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「………うそーん」
「さあ、この俺を止めてみろ!」
うん?俺?なんか口調変わったけどまあ、気にしないことにしよう。
スパイダークーラーへと変身した僕は、右足を大きく踏み込む。するとそこを起点にして、床が氷に侵食し始めた。あっという間に会場全体を包み込んだ氷は、クローズの両足をもその場にて固定する。
「んだよ、これ!動けねぇぞ」
続けて右手から蜘蛛の糸を射出し天井に貼り付けると、ターザンのようにクローズに向かって正面から蹴りを放つ。足が固定されているクローズは、腕をクロスしてそれを防ぐが、踏ん張りが効かずそのまま後方へと転倒する。
一度糸を解除して、転がっているクローズへと近づくと、先ほどの攻撃で、足元の拘束が外れていた。そのまま立ちあがろうとするクローズ、このままでは反撃される。
左手で、立ち上がっている最中のクローズの複眼を覆い、近距離で冷気を放つ。
「うわっ、冷た!」
視界を封じられたクローズの足元へ、スパイダーの糸を射出。再び身動きを取れないようにする。
「今度はなんか、ねちょねちょだ!うわぁー、気持ち悪りぃー!」
もう一度糸を天井に貼り付けると、一旦距離を取り立体機動に移行、空中からの三次元攻撃を行う。クローズは、視界が奪われた状態での四方八方からの攻撃に、相当イラついているようであった。
「くっそ、前が見えねぇ!」
ツインブレイカービームモードを出現させたクローズは、こちらの居場所がわからないにも関わらず、あらゆる方向に無茶苦茶に撃ちまくる。とりあえず数打ちゃ当たる戦法だろうが?だが、そんな攻撃では、僕を捉えることは、できない!
腕を大きくスイングし、体重移動と共に軌道変更。クローズの後ろへ回り込むと、左足で無防備な背中へと蹴りを打ち込む。クモの脚力は自身の体長の六倍もの距離を跳躍できる力を持つ。それを人間サイズで攻撃されたなら、相当なダメージだろう。
付近の柱まで吹き飛ばされたクローズの足を冷蔵庫の力で、三度目の拘束。また彼の体全体に冷気を放出、さらに動きを制限する。糸を柱後方の壁へと射出すると、一度クローズの横を通り抜け、壁面に張り付き一度静止。クローズへと狙いを定める。
そして糸を解除し、柱越しにキックを放った。完全に死角からの位置、ここでは、反撃されな……………
「おりゃああああ!」
……………マジかよ!
クローズは体全体を振り回して、柱ごと氷の拘束を破壊した。そのままの勢いで、僕のキックと威力を相殺。上からの攻撃で叩きつけられた僕は、そのまま数メートルほど吹き飛ばされる。
とんだ馬鹿力だ。おそらくハザードレベル上昇の影響だろうが、もうこのフォームの拘束能力は使い物にならないだろう。だが、まだ他にも手はある。
続けてバットとエンジンの能力を持つバットエンジンにビルドアップ。これはバットとエンジンの爆発力を使っての機動戦を重視したフォームだ。
右足に力を込めると、全身のエンジンのマフラーから、排熱が起きる。そのあまりの熱量に、僕の周りの先ほど冷蔵庫の力で生成した氷が、少しずつ解け始める。吹かしは完了、あとは最高速度でぶち抜くだけだ。
「ふっ!」
一気にクローズの前へと躍り出ると、勢いそのままにエンジン部分で膝蹴りを喰らわせる。顎部分にヒットしたそれは、脳を揺らしクローズの思考を鈍らせた。そこへ右腕のバットの羽を模したクローで斬撃を入れ込む。
ツインブレイカーをアタックモードに切り替え、それを防御するクローズ。立ち直りの速さで、奇襲した利点をほとんど潰された。そしてまたも、近接戦へと突入する。
速度もパワーもほぼ互角、さらに先ほどからお互いに攻撃、防御、攻撃、防御の繰り返しで決定打を出すことができない。
拮抗状態に陥るが、これを抜け出すには大技を放つ以外に方法がない。だが、それはクローズも同じこと。お互いに隙を見せたら、問答無用でそこを狙うはず、リスクが大きすぎるんだ。
しかし考えてることが一緒なら、彼もおそらくはこう動くだろう。
あえて一度攻撃の手を緩め、近距離で睨み合う形となる。そして次の瞬間、お互いに後方へと退いた。
そして僕はボルテックレバーを回し、クローズはツインブレイカーにクローズドラゴンをセットする。
重なる
お互いに左腕を突き出しながら、激突する。
ツインブレイカーの蒼龍と、エンジンの灼熱の拳が激突いや、正しくは激突してはいない。蒼炎と激炎の間でスパークが発生し、強力な力場が発生したのだ。拮抗する青と赤、そして限界がきたその二つは僕たち二人を中心に円形に、激しく辺り一面に炎を撒き散らす。
