魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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 またまたお久し振りです。
 pixivとありふれ小説に夢中になりすぎてました(汗)

 魔入りました!入間くん四期が製作決定…!
 三期終了からずっと待ち続けていたこの時が来たことに歓喜しています。プルソンや音楽祭編に登場する悪魔達のCVは誰になるのか……今からでも待ちきれない。

 今回のサブタイトルの元ネタは風都探偵のEDテーマ『罪と罰とアングラ』から。


リコ「エクスプローラーズに古のモンスターボールを奪われた私達がどうするのか……こ、子供と思って甘い目で見たら痛い目に合うわよ。フン!」

イルマ「今度はリコが中の人ネタやるんだね……」

リコ「んなっ!?い、いいいイルマ!?なんでここに!?」

イルマ「いや、ここは本編とは無関係の前書き空間だし、ここ最近よく一緒にいたでしょ?」

リコ「ち、違うからね!別に前回のイルマのキュ○ウィン○が羨ましくて……あっ、ちがっ……コホン、何も言ってないから!」

イルマ「まだ若干クレセ○トが残ってる……でも、ツンデレなリコも新鮮で可愛かったし、僕は良いと思うよ?」

リコ「ッ!!わ、わわ私がっ!?かっ、かわかわかわかわかわ可愛い……きゅう~///」

イルマ「って、えぇっ!?なんでリコ気絶したの!?もう本編始まっちゃうのに……とっ、というわけで、久しぶりの第六十二話をどうぞ!」


62話 龍と罠とアングラ

 数時間前まで、空を覆い尽くしていた灰色の雲が、まるでその部分だけをくりぬいたような大きな穴が空き、そこから青空が覗き、太陽の光が差し込んでくる。

 その大きな穴から降りてくるのは、宝石のような煌めきを放つ蛇のように長い漆黒の体に黄色い模様を持ち、鋭い爪を持つ2本の腕があるポケモンであった。

 

「きりゅりりり……」

 

 龍の姿をした伝説と呼ばれしポケモン──黒いレックウザは、自身が空けた雲の大穴から出てきて高度を下げながら、何かを探しているように視線を右往左往させていた。

 

 そんなレックウザの姿を、灯台の上で眺めている二つの影が、相棒のポケモンと共に静かに見上げていた。

 一人は、かつてレックウザを捕獲寸前まで追い詰めたエクスプローラーズの幹部──バールと、その相棒であるエレキブル。

 もう一人は、色黒の肌にスピネルやバールに程の長身で、腰回りに巻いたベルトによって強調されている豊かなバストをしたクールな印象の女性──【アゲート】と、ハーレムパンツの様な下半身が膨らんでいて、頭には帽子の様なものを被り、帽子の額の部分には3つの点があって唇はタコのような太い唇をしているポケモン…アゲートのパートナーである【チャーレム】が立っていた。

 二人の足元には、スピーカーのような形状の機械が置かれており、

 

「スピネルの思惑通り、隙が出来たな……」

「あぁ、古のモンスターボールもこうして俺達の手に渡ってきたことだし……おい、始めるぞ」

「……」

「んりょ~かい!!」

 

 バールが後ろに向けた視線の先にいたのは、ロイから古のモンスターボールを奪った犯人の内の一人である黒髪の男…アトリとその相棒のワナイダー、そして銀髪の女──【シーダ】と、その相棒のバシャーモであった。

 バールの手に握られているのは、ロイの宝物であり、エクスプローラーズが今回の作戦を開始するためのタスクであったスチームパンクチックなデザインのモンスターボール……レックウザの古のモンスターボールを弄っていると、アゲートはスマホロトムを通話状態にして、何処かに連絡をいれる。

 

「作戦開始だ」

 

 その瞬間、灯台から少し離れた先にある木から、エクスプローラーズ幹部のサンゴを頭の上に乗せたオニゴーリが飛び出した。悪イルマとの戦闘で“じばく”を使ったことで戦闘不能の状態に陥っていた筈だが、どうやらこの短時間で治療を行い、戦闘が可能なまでに復活したらしい。

 

「しゃーーっ!!オニゴーリ、“ふぶき”!!」

「オーニ……」

 

 その指示と共にオニゴーリが口内に冷気を溜め込むと、灯台の下に立っていたオニキスもまた、自身の相棒に指示を出す。

 

「キョジオーン、“しおづけ”だ!!」

「キョー……」

 

 オニキスの指示を受け、彼の相棒であるキョジオーンは両手に塩を発生させ、集める。

 

「オニーーーッ!!!」

「キョーーーッ!!!」

 

 その瞬間、オニゴーリが吐き出した極寒の冷気と、キョジオーンが両手から作り出した大量の塩が同時に発射され、その二つの攻撃が一直線に空中のレックウザに直撃する。

 

「きりゅりりゅりりしぃぃっ!!」

 

 吹雪と塩を受けた場所から爆発を起こしたレックウザは、困惑と怒りが混じったような咆哮を上げる。

 その咆哮を聞きながら、レックウザを見上げていたアゲートは呟いた。

 

