戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G XV篇IF 作:ダラケー
ある日の寒さが増す夕時のリディアン音楽院では帰宅する生徒や部活に勤しむ生徒たちがいるなかで、ピアノの音が音色を奏で、響の歌声が聞こえていた。
教室の前で扉を少し開け【安藤 創世】、【寺島 詩織】、【坂場 弓美】が見守るなか、響は未来が弾くピアノの音色に合わせてリディアン音楽院の校歌を歌っていた。
担任の先生は響の歌を静かに聞いていた。
先生「…はい。合格です」
響「ほんとですか!?やったー!」
先生から合格を貰って響は嬉しそうにして未来にブイサインを送り、未来もまた自分のように喜んでいた。
先生「立花さん!調子に乗らないの。合格とは言いましたが学ばなければいけない技術はまだまだたくさんあります!」
嬉しそうにして調子に乗っている響に先生は言う。
響「面目…次第も…ございません…」
先生に言われて縮こまる。
先生「ですが…聴き入ってしまう歌声です。きっと立花さんは心で歌っているからなのでしょうね」
響「心…胸の歌…先生~!」
嬉しそうにして響は先生に抱き付こうとした、その時だった。
ガウ「がう!!」
響「ガヴゥ!?」
バアァーンと教室の扉を開けてガウがハリセンを響の頭にスパーンッと決め、響を床に叩きつけた。
後ろでは一部始終を見た創世たちに混じり、リルが見ていた。
先生「はい。これにて居残りテストは終了。いろいろあるとはいえ次の試験はすっぽかさないように。お迎えに来てくれてる彼氏さんたちに迷惑になりますから」
ガウ「がうがう……がう、がうがうがう」
訳:ごもっとも……って、だから彼氏じゃないですって
先生に同意しつつ、ガウは同時に突っ込みを入れる。
響の居残りが終わり、4人は夜繁華街を歩いていた。
未来「誕生日プレゼントいいのが見つかってよかった」
響「クリスちゃん喜んでくれるかな~」
未来「きっと大丈夫~。ガウくんとリルくんも一緒に選んだんだから~」
ガウ「がう!」
リル「かう!」
実はもうすぐクリスの誕生日なのでプレゼントを買いに来たのだ。
楽しく話していると響の目にあるニュースが入ってきた。
アナウンサー《さて、期待が集まる月開発のニュースです。かねてより進められてきた日米共同の宇宙開発プロジェクトはその後の閣僚級協議を経てここにきて大きく進展。冷え切った国家間の象徴として、さらに先の反応兵器発射した米国と一触即発の状態である怪獣軍団との関係にも改善の兆しになるかと思われます。そして間もなくその目的地である月面に向けて…》
響「月へ…」
月の開発計画のニュースを見て響は月での様々な事件を思い出していた。
未来「遅ーい!もうどうしたの?」
ガウ「がうがうー!」
リル「かうー!」
立ち止まってる響に3人が呼ぶ。
響「わわわ!ごめんごめん!」
呼ばれて響は慌てて3人の所へ走る。
帰りがてら響たちは白玉入り鯛焼きを買ってデートスポットとしても人気のゴンドラに乗っていた。
未来「そういえば、いつからリルくんもS.O.N.G.の一員で響たちと戦うの?」
ゴンドラで鯛焼きを食べながら未来はふとそう聞いてきた。
成長したリルは今後はガウや響たちと共にS.O.N.G.に協力する形で戦うことが出きるようになったからだ。
響「んーっと、明日からだったかな」
ガウ「がう」
響がそう答えると、ガウは頷いて肯定した。
未来「そうっか。リルくん、明日から大変だけど2人みたいに無茶しないでね」
リル「かう!」
未来に言われてリルは頷く。
まだまだガウより体は小さいが、勇気だけは一人前なのだ。
響「大丈夫だよ、未来!リルくんが大変な目に遭ってもすぐに私か、ガウくんが助けに行くんだから!」
ガウ「がう!」
未来「2人だから心配なんでしょ?」
心配いらないと言う2人だったが、今までのことを言われて苦笑いしながら後頭部を掻いていた。
響「それにしても胸の歌には何度助けられたかわからないよ~」
未来「ほんとほんと」
響「なんだか最近特別なくらい普通の毎日。普通って幸せなんだって実感するよ」
未来「しばらく任務続きだったものね。響ったら困ってる人がいるとあっという間に飛び出してばかり」
響「あはは…」
染々と話す響と未来。
ガウとリルは初めてのゴンドラに乗れて楽しそうにしていた。
普段から高いところを見ていたが人間形体で高いところを見るのは初めてだからだ。
未来「私かリルくんが困ってても助けに来てくれるのかしら?」
響「そんなの当たり前だよ!未来やリルくんだったら超特急で行くよ!ね、ガウくんもそうだよね!」
ガウ「がう!」
響に聞かれてガウは振り向いて頷いた。
リル「かうー、かうかうー!」
ガウが頷いたのを見てリルは嬉しそうに尻尾を振った。
響「じゃあー、逆にさ。私かガウくんが誰かを困らせてたら未来たちはどうするの?」
未来「え…?」
ガウ「がう…?」
リル「かう…?」
響の何気ない一言にその場の空気が冷たく、凍りつき、一瞬だけ時が止まったかのようになった。
響「例えばの話よ、例えば~!」
未来「も~!意地悪だよ、そんな質問~!」
ガウ「がうがうー!」
リル「かうー!」
ポカポカと3人で響を軽く、優しく叩く。
響「真に受けすぎなんよ~」
3人の行動に響は笑う。
その時だった、港に停まっていた船が爆発した。
未来「響…」
響「うん!」
リル「かうかう!」
