戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G XV篇IF   作:ダラケー

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第1話 不埒に対抗する棺

大型貨物船に偽造したS.O.N.G.研究施設爆破事件から一週間後、S.O.N.G.本部は南極の海を潜航にいた。

 

友里「装者たちの到着とほぼ同タイミングと思われます!ですがガウくんとリルくんは少し遅れるようです!」

 

S.O.N.G.本部の発令室では戦闘体制状態でオペレーターの友里と緒川が状況を分析していた。

 

緒川「情報と観測データを照合する限り棺とはやはり先史文明期の遺跡と推察されますが…」

 

今回の目標である棺と呼ばれる先史文明期の遺産のことを緒川は懸念しているように言う。

 

先史文明期の遺跡だけに言えた話ではないが遺跡は本来、当時の王の墓や神聖な儀式の場として使われた場所であり、不埒な輩が来た時の為の防衛用のトラップがあるはずで、それが先史文明期の物となるとどんなトラップが待ち受けているか分からないからだ。

 

エルフナイン「ボストーク氷底湖内のエネルギー反応飛躍!数値の上昇止まりません!」

 

弦十郎「来るか…!総員!棺の浮上に備えるんだ!」

 

エルフナインの報告で弦十郎は現場へ向かった装者たちに指示を出す。

 

 

 

氷底湖【ボストーク湖】は南極大陸にあるロシアのボストーク基地に近い、南緯77°・東経105°地点の氷床地下約4㎞の場所にあり、総面積1万4000㎢もある巨大な淡水湖であるといわれている。

 

水温は本来なら凍結してしまうはずの-3℃であるのにもかかわらず、氷床により高圧が保たれているため、もしくは地熱などの熱源があるために液状であり、地上とは全く違う生態系が存在すると予測されていた。

 

ロシアの調査チームのプロジェクト主任である【セルゲイ・ブラト】氏によると、この湖に通じるトンネルを掘って調査をしたところ、水中には通常の10~20倍の高濃度酸素が含まれていることがわかり、さらにそこで恐るべき生命体【有機体46-B】と名づけられた体長が約100フィート(約30m)もある、14本もの触腕を持つタコに類似した未知の軟体動物が発見された。

 

この生命体を調査・捕獲するために、【パルダカ博士】を含めた専門チームが送り込まれたのであるが、接触しようとしたダイバーは当初こそは冷静だったものの、そのうち笑みを浮かべるなど恍惚状態となって、全く抵抗することなく捕食されたり、他のダイバーが仲間であると思って近づいた人物は、実は高度な擬態をした有機体46-Bであったためにバラバラに引き裂かれたり、サンプルとして切断した触腕は長時間生きており、巻き付かれた調査員が絞殺されたと報告された。

 

高い能力を持つこの有機体46-Bだが、すぐに死体となって発見された。

 

高い知能と、未知の毒素か催眠能力または精神感応能力を持っていると分析されていた有機体46-Bだったが、後にこの地を縄張りとした【ロシア方面将軍】こと【冷凍怪獣ラゴラス】との争いに敗北し、一匹残らず氷漬け、あるいは捕食されたのである。

 

そんなボストーク湖の上空に2機のS.O.N.G.のヘリが到着した。

 

響「さ~ぶ~い!しばれる~!どこの誰だよ南半球は夏真っ盛りとか言ってたのは~!」

 

切歌「デ~ス!」

 

扉が開けて、その寒さに文句を言う響と追随する切歌。

 

クリス「夏だって寒いのが結局南極だ。ギアを纏えば断熱フィールドでこのくらい…」

 

寒がる響と切歌にクリスはそう言いかけているとボストーク湖の真下から赤黒く、巨大なレーザーが発射された。

 

幸いにしてレーザーが発射されたのは響たちの乗るS.O.N.G.のヘリ2機の間だったためにヘリは無事だったが吹雪を起こしていた分厚い雪雲が貫かれ、空の一角を晴らす。

 

分厚い雪雲を貫き、空を晴らしたレーザーの威力に全員が驚いていた。

 

分厚い雲を貫き、空を晴らしすほどの威力を持つのはガウやリルだけだと思っていたからだ。

 

翼「なかなかどうして…心胆寒からしめてくれる…」

 

その中で翼は何とか言葉を発する。

 

レーザーが発射されたボストーク湖の氷を砕きながら巨大なペンギンのような姿をしたモノが姿を現した。

 

調「あれが…あんなのが浮上する棺…切ちゃん、棺って何だっけ?」

 