「いくら伝説のポケモンといえど、弱点をついた不意打ちは防げまい……ついでだチャーレム、“サイケこうせん”」

「チャーーッ!!」

「バシャー…モ……“かえん”……“ほうしゃ”」

「バッシャーーー!!!」

 

 更にそこから、チャーレムの放ったピンク色の光線と、バシャーモが吐き出した灼熱の炎がレックウザに直撃し、再度爆発を起こす。

 レックウザは再び咆哮を上げるが、アゲート達の足元にある機械から発せられる音波を聞き、再び動きを止める。

 

 その時、リコ達を乗せたリザードンとチルタリスが、翼を羽ばたかせながら灯台のもとへ辿り着いた。

 

「レックウザが!」

「大変!」

「一歩遅かったか…!!」

 

 レックウザの捕獲作戦の阻止が間に合わなかった事に歯噛みするが、そんな場合ではないと意識を切り替える。

 その時、ロイが灯台の上に立つアゲートの足元におかれている機械の存在に気付いた。

 

「見て、皆!あの機械でレックウザを誘き寄せてるんだ!!」

「皆に連絡しなきゃ!」

 

 リコがスマホロトムを取り出し、ブレイブアサギ号の仲間達に連絡をいれる。

 大まかな説明を聞き、通話に出ていたマードック、オリオ、モリーが難しい表情をする。

 

『状況は分かった』

『その機械を何とかしないと……』

『レックウザが危ない』

 

 その時、スマホロトムの画面にドットの顔が映し出された。

 

『停止プログラム、完成した!』

「ドット!」

『けど、ここからじゃ無理。直接そのマシンに接続する必要がある』

「そうか……ならあッチがそれを取りに行くから、フリード達はアイツ等の牽制を……」

『僕が行く!』

 

 バチコがドットのもとへと急行しようと言おうとした言葉を遮ったドットの言葉に、リコ達は驚きを露にする。

 すると、スマホロトムから、ドットの叔父であるマードックの声が聞こえてくる。

 

『危険だ!そんな事、ドットに……』

『リコもロイも…イルマも戦ってるんだ!僕だって……やってやる!!』

「ドット……」

(大きく成長してるな、ドット)

 

 画面の向こうから、前髪をかき上げて闘志を燃やすドットの姿を見たリコ達は嬉しそうな笑顔を浮かべ、フリードはリコ達と関わるようになってから見違えるほどの成長を見て笑みを浮かべる。

 

『クゥ…ッ!よし分かった!俺たちが連れていく!皆、配置につくんだ!!』

『『オッケー!!』』

 

 ドットの決意に男泣きしていたマードックだが、直ぐに気を取り直して仲間達に声をかける。

 

 そうしている間にも、レックウザはオニゴーリとキョジオーンの猛攻のサンドバックりなり続けており、その身体に岩塩が作られ、顔の一部が凍りついていく。

 その様子見て、アゲートはスマホロトムを通話状態にし、近くで隠れているもう一人の仲間に連絡をいれるようにする。

 

「そろそろ最終段階だな……」

「そうか、ならそっちは頼むぜ」

「?どうかしたのか?」

「何、お客さんだ」

 

 バールの視線を追ってアゲートが目を向けると、そこには複数の人間を乗せたリザードンとチルタリスの背中が見えた。

 

「成る程な……ならば、そちらは任せる」

「あぁ、おい出てこいメガネ!!」

 

 バールが大声でどこかへ呼び掛けると、灯台にある螺旋階段に続く扉がガチャリッと音を立てて開くと、チャームポイントである濃い緑色の影と、UFOとテントウムシが合体したポケモンの影、丸ッこい紫色のポケモンの影が現れた。

 

「はぁ~……そんな大声出さんでも聞こえてますよ兄さん」

「モゲゲ~♪」

「知るか、ボケッ!」

 

 その少年──キリヲのため息混じりの台詞にバールひ怒鳴り声で返す。

 そして、バールはエレキブルを一旦モンスターボールに戻し、別のモンスターボールから飛行要員であるジバコイルを呼び出すと、その頭の上に足を乗せ、主人が搭乗した事を確認したジバコイルはフワフワと浮遊し、リザードンとチルタリスの前に立ち塞がった。

 

「おいおい、大事な場面に割り込みはご遠慮願おうか?」

「貴方は…!?」

「へっ、お前か……!」

「リザァ…!!」

 

 ジバコイルの前に立つバールを見て、リコ達は以前レックウザを操って自分達を追い詰めた男の登場に身構え、フリードとリザードンは以前一対一の直接対決で敗北寸前までに追い詰めた男を見て不適な笑みを浮かべる。

 フリードの闘志に気付いたバールは、クイッと顎で地面を指した。

 

「俺とやる気だろ?ポケモン博士。暴れやすい場所に移動してやるよ」

「……へぇ、俺の相手だけで他は放置か。良いのかよ?」

「スピネルの野郎が警戒してるのは、あのイルマとかいうガキとお前だけだからな。それ以外が何しようと無意味、だそうだ。アイツは今、あの島であのガキを相手にしてる頃だろう」

