魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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 またもや遅れて申し訳ありません。
 pixivでリクエスト作品執筆の依頼が次々と来て、初めてのR18作品の執筆に苦戦したりと色々と、此方の執筆が疎かになっていました。

 最近のアニポケは本当に面白いです。
 そして、遂にアニポケでキタカミ編で六英雄バサギリに加え、ゼイユとサザレ登場……いつかこうなるとは思っていましたけど、この先この小説で、2人をどう登場させるのかが悩みどころです。スグリはどうしたんだろう?オーガポン出るのかな?と考えながら執筆しています。



イルマ「pixivでは僕が仮面ライダーになって活躍してます。こっちの世界(ハーメルン)でも、ポケモントレーナーとして頑張ります!それでは59話、どうぞ!」


59話 エクスプローラーズの罠

 買い出しに行くなかで、偶然腰を痛めて動けなくなった和菓子店の店長を助けたことで、限定商品の海のディグダ饅を手に入れた後、リコと原因不明の仲違いをしてしまったイルマは、リコを追いかけて船に戻ろうとしていたのだが、そこで謎の果たし状が送られてきて、仕方なしにそこへ向かうと、そこにはなんと、エクスプローラーズの幹部・サンゴが待ち受けており、それに続くようにエクスプローラーズ幹部・オニキスも現れたのだ。

 そして、サンゴの食べ物の恨みと言う名の八つ当たりでバトルを挑まれたが、イルマの中に眠る別人格・悪イルマのお陰で、ラルトスはキルリアに進化し、オーガポン達とのコンビプレイで幹部二人を退けたが、サンゴが口にした「レックウザを呼び出す」と言う言葉を聞いたイルマは、先に船に戻ったフリードに連絡を入れた。

 

 そして、駆け付けたフリードはリザードンと共にエクスプローラーズが去っていった島が、先日イルカマンの写真を提供してくれたスナップ小僧の写真を写り混んだ建物がある島に辺りをつけて偵察に向かって行き、その後イルマ達はフリードの連絡を受け、ブレイブアサギ号のミーティングルームに集まった。

 

「ハッコウシティの港町の近くの島に、不審な建物を確認した」

「スナップ小僧さんの写真と同じ!」

「そして、これなんだが…」

 

 フリードがiPad型のスマホロトムを操作すると、そこには白い建物の周りを飛び回るレアコイルとオーベム…そして緑の長髪をした男の後ろ姿だった。

 その男の姿を見て、リコとロイは目を見開く。

 

「ッ!」

「この人、ハッコウシティでペンダントを奪った…!」

「この人が、あの時リコの記憶を消した…!」

 

 その男と一度対峙したロイとリコが呟いたことで、イルマは写真の男が、以前ハッコウシティでリコの記憶を消してペンダント状態だったテラパゴスを奪った張本人──スピネルであることを察し、忌々しげに写真の男を睨み付けた。

 

「やはりエクスプローラーズか……」

「一体何をしようってんだ…?」

 

 フリード達も難しい顔をしており、イルマは数時間前にサンゴが去り際に言った一言を思い出す。

 

「サンゴは、レックウザを呼び出すって言ってましたよ。これって、もしかしなくても……」

「何らかの方法でレックウザを誘きだして、捕まえるつもりなんだろう」

「けどよ、どうするっつーんだ?レックウザは普通のモンスターボールでゲット出来ねぇのは実証済みだろ?」

 

 バチコの言う通り、かつてエクスプローラーズはレックウザをゲットしようとしていたが、元々ルシアスの手持ちであるレックウザはロイの持つ古のモンスターボールでしかゲットが出来ない。そして、レックウザの古のモンスターボールはロイが持っている。彼らにレックウザのゲットなど不可能に近い。

 

