てなわけで、本日2話目です
(感じるよ……体の底から溢れてくる力を)
『飲まれるなよ千華、お前には………私がいる』
(分かってるよ、さあいくぞ!)
まず狙うのは前衛を務めるクローズだ。ナックルを使ってのパンチを躱わし、左手で頭部を殴り付ける。怯んだところに膝蹴り、そして追撃のストレート。
一度下がったクローズが、再びナックルで殴り掛かるのをこちらもパンチで相殺。激突したエネルギーの暴発により、お互い後方へと下がる。
「オラァ!」
目に映ったのは、後方より飛び掛かるグリスのヴィジョン。ツインブレイカーの刺突を首を傾げ避け、その剣先を掴む。肘打ちを脇腹へと命中させ、右回転の回し蹴り。
「くっ⁉︎」
動きが崩れた所に、飛び膝蹴り。ガラ空きの胴体に無数のパンチを決め込んで行く。
そして首元を掴み、目の前までグリスを引き寄せ右拳を振るう。
「はぁっ!」
だがその寸前、俺とグリスの間に、一筋の閃光が走った。
グリスから手を離し、バックステップでそれらを避ける。幸い掠りもしなかったものの、後ろの壁に命中したその光は、無数の風穴を開け、朝日を内部へと届かせていた。
「ビルド……」
「次は、俺が相手だ!」
フルボトルバスターを振りかぶりながら、大きく跳躍してきたラビットラビット。体を捻りその一撃を避けると、フルボトルバスターは地面にめり込み、コンクリートに大きな穴を開ける。
返す刀でさらに切り込んでくるビルド、それをバックステップで回避し、距離を取る。得物を持ってる分はあちらがリーチの面では有利。ならばこちらも、それに対応するまでの事。
ドライバーより出現したビートクローザーを右手で掴み、ビルドの一撃を受け止める。互いに鍔迫り合いになり接近、複眼越しにビルドと顔を合わせる。
「どうです?最強の兵器メタルビルドの力は!」
「……違う、ライダーシステムは兵器じゃない!」
「あなたは甘い!これが本当に……愛と平和の為に作られたと思ってるんですか⁉︎」
「何…?」
「失礼、少し口が滑りまし、たぁ!」
ビートクローザーを両手で押し込み、空間を作る。そして上から斬り下ろし、さらに返す刀でさらに斬撃をお見舞いする。
「くぅっ!」
怯んだところへキックを打ち込むと、ビルドは後方の積荷の山へと、背中からダイブした。土煙の中で起き上がろうするビルド目掛けて、大振りの一撃を振りかざす。
「させるかよぉ!」
「万丈!」
「おらぁ!」
だが腕をクロスにしたクローズにより、その一撃は受け止められる。さらに飛び上がってのドロップキックで、後ろに大きく吹き飛ばされた。
「俺も、いるぞぉ!」
視界が安定しない状態で、グリスからの飛び蹴りを打ち込まれる。
思わず体が怯むが、負けじとビートクローザーを前に突き出す。だが、グリスはそれよりも一手早く俺のレンジの中へと踏み込むと、ツインブレイカーによる一突を胸部装甲に命中させた。
「行くぞ龍我!」
「ああ!」
放たれる黄金と灼熱のエネルギー波、ビートクローザーを両手で持ち防御態勢をとる。足元のコンクリートに火花を発生させながら後退しながらも、その攻撃を何とか凌ぎ切った。
だが、少なからずダメージが全身に走った。頃合いとしては、丁度いいだろう。
(……そろそろ使うよ、ベルナージュ)
『良いだろう。だが危なくなれば、私が止めるぞ』
(ああそれで良い、じゃあ行くぞ!)
