闇堕ちタンクくんの光堕ち   作:傘葉

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最終章第4話見てきました
愛里寿が出てきた時に劇場全体が、「あっ(察し)」みたいな空気になってましたね

てな訳で、全然ガルパン要素のない第19話どうぞ



星狩り族編
正体不明のメッセンジャー


「とりあえずは、ここに隠せば充分かな………」

『まさか体を庇ってまでやる事が、盗品の隠蔽とは………つくづく変わったやつだな。お前』

「これ盗めって言ったのアンタだろ!」

 

 夜の廃墟に、虚しい俺の叫び声が響いた。戦闘の影響で人のいなくなった影響もあるのだろうが、反響した声は想像以上に広がる。一瞬、自分でもびっくりするほどにだ。

 

 瓦礫から手を放し、数回両手をパンパンと払って細かい汚れなどを落とす。そして先ほどまで作業していた瓦礫の上に、大の字で寝っ転がった。

 

「綺麗………だな」

 

 目の前に映る夜空を眺める。そこには懸命に輝く、幾千もの星が暗い世界を照らし出していた。

 

 

 別に特段星空を見たかった訳じゃない。ただ何となく、今は何もしたくない気分なだけだ。

 

 さっきの戦闘でのハザードレベルの急上昇、あの感覚が今でも頭から離れない。段々と体中から溢れるエネルギーに慣れていく高揚感、まるで自分が自分でなくなるような違和感、いつの間にか戦闘を楽しんでいたと気付いた恐怖、今思い返してもその全てが恐ろしく感じている。

 

 ハザードトリガー、こいつの力は桁外れだ。あの葛城先生がビルドの完成形と言っていたのも充分に理解できる。それ相応のデメリットがあることも。

 

「今頃、ビルドたち何してんのかな………」

『エボルドライバーの在処について議論しているようだ』

「ふーん」

『万丈龍我が猿渡一海に掴み掛かっているな』

「………うん?」

『おお、桐生戦兎がハリセン?とやらを持ってきたぞ』

「…………え?」

『美空良い、良いぞ、実に良い。メリケンサックとやらか?確かにそれはいいチョイスだ。そうだ!そこだ‼︎』

「は?え?ストップストップ!」

『何だ?これからが面白い所なんだが……』

 

 いや、何だ?はこっちの台詞だよ!

 

 急にビルド達の動向をリアルタイムで実況し始めたと思ったら、いきなり興奮しだしたぞ。聞いてる限りかなりの修羅場のようなんだが………

 何であなたはスポーツ観戦してるみたいな空気感なんですかねー?

 

「どうして、ビルド達の様子が分かるんだよ⁉︎」

『言ってなかったか?私の力の一部は今も美空の体内にある。それを少し弄れば、美空との視覚共有なども可能だ』

「聞いてない!初耳だぞ!」

 

 おい、首傾げんな。あざといぞ。

本当にこの人、シュトルムの件といい自由人だよなぁ………

 

「え?じゃあ何?やろうと思えば、ビルド達と普通に話出来るかんじ?」

『出来ない事はないが、一々美空の体を乗っ取らなければならない。それは、私も少々気が滅入る』

「ええーそれが出来たら、もう少しスムースに進められたのにー」

『悪かったなポンコツで』

 

 ちょっと機嫌悪くなってるけど……もしかして脳筋とか言ったの怒ってる?でも事実だしね、仕方ないね。

 

「とりあえず、これからもやる事は変わらないかんじ?」

『そうだな。それに加え、万丈龍我達のハザードレベルの成長のサポートが新たに加わる」

「結構難易度高いな~」

『そうでもない。最悪一人ずつタイマンに持ち込めば、好きなだけハザードレベルを上げられるぞ」

 

 まずその状況を作るのが、かなりいや、すっっっごい難しいんですがそれは………

 

「なんでこんな脳筋があんなバケモン倒せたんだよ……」

『知らないのか?パワーは正義だ」

 

 この人王妃とか言ってたけど、火星の統治どうなってたんだよ………この様子だと独裁政治やってても、何にも違和感ねえわ。

 

『貴様も励めよ。かつての私を追い越してみせろ』

「あと百年生きても無理だと思うなー」

『必要以上に自分を卑下するな。お前はこれからだ………それはそれとして」

「ああ、分かってる」

 

 まさかここに誰か来るとはね。念のためドライバーは装着しておこう。

 

 

 

 

「………誰だ?」

 

 

 

 

 

 

「こりゃ驚いた!まさか僕が気付かれるとはな〜」

 

 

 

 廃墟の外から、一人の男が歩いてきた。しかも彼が身に着けている服装は北都政府の制服。一度北都の政府官邸で見かけた気が………

 

「あなたは確か………」

「郷原光臣。こうして会うのはやっけ?仮面ライダーメタルビルド」

 

 

─────なんだ?この違和感は……

 

 俺がメタルビルドへと変身したのは、そう多くの人間が知っている訳がない。おまけに彼は北都の人間、なおさらこの情報を知りえる訳がない。それに先ほど彼は、『エボルト』と口にした。その名を知っているのは難波重工の上層部、それと仮面ライダー陣営の者達のみだ。まずは前者、しかし彼を見かけたことがあるのは、北都政府にいた時のみだ。彼が難波チルドレン出身である可能性も否定できないが、そこから情報が漏れた可能性は薄いだろう。

 

 次に後者だが、これは前者よりも可能性が低い、というか絶対に100%無い。というかもしそうなら、そもそも一人でこんなところには来ないだろう。では彼の正体は………

 

『───似ているな』

(ベルナージュ?)