「いや、ボールに入れる必要がないと考えてるのかもしれない。レックウザを洗脳…つまり自分達の味方に引き入れれば、ゲットしたことと変わらないからな」

「洗脳、か……つまり、アイツ等もいるって事か」

「バール……そしてキリヲ。エクスプローラーズの幹部がこんだけ揃ってんなら、モモワロウを連れているアイツ等もいておかしくねぇよな……」

「……」

 

 そう語るリコ達の脳裏に浮かび上がるのは、自身に向かって殺意をもって技を放ってくるレックウザの姿に、フリードですら勝てなかったエレキブルを連れた男・バール…そして、キタカミの里でリコ達を策略に嵌めてゲットしたモモワロウの鎖餅の能力を使い、レックウザを操って自分達にその力を向けさせた男…キリヲの姿。

 あの戦いは、一歩でも間違えたらこちらが全滅していたことは十分にあり得たものであり、彼らの存在もいるかもしれないと言われれば、自然と彼等の顔も険しくなる。

 しかし、だからと言って引き下がるような選択をするはずもなかった。

 

「アイツ等なんかに黒いレックウザを渡すもんか…!」

「そうだね……これ以上、黒いレックウザの力を悪い事に利用させたりなんかさせない…!」

 

 ロイとイルマの言葉に頷きながら、フリードは口を開く。

 

「レックウザを何らかの機械で誘き出すつもりなら、キャップの電撃で破壊できる。こっちから乗り込んだ方が手っ取り早い」

「ピカチュー…!」

『念のため、僕の方で停止プログラムを組んでみるよ』

「それって?」

『どんなシステムでも停止させてみせる……アイツだけは、許せない…!』

 

 スマホロトムからドットの声が聞こえてくる。彼女も、リコの記憶を消すという卑劣な手段を使って一度はペンダントを奪ったスピネルに強い怒りを抱いていた。

 

「分かった、頼むよドット……だが、いつ奴らが動き出すか分からない。俺は直ぐにでも突入する」

「飛行船で近づくと見つかっちゃいそうだね……」

「空から向かっても……」

「気付かれるだろうな……じっちゃん、ボートを出してくれ。目標の反対側から上陸する」

 

 フリードの言葉にランドウが頷くと、ロイとリコが声を上げる。

 

「僕も行く!」

「私も!」

「危険だ。二人はk…」

「いいや、ここは行かせてやろうぜ」

 

 フリードの言葉を遮り、バチコが声を上げる。

 バチコは、みんなの注目を浴びるなか、自身のとなりに座る少年の肩をポンッと叩いた。

 

あッチの弟子(イルマ)が一緒に行く。コイツの実力がエクスプローラーズの幹部が相手でも問題ねーだろうしな」

「ぼ、僕ですか?」

「行かねーのか?」

「……いいえ、やります!」

 

 バチコに促されたイルマが決然とした表情で席を立ちながらそういうと、ロイとリコも頷きながらフリードを見る。その視線を浴びたフリードは、フッと薄く笑う。

 

「……良いだろう。あとのメンバーは船で待機、いつでも発信できるように準備を頼む!」

「ピカピカ!」

「「「「OK!」」」」

 

 フリードのキャップの言葉に全員が頷いたと同時に、ライジングボルテッカーズは動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、フリード・リコ・ロイ・イルマ・ランドウのメンバーは、ランドウの操縦するゴムボートに乗り、スピネルが出入りしていると言う建物がある無人島に向かっていた。

 風と共に水飛沫と潮の香りが顔に当たるが、空は先程までの青い空が嘘のように分厚い雲に隠されて灰色になっており、まるでこれから不吉なことが起こると言うことを予言しているようだ。

 

「……ねぇ、リコ」

「どうしたの…?」

 

 そんな中、イルマは正面に座って無人島を見据えるリコに、静かに声をかけた。先程の事で、二人の間には微妙な空気感が漂っていて、二人とも何処かぎこちない感じがしているのだが、今はエクスプローラーズの件の方が深刻な問題だと二人とも感じているのか、イルマが船に戻ってきたとき程の空気ではなかった。