「まだ動くのかよ……!」
「でもダメージは入ってる。このまま攻め続ければ!」
俺の立ち上がる姿を見て、驚いている二人を捉え、ビートクローザーを投げ捨てる。
一度大きく息をする。そして、自分に言い聞かせる。恐れるな、新たなステージへの進化を、と。
「あぁ、感じる。この力は……そうだ、とてもとてもとても!」
トリガー起動時とは比較にならないほどのエネルギーが、ベルトから全身に供給される。これは決して、居心地の良い力などではない。むしろ人によっては激しい嫌悪感を感じるものだろう。
だが今はこれで良い、いやこれが良い。
これが今は、今だけは俺の存在を肯定してくれている。今の俺は
『やはり起動時の過剰エネルギーには耐えられないか……』
(だが、押したらすぐ気絶していた時に比べれば、だいぶマシだ)
『強がりを………さっさと終わらせるぞ』
(了ー解!)
「なっ!」
「速えっ!」
一気に体勢を低くし、クローズとグリスへと接近。空中に飛び上がりながら、二人まとめて回し蹴りで薙ぎ払う。地面に叩きつけられた彼らには、目もくれない。次は、ビルドだ。
対するビルドはボルトをを切り替え、七台の戦車型ユニットを呼び出した。向けられた無数の砲口が火を噴くが、近くの放棄された機材を盾にしながら移動。俺から狙いの外れたエネルギー弾が、床や柱に着弾し、次々に火花や白煙を上げていく。
青き鋼の戦士、タンクタンクフォームへと姿を変えたビルドは、フルボトルバスターを両手で構え、両足を地面にどっしりと構えた。
そして放たれる砲撃は、障害物を利用しようとも攻撃を躱せるどころか、それもろとも破壊していく。先ほどから動けば動くほど、更地の面積が広がっているようだ。
このまま逃げ回っていても逃げ場が無くなっていくだけ、おまけに数はあちらが多い。
しかし機動力ならば、メタルビルドの方が上だ。
「逃すか!」
フルボトルバスターの連射を、左前に駆け回避しながら、ビルド目掛け前進する。少しずつ、だが確実に距離を潰していく。
そして俺の拳の有効射程に、ビルドが入った。
「ふっ!」
フルボトルバスターの剣先に右手でアッパーを決め、続けて鳩尾に肘打ちを入れる。
ビルドがなおも、フルボトルバスターで斬りかかってくるが、左手で難なく受け止める。
「なっ!」
「振りがぁ、大きい!」
フルボトルバスターの中腹部辺りを殴り付け、地面に落下させる。するとビルドは、両腕のキャタピュラ部分で殴り付けてきた。
無論こちらも腕をクロスし、その一撃を防御する。
衝撃で数歩ほど後退するが、そこにビルドによるパンチが数発叩き込まれる。
体を回転させながら、最小限の動きでそれをいなすと、胸部装甲に蹴りを一撃お見舞いする。
「くぅぅぅ!」
倒れたビルドに近付こうとするも、横からマグマを纏った拳が飛んできた。
「オラァ!」
首を傾げてそれを回避、そのままクローズとの肉弾戦へと移行する。防御の事は考えない、ただ一発でも多くぶつける事に主眼を置く。そしてそれは、クローズも同様のようだ。
互いに何発もの拳を叩き込み、マグマやら黒い火花などが無数に飛び散る。そして最後は正面から拳をぶつけ合い、お互い後方に吹き飛ばされた。
「………強ぇなアイツ!」
「ああ、ここは一気に………!」
立ち上がってみると、ビルドの両サイドにクローズとグリスが駆けつけていた。しかも漏れなく全員が、ドライバーに手を掛けている………そろそろと言ったところかな?
