魔入りました!入間くん if Episode of ポケットモンスター   作:MTHR

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思ったより早く書き上がったので投稿します。
今回は短めで、原作との絡みは少し薄いです。それから、今度は原作主人公のリコの方が空気、それに加えて少しキャラがずれていると思われます。

今回をもってイルマくんの二体目の手持ちを決めるアンケートは終了致します。
結果、アンケートが一番多く票が入れられたオーガポンが二体目となりました。従って、前回の後書きにも書いた通り本作ではパルデア編とガラル編の間にオリジナルでキタカミ編を書く予定となります。
オーガポンは勢いで候補にいれたポケモンですが、テラパゴスと同じくSVの追加コンテンツのポケモンであり、ガチグマ(アカツキ)やバスラオ(しろすじ)といったヒスイ地方のポケモンがキタカミの里にいるので、アニポケでも六英雄のバサギリの話でキタカミ編になる可能性が高いので少し危ういですが、試行錯誤で書いてみることとします。
また、もしもアニポケでオーガポンがライジングボルテッカーズの手持ちになる展開となった場合には、原作をねじ曲げて替わりのポケモンが加入する事となります(例:セレビィ、ディアンシー)。

それから、その次にイーブイの票が多かったので、イルマくんの三体目の手持ちはイーブイにすることにしました。恐らくゲットするのはガラル地方になるでしょう。

長文になってしまって申し訳ございません。


古のモンスターボールと黒龍
8話 離島での出会い


 アメジオ達エクスプローラーズを退け、その後荒れ狂う嵐を抜け出したイルマとリコ、そしてライジングボルテッカーズ。

 ニャオハと共に最初の一歩を踏み出したリコは、祖母のペンダントの秘密を知る為、そして自分とペンダントがエクスプローラーズに狙われる理由を知る為、決意を新たにしたリコは幼馴染みであるイルマと、フリード達ライジングボルテッカーズに協力を頼んだ。

 当然、イルマとライジングボルテッカーズの答えはyes。ライジングボルテッカーズの仲間入りを果たしたリコとイルマは、リコの母親であるルッカとイルマの祖父サリバンからの報酬を受け取るためにパルデア地方へと向かうのであった。

 

「……まぁ、そんな感じで今は飛行船でパルデアに向かってるんだ」

理事長(祖父)に依頼されて冒険家集団と旅を…君は中々に奇抜な大型連休を過ごしているらしいな』

「アッハハハ……否定できない……」

 

 イルマの部屋として割り振られたブレイブアサギ号の一室で、イルマは現在カロス地方に帰省しているアリスとビデオ通話を行っていた。

 カロス地方に帰省して実家で1日過ごした後、アリスは今後リモートで授業を受けながら、ヒトカゲと共にカロス地方のジム戦に挑戦する旅を始めるつもりらしい。そうして自分の現状を話すアリスに、イルマもこの2日間で起きた濃密な出来事と自分の現状を話す。勿論、リコのペンダントやエクスプローラーズの事は省いて。

 

『それで?パルデアにはいつ頃到着する予定なんだ?』

「それが分からないんだよね。少しトラブルがあって少しペースが遅れてて…」

『トラブル?何があったんだ?』

「あぁいや、些細な事だよ」

 

 苦笑いで誤魔化すイルマに、画面の向こうで訝しげな表情をするアリス。

 エクスプローラーズを撒くために、ブレイブアサギ号は自ら積乱雲の中に飛び込んだ。エクスプローラーズは撤退していったし、船も目立った外傷も無く船員もポケモン達も全員無事だったのだが、流石に無傷で積乱雲を突き抜ける事は出来ず、船の一部が損傷してしまったブレイブアサギ号は、現在カントー地方の沖合いにある小さな島に止めてあり、ライジングボルテッカーズは船を修理する為、しばらくの間この島で暫く過ごす事となった。

 この島にはどうやらフリードの知り合いが住んでいるらしく、フリードは船の修理に必要な物を揃える為にリザードンに乗ってその人の元へと向かっている。

 

『まぁ、そちらも大型連休を満喫しているらしいな』

「満喫…まぁ、楽しんではいるよ」

『そ、そうか。…では、そろそろジムが近いから切る。…は、話がしたくなったら何時でも電話すると良い。君が話したいと言うのなら話し相手になってやろう』

「うん、ありがとう!」

 