(スピネル……それがあの時の事件の黒幕の名前……)

 

 バールの説明から、リコは今もなお幼馴染みが相手をして入るであろうエクスプローラーズの刺客の名前を聞き、その名を忘れないように記憶するなか、フリードはリザードンの背中の上からバールに話し掛ける。

 

「意外だな。お前が素直に人の言うことを聞くタイプだとは」

「いや?別にアイツの言いなりになったつもりはない。だが、お前をあの時仕留め損なって不完全燃焼だったからなぁ……」

「奇遇だな。俺もお前にリベンジしたいと思ってた所だ!」

 

 そう言って、フリードはランドウとロイをチルタリスの背中に乗せる。流石に店員オーバーなのか重たそうにするチルタリスを横目に、フリードを乗せたリザードンはバールを乗せたシバコイルに視線を向ける。

 

「皆、そっちは任せても良いか!?」

「フリード、大丈夫なの!?」

「どのみち、アイツを倒さないと先に進めそうにないからな……ドットが来るまで、そっちのことは任せる!」

「うん、分かったよ!」

 

 そう言って、リザードンとジバコイルは何処かへと飛び去っていってしまう。

 やがて、チルタリスは背中に乗るリコ達の重みに限界が近付いてきたのかだんだんと高度を下げ始め、それに気づいたバチコはチルタリスに灯台の前の地面に降りて、リコ達がチルタリスの背中から降りると、リコ達の前に一人の巨漢と、巨大なポケモンが立ち塞がった。

 

「黒いレックウザは我らがいただく…!」

「キョー……」

 

 オニキスとキョジオーンが、これから先はいかせないと言うように立ちはだかる。

 その時、浜辺から飛び立ったブレイブアサギ号が、リコ達のいる場所から見えるところまでやって来た。

 

「間に合わせてみせる…!アチゲータ!!」

「ニャローテ、お願い!!」

「アゲー!」

「ニャー!」

 

 進化して体が大きくなったことで、リザードンとチルタリスの背には乗り切れないと言う理由でモンスターボールに入っていたニャローテとアチゲータが飛び出し、二体は臨戦態勢を取った。

 

「オニキスは一時離脱か……キリヲ、最終段階だ」

「はいはい。任せてや~」

 

 アゲートの言葉に呑気な口調で手を振りながら答えるキリヲは、視線をアゲートから、自身のとなりで浮遊するモモワロウに呼び掛けた。

 

「モモワロウ、君の出番や。レックウザに君お手製の餅を食べさせてやるんや」

「オル」

「モゲ!モモゲーー!」

 

 キリヲの言葉とイオルブの声掛けのような鳴き声に、モモワロウは嬉々とした声を上げながら、オニゴーリの“ふぶき”とバシャーモの“かえんほうしゃ”の的になり続けているレックウザに向かって飛び出していく。

 

「きりゅりりゅりりりりりりりりしぃっ!!!」

 

 レックウザが咆哮を上げる。

 それはモモワロウに対してではなく、全身を襲う氷や炎による痛みから来る咆哮だが、レックウザの威容を目にしただけでも震え上がる体をおさえ、モモワロウは毒餅を作りながらレックウザに向かっていく。

 

(コイツを僕にすれば、僕はもっと愛されるんだ!)

 

 モモワロウの脳裡に過るのは、数百年も前にオーガポンのお面を欲しがった、モモワロウを育ててくれたお爺さんとお婆さんの姿であった。

 

 数百年前、モモワロウは子供がいない老夫婦に可愛がられていた小さく臆病なポケモンだったが、“もっと愛されたい”という思いから、自らの毒を固めて作った美味しいくさりもちを振舞った結果、老夫婦はたちまちモモワロウの虜になると同時に、副作用であれも欲しいこれも欲しいと様々なものを欲する欲深い人間にもなってしまった。

 すぐに叶えてやるのが愛される秘訣と考えるモモワロウは、くさりもちで手懐けたポケモン…イイネイヌを使って次の朝には届けさせたので、二人はますますモモワロウを可愛がった。

 そんな変わり映えしない暮らしにも飽きた頃、老夫婦はどこかから聞きつけたキタカミにある世にも珍しい輝くお面すらも欲し、モモワロウは願いを叶えてやろうと、イイネイヌを連れて早速キタカミの地に向った。

 道中にであったマシマシラやキチキギスを連れ、キタカミの里に辿り着いたモモワロウは、イイネイヌとキチキギスにお面を泥棒させてお面を手に入れたが、その時、イイネイヌとキチキギスが殺した異国の男の死に怒り狂ったオーガポンにより、モモワロウは永い眠りにつくことになった。

 

 そして数百年後、イルマ達ライジングボルテッカーズがやって来て、オーガポンのお面を取り戻した直後に目が覚めたモモワロウは、数百年前とは変わり果てた世界に困惑し、手当たり次第に人間を洗脳した。世界は変わっても、お爺さんとお婆さんの願いを叶えてもっともっと愛して貰おうと……

 