「⁉︎何だ……これは」
「体……が、重……く⁉︎」
「どうなってんだ⁉︎」
ビルド達の全身に、突如スパークが走った。それと同時に、彼らの体は掛かる重力が倍になったかの如く、地面に縛り付けられた。
そう、これは研究所のファントムリキッドを先生が改良したもの。オーバーフローモードへと移行した時、そのエネルギーをメタルビルドの装甲全面に展開、攻撃の際にその成分を対象へ直接打ち込む使用に改良してくれた。
これによりダメージを受けた仮面ライダーを含むネビュラガス被験者は、しばらくの間ガスの効力が弱まり、活動困難な状況に陥るのだ。
まさにネビュラガス特攻と言っても過言ではない力だ。無論、この力を使うのにもリスクがあるのだが、今は一旦置いておこう。
「これで………チェックだ」
レバーを回転させ、ボトル内部のエネルギーを活性化させる。みるみる右足に溜まってゆくエネルギーにより、接地面に僅かながらヒビが作られ始める。
そしてそのヒビの大きさが、半径五メートルあたりになり、クレーターが形成された時、俺はドライバーから手を外し、一発を打ち込んだ。
右足から、戦車のキャタピラ部分を模した黒いエネルギーを放出、蛇のように不規則に動きを変えながら、ビルド達に肉薄する。一撃、たったの一撃のみの命中にも関わらず、ビルド達全員にダメージを与えると、その場にて爆発を起こした。
「うわぁぁ⁉︎」
その衝撃で倉庫の壁が破壊、勢いよくビルド達は外に放り出された。
その後を追いゆっくりと歩み足で外に出ると、アスファルトの地面に這いつくばりながら、変身が解除されたビルド達と、それを見て心底楽しそうに手を叩いているエボルトがいた。
「良い、良いぞメタルビルド!コイツは面白くなってきやがった!」
「なんて……力だ……」
「……まだ、ですか」
あれほどのダメージを受けながら、なおも立ち上がろうとする仮面ライダー達。身体へのダメージも尋常なものではない筈だ。いっそのこと一思いにここで………
ベルトに再び手を掛ける………しかし、
「いや必要ない」
「エボルト?」
「勘違いするなよ?良いもん見せて貰ったからな………今日の所は見逃してやるよ」
俺への褒美はないんかーい!
なんて心の中でツッコミを入れるが、まあ俺もこの人たちとこれ以上戦うつもりなんて無かったし、丁度良いだろう。
ビルド達の横を通り抜け、エボルトの隣に並び立つ。
「せっかく見逃して貰った命だ。せいぜい大切に使いな……Ciao」
瞬間、俺たちの周りが、パンドラボックスと同じような禍々しい光で覆われる。そして一瞬瞬きをした間に、俺たちはパンドラタワー内部に瞬間移動していた。
「どういうつもりだエボルト!なぜ、あそこで奴らを見逃した!」
一緒にワープしてきた内海さんが、エボルトの胸ぐらを掴む。しかし対するエボルトは、さほどそれを気にしていないようだった。
「おいおい、落ち着け。あのドライバーは偽物だった……だが人質を取られていたあいつらが、わざと偽もんを渡すなんて、リスクの高いマネをすると思うか?」
相変わらずの煽るような口調に、若干イラつき始めている内海さん、だがエボルトは気にせず話を続ける。
「となると、本物とドライバーの在り処として考えられるのは、葛城巧しか知らないどこか……そしてその場所はおそらく、奴らが握ってる」
エボルト……ごめん、それやったの実は、俺なんだよね。
自信満々に言ってるけど、隠したのは葛城本人じゃないし、場所も若干違うしね………
「納得したか?じゃあそういう事で、しばらくは休憩だ〜」
エボルトは言葉の後、姿を消した。………どうやら、ちゃんと効いてるようだ。
ちなみに偽物ベルトは回収したよ
(やったね、ベルナージュ)
『浮かれるのはまだ早い。だが、良くやった』
(お、デレてる?)
『誰がデレてるだ、吹っ飛ばすぞ?』
(冗談だよ、冗談)
内海さんと別れ、パンドラタワーの外部に出る。
太陽の日を浴びながら、階段を一歩降りようとしたとき、胸に違和感を感じた。
「うっ…あ……」
激しい痛みが、心臓を中心に全身に走る。思わず立っていられずに、その場で膝を付いた。
………反動が来たようだな。
『大丈夫か?私の力で回復も………』
「いや、大丈夫だ」
『しかし………』
「問題ない、それに今はやるべき事がある」
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