 誰もそうは言ってないし、この通話を掛けてきたのはアリスの方であるが、イルマも親友と話が出来るのは嬉しいので特に気にした様子もなく笑顔で頷く。

 やがて通話が切られ、スマホロトムをポケットにしまったイルマは、モクローを肩に乗せて部屋を出る。

 

「あ、そろそろリコの手伝いしないと……」

 

 ライジングボルテッカーズに仲間入りしたはいいが、イルマとリコには船の修理で手伝える事は何もないので、せめて雑用くらいはこなそうとポケモン達へのご飯を用意しようとしていたのだが、その直前でアリスから通話が入ってしまったので、仕方なくイルマはポケモン達への食事用意をリコに任せていたのだ。

 かなり長電話だったのでもう用意は終わっているだろうから、せめて容器の片付けくらいはしようとイルマはモクローと共にリコ達がいる所に向かう。すると、少し歩いたところでイルマはキョロキョロと何かを探すように船内を見渡すリコとニャオハを発見した。

 

「リコ、何か探し物でもしてるの?」

「あ、イルマ。ホゲータ見なかった?」

「ホゲータ?」

 

 リコの話によると、食事の時間になって食事を運んだ時に、何時もなら直ぐに飛び付いてくるホゲータの姿が見えず、こうしてリコはニャオハと一緒にホゲータを探しているらしい。

 

「僕は見てないよ。…でも、あのホゲータがいないなんて少し変だね…。分かった、僕も手伝うよ」

「うん、ありがとう」

 

 そう言って、イルマとリコはパートナーと共にホゲータを見付けようと船内を散策する事となった。

 最初に2人と2体が向かったのは、マードックとイワンコがいるキッチンだ。

 

「いや、見てない」

「ワンワン!」

「ああ、そうそう。キッチンでつまみ食いをしようとしてたのをイワンコに怒られてたな」

「…イルマ、やっちゃダメだよ」

「しないよ!」

 

 マードックから聞いた情報に真面目な顔で注意するリコに、イルマは心外だと言わんばかりにツッコんだ。

 続いて2人と2体が向かったのは、モリーとラッキーのいる救護室だ。

 

「ホゲータか……。展望室は見た?何時もあそこでリザードンの帰りを待っているんだ。憧れてるみたいでさ、この船に居ついたのもリザードンと一緒にいたかったからかもな」

 

 この情報を聞いたイルマとリコは顔を見合わせ、直ぐに展望室に向かった。

 しかし、予想とは裏腹にホゲータは影も形もなく、2人はホゲータの居場所に頭を悩ませていると、ふとイルマが展開されているウィングデッキであるものを見付け、二人は小走りにソレのもとへ向かう。

 

「リコ、これ」

「これって爪痕……しかも外に向かって…もしかして!」

 

 ウィングデッキにあった、外まで続いている小さな爪痕と、その真下にある青い海を見て、イルマとリコは血相を変えて船を降りた。

 船を降りた少し先の浜辺にはホゲータの物らしき足跡があり、それは浜辺をまっすぐに歩いた先にある森へ続いている。

 

「この足跡…もしかしなくてもホゲータ、森の中に行ったんじゃ…!」

「中に入って探すしかないね」

 

 イルマの言葉に、リコは頷く。ホゲータもお腹を空かせているだろうし、万が一に野生のポケモンに襲われでもしたら大変だ。一刻も早く見つける必要がある。

 しかし、リコとしては気になることが一つ。

 

「…イルマ、森の中だけど、その格好で大丈夫?」

「……これしかないんだよ」

「それは…分かってるけど……」

 

 そう、イルマの服装は、セキエイ学園の薄茶色の学生服のままなのだ。流石に動きやすいようにブレザーのボタンは開けているが、森の中を散策するには不適切な格好だ。

 だが、それでも仕方がないのだ。何せイルマは制服(これ)以外の服は一つもないのだ。リコが襲われていたとは言え、ブレイブアサギ号に連れていかれた時に荷造り処か寮の部屋に戻る時間すらなかった為、イルマが持ってきた物といえばスマホロトムと財布、そしてモクローのモンスターボールしかないのだ。この島に町があったら、何でもいいから先ずは服を買った方がいいだろう。

 因みにリコは、肘までの水色のジャケットを白いシャツの上に羽織り、黒の短パンに上の縁が水色のハイソックスを履いているという服装だ。

 

「まっ、まぁそれより、早くホゲータを見つけようか!」

「そ、そうだね」

 

