今回ついに、あの人が動きます
目覚めるプリンセス
「C班はそのまま大通りに編隊を誘導、B班は後退しつつ足止め、A班は他二班が誘導している敵を各個撃破………こんなとこだろ」
ハードガーディアン、そしてパンツァーガーディアンの指揮権の一部を譲渡された僕は、東都の防衛部隊と交戦していた。しかし流石難波の新兵器と行ったところか。
ハードガーディアンは通常のガーディアンと比べて移動速度こそ劣るものの、装甲そしてその火力は比べ物にならないほどの差があった。
そしてパンツァーガーディアン、こちらはハードガーディアンと比べ、武装は胸部に設置された大砲一つのみであるが、遠距離からの支援攻撃に優れており、複数体が合体することで大型の戦車モードへ変形することが出来る。
この二体の編隊を使い、現在都市部へと攻め込んでいるのだが………正直あまり気は乗ってない。
まだ民間人の避難も完全には済んでいないだろう場所に、こんな新兵器を使って侵攻するなど、ホントにうちのじいさんたちは、人の心がないんじゃないだろうか?
まあ、そんなこともあって、今はちまちま時間を稼ぎ、民間人が避難する時間を稼いでいる。他の地区の戦闘には干渉できないが、せめてこの場所にいる人たちくらいは、助かってほしいものだ。
………これがバレたら今度こそ僕の首飛ぶだろうけど。物理的にもね。
憂鬱だ。けど、やるしかない。時期にこの地区の部隊の鎮圧も終わることだし、このまま他の所に…………
「⁉︎」
振動が響いた、地震?いや、これは!
思わず辺りを見回すと、高層ビルや路上に放置された車も小刻みに揺れているのがわかる。いくらかつては、地震大国と言われていた国だからといって、ここまで大きな地震が起こることはない。それならば………人為的な何か……
その時、視界の端で捉えていたモノが大きく動き出した。
「嘘…だろ、スカイウォールが………!」
スカイウォールの壁面の一部が音を立てて動き出し、スライドされる。かつてスカイウォールの惨劇が起こり、その巨壁の現れた中心となった場所、そこに集まった無数の壁面たちは、天高く登り始める。
やがて土煙を発生させながら伸びていくスカイウォール、いやあれはもう壁とは言えない………まさに塔のような形を形成したソレは、怪しげな光を発生させながら、その存在をあらゆる者たちに知らしめていた。
パンドラタワー、かつて繁栄した火星文明を滅ぼしたパンドラボックスの真の力。これを最大限利用するために、国内に散らばった全六十本のフルボトルが必要らしい、というわけで僕も所持するフルボトルを全て回収された。
というかスタークたちの頭は大丈夫なのか?一つの惑星を壊した力をそんな簡単に使うなんて、マトモな思考をしているとは到底思えない。
あくまで見せしめの為……とは言っているが、本当にそれだけで済むのだろうか?
もしものときは…………裏切りを視野に入れた方がいいかもしれない。
…………………うん?
なんか今僕、ナチュラルにめっちゃヤバいこと考えなかったか?自分でも思い返してみて、怖いんだが。最近なんかおかしい、疲れてんのかなぁ?
「はぁー休みてぇ」
結局代表戦の後も満足に休めなかったし、そのうち休暇とってやろう。許可が下りるかどうかは、別にして。ホントブラックだな……まあ仮面ライダーに労働基準法が適応されるかどうかなんて知らんが。
「はぁ、何でこんなに綺麗なんだよ」
日が落ち、戦闘何一時停止した東都の町。こんな大惨事になっていても、今見下ろしている市街地には、夜の闇にいくつか明かりが灯っていた。例え小さく、少ない光だったとしても、あの一つ一つに人の人生がある。そう思うと、何ともやるせない気持ちが押し寄せてくる。
もし戦争がなかったんなら、もっと綺麗な夜景を見られたんだろうか?………考えても仕方ないことだとはわかってる。でも………
すふとそんな考えを遮るように携帯が鳴った。相手は、スタークだ。
『休んでるところ悪いな、新しい任務だ』
「了解です。それで、ついに東都政府に突撃ですか?それともビルドのアジトに殴り込み?」
『…………お前最近過激じゃないか?』
「そうですか?以前からこんな感じだと思ってますけど……」
『……まあ良い。それで次の現場だが、東都と北都の間のスカイロードだ』
「………はい?」
何言ってんだ?この人
『ちなみに時間は明日の朝六時まで。じゃあな、Ciao』
そう言って切れる電話。
うん?次は北都のスカイロード……そっかー任務だからなー仕方ないよな〜うんうんそっか〜
「ふざけんじゃねぇぞ!」
夜中なのに大声で叫んでしまった。だけどこれは流石に我慢できん!