 だが、現実は思い通りに行かないのが世の常だということを、精神的に幼いモモワロウは知らなかった。

 そして、洗脳した人々を操ってオーガポンのか面を奪おうとしたところで、オーガポンとイルマに邪魔をされ、テラスタルしたオーガポンの棍棒により、モモワロウとそのお供達は倒れた。

 

 だが、意識を取り戻したモモワロウが目を覚ましたのは、見知らぬ施設と緑の髪をしたキリヲと名乗る青年であり、混乱するモモワロウへ、キリヲのパートナーであるイオルブが、モモワロウに悪魔の囁きを施した。

 

『…オルオル?オルブ、イオール(…お前は人から愛されたいんだろう?それなら、お前の作る毒でキリヲのために黒いレックウザを支配下に納めろ)』

『モゲ……?(どうしてそうするの……?)』

『オルオル、イオル。オルオルブ、イオルブ。オル?(強いポケモンを支配下に加えれば、もうオーガポンなど敵ではない。私達エクスプローラーズは黒いレックウザを手に入れ、お前は強力な味方をつける。利害は一致してるだろう?)』

『モッ、モゲ!モモモー!(そっか、分かったよ!そうすればおじいちゃんとおばあちゃんももっと僕を可愛がってくれるよね!)』

『……オル(……かもしれんな)』

 

 モモワロウをお世話していた老夫婦はもう数百年前の人間だ。故に、もうモモワロウを可愛かっていた老夫婦は既に亡くなっている。しかし、精神的に幼く、永らく眠っていたことで思考が悪賢い子供のままであるモモワロウは、『死』や『寿命』の概念をよく分かっておらず、今でも老夫婦は生きていると思い込んでしまっていた。

 

「モゲゲーー!!」

 

 モモワロウは、オニゴーリとバシャーモの猛攻と、アゲートが発生させている音波によって思うように動けない。臆病なモモワロウはそんなレックウザをみて余裕に思ったのか、モモワロウは自身の殻から、巨大な紫の餅を発生させる。

 

「チルタリス、“りゅうのはどう”!」

「チルーー!」

「ニャローテ、キョジオーンに“マジカルリーフ”!」

「ニャーー!」

「キョッ!?」

「モゲゲッ!?」

 

 しかし、そうはさせるものかとチルタリスが紫の竜の光線を放ち、上空のモモワロウを狙い撃ち、ニャローテはキョジオーンに妨害されてなるものかと莫大な葉の嵐を放ち、キョジオーンを怯ませる。

 紫の竜の波動が飛び、モモワロウはその光線を慌てて回避するが、咄嗟に回避したことで折角作った餅が重力にしたがい海の底へと落ちていった。

 

「させっか!」

「オニ……オッ!?」

「チルッ!」

「こっちの台詞だよ!」

 

 オニゴーリがリコ達の元へ向かおうとすると、そこへチルタリスに乗ったバチコが乱入する。相棒たるジュナイパーが不在のなかで、オニゴーリには相性が悪いチルタリスどこまで出来るのか分からないが、足止めにはなる。

 

 すると、遂にブレイブアサギ号が灯台の真上にたどり着いた。灯台の上にいたバシャーモが攻撃の手を止め、まだレックウザを洗脳できていない状態で相手がここまで来てしまった事に表情を歪めると、そこから何かが落下してくるのが見えた。

 

ボッフーーン!

 

 アゲート達の前に墜落してきたのは、ニドリーナを模したような着ぐるみを着た人物──ぐるみんの着ぐるみを着たドットだったのだ。それに続くように、船から飛び降りたドットのポケモンであるクワッスとカヌチャンが落ちてきて、ぐるみんの着ぐるみをクッションにして降り立った。

 

「な、何だ……!?」

「なんだぁ~?」

「……」

 

 ぐるみんの事をよく知らないアゲートとシーダは困惑したように、アトリは訝しげにぐるみんに注目する。まぁ、突然船から着ぐるみが飛び降りてきたら、誰だって困惑するのは当然だろう。

 立ち上がったぐるみん……もといドットは、自分をクッションにして降り立ったクワッスとカヌチャンに指示を出す。

 

「クワッス、“みずでっぽう”!カヌチャン、“たたきつける”!」

「クワーー!」

「カッ!」

「“かえん”……“ほうしゃ”…」

「かわせ!」

 

 クワッスが水流を吐き、カヌチャンがハンマーを手にしてチャーレムに飛びかかる。バシャーモは炎を吐き出してクワッスの水流を相殺し、チャーレムは俊敏な動きでカヌチャンの攻撃を避ける。

 二人の意識がこちらに向いた隙に、ぐるみんの着ぐるみを脱いだドットは、アゲート達のすぐそばにある機械に向かって走り、スマホロトムを差し込もうとすると……

 

「イオルブ、“サイコキネシス”や」

「イオッ」

「んなっ!?」

「ワナイダー、捕まえろ」

「ワッ!」

「クワッ!?」

「カッ!?」

 