 

「その…そんな場合じゃないって分かってるんだけど……その、この一件が終わったら、少し話したい事があるんだ……」

「……うん。私も、一つだけ聞きたいことがあるから……」

「「……」」

『…会話、終わっちまったな~。そんなんだから何時まで経っても進展できないのよん』

「ニャー……ニャオハ(リコもイルマも、無自覚に積極的なくせにヘタレなんだから……早くくっついてくれないと、リコが本気で人殺しになっちゃいそうなんだけど)」

 

 互いにこの件が終わった後に話がしたいという約束を取り付けると、そのまま二人は気まずそうにそっぽを向き、会話がなくなってしまった。その様子を見て、フクスローはからかうような言葉を口にしながら溜め息を吐くが、ニャオハはリコのかなり危ない発言を聞いてしまっているため、このままではいつかヤンデレ属性を拗らせたリコが何かやらかすのでは無いかと、フクスロー以上に大きな溜め息を吐いた。

 

 そうしている間にも、全速力で海上を走るボートは、件の島にたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 浜辺にボートを止めたフリード達は、物音を立てないように注意しながら、エクスプローラーズが建設した建物に向かって森のなかを進んでいく。どうやら無人島らしく、人が住んでいる様子はなさそうだ。

 その時、木島に生息していると思われる【ビビヨン】【フラべべ】【ミツハニー】といった野生のポケモン達が、一斉にリコ達とは反対の方向に向かって飛んでいくのが見えた。

 

「あまり人に慣れてないみたい…」

「先を急ごう」

 

 フリードがそう言った時、キャップが声を上げた。

 

「ピカチュー!」

「「「「「シーッ!」」」」」

「ピカ…!」

 

 キャップが慌てて口を抑え、フリードの肩に乗ると、一同は森のなかを進んで行き、やがて木々が生えていない、開けた場所にたどり着いた。

 リコとロイがその建物に目を見開き、イルマはジッとその建物を見上げているなか、フリードは茂みに隠れながらその建物の様子を伺う。

 

「……よし、見張りはいない」

「分かった、行こう」

「…?」

 

 フリードの言葉にイルマは違和感を感じつつも、その建物に向かっていく近づき、入り口と思われる扉の前にたどり着いた。

 そして、扉の前に立ったフリードがドアノブに手を掛けようとした時、その手を制止させるようにガシッと掴む人物がいた。

 

「あのっ、やっぱり何かおかしくないですか?」

「イルマ?」

 

 フリードの手を止めたのは、難しい表情をしたイルマだった。

 フリード達の視線が一斉にイルマに向き、「どう言うことだ?」と尋ねるような視線を向けられて、イルマは建物と不気味な曇り空を見上げながら、先程感じた違和感を口にする。

 

「分かんないけど……何か変です。フリードさんが撮った写真にいた見張りとして飛び回っていたレアコイルやオーベムがいないのもそうですし、ついさっき、もう一人の僕がサンゴのオニゴーリを倒したのなら、僕達ライジングボルテッカーズがここに来てるのはもう知られてもおかしくないのに、レックウザを誘き出す重要な建物に見張りの一人もいないなんて……まるで、この場所を狙ってくれって言ってるみたいで……」

「確かに……言われてみれば変だね」

 

 イルマの言う通り、ここが黒いレックウザを捕獲するための…オニキス曰く最重要任務に必要な施設だと言うのなら、何らかの都合で幹部の面々が不在だとしても見張りの一人もいないのは些か不用心すぎる。

 それに、サンゴがイルマを襲ってきたのはもう数時間も前の事だ。自由奔放を体現したようなサンゴ本人は兎も角、組織の一員として『報連相』の重要性を正しく理解しているであろうオニキスが、イルマ達が来ていることを仲間達に報告する事を怠るとは思えない。今こうして作戦を邪魔をしようしているイルマ達が近くにいるのなら、尚更警備を厳重にするべきだ。