 無理矢理話を切り変え、イルマとリコはモクローとニャオハを引き連れて森の中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中に入ったイルマとリコは、二手に別れてホゲータを探す事にした。

 広い森の中を探すのであれば数を活かして広範囲に探した方がいい。どちらかがホゲータを見つけたら片方に連絡を入れて合流してから船に帰れば良いし、迷子になったとしても連絡をすればいい。船への帰り道が分からなくなれば、空を飛べるモクローに頼んで道を示してもらえばいい。

 そんなわけで、制服姿でホゲータを名を呼びながら森の中を歩いていたイルマは、上空から探していたモクローが戻ってきたのを見て、イルマはモクローを両手でキャッチする。

 

「どう、見つかった?」

「もふ~」

「そっかぁ……」

 

 顔を横に振るモクロー。どうやらこの辺りにはいないらしい。もっと奥に行って探してみようと、イルマが歩みを進ませるが、やはりホゲータは見つからない。

 流石のイルマも少し困った顔をし始めたその時、

 

ゴロゴロゴロゴロ……

 

ドオォンッ!

 

「「ッ!?」」

 

 突如イルマ達の直ぐ近くにある茂みの向こう側から、何かが転がってきて何かに激突した音がした。

 思わずビクッと肩を震わせるイルマとモクロー。10秒程その音がした方を呆然と見ていると、もしかしたらホゲータかもしれないと思ったイルマは、恐る恐るといった風に茂みを掻き分けていく。

 茂みの向こうは他の場所と比べて生えている気が少なくちょっとした広場になっている。イルマが掻き分けた茂みから3~4m程離れた場所にはリンゴが成っている気が生えており、その向こう側には40度程傾いた小さな坂がある。

 そしてイルマとモクローは、リンゴが成っている木の下に、一体のポケモンがいるのを見つけた。

 

「──ワニャ?」

 

 木の幹の側にいたのは、0.6mの小柄な体躯に、水色の体色に赤い目の周りに隈取りに似た黒い模様があり、背びれの左右に細長い楕円状の赤い模様がある二足歩行のワニの姿をしたポケモンであった。そのポケモンの前には、先程の衝撃で木から落ちたと思われるリンゴがちょっとした山になっている。

 

「このポケモンって…」

 

 「ワニ違いだった…」と心の中で呟きながらも、そのポケモンに見覚えがあったイルマはスマホロトムを取り出し、目の前のポケモンを調べる。

 

『ワニノコ。おおあごポケモン。みずタイプ。発達したアゴを持ち、何にでも噛みつく習性。トレーナーも注意が必要』

 

 スマホロトムの画面に表示された内容に、イルマは首を傾げる。

 ワニノコはモクローやニャオハと同じ初心者トレーナー用のポケモンとして有名だが、当然ながら野生の個体も存在する。だが、ここは離島とはいえカントー地方で、ワニノコはジョウト地方のポケモンだ。勿論、ブレイブアサギ号にはワニノコなんて住み着いていない。ここに野生のワニノコがいるのは基本的にあり得ない。

 だとすれば他所の地方から来たトレーナーのポケモンだろうかとイルマが推理し、興味本意で茂みから出てきてワニノコの近くまで歩いていくと、坂の上の方から何かが聞こえて、イルマは「ん?」と音がした方を振り向いた。

 そこには……

 

「ン、ローゥリングーーー!!」

「えっ!?」

「もふぅ!?」

「ワニャ!!」

 

 突然、何かが物凄い勢いで坂を転がり落ちながら、猛スピードでこちらに向かって転がってきているのだ。それを見て、イルマとモクローはすっとんきょうな声を上げ、ワニノコは何故か嬉しそうな声を上げた。

 よく見てみると、その何かは人間だった。まるで連続前転のように転がっていき、どんどんイルマ達との距離を縮めていく。イルマは慌ててその場から飛び退くと同時に、その人間はワニノコがいた木に激突した。

 

ドォオーーーーンッ!!!

 

バラバラバラバラッ!!