 キリヲの指示を受けたイオルブがサイコパワーでドットを宙に浮かせて拘束し、ドットの安全を心配したクワッスとカヌチャンの隙をついてワナイダーが糸を吐くと、咄嗟に回避したクワッスだったが、カヌチャンは足下が粘着性の糸によって動けなくなってしまった。

 

「いやはや、まさか着ぐるみ着て船から飛び降りて乱入やなんて予想外やったわ」

「んでも~、これで終わりだな」

「…ッ!」

 

 アトリが動けなくなったドットの手からスマホロトムを奪い取る。レックウザ捕獲作戦を打ち破る為の希望が取り上げられてしまった事にドットが顔を強張らせた時、灯台の下から裂帛の声が響き渡る。

 

「アチゲータ、“じだんだ”!!」

「アチーーーッ!!」

「「「「ッ!?」」」」

 

 オニキスのキョジオーンを相手にしていたアチゲータが足を踏み鳴らすと、凄まじい振動が地面を伝い、灯台の上が激しく揺れる。

 

「ニャローテ、ドットを助けて!“マジカルリーフ”!」

「ニャーー!!」

「んなっ!?」

「ワナッ!?」

 

 リコの指示を受けたニャローテが凄まじい葉の嵐を飛ばし、意思を持つように飛ぶ葉の嵐はワナイダーとアトリを中心に襲い掛かり、灯台の上に葉が撒き散らされる。

 その勢いに灯台の上に立つエクスプローラーズが怯んだ瞬間、アトリの手からスマホロトムがこぼれ落ち、イオルブの“サイコキネシス”が解けて、ドットは灯台の上に倒れた。

 

「…今だ!」

「しま…ッ!?」

 

 ドットがスマホロトムを拾い上げて、再びアゲート達の足元の機械に向かって走り出す。“マジカルリーフ”に怯んでいたアゲート達は一瞬だけ反応が遅れ、ドットの行動を許してしまった。

 

「いっけぇえっ!ロトム!!」

 

 スマホロトムの一部がコンセント状に変形し、ドットは勢いよくスマホロトムをスピーカー型の機械に差し込む。そして、スマホロトムのプログラムが機械にインストールされ、その動きが停止した。

 

「よしっ!」

「貴様……!」

 

 スマホロトムを回収したドットは足を糸で拘束されたカヌチャンを助け出して急いでその場から離脱し、灯台の上で腰を下ろした。

 

「やったな、クワッス、カヌチャン」

「カッ……カ~…!」

「うわぁっ!よしよし、怖かったよな!戻れ、カヌチャン!」

 

 カヌチャンは緊張の糸が切れたのか眼に涙を溜め始めたのを見たドットは慌ててカヌチャンをモンスターボールに戻すと、灯台下にいるリコとロイが大きな声で話し掛けてきた。

 

「ドットーー!!」

「やったねーー!」

 

 笑顔を浮かべながら手を振る二人に、ヘアバンドを外して前髪で眼を隠したドットはサムズアップを送って応えた。

 

 すると、機械が止まると同時に黒いレックウザにも変化が現れ始めていた。

 

「モ、モゲゲ……!?」

 

 その時、再び毒餅を生成していたモモワロウは、突如身体の一部が氷と塩に包まれたレックウザがプルプルと身体を動かして、身体を覆う氷と岩塩が砕かれ始めたのを見て、思わず動きを止めてしまった。

 そして、黒いレックウザは咆哮と共に、自信に纏わりついていた氷と岩塩を粉々に砕き、自信の前までやって来ていたモモワロウをギロリと睨み付けた。

 

「……きりゅりりゅりりりりりりりしぃっ!!!!」

 

バシィイイイイイイイインッ!!!

 

「モ、モゲーーーッ!!?」

 

ズドォオオオオオオオオンッ!!!

 

 そして、レックウザの腕の一振りがモモワロウに炸裂し、無防備にそれを受けたモモワロウは隕石の如く落下し、灯台の上に墜落した。

 

「何っ!?」

「モ、モゲ……ゲ……」

「あ~、やられてしもうたわ……」

 

 小規模のクレーターの中心で気絶しているモモワロウを見て、キリヲはつまらなそうに溜め息を吐きながらモンスターボールにモモワロウを戻す。

 すると、滞空するレックウザは口内に紫のエネルギーを溜め込み、それを天高く打ち上げる。その灯台の近くにいた者達が、まるで引き付けられるようにそのエネルギーを見上げると、その紫の光は大量の隕石となって弾けた。

 

ズドォンッ!ズドォンッ!ズドオォオオンッ!

