ホークガトリンガーを出現させ、ロストスマッシュ目掛けて乱射する。足を止めることなく奴の周りを駆け回り、360°あらゆる方向から銃弾を打ち込んでいくが、堅牢なボディーに邪魔され虚しく弾かれていく。
「その程度じゃあ効かへんでぇ〜」
軽口を叩いてはいるが、あちらも先ほどから手を出してくる様子はない。どうやらあのエネルギー攻撃は、溜めが大きいらしいな。それに俺が動き回っているというのに、先ほどから向いている向きが一方だけだ。おそらくオーバーフローモードの機動力に、対応しきれていないらしい。
しばらく弾幕を張り続けると、土煙が奴の近辺に蔓延しだした。こちらからも奴のシルエットがぼやけ始めている。これはチャンスだと方向を変え、ロストスマッシュ目掛けて駆け出す。
まだ防御体勢を取っているロストスマッシュの側面に跳び膝蹴り。ダメージはそれほどと言ったか様子だが、よろめき後方へと後退った。
ホークガトリンガーを左手に持ち替え、パンチを叩き込み、続けて頭部目掛けて回転蹴り。だが激突寸前で、受け止められる。
「ほい、さぁー!」
そのまま足を吹き飛ばされ空中に放り出される。まともに回避の取れない空中で奴の拳が飛んでくるが、腕をクロスし防御。着地しながらホークガトリンガーの弾倉を回す。
着地店にロストスマッシュの踵落としが落下してくる。それは横へ飛びながら回避。ブレイクダンスの要領で体を回転させ、弾倉を地面に擦り付けチャージしながら、連続蹴りを喰らわせていく。
ロストスマッシュは腕を振り回し、俺の足を振り払う。衝撃で空中に体が浮くが、ロストスマッシュの腕を蹴り、体勢を立て直す。
「オラァ!」
迫るロストマッシュの腕を右肘で受け流し、腹部にショルダータックルを当てた。そのままよろめいたところで足を引っ掛け、バランスを崩す。そのまま倒れたところに蹴りを打ち込むが、両手でガッチリ受け止められた。
「なめんなあ!」
そのまま足を捻られ、地面に叩きつけられる。
すぐさま体を起こし、追撃に備えるが、奴の方が一手速かった。
放たれた右拳を左手で受け流しながら、奴の腕に弾倉を当て回転させる。
優勢のはずだった自分の攻撃が躱わされた事で、奴の中で何かが起こったようだ。スピードが先ほどまでよりも速くなり、それに伴い振るわれるパンチの速度も上がってきた。
俺は腕をクロスし、足にエネルギーを溜める。そして奴の攻撃が当たる瞬間、同時に大きく後方へと跳躍した。両手に白いエネルギー波を受け、足と地面の接地面から無数の火花が散っているが、大きなダメージを受けることなく後方に吹き飛ばされた。
距離は充分、それにチャージも出来た。
ホークガトリンガーの発射状態が可能である事を確認し、ドライバーに手を掛ける。
「これで………チェックだ!」
ロストスマッシュに向かって、ホークガトリンガーを連射しながら一直線に駆けてゆく。もちろん全力疾走しながら引き金を引いているので、まともに銃弾は一発も当たっていない。しかし先ほどより攻撃力が増し、なおかつ自動追尾機能が追加された鷹型の黒い弾丸の前には、奴も真っ向から受ける訳にはいかないのか、サイドステップを織り交ぜながらそれを躱していく。
目標を外れたエネルギー弾は地面に命中。コンクリートにめり込みながら激しい煙幕を上げていき、そのシルエットが見えなくなっていく。
そして残弾百発を撃ち尽くしたホークガトリンガーを捨て、俺はドライバーのライトスロットに挿入している
煙幕を中を駆け抜けると、変わらず無傷のロストスマッシュが立っていた。しかし防御の姿勢を取っており、腹部がガラ空きだ。
この一撃で終わらせる!