ガウ「がう!」
怯える未来を響はそれぞれ自身に引き寄せて安心させようとし、リルとガウはただの爆発ではないと野生の勘で感じ取ったのか警戒態勢に入った。
ゴンドラから降りて階段を急いで降りていると1台の車が止まった。
緒川「響さん、ガウくん、リルくん!乗って下さい!未来さんも一緒に!!」
止まった車の窓が開き、緒川が4人に向かって言う。
緒川に言われて4人は緒川が運転する車に乗るのだった。
S.O.N.G.本部の発令室にはすでに他のメンバーが揃い、モニターには爆発し、火を上げる船舶とその船舶の火を消火しようと消防の船舶とたまたま近くにいた【深海怪獣 レイロンス】に水を出している映像が写っていた。
弦十郎「大型船舶に偽装したS.O.N.G.の研究施設にて事故が発生した」
切歌「海上の研究施設…デスか?」
調「もしかして町中では扱えないような危険物を対象に?」
爆発した船舶がS.O.N.G.の海上の研究施設と聞いて聞く切歌と調。
弦十郎「あぁ。そこでは先だって回収したオートスコアラーの残骸を調査していたのだ」
『!?』
アダムが最初に神の力の依り代として用いたオートスコアラの【アンティキラ】こと【ティキ】の残骸調査が行われていたと聞いて驚く。
友里「破壊されたアンティキラの歯車とオートスコアラーの構造物からパヴァリア光明結社、ひいてはアダム・ヴァイスハウプトの目的を探るための解析が行われていたの」
調査中に撮影されたティキの写真を映し出しながら言う。
緒川「先程の爆発事故が秘密の眠る最深奥に触れたがためのセーフティーとも考えられますが…」
爆発の原因が秘密保持のためのセーフティーによる爆発と推測する緒川。
エルフナイン「ティキと呼ばれたあのオートスコアラーには惑星の運行を観測し記録したデータを基に様々な現象を割り出す機能があったようです」
エルフナインが言うと白い大陸の衛生画像が映し出された。
翼「これは…南極大陸?」
白い大陸が南極大陸だと察する翼。
藤尭「爆発の直前、最後にサルベージしたデータは南極の一地点を示す座標でした」
友里「ここは南極大陸でも有数の湖、ボストーク湖。付近に位置するのはロシアの観測基地となります」
映し出されたのはティキからサルベージされたデータであり、場所がボストーク湖であることを話す。
響「湖ってどれ?一面の雪景色なんですけど~?」
一面真っ白な景色に響はどれがボストーク湖なのか分からなかった。
藤尭「その雪景色のほとんどがボストーク湖さ。正確には氷の下に広がっているんだけどね」
分からない響に藤尭が説明する。
エルフナイン「地球の環境は一定ではなくたびたび大きな変化を見せてきました。特に近年その変動は著しく極寒の氷の多くが失われています」
クリス「まさか氷の下から何か出てきたってわけじゃないよな…?」
氷が失われた南極から何かが出てきたのかとクリスは言う。
友里「そのまさかよ。先日ボストーク観測基地の近くで発見されたのがこの氷漬けのサソリです」
モニターに氷漬けにされたサソリの写真を映し出した。
藤尭「照合の結果、数千年前の中東周辺に存在していた種と判明。現在では絶滅していると聞いています」
サソリが数千年前に存在していた生物だと話す。
ガウ「がう~……」
リル「かう~……」
映し出されたサソリを見て、ガウとリルは舌を出していた。
響「ガウくん?」
エルフナイン「因みにガウくんやリルくんの祖先であるゴジラザウルスの貴重な食料のようです」
『…………』
サソリを食べていた時の遺伝子があるらしく、サソリを本能的に食べたくなったのだ。
それに全員は少し引く。
マリア「そ、それで、なぜそんなものが南極に…?」
話題を変えようとマリアはサソリが南極から出てきたのかと聞く。
友里「詳細は目下調査中。でも学面通りに受け止めるなら先史文明期に何らかの方法で中東より持ち込まれたのではないでしょうか」
サソリが南極から出てきたのかはまだ調査中だと話す。
緒川「気になるのはこれだけではありません。情報部は瓦解後に地下に潜ったパヴァリア光明結社の残党摘発に努めさらなる捜査を進めてきました」
弦十郎「得られた情報によるとアダムは占有した完全なる神の力…つまりはガウを依り代とした完全無比なる力を持って遂げようとした目的があったようだな」
アダムの死後、瓦解したパヴァリア光明結社の摘発の中で得られた情報でアダムが遂げようとした目的があると話す。
翼「その目的はいったい?」
弦十郎「この星の不完全な者たちの文明を滅ぼし、自身が真の完全なる存在となるため、そして時の彼方より浮上する棺の破壊」
切歌「なんデスと!?」
調「でも時の彼方からの浮上って…南極のサソリと符合するようで怖い…」
弦十郎の口から出たアダムの目的を聞いて驚く切歌と調。
弦十郎「次なる作戦は南極での調査活動だ。ネタの出所に結社残党が絡む以上、この情報自体が罠という可能性もある!作戦開始までの1週間各員は準備を怠らないでほしい。ガウは南極の将軍怪獣に話を通していてくれ」
ガウ「がう!」
次の作戦を説明したのと同時にガウに南極の縄張りにしている将軍怪獣である対ロシア方面軍を兼任している【冷凍怪獣 ラゴラス】に話を通してもらうように弦十郎は言うのだった。
その中で響はティキの写真を見てアダムの言葉を思い出していた。
アダム『砕かれたのさ…希望は今日に…絶望しろ明日に…未来に!フフフフフ…ハハハハハ!!』