 

「扉の鍵が開いている……恐らく、イルマの直感通り罠の可能性があるな」

「でも、ここにいないとしたら何処に……?」

 

 ドアノブに手を掛けて、イルマの話の信憑性が高くなったとフリードが呟き、ロイがならばスピネル達は何処に行ったんだと表情を暗くする。

 その時、イルマがボールから出して連れ歩いているキルリアが、扉を指差して声を上げた。

 

「…キル、キルキル!」

「キルリア?」

『この扉の奥に、人間の感情を感じるって言ってんぞ』

 

 人の感情をキャッチできるポケモンであり、ラルトスから進化した事で感情をキャッチ出来る範囲が広がったキルリアは、建物の中に複数の生き物の感情をキャッチしていた。

 フクスローが訳してくれた言葉を聞いたイルマは、顎に手を当てながら塔を見上げていると、「よしっ」と呟きながら仲間達に声をかけた。

 

「皆さん…ここは僕が行きます!」

「ダメだ、罠の可能性が高い。ここは俺が先に入って状況を確信してから…」

「僕ならキルリアがいます!罠だとしても“テレポート”で逃げられますし、フクスローやオーガポンもいます!もしここでフリードさんを引き離す事がエクスプローラーズの目的なら、それこそ別の誰かが入るべきなんだと思います!」

「……」

 

 イルマの強い主張…その上、確かにフリードが引き離されてしまうのは不味い。

 

「フリードよ、イルマの言うことにも一理ある。彼の決意も固いようじゃし、行かせてみてはどうじゃ?」

「……そうだな。だがイルマ、消して無理はするなよ」

「勿論!」

『と~ぜんだろ!』

「ぽにっ!」

「キルル!」

「ぶーいっ!」

「イルマ、気を付けてね」

「……」

 

 ランドウの言葉もあって、部屋に入る役目を交代する提案を飲んだフリード。

 イルマはフクスロー、オーガポン、ラルトス、イーブイを引き連れ、サザンドラが入っているモンスターボールを懐にしまうと、扉を空け、中を覗き込んだ。

 

「何もないみたいだね……」

『そうみてーだけど、キル嬢ちゃんも反応してたんだ。確実に何かあるな』

「うん……」

 

 扉の向こうは、家具や器具どころか電灯の一つもない暗い室内を見て、部屋の中を警戒しながらも室内に入り、丁度部屋の中央にまで歩くと、閉まったドアから音が聞こえてきた。

 

──ガチャンッ!

──ピーー!

 

「『「「「ッ!!」」」』」

 

 鍵が閉められたような音が聞こえてきて、イルマと彼のポケモン達がバッと後ろを振り替えると、そこには扉に赤い光が灯っており、明らかに鍵が掛けれていた。

 

「イルマ!イルマ!」

「やっぱり罠だったんだ…!キルリア、“テレポート”!」

「キルッ!」

 

 扉の向こうからドンドンと扉を叩く音と、リコ達が自分の名前を呼ぶ声を聞き、この建物が推理通り罠であったことを看破したイルマは、即座にキルリアに声を掛け、その指示を聞いたキルリアはサイコパワーを集中してこの建物の外へ瞬間移動しようとすると……

 

「ブラッキー、“バークアウト”」

「ブラッ!!」

「キルゥゥゥゥゥゥッ!!!??」

 

 突如、横から放たれた赤黒い音波がキルリアに直撃し、キルリアは壁に叩きつけられた。

 

「キルリア!?」

「キ……キル……」

 

 イルマが司会不明瞭な中でキルリアに掛けより、その体を抱き起こしてみると、キルリアは強力な技の不意打ちを受けてしまった事で、眼を回して気絶していた。

 すると、暗闇に包まれた部屋の奥から、一人の男とポケモンが現れた。

 