大きく踏み込んで、拳を叩き込む。確かな感触だが………
「くっ、コイツはキツイ……だが、残〜念!」
煙幕が晴れ、ロストスマッシュの姿が露わになる。放ったはずの俺の拳は奴の右腕により阻まれていた。そのまま腕を押し返され、片膝をつく。
……まだ力を押さえていたのか………!
「飛び道具はフェイント、こっちが本命ちゅう事か……少しは考えたモンやな〜」
「くっ………まだぁ!」
何とか腕の拘束を取ろうとするが、今まで以上の力を加えられ抑え込まれる。押してダメなら引いてみろということで、後方に下がろうとするがそれでもびくともしない。まるで戦車と綱引きをしているようだ。
「これで……終わりや!」
勝利を確信したかのように、郷原は大きく腕を振りかぶった。警戒や注意など全くしていないただの一撃。このような場面では仕方のない事かもしれない。だが、
『予測通り』
「俺たちの……勝ちだ!」
「なんや────」
ガラ空きの胴体に、ゼロ距離でドリルクラッシャーガンモードを放つ。戦車の砲身を模したエネルギー体から一発の銃弾が飛び出し、奴の体にめり込む。勢いそのままに、衝撃で俺から手を離した郷原のロストスマッシュは大きく吹き飛ばされた。
「くっ、そがぁー!」
地面に叩きつけられた郷原の体からボトルが排出され、地面に転がる。当の本人は先ほどのダメージが残っているのか、そのまま地面にひれ伏しながら、俺を睨んでいた。
(コイツはロストボトル……だよな?)
『ああ、色は違うが間違いない』
(エボルトの関係者───なら持ってても別に不思議はないか)
回収したロストボトルをホルダーに装着させ、郷原に近づく。コイツには、聞きたい事が山ほどあるからな。
「さてと、一体何から聞こうか。そうだなーまずはアンタの正体から────」
『上だ!』
ベルナージュの言葉に従い、右方向へと回避。すると次の瞬間、先ほどまで俺が立っていた場所に、無数のブレードが突き刺さっていた。
さらに回避したところへ、刃の雨が降り注ぐ。ドリルクラッシャーでそれらを撃ち落としていくが──数が多い。撃ち逃した一部のブレードが再び迫ってくるのを素手で迎撃し、その刃部分をへし折る。
「へぇー見事にしてやられたわね」
上空から声が聞こえた。
いや、正確には声が降りてきたのだ。だんだんと聞こえる音が近づいてくるので、そちらの方向に目を向けると、空中からもう一体のスマッシュが両手を広げ、滑空してきた。
「新手……」
『先ほどの男と同じロストスマッシュとやらだろう』
俺から十メートルほど離れた地点に着地した新たなロストスマッシュは、右手で俺に指した。
「今度は私が相手をしてあげる」
第二ラウンド……と言ったところか。もちろんこのまま……
『撤退だ』
(なぜ……⁉︎)
前に進もうとした俺に、脳内のベルナージュが待ったをかけた。
『限界だ。これ以上は耐えられない』
(だが、奴らの持っている情報は………)
『焦るな。ここで終わっては意味がない』
(……っ了解)
空中にブレードを浮かして、剣先をこちらに向けてくるロストスマッシュ。それを迎え打つ為に俺もファインティングポーズで構えながら────彼女に背を向け、逃走を開始した。
「あら、逃げるの?」
背中に迫ってくるブレードを回避しながら、廃墟の外を目指す。だが外に辿り着くより、体が限界を迎える方が先かもしれない。
先ほどから、体のあちこちでスパークが発生している。
「チッ……ビルドアップ!」
トリガーとメタルタンクフルボトルを取り外し、シュトルムパンツァーへと換装。パンツァービルドへと姿を変える。
メタルに比べて機動力は下がるが、変身解除されるよりは百倍マシだ。近付いてきた刃にパンツァーキャノンを発射し、一気に撃墜する。
追撃を振り払い、外部のすぐそこまでやってきた。あとはこの壁を乗り越えれば────
「はい引っかかったー」
突如、足が何かに掴まれた。
「何だ……これは……!」
