アメリがふとイルマに問い掛ける。
「うん!色々楽しいよ!師匠やリコやロイくん…それにドットさんとか、いろんな人に助けてもらって、自分が成長できてるって感じてるよ」
「よっ…よかったな……」
イルマの口から女の名前が出てきて、アメリはそっぽを向きながら頬を膨らませる。
すると、突如イルマの表情が沈み、ポツリと呟いた。
「……でも、僕はまだ弱いって言うのも痛感してるんだ」
「……」
「く、詳しい事情は言えないんだけど…僕には、どうしても負けられない人がいるんだ。でも、中々勝てなくて……」
これまでの冒険で、イルマはエクスプローラーズの刺客と何度も戦いを続けていたが、未だに戦績は良くない。それを打開するために、“シャドーシュート”や“アイスブレイド”(この技に関してはイルマはよく知らないのだが)といったオリジナル技で工夫をしているが、これでは勝てないという不安がイルマ野にあった。
「『不甲斐ない』、と感じているのか?」
「……うん。アメリみたいにやってみようと思ってるんだけど……」
「私のように?」
「うん。アメリって、オレンジアカデミーに入学して最短記録でチャンピオンランクになったでしょ?ずっと、それを凄いって思ってたから……」
イルマにとって、アメリは大切な幼馴染みであると同時に、憧れでもあった。パルデアでアメリがジム戦を制覇して話題になる度、イルマは誰よりもアメリの活躍を喜んでいた。
そんなイルマの言葉に、アメリは苦笑しながら口を開く。
「…イルマ、お前は私を少し過大評価しているぞ」
「え?」
「確かに、私は異例の速さでチャンピオンランクにのしあがったが、無敗だったわけではない。ジム戦に負けて事だって何度もある」
「……そっか」
「それに、そもそも私が本気でチャンピオンランクを目指すようになった理由は、お前なんだぞ?」
「え?」
「覚えているか?あの日の事を……」
アメリは語りだした。
それは、アメリとイルマがテーブルシティの出会いをきっかけに恋愛小説についてを語り合い、アメリがイルマの家に遊びに来て、サリバン低の庭で遊んでいた時だった。
『あっ!』
『イルマ!?』
『カルボ!?』
園庭を遊んでいたイルマは、日焼け防止のために被っていた帽子を【ココガラ】に奪われてしまう。アメリと、同時はまだ進化していなかったカルボウがイルマに駆け寄ると、アメリはキッとココガラを睨み付けた。
『イルマの防止をかえせ!カルボウ、“ひのこ”だ!』
『カルボー!』
カルボウが炎の球体を放つと、ココガラは慌ててそれを避ける。その拍子に帽子を落としてしまうが、ココガラは直ぐ様“エアカッター”を放つ。
『避けろ!』
指示を聞き、カルボウは地面を転がるように風の刃を避ける。
『“ニトロチャージ”!』
『カルボーー!』
カルボウは炎を纏った突進を繰り出し、それが直撃したココガラは悲鳴を上げながら仰向けに倒れ、目を回して気絶した。
その様子を見たアメリはふぅ、と息を吐き、イルマの帽子を拾い上げて手渡した。
『ほら』
『す、凄いよアメリ!!』
その光景を目の当たりにしていたイルマは、キラキラした目でアメリを誉め尽くした。
その翌日、イルマとアメリはテレビの前で繰り広げられるバトルを食いつくように見ていた。
世界最強クラスのリザードンを相手に激しいバトルを繰り広げるピカチュウの壮絶なバトルに、イルマとアメリは目を離せないでいる。
『凄いな、イルマ!リザードンもピカチュウも!』
『うん!』
お互いに目をキラキラさせて感想を語り合うイルマとアメリだったが、ふとイルマがアメリに問い掛ける。
『そういえば、アメリはチャンピオンになりたいとか思わないの?』
『えっ!?いや、確かになりたいとは思っているけどな……』
アメリはしどろもどろになると、イルマがズイッと顔を寄せる。
『なれるよ!アメリなら!』
『え?』
『ほら、昨日ぼくの帽子をココガラから取り返してくれたでしょ?あんなにすごいバトルができるんだから、きっとアメリならチャンピオンランクになれるよ!』
「その言葉がきっかけで、私は本気でチャンピオンランクを目指したんだ」
「あー……確かにそんなことがあったね……」
幼い頃の何気ない言葉が、アメリのなかでそんな風になっていたとは思わず、イルマは頭に手を当てる。すると、アメリは好戦的な笑みを浮かべながら口を開く。
「私はチャンピオンランクになり、ネモというライバルを得ることができた。だがイルマ、私はそれで満足はしないぞ?」
「え?」
「実は、近々留学に行くつもりなんだ。イッシュ地方のブルーベリー学園にな」
「ブルーベリー学園……ん?」
イルマはその単語を何処かで聞いたことがある気がするが、何処だったか具体的に思い出せない。
「その学園では、今急激にランクを上げている生徒がいるらしい。そこへ行けば、私達はもっと強くなれると思うからな」
「アメリは、もっと強くなろうとしてるんだ……」
「当然だ。それが、ポケモントレーナーの性という物だからな」
イルマはジッとアメリを見る。
アメリの目は何処までも真っ直ぐであり、イルマにはその姿に思わず見惚れてしまうが、直ぐにハッと意識を取り戻す。
「……やっぱり、アメリは凄いよ」
「なにも凄くない、私は私がしたい事をしていただけだ」
何でもないように言うアメリ。
その時、イルマとアメリの耳に、とある声が聞こえてきた。
「ルリーー!」
「「ッ!?」」