 

「え?わーーーっ!?」

「もふぅーーっ!?」

「ワニーーーー!!」

 

 リンゴの木がへし折れるんじゃないかと思う程の衝撃が響き、同時に木に成っていたリンゴがまるで滝のように降ってくる。突然すぎて避ける暇がなかったイルマとモクローは悲鳴を上げ、ワニノコは歓声を上げながらリンゴの滝に飲み込まれる。

 ものの数秒で、人間の倍以上の大きさを持つリンゴで出来た山が完成した。

 

「ぷはっ!ハァ…ハァ…い、一体何が……」

「もっふぅ…」

 

 10秒後、リンゴを掻き分けてイルマとモクローが山の中から顔を出した。肩を上下させて息を整えると、ゴロゴロとリンゴを崩しながらリンゴの山を抜け出す。抜け出したついでに手に取ったリンゴを一つ齧りながら、イルマはモクローを肩に乗せてリンゴの山を呆然と見ていると、突如リンゴの山から二つの影が飛び出してきた。

 

「ストラーイク!!あっはははは!!」

「ワーニャーーー!」

 

「ッ!?お、女の子……?」

 

 飛び出してきたのは、先程のワニノコと、薄緑色の長い髪をした小柄な女の子だった。

 

「あ、あの!君大丈……」

 

 イルマは少女に手を差し伸べようとして、その途中で硬直した。話しかけてもらったのが嬉しいのかキラッキラした目でイルマの顔を覗き込んだからだ。

 少女は突然のイルマの目の前にズイッと顔を近づけ、早口言葉のようにツラツラと喋り始めた。

 

「あたしクララ!この子はパートナーのワニノコ!あんね!マミーの為に木の実採りに来たの!でも勢い余って木にぶつかっちゃった!坂が目の前にあると転がりたくならない?なるよね!もっかいやるから、見てて見てて!」

「えっ、ちょっと…」

 

 踵を返して坂に向かって走り出す少女。ブレイブアサギ号に連れてこられた日並みの急展開に、当然イルマはついていく事が出来ず、爆走する少女の後ろ姿を眺めることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あれ?」

「ニャ~?」

「あ、ごめんねニャオハ。何だかイルマの近くに知らない女の子がいるような気がして……」

「…ニャオ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フゥ…このくらいで良い?」

「うんうん!じゅーぶんじゅーぶん!ありがとう、イルマち!」

 

 何故、自分は迷子のホゲータそっちのけで先程知り合ったばかりの少女の木の実集めを手伝っているのだろう。

 多種多様の木の実を少女が持っていた籠に入れたイルマは、ぼんやりとそんな風に考えた。

 

 再び坂を転がって木の実の木に激突しそうだった少女を何とか止め、イルマと少女はお互いに簡単な自己紹介をした。

 彼女の名前は【クララ】というらしい。とある地方のどくタイプを得意とする女性トレーナーは関係ない。ジョウト地方のポケモン(彼女のパートナー)であるワニノコは、冒険家をしている父が送ってきてくれたものだとか。

 ここにいたのは、先程早口で言っていた様に夕食に使う木の実を集めていた為らしい。だが、何故坂を転がって来たのかと問えば「楽しいから!」と素で返された。どうやら本気らしい。かなり常識に囚われない発送の持ち主のようだ。アリスとはまた違った意味で会った事の無いタイプだ。因みに、「イルマち」というのはイルマが名前を名乗った直後に付けられたアダ名だ。

 

 そして、結局なんやかんやでクララの木の実集めを手伝う事となったイルマとモクロー。今も真面目に行方不明のホゲータを探しているリコに怒られても文句は言えないだろう。

 

「ねーねー、イルマちはなんでここに来たの~?」

「え?あー…僕達の船にいるホゲータってポケモンがこの森の何処かにいるらしくてさ、それで探しに来たんだよ」

「それじゃあ私も手伝う!ホゲ君を探せばいーんでしょ!」

「え?そ、それは大丈夫だよ…」

 

 木の実集めを手伝ってくれた礼だと言わんばかりにホゲータ探しを手伝うと言ってくれたクララに、流石にそれは出来ないとイルマはやんわり断ろうとすると…

 

『ロトロトロト…ロトロトロト…』

 

 イルマの懐のスマホロトムが着信音を鳴らしながら飛び出し、イルマは画面をタッチして通話に応答すると、画面にリコの顔が写し出された。

 

「リコ、ホゲータ見つかった?」

『イルマ…うん。ホゲータは見つけたよ。…まぁ、他にも色々あったんだけど…』

「?どう言うこと?」

『え~っとね……』

 

 リコが苦笑いで説明した内容を要約するとこうだ。

 イルマと別行動でホゲータを探していたリコとニャオハは、食い散らかされた木の実の食べ残しを見つけ、木の実を集めていたポケモン達に自分が犯人だと勘違いされて襲われたらしい。そこで自分達を助けてくれたのは、ホゲータを保護してくれていた【ロイ】という名の少年だったそうだ。