『あの男………エボルトに近しいものを感じる』

(近しいもの……どういうこと?)

『エボルトの保有するエネルギーと奴の体内の反応、それらの性質が非常に似ている。もしかするとエボルトの同胞の可能性がある』

 

 ベルナージュの声に、少し体を身構える。どれほどの敵にしろ、あのエボルトと同類というのなら、その戦闘能力も桁外れのはずだ。下手に手を出せば、こちらが深手を負う事になるだろう。

 

「そんな警戒せんでもええて。別に僕は君と戦う為に来たわけやない」

「……ではなぜここに?」

「君をスカウトしよう思うてな。島田千華くん」

 

 スカウト?この状況で?

何を考えてるんだ。僕が今頃戻ったところで、西都によって陥落した北都が他二国を相手取って戦争など出来るわけがない。本当に正気なのか?

 それに先ほどからずっと、胡散臭い笑みを浮かべている。気味が悪いぞ。

 

「………残念ですが、それは出来ません」

「………そりゃなんでや?」

「北都政府がまともに機能していない今、俺一人が戦ったところで─────」

「ちゃうちゃう!僕は別に、北都に来いとは一言も言っとらんで?」

「何?」

 

 郷原は膝を手で叩いて、まるで一流のお笑いを見た後かのように、笑い声を響き渡らせる。だがその笑顔も、何処か表情を作っているような、違和感塗れの不細工な顔だ。

 

「僕らはこの戦争も、ましてやこの国にも興味はあらへん。もーと、大切な事があるけんなぁ」

「あなたはさっきから何なんだ。なぜエボルトの事を知ってる、それにこの国にも興味が無いなど………」

「さっきからせっかちやなー。そういう男は嫌われるで?」

「戯言はいい、さっさと要件を伝えろ。そっちの出方によっては───」

 

 懐からハザードトリガーを取り出す。もちろん、生身の人間に使うつもりはさらさらない。あくまでも脅しとしてだ。………これが通じる相手なら良いのだが。

 

「ほんまにせっかちやなー。でもまあええわ、そっちがその気なら………」

 

───雰囲気が変わった………!

 

 先ほどまでとは明らかに違う、この闘志……いや殺気か?笑顔も先ほどの不気味な雰囲気とは違う………獲物を追い詰める獣のような獰猛な色へと染まってゆく。

 

 大きく笑みを浮かべた郷原は、懐からフルボトルを取り出した。

 

「こっちもやらせてもらうでぇ……!」

 

 そして郷原は、そのボトルを体に挿入した。赤黒い液体のようなものが、体内から溢れ出しその姿形を変形させてゆく。

 

「ハードスマッシュ……!」

 

 不気味な光と共に変身を完了させた郷原。その姿は、黒いボディーカラーに馬のような意匠の頭部のスマッシュとして作り替わった。しかし通常のスマッシュとは違い、意識が奪われている様子はない。ならばハードスマッシュ……と言いたいところだが、それとも違う。

 

「ハードスマッシュ?あんな出来損ないと間違われるなんて悲しいわー。これはハザードスマッシュをも超えたスマッシュの最終形態、その名もロストスマッシュやー!」

 

 郷原の変身したハードスマッシュ……いや、ロストスマッシュの雄叫びが辺りのコンクリートを振動させ、僅かながらにひびが入り始める。見た目通り、いやそれ以上のパワータイプのようだ。

 

「君も来いや、仮面ライダーくん?」

 

「……変身」

 

 

 

 

アンコントロールスイッチ

 

ブラックハザード!

 

ヤベーイ!

 

 

 

 黒い粒子がかき消され、視界が明るくなる。……だいぶコレにも慣れてきたな。

 

 複眼越しに目標を捉える。おそらくアイツは近接型、出来れば遠距離から仕留めたいが……

 

「お、カッコええな。ほな、挨拶がわりやぁー!」

 

 郷原が地面へと拳を叩きつける。その衝撃で地面に亀裂が走り、その隙間から青白い光が輝き始めた

 

『避けろ。あれはまずい』

(言われなくてもっ!)

 

 地下より迫ってきたマグマのようなエネルギー弾をかわし、ロストスマッシュ目掛けて駆け出す。追撃でさらにエネルギー弾を放ってくるが、地面から跳躍し壁に着地。そこでさらに、左足へとエネルギーを溜め込む。

 

(奴の情報は何かある?)