 

 その隕石郡は、ライジングボルテッカーズもエクスプローラーズも関係なく、地上にある者達のもとへと降り注ぐ。

 

「ちっ、ここは一時中断だな!」

「面白くなってきたとこなんだがなぁ……」

 

 着弾と共に巻き起こる爆発に、空中でバトルをしていたサンゴを乗せたオニゴーリとバチコを乗せたチルタリスは慌ててその場から飛び去り、バトルを繰り広げていたフリードとリザードンはリコ達のもとへ向かい、バールとエレキブルはつまらなそうに呟く。

 降り注いだ流星が灯台の上にあった装置を吹き飛ばし、地面に墜落した共鳴発生装置は、続いて降り注いだ隕石によって粉々に砕け散った。

 

「くっ…!今だ、カイデン!」

「カーーーイッ!」

 

 巻き起こる爆発に怯みながらも、ロイはモンスターボールを投げてカイデンを呼び出すと、カイデンは翼を羽ばたかせ、流星群を掻い潜りながらアゲートのもとへとたどり着いた。

 

「カイッ!カーーイ!!」

「なっ、しまった!?」

 

 隕石の爆発に怯んでいたアゲートは、自信の腕に飛び付いてきたカイデンに怯んでしまい、手にしていた古のモンスターボールを落とすと、カイデンはすかさずそのボールを足で掴み、ロイのもとへと戻っていく。

 その時、隕石の一つがカイデンの背中に直撃した。

 

「カッ!?」

「カイデーーンッ!」

 

 溜まらず墜落するカイデンを、ロイは滑り込みながら受け止める。傷だらけになったカイデンは、弱々しくも不適な笑みを浮かべ、ロイに古のモンスターボールを差し出した。

 

「カイ……」

「凄いよ、カイデン!僕の宝物を取り返してくれてありがとう!休んでて!」

「ロイ!!」

 

 そう言いながら、ロイはカイデンをモンスターボールに戻す。

 そこへ、リコとフリードとバチコがロイの元へとやって来て、チルタリスとリザードンがリコとロイの盾になるように覆い被さり、リザードンの頭の上に乗ったキャップが電撃で隕石を打ち落とす。

 

「このぉ!なめんなよっ!!」

「よせ!深追いするな!!」

「相変わらず元気やな~」

 

 その時、近くの木の影から飛び出したサンゴとオニゴーリが、物凄い勢いで黒いレックウザへと突撃する。灯台の上からアゲートが制止の声をかけ、キリヲが笑うのも気に止めず、オニゴーリの上に乗るサンゴは大声で叫んだ。

 

「ふっ飛べぇ!オニゴーリ、“じばく”ゥッ!!!」

「オニッ!オーーーッ!!!」

 

 指示と同時にサンゴが頭の上から飛び出し、オニゴーリは凄まじい勢いでレックウザに突撃する。

 

「きりゅりりりりしぃっ!!」

 

 対する黒いレックウザは、口から紫色の光線──“りゅうのはどう”を放ち、オニゴーリに直撃させる。

 その波動の一撃を受けた瞬間、オニゴーリは凄まじい大爆発を起こし、その爆発に怯んだ黒いレックウザは、その巨大な身体をグラリと崩し、後方へと下がる。

 その先にあるのは──ブレイブアサギ号だ。

 

ズガァアアアアアアアアアアアンッ!

 

 レックウザの背中とブレイブアサギ号が衝突した瞬間、ライジングボルテッカーズを空へ運び続けた飛行船は轟音を立てて一部が破壊された。

 

「「「「「ッ!!」」」」」

「なんと……!?」

 

 リコ達ライジングボルテッカーズはその光景に絶句し、黒煙を上げながら高度を下げていくブレイブアサギ号の後ろ姿を眺め続ける。

 そんな中、体勢を立て直した黒いレックウザは、怒りを露にするように咆哮を上げる。その様子からは、オニゴーリの“じばく”の影響は微塵も感じられない。

 

「ケッ、ピンピンしてやがる……!」

「ここまでか……」

「あぁ、ちょうど迎えが来たみたいだしな」

 

 エクスプローラーズの面々が己の不利を悟り、ここらで引き際かと考えていると、バールの言葉と共にプロペラ機のような音が聞こえてくる。

 エクスプローラーズ一同がその音が聞こえる方角に顔を向けると、そこには大型のヘリが飛んでおり、そこからスピネルが顔を見せていた。

 

「引き上げましょう!古のモンスターボールは惜しいですが、レックウザの実力は分かりました!」

「おう、スピネル。お前、イルマってガキはどうした!負けたのか?」

「…私に質問しないでください」

 

 その言葉と共に、エクスプローラーズは自身のポケモンをモンスターボールに戻し、スピネルが連れているオーベムが“テレポート”で彼らをヘリに乗せると、エクスプローラーズのヘリは足早にその場を離れていった。

 

 すると、煙を上げるブレイブアサギ号が近くの海の上に着水するのが見えて、フリードのスマホロトムに着信が入る。

 

『こっちは無事だ!!』

「マードック!」

『気球はやられたけど、船体の方は大丈夫!』

『ポケモン達もね!』

「よかった!」

「ワシも加勢に行こう」

 

 仲間達の無事にリコ達が安堵し、ランドウとヌオーが船のもとへと走り出す。

 

『お前達は、黒いレックウザを!!』

「分かった!」

 

 フリードが通話を切ると、リコとロイは互いに頷き合い、遥か高くに位置するレックウザを見上げるテラパゴスのもとへと駆け寄り、天空のレックウザに向けて声をかけた。

 

「聞いて、レックウザ!!」

「パーゴー!」

「……」

 