 リコとロイは簡単な自己紹介を済ませた後、リコはイルマに連絡をいれようとしたのだが、そこで再び野生のポケモン達が、現れたそうだ。どうやら彼等が集めていた木の実をホゲータが勝手に食べてしまった為、“いとをはく”でグルグル巻きにされていた所を、偶然そこに居合わせたフリードとキャップのお陰でポケモン達の怒りを静めて貰い、リコ達は木の実を集めてポケモン達に許して貰ったそうだ。

 そして現在、リコはホゲータを連れてフリードのリザードンに乗って帰ろうとしている所らしい。

 

 まさか向こうも木の実集めしていたとは…とイルマが苦笑いしたのは余談である。 

 

『イルマ、今どこにいるの?フリードが迎えに行くって言ってるけど……』

「あぁ、大丈夫だよ。帰り道は覚えてるし、歩いて帰るってフリードに伝えておいてよ」

『そうなんだ…うん、わかった』

 

 そう言って、イルマは通話を切る。そして、ククラに顔を向けた。

 

「聞いてただろうけど…。仲間がホゲータを見つけたみたいだから、僕はそろそろ帰るね」

「そっかぁ…ねぇねぇ、イルマちはまだこの島にいるの?」

「う~ん…船の修理が終わったら出発するけど、それまでの間なら…」

「!じゃあ、明日の朝イルマちの船に行ってもいーい?それで、一緒に遊ぼう!!」

「え?ま、まぁ…うん」

「やったーーーーーーッ!!!」

 

 イルマの返事を聞いて、余程嬉しかったのか両手を万歳して喜びを露にするクララ。

 その姿を見て、何だかおかしくなってきて、思わずイルマも笑う。

 

「じゃねー!イルマちー!」

「ワニャー!」

「うん!またね!」

「もふぅ」

 

 大きく腕をブンブンと振りながら、クララとワニノコは自分の家へと帰っていった。

 

 イルマも手を振り返しながら、ブレイブアサギ号に向かって歩みを進めていく。イルマのもう片腕の中には、木の実集めを手伝ってくれた礼だと言われてクララから貰った木の実が沢山ある。

 

(……はは、何だか色々あって今になって疲れてきたなぁ…)

 

 何だかやけに疲れた気がしてきて、苦笑しながら息を吐いたイルマは、ふと腕一杯に抱えた木の実を見て、何時ものように肩に乗ったモクローに笑い掛ける。

 

「……でも、少し楽しかったね、モクロー」

「もっふぅ」

 

 イルマとモクローはお互いに笑い合い、穏やかな気持ちでブレイブアサギ号へと帰っていく。

 船に戻り船内に入っていくと、貰った木の実をマードックに渡そうと考えて調理場に向かっていったイルマは、途中でニャオハを抱えたリコと鉢合わせた。

 

「あ、イルマ。お帰り」

「ただいま~」

 

 軽く言葉を交わすイルマとリコ。

 すると、当然ながらリコの視線はイルマの腕一杯に抱えられた木の実に向けられ、何故かリコはジトッとした目でイルマを見る。

 

「その木の実どうしたの?つまみ食いはダメって言ってるのに…」

「してないよ!これは貰ったんだよ」

「貰ったって…誰から?」

「クララっていう女の子だよ。今日知り合ったんだよ」

 

 その言葉を聞いた途端、ビシッという音を立てて石のように固まった。しかしイルマはそれに気付かず、森で起きたクララとの出来事を嬉しそうな表情で話す。

 イルマの肩に乗るモクローとリコの腕の中にいるニャオハが「あー、これは修羅場だな」というような表情になっているが、そんなパートナーの様子にも気付いていなかった。イルマもリコも。

 

「まぁそんな訳で、帰り際に木の実をくれたんだ。これからマードックの所に行ってきt……ってイタッ!え?リコ?何でつねって…イタタタタッ!」

「………」

 

 頬を膨らませ、不機嫌全快といった表情でイルマの二の腕をつねるリコ。しかも爪を立てていて、制服越しでもかなり痛い。

 イルマの抗議にも耳を貸さず、結局バチコが夕食だと二人を呼びに来るまで、リコはイルマの二の腕をつねり続けていたのであった。

 

 

 




以前リコの恋愛シーンではNARUTOの日向ヒナタをイメージしていると前書きで書きましたが、早々に前言撤回する事になりそうです…。

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