二人がその声がした方に目を向けてみると、そこには上に森が生い茂る崖に、青くて丸いポケモン【マリル】が、崖の岩に捕まっていた。
「あんな高いところに…!?」
「イルマ、ここで待っていろ!」
その光景にイルマが驚いていると、アメリはグレンアルマ達を下がらせ、崖の岩に足をかけ、その崖をよじ登っていく。十分もしない内に、アメリはマリルのもとにたどり着き、マリルを左腕で抱き抱えた。
「よし…!イルマ、この子を頼む!」
「えっ!?フクスロー、お願い!」
『任せろ!』
アメリが声をかけると、フクスローは翼をはばたかせて空を飛び、アメリのもとにたどり着くと、背中にマリルを乗せる。
「ッ!?」
その時、アメリの足元の岩場が崩れ、アメリの体が大きく傾き、アメリの体がは崖から離れた。
「アメリッ!!!!」
イルマは血相を変え、ラルトスと共にアメリが墜落して上がった水飛沫の元に飛び込んでいった。
イルマは海に飛び込んで、沈んでいくアメリの腕を掴むと、ラルトスの“テレポート”でフクスロー達がいる砂浜に瞬間移動し、アメリの体を横たわらせる。
「……アメリ!アメリ!!」
イルマが体を揺さぶって呼びかけるも、アメリは何の反応も返さない。
モリーに連絡をしようにも、スマホロトムは手元にない。アメリのパーティのヒーラーであるイエッサンも今はいない。イルマは少し考えるように頭を捻っていると、アメリに視線を戻してやや躊躇うような表情を浮かべるが、直ぐに覚悟を決めてその場で大きく息を吸い込み、アメリに顔を寄せた。
「「くっ/いぶっ/アッ……(あっ……)」」
次の瞬間、目の前で起きた光景に、フクスローとイーブイとグレンアルマが唖然とした表情で呟いた。
「…イルマとアメリ、何処に行っちゃったんだろう…?」
誰も見たことがないと言うイルカマンがナイーブフォルムからマイティフォルムに変身する場面をカメラに写したいと、助けを呼ぶフリをしてイルカマンに変身させようと企んだスナップ小僧達は、助けをも止める役目になった人がガケガニに襲われ、カメラに狙われて変身できなかったイルカマンをニャオハの“マジカルリーフ”で助けた後、イルカマンと伝説のヒーロー・マイティGのお陰でガケガニ達の怒りを収め、スナップ小僧達にもう二度とイルカマンの変身シーンを撮影しないことを約束させたリコは、ニャオハと共に未だに姿を見せないイルマとアメリを探していた。
ビーチの近くにいなかったので、何処か遠くにいるのかもしれないと、ニャオハと共にパラソルを立てた場所からかなり離れた人気のない砂浜にやってきたリコは、遠くの方で特徴的な青い髪と赤い髪をした男女の影を見つけ、表情を明るくして駆け寄ろうとすると……不意に足を止めた。
「えっ…?」
その時、リコは確かに見た。
青い髪をした人物──イルマが、赤い髪の女性──アメリの唇に、自分のそれを重ね合わせているのを。
溺れたアメリの意識を戻す為に、心肺蘇生法を行っていた。しかし、そうなると当然、マウスtoマウスになるわけであり、イルマはそれによる羞恥心を必死に圧し殺しながら、心肺蘇生法を繰り返す。
何度目かの人工呼吸のあと、遂にアメリが水を吐き出した事を確認して、水が気管を塞がないように顔を横に向けさせる。体勢的には完全に覆いかぶさっている状態だ。
やがてアメリの目がパチリと開き、アメリはイルマに覆い被さられ、顔が目の鼻の先にあることに気付き、イルマのアメリが目を覚ましたことを確認すると、自分達の体制の危うさにようやく気付き、2人は反発した磁石のように離れた。
「ごっ、ごごごごめん!いやっ、これは別にやらしいことしようとしたんじゃなくて、命の危機を救うためにっ!」
「ゲホッゲホッ……わっ、分かっている……」
「………へっ?アメリ??もしかしてだけど…意識あったの?」
「朦朧とだが……イルマにキスされていることは……」
そこまで聞いたことで、イルマは綺麗な姿勢でアメリに土下座をした。
「すっ、すみませんでした!!慌ててたとは言えあんなことを……!!!」
「いっ、いや!謝る必要はない……こ、こちらの不注意であぁなったのだし、私を助けようとしたのだろう?」
「でっ、でも僕、アメリに嫌な思いを……」
「いやっ!嫌ではない!!」
「ゑ?」
アメリの答えに、イルマは顔を上げてジーっと、アメリの顔を凝視する。息を整えたアメリは、頬をマトマの実よりも真っ赤にし、潤んだ目をイルマに向けていた。
『こーれは……リコが見たらどうなるか……ん?』
その様子を見て、昼ドラみたいな展開にならないかと考えていたフクスローは、ふと後ろから小さく「ニャー!?」という音が聞こえてきて、フクスローは振り替える。
そこには、フクスロー達に背中を向けて走り去る、黒髪に緑の水着を着た少女と、その少女を追いかけるニャオハの姿があった…。
~アメリ、久し振りの登場~
作者が魔入間の中で一番の推しキャラ。水着のデザインは魔入間94話『夢見るデート』で着用していたものです。
~人工呼吸~
海辺ならこういう展開にしてみようかなと考えてたら、いつの間にかこんか話になっていたした。別にリコがイルマとイチャイチャする回とは言っていない。
イルマとアメリの衝撃的な光景を目の当たりにしてしまい、その場から逃げ去ってしまったリコ。
次回、イルマとリコの間に亀裂が生まれる…?
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