 レックウザがリコ達を見下ろす。

 その威圧感にわずかに気圧されたリコだが、すぐに気を取り直し、言葉を続ける。

 

「私はリコ!ポケモントレーナーです!テラパゴスをルシアスのいたラクアに連れて行きたい!力を貸して!!」

 

 リコの言葉に並ぶように、ロイはつい先程取り返した古のモンスターボールを掲げ、レックウザに向けて声を張り上げる。

 

「レックウザ!!君のおかげで、冒険の旅に出られた!僕にとって、最高の憧れ!だから今、凄くドキドキしてる……僕とバトルしてくれ!!」

「パーゴ!パーゴー!」

 

 続くテラパゴスの呼び掛けを聞き、レックウザは沈黙したままリコ達を見下ろしていると……

 

「……きゅりゅりりゅりしぃぃっ!!」

 

 咆哮を上げ、身構える。

 その様子に、フリードはレックウザの意思を汲み取って笑みを浮かべた。

 

「応えてくれたか……よし、俺達もやるぞ!それにドットもだ!」

「えっ、僕!?」

「クワッ!」

「やるしかないか……」

「ジャナイパーがいねーけど、仕方ねーな」

 

 フリード、バチコ、ドットも参戦し、リコ達の前にニャローテ、アチゲータ、キャップ、クワッス、チルタリス、リザードンが立ち並ぶ。

 

 

「きりゅりりゅりりりりりしぃっ!!!」

 

 そして、レックウザの咆哮と共に、バトル開始の火蓋が切って下ろされた。

 

「よし、二手に分かれる!ロイはこっちだ!」

「うん!行こう、アチゲータ!」

「バチコ、キャップ!ニャローテとクワッスを頼む!」

「あいよ!」

「ピカチュー!」

 

 その言葉と共に、直ぐ様フリードとロイとアチゲータはリザードンの背中に飛び乗り、空を飛ぶ。リザードンの飛行能力であっという間にレックウザの側まで移動したリザードンの上で、フリードとロイが指示を出す。

 

「灯台側まで追い込むぞ!」

「うん!」

「「“かえんほうしゃ”!!」」

 

 アチゲータとリザードンが、共に灼熱の炎を吐き出す。

 レックウザは長い身体をしならせて空を飛び、炎に当たるものかと、その炎が空を切る。

 

「リコ!ドット!オメー等もニャローテとクワッスをチルタリスに乗せろ!」

「うん!ニャローテ!」

「クワッス!」

 

 リザードンと同様に、ニャローテとクワッスもチルタリスの背中に飛び乗り、キャップを頭に乗せたチルタリスは雲のような羽を広げて大空へと飛び立つ。

 

「ピカピカピカ……ピッカーーー!!」

 

 レックウザが尾で迎撃しようとした瞬間、チルタリスの頭の上のキャップが勢いよく飛び出し、その身体に電気を纏って一直線にレックウザに突撃する。

 その身体に飛び付いて駆け上がり、キャップの電気を纏う身体がレックウザの額と激突すると、レックウザは僅かな痛みに動きを止める。

 

「“マジカルリーフ”!」

「“みずでっぽう”!」

「“りゅうのはどう”!」

「ニャーー!!」

「クワーー!」

「チールー!!」

「「“かえんほうしゃ”!!」」

「リザァーーー!!」

「アチーーー!!」

 

 キャップが大きくジャンプして離れた瞬間、葉の嵐、水流、光線、炎がが一斉にレックウザへと襲い掛かる。

 対するレックウザは口内に紫のエネルギーを溜め込み、それを竜の形をした光線として一気に吐き出した。

 

ドオォオオンッ!

 

 中間点でぶつかり合った技が大爆発を起こし、レックウザの視界を覆い隠す。

 その時、煙の中を突き抜けて、二つの影がレックウザに迫ってきた。

 

「アチゲータ、“チャームボイス”!」

「チルタリス、“りゅうのはどう”!」

 

 その瞬間、煙の奥から姿を表したリザードンに乗るアチゲータが歌声、ニャローテとクワッスとキャップを乗せたチルタリスが竜の光線を放ち、反応が遅れたレックウザはその二つが直撃して、爆発を起こす。

 

「やったぁっ!!」

「フェアリータイプの“チャームボイス”に、ドラゴンタイプの“りゅうのはどう”はどっちも効果抜群だ!」

 

 一発食らわせられたことに笑顔を浮かべるロイとフリードだが、爆煙が晴れた瞬間、一瞬で表情を強張らせた。

 

「きりゅりりりり……」

「おっと……少しは本気になってくれたか」

 

 煙の奥から無傷の状態ながらも明確な敵意を宿したレックウザにフリードが冷や汗を浮かべると、レックウザは再び口内に紫のエネルギーを溜め、それを一気に空へと打ち上げ、それが弾ける。

 

「避けろ、リザードン!」

「リザァ!!」

「チルッ!」

 

 リザードンとチルタリスは縦横無尽に飛び回り、降り注ぐ隕石を回避する。

 その時、隕石が降り注いだ風圧で、アチゲータがバランスを崩して、リザードンの背中から投げ出されてしまった。

 