「フリード博士を狙ったつもりでしたが、入ってきたのは貴方だったのは意外ですね……」

「ブラッキ……」

「ッ!」

 

 イルマがその声がした方に顔を向けると、そこには漆黒の体に入った黄色いリングの形をした模様を怪しく光らせるイーブイの八つある進化系の一つでもあるポケモン──【ブラッキー】と、その光に照らされて姿を見せた緑髪の長身痩躯の青年──スピネルであった。

 その姿と、連れているポケモンから、イルマは彼こそがエクスプローラーズの幹部にして、リコの記憶を消すという卑劣な手段でペンダントを盗んだ犯人であることに気付き、目付きを鋭くした。

 

「貴方が、ハッコウシティでリコのペンダントを盗った……!」

「そう言えば、君と関わるのはこれが初めてですね。イルマくん」

「やっぱり、僕の名前も知ってるんですね……」

「えぇ、君は我々エクスプローラーズの中でもそれなりに評価されているんですよ。キタカミの里やバールのレックウザ捕獲作戦での君の活躍は聞いていたので」

 

 ハッコウシティではピネルが雇ったチンピラの相手をしていた為、イルマの発邂逅となるスピネル。

 しかし、初対面だというのに、スピネルがイルマの名前を知っていることに、サンゴからもテラパゴスとは別でボコボコにしたいからという理由で狙われたイルマが不快感を露にすると、スピネルは口調だけは穏やかに、イルマはバールの作戦を潰した要因となった事で幹部内では要注意人物とされていると答える。

 

「サンゴが情報を漏らすのは想定内でした。この部屋は元々、もう一つの障害であるフリード博士を誘き寄せる為のものでしたが……まぁ、入ってきたのが君であるなら良しとしましょう。“テレポート”を覚えているキルリアが倒れた以上、君がここから出る事は出来ませんからね」

「ずいぶん余裕ですね?フリードさんやリコ達には、貴方達エクスプローラーズの作戦を打ち砕けないとでも思ってるんですか?」

「えぇ、勿論。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ッ!?」

 

 スピネルの言葉に、イルマは顔を強張らせる。

 彼の言うことが事実なら、スピネルの作戦はこの建物のなかにフリードを閉じ込めるだけではなかったということになる。既にスピネルという男は、目的を達成するためならどんなに卑劣な手を使うことも厭わない男だと見抜いていたイルマは、ハッコウシティでの所業を思い出して歯を食い縛る。

 電気のない薄暗い空間の中で、そんなイルマの様子を嘲笑うように、スピネルは薄く笑う。

 

「フフフ……そろそろ彼等が、ロイという少年からレックウザのモンスターボールを手に入れている頃でしょうね……」

「ッ!貴方の狙いは……古のモンスターボールだったの!?」

 

 彼のもう一つの目的を明かされ、イルマは背後の扉を振り返った。いつの間にか、イルマの名前を呼んで扉を叩いていたフリード達の声が聞こえなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分前。

 

「イルマ!イルマ!」

「イルマ!大丈夫!?」

「やっぱり罠だったか……だが、“テレポート”で出てこないって事は、中に誰かいるのか…?」

 

 イルマが部屋の中に入った途端に扉の鍵が閉まる音がして、リコとロイは開かなくなった扉をドンドンと叩いてイルマの名を呼び、フリードは何時まで経っても“テレポート”で戻ってくる様子がないことに、やはりこれは罠だったかと表情を険しくする。

 兎に角、リザードンの火力で扉を壊そうとしたフリードがモンスターボールを手に取った時、彼等の上に影が射した。

 

「ッ、避けろ!」

「ピカチュー!!」

「え?きゃあっ!?」

「うわぁっ!?」

 

 咄嗟に反応したフリードがロイの肩を掴んでランドウと共に下がり、フリードの肩から飛び出したキャップがリコに体当たりをするようにその場から離れさせた時、上空から巨大な質量を持った何かが墜落した。

 

ズドォォンッ!!