それによって会場中の氷が炎上、台風の通った後のように大量の水粒が、スーツの装甲を打ち付ける。………これで、勝利への条件は整った。
ハチと潜水艦の力を持つ、ハチマリーン。こいつの真価は《水中で》》発揮される。
「また変わりやがった!」
「一潜り、行きますか!」
軽くジャンプをし、飛び込みの要領で地面に向かう。そして衝突する瞬間、僕の体は地面に薄く広がった水面に吸い込まれる。
「はっ?消えたぞ⁉︎」
水中からクローズの慌てる姿を確認する。どうやらこちらのトリックには気づいていないようだ。左腕の部分から、数発の魚雷を発射。クローズの背中に命中する。しかし、それでも気づかない、がそれもそうだろう。
潜水艦は通常の戦艦などとは違い、隠密行動を旨として開発されたものだ。その力を使えば、隠密行動も容易いもの。クローズの背後へと忍び寄り、水面から浮上。体当たりを食らわせる。
「痛って〜、お前地面に潜るとかズルいぞ!」
「頭を使うのも戦い方の一つです、馬鹿みたいに殴る蹴るだけが全てじゃないんでね」
「バカ?今バカって言ったろ!」
「……自分が馬鹿って自覚あるじゃないですか」
「せめて筋肉つけろ!」
………ズレてるよな、やっぱこの人。会話してると人間以外と話してるような感じになる。………まあそれとは別に、決めれるときには決めさせてもらうが。
ハチの羽を展開し、空高く舞い上がる。そして左足から針を展開すると、クローズ目掛けて高高度から自由落下の力も合わせて、鋭い一撃を叩き込む。クローズも右手を振り上げそれに対抗するが、こちらの方が………一手早い。
「ハァァァ!」
「う、うわぁぁ!」
ボルテックフィニッシュが命中したクローズは、そのまま地面に激突、ベルトのダメージ許容量を超え、変身が解除された。
「変身解除により、パンツァービルドの勝利!
勝者、パンツァービルド!」
審判から、俺の勝利が宣言される。
勝った……勝ったんだ、これで一勝一敗あとは………あの人に全てを託す。勝利の余韻に浸り、今にも叫び出したい気持ちであるが、今は体力が疲弊し過ぎている。一旦控え室に戻ることにしよう。
「は〜負けた負けた!完敗だぜ!」
地面に寝っ転がっていたクローズが、突如大声で叫び出した。負けたはずなのに、妙に明るい。何か理由があるのだろうか?
「何で、笑ってるんですか?あなたが負けて、ビルドが勝たないと東都は………」
「ん?んなもん決まってんだろ…………信じてるからだよ、あいつを」
「信じてる?」
「ああそうだ。あいつには守るべきものの為なら、絶対に引くことはねぇ、だから俺は信じてる。あいつは絶対に勝つってな!」
信じる、信頼という奴か。なるほど、思いの力それも仮面ライダーとして必要な一つのピースだ。彼らの強さの理由、それが少し、わかった気がした。
「うん?何笑ってんだよ?」
「いや、ちょっと疑問が解けたというか、心の中でストンと、ピースがハマったというか」
「そうか………そっちの三人目にも伝えとけ。
頭冷やして待っとけってな!」
………………
「……………首を洗って待っとけ、じゃないんですか?」
「え?」
「え?」
やっぱ馬鹿だー!この人ー!
「ローグ」
第三戦、ついに二国の運命を決める試合が始まる直前、僕は廊下でローグとすれ違う。その顔は、やはり大事の試合の前だと言うことで、普段の厳しい表情が、さらに皺を寄せ鬼のような形相になっていた。
まあ、あんなに肩張ってたりゃ神経質にもなるだろ。リラックスという意味でも、僕は彼に右拳を握って向ける。
「………何だこれは?」
「信頼………って奴です。ビルドたちもこうしてたんで」
「………そうか。だがな、」
そう言うとローグは僕の肩に手を置いた。
「それは勝った後に取っておけ」
あっ初めて笑った!
「勝てますか?」
「当たり前だ。必ずこの手に勝利を掴む。大義のためにな」
ここら変あたりの、難波会長と御堂首相のスポーツ観戦してるみたいな空気感好きでした
・オリ主くん
最近光を見せ始めた男その1
元の人格が少しずつだが………
・万丈龍我
戦争してるはずなのに、主人公との戦いは妙に爽やかだった男
そしてやっぱりバカだった。
・氷室幻徳
最近光を見せ始めた男その2
最後に何やらカッコいいやり取りをしていたが、原作と結果は変わらない(無慈悲)
タンク「救いたいとか言っといて、今回タンクのタの字もないじゃん!」
次回はちゃんとタンクくん活躍します。