『おそらくシマウマの能力を持つスマッシュだ。下手に飛び道具を使うより、近距離からの一撃を狙った方が良い』

(了解!)

 

 角度を調節し、ロストスマッシュ目掛けて跳躍。その横を通り過ぎ地面に着地して体を反転。脚部目掛けて蹴りを放つ。

 

「おっと、危ない危ない」

 

 ロストスマッシュはジャンプでそれを軽々と回避。着地したところへ数発パンチを打ち込むが、正面から手のひらで受け止められていく。この程度では、威力が足りないようだ。

 

 一度距離を取り、エネルギーを右手に集める。この一撃は隙が大きくなるが、その分威力も増す。真正面から受けでもしたら、無傷では済まないだろう。

 

「はぁっ!」

 

 威力、速度、共に先ほどまでとは桁外れの一撃。その漆黒のオーラを纏った拳がロストスマッシュに突き刺さ─────

 

 

 

 

 

「おお、さっきよりかはええな~」

 

 

 

 

 

─────る事は無かった。

 

 

 

「な……に……⁉」

 

 俺が放った渾身の一撃を、奴は片手で軽々と受け止めた。しかもそのまま自慢のパワーで俺の拳を拘束し、放す気配を見せない。

 

「でもな~、僕の足元にも及ばんで!」

 

 空いている方の手から放たれた一撃が、俺の鳩尾目掛けて放たれる。こちらも、まだ自由の効く左手でその一撃を防御、ダメージを最小限に抑える。しかし続けて二発目、三発目とたて続けに衝撃が腕を襲った。距離を取ろうとするも、腕を掴まれたままではその場から動けず、黙って防御に徹するしかない。

 そして放たれた攻撃が十を越えようかとしたとき、俺の体は大きく後方に吹き飛ばされた。

 

 中身の配管などが露になっている壁へと激突、屋外へと大きく吹き飛ばされた。

 

「いくら強くても所詮は人間。まっこんなもんか~」

 

 壁越しに見つめたロストスマッシュは、ガッカリといった様子で肩を落とした。しかしそれも一瞬、すぐさま切り替えると俺へ向けて歩みを進めてきた。

 

(バケモン、だな……)

『真っ向からの力勝負では、勝ち目は薄い。足で攻めるぞ』

(じゃあ、良いのか?あれを使って)

『……危険と判断すれば、私が止める』

(頼んだ)

 

 

「おっ、意外にタフやねー」

 

 立ち上がった俺を見て、少し驚いたようなリアクションをする郷原。にしてもホントに胡散臭いし、やる事成す事喋る事、その全てが芝居臭い。まるでエボルトみたいだ。

 

 でもその余裕も、今のうちだけだ。俺は再び、トリガーへと指を掛ける。

 

 

 

 

マックスハザードオン!

 

ガタガタゴットン!ズッダンズダン!ガタガタゴットン!ズッダンズダン!

 

《Ready go!》

 

オーバーフロー!

 

ヤベーイ!

 

 

 

 

 フーとゆっくり息を吐く。体が思ったより軽い。これも先ほどまでより、体への負担が軽減されているようだ。無数の黒い粒子越しにロストスマッシュを見つめる。あちらも、こちらの変化に気付いたようだ。

 

「ふーん。まだそんなん残しとったんや」

「切り札は最後まで取っておくモノ、でしょ?」

 

 軽口を言い合っているが、お互いに肌で感じてるはずだ。明らかに空気が変わったと。

 

 見据えるのは目の前にいる彼一人のみ。互いに目を離さぬ状況の中、俺は一歩目を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに前半部分の戦兎達の会話


万「とにかく考えてるだけじゃ仕方ねえ。まずは腹ごしらえだ!」
美「でもウチなんもないよ?」
万「いや、ここら辺にカップ麺が─────あれ、ねえぞ⁉どこ行きやがった!」
一「ああ、それなら俺が食っといたぞ」
万「はぁ⁉」
一「あのプロテインなんちゃら?どう見ても不味そうだったろ。だから纏めて、俺が処分しといた」
万「不味くねえだろ!あんな美味えもんになんて事言いやがる!」
一「どこが美味えんだよあんなモン。お前いつも何食ってんだ」
万「バナナとプロテインだ!どこがおかしい!」
一「猿かよ」
万「なん~だと~!」

二人の頭をハリセンでバン!

戦「うるさいな~。食事取られたくらいでそんなにわめくな。犬ですか?」
万「ワンワン!って、誰が犬だよ!」
戦「それにア・ナ・タも。ネズミかなんかなの?」
一「チュウチュウ!ってふざけてんのかゴラァ?」
「「「アァ~ン⁉」」」

メリケンサックで柱をゴォン!

美「………潰すよ?
良いから全員食料買ってこぉい!」


っていうやり取りが、気絶している幻さんの横で繰り広げられてました

ちな首相生存で、今はnascitaに身を寄せてます


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