 

 凄まじい衝撃波が辺りに広がり、モクモク煙が舞い上がる。

 リコ達やポケモン達がその煙に隠れた大きな影に警戒心を露にしていると、その煙から大きなポケモンが、鳴き声を上げながら飛び出した。

 

「ヌンダフル!!」

「あのポケモンって…イイネイヌ!?」

「アイツはキタカミの里にいた筈……まさか、エクスプローラーズが連れ出したのか!?」

 

 そう、そこにいたのは、かつてリコ達がキタカミの里に向かい、オーガポンのお面を取り戻すために激闘を繰り広げた【ともっこ】と呼ばれるポケモンの一体……イイネイヌだったのだ。

 しかし、ともっこ達はオーガポンの真実を知った村人達により、パイモンといった実力者により管理され、無期限奉仕活動を義務付けられていた筈だった。そんなポケモンがこんな所にいる事に、フリードが頭の中で仮説を立てて表情を険しくする。

 その時、リコ達を囲むような位置に、二体のポケモンが上空から降り立った。

 

「マシッキャー!!」

「キチチチチッ!!」

 

「マシマシラ!」

「キチキギスも…!?」

 

 現れたのは、残りのともっこであるマシマシラとキチキギスであった。

 イイネイヌも含め、どのポケモンも並々ならぬ実力を持つポケモンであり、一度対峙した事がある故にその強さをよく知るリコ達は、背中合わせになるような体制を取って、ニャオハ達も臨戦態勢を取る。

 

「皆、一度倒した相手とはいえ油断するなよ!」

「うん!大丈b─」

「ホゲータ、“かえんh」

 

 リコが「大丈夫」と答え、ロイがホゲータに指示を出そうとした時、シュンッ!という音と共に、リコとロイ、そしてニャオハとホゲータの姿が突如、煙のように消え去った。

 

「リコ!?ロイ!?」

「ピカピカ!」

「フリードよ、あれを見るんじゃ!」

 

 突如その場から消えてしまった仲間にフリードが目を見開くと、キャップとランドウがある地点を指差し、全員の視線がそこへ集まると、そこには埴輪のような姿をしたポケモン──オーベムが浮遊しており、フリード達の視線を浴びたオーベムはその場から一瞬にして姿を消した。

 

「オーベム……“テレポート”か…!」

「ヌンダフル…!」

「マシッキャー!」

「キチチチ……」

「でもって、コイツらは俺達の足止め役か……狙いはテラパゴスか、古のモンスターボールか……それとも両方か」

「ピカチュー!」

「あぁ、状況はかなり悪い。」

 

 キャップの言いたいことを察したフリードも、自分達がおかれた状況に内心舌打ちする。スマホロトムで連絡を入れようにも繋がらず、恐らく通話をする余裕がない状況に陥っているのだろう。

 レックウザ捕獲計画を止めるために来た筈が、逆に足止めをされてしまった。リコとロイを連れ去っていったということは、恐らく敵がこの建物を建設した狙いは、自分達の目を欺くと同時に、リコとロイをフリード達から引き離して、テラパゴスと古のモンスターボールを奪うことだったのだろう。スピネルの姿を見て確実に何かあると思い、まんまと嵌められてしまったということだ。

 

「フリードよ、来るぞ!」

「ッ!」

 

 ランドウの警告と共に、ともっこ達の猛毒を纏った攻撃が、一斉にフリード達へ襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほうしゃ”…って、ここは!?」

「ここ、何処…!?」

「ホゲ!?」

「ニャ~!」

 

 イイネイヌに向けて技を出すように指示をしたロイと、炎を吐き出そうとしていたホゲータ、そしてリコは、突如目の前の景色が、建物の敷地内から草原に変わったことに目を瞬かせ、ニャオハもそれに驚きつつも、これがエクスプローラーズの仕業になのだと察して、辺りを警戒する。