わざわざ東都の中心部近くまでやって来たんだぞ、こっちは!
それを今から国境のスカイウォール周辺まで来い?一体何時だと思ってんだ!それにお前らがフルボトル回収したせいで、空も飛べないんだぞ!
おまけにパンツァービルドは他のライダーに比べて重いし、高速移動も少ししかできねぇし、誰がそんなこと………あ、一人いたわ、やってた奴。
クローズやってたなー……えっ?それを僕にやれと?あの筋肉馬鹿と同じことを?
…………………やるしかないよなー
「あっけないねえ……ゲーム終了だ。ボトルを頂こうか」
着いた頃には戦闘終わってたんだが………
もしかして、嫌がらせで呼び出された?
いや、あり得る。スタークの性格なら普通にあり得るぞ。
にしてもどうしよう?今頃出ていってもやることないし、ここはこのまま一旦退却───
「まだ終わってない!」
あっビルドが来た!
ビルドがラビットラビットフォームに変身。近寄ってきたハードガーディアンを容易く撃破する。
「…俺は敵も味方も死なせないと言った、愛と平和を掲げて戦うと誓った。それは綺麗事かもしれない。幻想かもしれない、それでも俺は…………みんなを守って、戦いたいんだ」
「どいつもこいつも……お前の戯れ言に付き合う気はねえ。けど……みーたんにお願いされちまったからなぁ、しょうがねえ。お前らと一緒に最速で戦争を終わらせてやるよ心火を燃やして…ぶっ潰す!」
どうやらまだ続くらしい。さて、僕も行くか。
「変身」
ビルドとグリスはブロス兄弟と交戦、クローズはスタークの相手をするようだ。ブロス兄弟の連携を俺が止めるのは不味い、ならばここは必要ないかもしれないが、スタークの相手をするとしよう。
「お前、いたのかよ!」
「居たら悪いんですか?」
ツインブレイカーの突きを往なし、クローズへ一撃。そこへスタークがライフルモードで弾丸を一発打ち込む。倒れ込んだところに、大振りのパンチを叩き込むが体を回して回避される。
腕で殴りつけた地点を中心に、無数の地割れが起こる。地面殴るってライダーシステム使ってるとはいえ、普通に痛いな。続けてその場で片足を着き、パンツァーキャノンを展開する。
以前までとは違い、その場で静止しての砲撃なので命中精度が上がっているはずだ。まずは右足を狙って動きを止める。
砲撃が当たることはないが、それを躱わすために回避に徹さなければならない。そこへスタークが切り込んだ。意外と連携取れるもんだな、僕たち。
パンツァーキャノンを折り畳み、もう一度近接戦を行う。頭部へのツインブレイカーへの一撃を首を傾げて回避、腕の上がった左脇に蹴りを放つ。しかしクローズは、伸ばしていた左腕をそのまま下に振り下ろし、僕の足を殴りつける。
「うぉっ!」
バランスを崩し、地に手をついてしまうが、クローズも膝を曲げて、体勢が低くなる。そこへ体を時計回りに回し左足で、頭部を蹴りつけた。吹き飛ばされたクローズは、片足をつき蹴られた部分を庇う。
今ならいける!
そこへ左腕の大振りを放つが、突如クローズがそれを受け止め、鳩尾に一発決めてきた。
「くっ!」
「しゃあ!」
互いに距離を取った僕たちは、ベルトに手を掛ける。
パンツァーフィニッシュ!
間合いをとり、お互いに左手を構える。ビルドたちの戦闘は先ほど終わりを迎えた。ならばこの一撃で、この戦場の勝者が決まる!