「アチゲータ!!」

「ッ!ニャローテ、蕾でアチゲータを助けて!!」

「ニャッ!ニャーー……!!」

 

 すかさず、チルタリスの背中に乗るニャローテが蔓の着いた蕾を投げ、アチゲータの身体に蔓を巻き付けて引っ張り上げようとするが、華奢なニャローテが体重30キロのアチゲータを引っ張り上げるのは流石に無理があり、まるでブランコのように揺れるアチゲータに巻き付けた蔓を手放すまいとクワッスと共に踏ん張っていると、リザードンがアチゲータを抱えて、再び飛び出した。

 

「大丈夫か、アチゲータ!?」

「アッ!」

「よかった……」

 

 ロイがリザードンの腕の中にいるアチゲータの返事を聞いて安堵していると、レックウザは再びドラゴンタイプ最大の技である“りゅうせいぐん”を放つ。使えば使うほどに特功が下がるというデメリットを持つはずの技はまるで衰える様子を見せず、空を飛び回るリザードンとチルタリスに襲い掛かった。

 

「……!!」

「ヤベ…!チルタリス、“コットンガード”だ!」

「チルッ!」

 

 その時、チルタリスの上空から高速で隕石が降り注ぎ、間に合わないと判断したバチコは防御を指示。

 チルタリスは自身の雲のような羽毛を膨れ上がらせ、その中にニャローテとクワッスとキャップを押し込んだ瞬間、隕石がチルタリスに直撃した。

 

「チルゥッ!!」

 

 着弾と同時に起こった爆発に吹き飛ばされたチルタリスは、地面を転がって倒れる。同時に羽毛から投げ出されたニャローテ達が、リコ達の前で着地した。

 

「ニャローテ、大丈夫!?」

「ニャッ!」

「クワッス、無事か!?」

「クワッ!」

「…ピカチューッ!」

「チルタリス!!」

「チ、チル…」 

 

 リコとドットの言葉に力強く返事をするニャローテとクワッスとは対照的に、キャップとバチコの声に弱々しく応えるチルタリス。“コットンガード”で防御力を上げていたとはいえ、効果抜群の“りゅうせいぐん”の直撃を受けては、流石のチルタリスも大ダメージは免れなかった。

 

「パゴ…」

 

 テラパゴスがチルタリスに心配そうな表情を向けた瞬間、彼のもとに影が差し、それを疑問に思ったテラパゴスが振り替えると、そこにはレックウザの放った一際隕石の一つが、物凄い勢いで迫ってきていた。

 

「あっ、危ない!!」

「ニャッ!!」

 

 リコとニャローテは咄嗟に駆け出し、テラパゴスを守るように前に立つ。

 迫り来る隕石にニャローテが構え、リコがテラパゴスを守るように抱きしめ、衝撃に身構えて目を瞑った瞬間──誰かに抱きしめられる感触がした。

 

ドォオオンッ!!

 

 そして、すぐ近くで隕石が墜落した爆発音が聞こえてくる。

 リコは、何時まで経っても訪れない痛みと衝撃と、風を切るような感覚、自信の身体に回された腕の感触、そして何故か安心感のある温もりを疑問に思い、恐る恐る目を開けた。

 そこには……

 

「はぁ、はぁ……何とか間に合ったみたい……リコ、大丈夫…?」

 

 普段着である白いスーツがボロボロになり、赤黒い染みができた左腕のシャツの切り傷を中心に手から赤黒い液体を溢し、頭から流れる赤黒い液体によって右目を閉じているが、開かれている左目の青い目は真っ直ぐにリコを見据えている。

 

 リコを抱き抱えたその少年と、顔のようになった両手でニャローテを掴んでいる竜──サザンドラの姿を見て、ライジングボルテッカーズの面々は声を上げた。

 

「「「「「イルマ!!」」」」」




・今回の見所

~モモワロウ、洗脳失敗~
 最初は洗脳までしてゲット一方手前までやろうと思っていたのですが、それだとバール&キリヲ登場の話と大差がないと思ったので、原作通りゲットはならず、モモワロウの心情を書くことにしました。


~私に質問しないでください~
 元ネタは仮面ライダーWより仮面ライダーアクセルこと照井竜の名言「俺に質問するな」から。
 因みに照井竜の演者はTV本編では木ノ本嶺浩さんですが、アニメ版の『風都探偵』ではスピネルと同じ古川慎さんである為、互いの声優が判明した時からこのネタを使いたかった。


~イルマ参戦~
 この展開の元ネタは仮面ライダーW22話『帰ってきたT/死なない男』で仮面ライダーアクセルこと照井竜がトライセラトップス・ドーパントこと九条綾に騙されて工事現場で鉄骨の下敷きになったかと思うも傷だらけになって戻ってきたシーンから。
 執筆が終わってから、『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』の影響を自分が思っていた以上に受けていることに今更気付いた作者である。
 どうやってあの状況から助かったのかはまた次回。


 次回はレックウザとの決着です。
 イルマとリコの恋が前進する……かもしれない。


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