 因みにだが、ここは数時間前に悪イルマがサンゴと決闘をしたカビゴンを模した岩がある草原である。

 

 いきなり自分達がこんな場所に来てしまったことに、リコは脳みそを回転させて、その答えに行き着いた。

 

「…多分、キルリアがやってるみたいに“テレポート”で何処かに飛ばされたんだと思う。ひょっとしたら、あの建物に私達が来ること事態が罠だったんじゃ……」

「なら、早く戻らないと!」

 

 ロイの言葉にうなずいたリコが、仲間達に連絡を入れようとスマホロトムを取り出す。そして通話アプリを開き、フリードに連絡をいれようとする。

 

「ニャーッ!!」

「「ッ!?」」

 

 その時、ニャオハがある方向に向かって威嚇するような声をあげたことで、リコはスマホロトムを操作する手を止め、ロイと共にニャオハが威嚇する先に視線を向けると、そこにはいつの間にか、一体のポケモンと一人の人間の姿があった。

 

「悪い…けど、行かさない……」

「バシャ…!」

 

 現れたのは、黒いチューブトップにホットパンツにマントを羽織っているという露出度の高い格好をした短い銀髪の女性と、赤い鳥人の姿をしたポケモン──バシャーモ。

 

「貴女は…!?」

「悪い…けど、テラパゴスと……レックウザの古のモンスターボール……渡して…」

「ッ!この人、やっぱり……」

「エクスプローラーズ!!」

 

 女性のたどたどしい言葉から、リコとロイは彼女がエクスプローラーズのメンバーだということに気付くと、リコはテラパゴスが入っているリュックを、ロイは古のモンスターボールを入れてあるバッグを強く握りしめ、お前達なんかに渡さない!という決意を秘めた目を向ける。

 銀髪の女性は、リコとロイの言葉に答えることはなく、バシャーモを彼女達と向かい合わせるような位置に立たせながら口を開く。

 

「出来ることなら…貴女達を傷付けたくない。大人しく…渡して……」

(えっ?)

 

 リコはその言葉に目を丸くする。

 銀髪の女性の表情は、無表情ながらも何処か悲痛そうな表情をしており、その言葉が本当であるかのように感じられたのだ。これまでエクスプローラーズには良い印象を持っていなかったリコは、その言葉と表情に目を丸くする。

 しかし、だからと言って、素直にテラパゴスと古のモンスターボールを渡せる筈がなかった。

 

「……それは出来ません。私は、テラパゴスの望みを叶えてあげたいから」

「そうだ!このボールもテラパゴスも、お前達には渡さない!」

 

 リコとロイの強い意思を込めた言葉に、銀髪の女性は暫くジッと二人の目を見つめた後、チラリとバシャーモと目を見合わせた。

 

「なら……蹴るよ」

「バシャッ!!」

「ッ!ニャオハ、“マジカルリーフ”!」

「ホゲータ、“かえんほうしゃ”!」

「ニャーー!」

「ホゲー!!」

 

 バシャーモが走り出すと同時に、ニャオハとホゲータは各々葉の嵐と炎を放つ。

 

 ガビゴン岩が目印の草原で、激闘が開始された。




~スピネルの罠~
 アニポケ原作よりも戦力がアップしているライジングボルテッカーズと、この小説のオリジナル設定でレックウザ捕獲にはロイのモンスターボールが必要である事により、リコとロイはフリードから引き離される。

~ともっこ再登場~
 フリードとランドウの足止め役として再登場。
 前々からエクスプローラーズサイドでの再登場は考えていたのですが、アニポケでキタカミ編がやるということなので、アニポケで出たりしないかと少し怖いです。まぁ、バサギリがメインになりそうなので大丈夫かな?と考えてます。



 次回、ライジングボルテッカーズVSエクスプローラーズ&ともっこ戦になります。

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