互いに一歩踏み込む。
そして蒼炎と砲弾が放出され────
突如届いた声に、思わずそちらを振り向いた。
「調子に乗るなよ!」
「……石動美空」
石動美空を拘束した雷が、こちらに歩いてきた。強化された成人男性の力には、抵抗出来ないのだろう。そのままビルドたちに要求した。
「ボトルを寄越せ!早くしろ!」
雷の要求に、戸惑っているビルドたち。人質が居たのなら、彼らも下手に手は出せまい。僕に出来ることは、この状況を見守ることだけだが………彼女はスカイウォールに穴を開けた謎の力を持っている。油断する訳には─────
─────瞬間、全身の鳥肌という鳥肌が立ち上がった。
目を見開いた石動美空、その目は異質な雰囲気を纏っていた。鮮やかで透き通るようなエメラルド色の瞳、その目を見た瞬間。頭の中で僕の本能が警鐘を鳴らす。
なんだこの恐怖は?今までのどんな相手よりも、命の危険を感じている。この人生の中で、一番と言えるほどの畏怖を彼女に感じていた。
そして、彼女は隠された力を曝け出した。身体中から放出される黄金のオーラ、それにより彼女を拘束していた雷が吹き飛ばされる。そして、ゆっくりと彼女は口を開いた。
『我が名はベルナージュ、火星の王妃………』
確かに声は聞こえた。だがまるで、頭に直接語りかけてくるような、今までに感じたことのないような、脳が無理矢理理解しているような感覚に陥った。
そして彼女は、ゆっくりと僕に手を向けた。
「うっ、あ、あぁぁぁぁぁ!」
全身を駆け巡る黄金のオーラ、なぜか心落ち着く感覚に陥るが頭の中にいるナニカが、それを激しく拒絶する。脳の中で起こる二つの感覚の衝突、それが痛みとなって僕の体に訴えてきた。しかし、だんだんと意識が薄れ…………………
──────起きろ
なんだ?
──────起きろ
誰かいるのか?
──────起きろ
あんたは誰なんだ?
──────起きろ
「…………ここは?」
目を開けると、目の前に大きな洋館があった。
ぐるっと周りを見渡すが、敷地面積はかなり広く、軽く東都官邸ほどはありそうな大豪邸だ。
今の一瞬でどこかに移動したのか?だが、なぜ俺一人だけ?
『今日からここがあなたの家よ』
「!」
突如、目の前に一人の女性と彼女に手を引かれる少年の姿が現れた。しかし二人の姿はすぐに消え、その場に無数の光の粒子のみが残る。
なんだ今のは、一体誰がこんな…………いや、俺はあの二人を知っている?
なんだ、彼らは一体……?
すると突如、目の前の光が屋敷の中に向かい始めた。それを追って、屋敷の扉に手を掛ける。すると、石畳の玄関が目に飛び込んできた。
『初めまして………お兄様』
今回見えたのは、先ほどの二人に加え、包帯を巻いたクマのぬいぐるみを抱えた一人の少女の姿。少年と少女は互いに右手を出して、握手をしている。
そして再び移動する光の粒子。続けてそれが向かったのは、ステンドグラスが飾られた階段の前だ。
『大丈夫、あなたは……一人じゃない』
少年を抱きしめる女性、その身に纏う高級そうなコートを床につけながら、だ。
「………なんで忘れてたんだ」
瞬間、俺の脳内にあらゆる記憶が溢れ出した。
この家のこと、目の前の厳しくも優しい義母のこと、初対面の頃からずっと俺を受け入れてくれた従妹のこと、そして目の前で大粒の涙を流している少年のこと。
全て、今の俺という人間を作ってくれた大切なピース。ああ、これはあの日の記憶だ。この少年───かつての俺が、初めてこの家に来た日の。
しばらく、頬を流れる涙の存在に気付かなかった。慌ててそれを拭うが、足元のカーペットに随分と水滴が落ちている。どうやら相当前から泣いていたらしい。
しかし、なぜこんなところに?俺はさっきまで………
「──────気づいたようだな自分が何者か」
上の階から一人の少女、いや女性が階段を降りてきた。エメラルド色の目に、その身に纏う人の上に立つ者としての風格、そして資格ではなく脳が直接理解する、彼女の周りの黄金のオーラ。
「改めて名乗らせてもらおう島田千華。
我が名はベルナージュ、かつて宇宙を蝕む悪意と戦いそして散った、火星の王妃だ」
・オリ主
最近だんだんと感情豊かになってる男
ついに記憶を取り戻した
・スターク
最近オリ主が感情豊かになって、人知れず陰で笑っている男
現在の推しと、かつての宿敵が対面したことで情緒がオーバーフローしかけてる
・ベルナージュ
ようやくお目当ての人物と接触できた火星人
テンション上がって、もう一回自己紹介しちゃった
今は美空の姿を借りて姿を現している
さあ堕ちろよ、堕ちちゃえよ!