足元を見ると、以前エボルトが放っていたエネルギーと同じ色の穴のようなものが広がっていた。大人一人くらいなら、すっぽりと呑み込むことの出来るくらいの大きさだ。
そしてさきほどの声の主であろう郷原に目を向けると、片手から穴と同じ色のエネルギー体を地面に向けて突き刺していた。
何とか抜け出そうともがくが、底無し沼にハマったように足がびくともしない。それに加えて、体が下に引きづられているように感じる。
「ほな、一緒に来てもらうで」
次の瞬間、俺の体は一気に穴の底に引きづりこまれた。中は上を見ても下を見ても、右を見ても左を見ても、変わらず一面濃い血の色だ。おまけに先ほどこの空間に入ってきたはずの入り口が見当たらない。
「ここは……」
『ワープホールというやつだろう。長距離での使用は出来ないだろうから、奴らも相当に力を消耗しているはずだ』
「それだけヤバいもんってことか」
『いや、この空間自体に攻撃力などはない。真に注意するべきは、ここを抜け出した後のことだ』
「タイミングを見計らって待ち伏せなんてことも出来るわけ?」
『そうだ………そろそろ抜けるぞ。気は抜くな!』
「分かってますとも!」
足元に出現した穴に引きづり込まれ、先ほどの空間から脱出する。だが、そこには地面がなかった。俺が放り出されたのは、どこかの施設の天井部分のようだ。空中で一回転し、地面に着地。パンツァーキャノンを構え周囲の警戒にあたる。だか………
『おかしいな……』
来ると思っていた激しい反撃はなかった。それどころか、
「誰もいない……ただあの場所から離されただけって事か?」
『いや、奴らがこんな絶好の機会を逃すはずがない。何かの罠か?』
ゆっくりと立ち上がり、あたりを見回す。だが人の気配どころか、何か仕掛けがあるような様子さえない。本当になぜこんなところに?
「少し手荒いお迎えになってしまったかな?」
後ろから声が聞こえた。だがそちらは先ほど見回したはず………反射的にパンツァーキャノンを向ける。
「非常にすまない事をした。でも君は、こうでもしなきゃ来てくれないだろうと思ってね」
そこには西都政府の黒と赤色の制服を着た一人の男が、笑みを浮かべて立っていた。
「初めましてだね島田千華くん。君の話はエボルトから聞いている」
「一体誰なんだアンタ達は………それにエボルトの事も」
変わらず銃口は奴に向けたままだ。いつ奴が動いたとしても、確実に仕留められる自信はある。しかしそんな警戒している俺の様子を察したやつは、右腕を上げなにやら後ろに向けて、合図を出した。
「さっきはなかなか良かったで」
「そうねぇ。私とも遊んで欲しかったわ」
すると暗闇から郷原ともう一人、同じく西都の服を着た女性が出てきた。二人が従者のように男の背後で止まると、彼は腕を後ろで組んで俺に語りかけてきた。
「単刀直入に言おう。私たちと手を組まないか?島田千華」
「言っている意味がわからないな。それにアンタたちの正体も目的も知らないずに、はいお願いします。なんて言うわけないだろ」
「それは確かにその通りだ。では改めて────我々はブラッド族。かつてありとあらゆる惑星を滅ぼしてきた星狩りの一族だ。そして今回はこの星、地球を滅ぼすのにどうか力を貸して欲しい、全ての破滅を望むイレギュラー島田千華」
・ブラッド族の三人
以前からエボルトの『支配する』やり方に反発していたが、エボルトがニセモンのドライバーを掴まされたのをチャンスと思い、地球滅ぼしてぇー!という思想を抱いている(と思われている)オリ主にスカウトをかけた。
エボルトからオリ主に関する話は無茶苦茶聞いてた。
・エボルト
「あいつ俺が見つけたんだぜ!スゲェーだろ!」
みたいなかんじで地元の友達に自慢してたら、まんまとそれが裏目に出た男。細かいところで詰めが甘い。
多分ポンコツ
………あいつ人外から目付けられ過ぎじゃね?
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