切歌「常識人には酷なこと聞かないでほしいのデース!」

 

浮上した先史文明期の【棺】の形を見て調は切歌に聞くも切歌も想定外で、答えれなかった。

 

翼「アレならばガウとリルの放射火炎と同威力を出すのも納得いく…」

 

現代科学を超えた性能を有するであろう棺の姿を見て翼は呟く。

 

クリス「つーか毎回毎回、何でこうもアタシらの相手は想定やら規格やらの枠から飛び出てんだよ!?」

 

今までの超異常災害や錬金術師、さらには並行世界での敵勢力を思い出しながらクリスは叫ぶようにツッコミを入れる。

 

マリア「いつだって想定外など想定内!行くわよ!!」

 

クリスの叫びのツッコミに、マリアはいつものことと要約しながら言うと、全員が頷いてヘリから飛び降りた。

 

響「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

降下しながら起動詠唱を唄い、それぞれのギアを纏う。

 

響「うおりやあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ギアを纏って直ぐに響はブーストして加速し、先制の一撃を放つ。

 

だが棺も響たちに気付いており、振り向き様にパンチ(ペンギンでいえば鰭)を繰り出し対抗した。

 

両者のパンチの威力が互角だったのか、互いにぶっ飛びあう。

 

マリア「互角!?それでも!気持ちでは負けてない!!」

 

貧弱そうに見えて、響のパンチと互角の威力を持つ棺のパンチにマリアは驚くが直ぐに切り替える。

 

すると棺の胸のクリスタルが光ったかと思いきやペンギンに似た顔の口からさっきの赤黒いレーザーを発射した。

 

発射されたレーザーを見て響たちは一斉に散開して回避する。

 

遅れてレーザーが着弾、爆発と同時に緑の光と共に一瞬だけ魔法陣が現れて爆発を結晶のようにした。

 

クリス「なんなんだよあのデタラメは!どうする、まだガウとリルは来ないぞ!?」

 

マリア「どうもこうも…止めるしかないじゃない!」

 

翼「散会しつつ距離を詰めろ!観測基地には近づけさせず、ガウたちが到着まで時間を稼ぐぞ!!」

 

クリスに聞かれて翼とマリアは言う。

 

ボストーク湖のある南極大陸にはロシアのボストーク湖観測所や同国軍の軍事基地があり、それが棺の進路予想先であるのだ。

 

ロシア軍がS.O.N.G.の要請で、観測員たちの避難を行っているが、予測より早く出現した棺により避難が済んでいない状況だった。

 

そんな観測所から棺桶の意識を逸らすために響、切歌、調が向かっていく。

 

調「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ヘッドギアの左右のホルダーから小型の丸ノコを連続で放つ【α式・百輪廻】を調が繰り出した。

 

切歌「りゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!」

 

同時に切歌は鎌の刃部分を分裂させブーメランのように投擲して左右から挟撃する【切・呪りeッTぉ】を繰り出す。

 

だが棺は重鈍な体躯には似合わず、ジャンプして百輪廻と呪りeッTぉを回避した。

 

響「うおりやあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

しかし後ろから跳躍した響が、棺の背を押すように殴り飛ばして体勢を崩し、氷の上に叩きつけた。

 

クリス「うおりゃあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

氷の上に叩きつけられた棺にクリスは腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する【MEGA DETH PARTY】を発射した。

 

発射されたミサイルは全弾が棺に命中、爆発と爆煙が棺を包み込む。

 

しかし棺には傷1つ付いておらず、起き上がってレーザーを発射した。

 

クリス「効かないのかよ!!」

 

あれだけの攻撃を受けてなお、無傷の棺にぼやきながらクリスはレーザーを回避する。

 

 

 

緒川「接近する対象を苛烈に排撃…こんなものをはたして棺と呼ぶべきでしょうか?」

 

レーザーを発射し、シンフォギアの攻撃でも傷付かない棺を見て緒川は言う。

 

弦十郎「攻撃ではなく防衛…不埒な盗掘者を寄せ付けないための機能だとしたらどうしようもなく棺というより他あるまい」

 

緒川の疑問に弦十郎はそう解釈して答えた。

 

弦十郎(だとすれば…棺に眠るのは本当に…)

 

解釈した弦十郎は棺の中身が何なのか察する。

 

友里「指令!棺に新たな動きが!」

 

弦十郎・緒川「「!?」」

 

友里の報告で弦十郎と緒川はメインスクリーンの棺を見る。

 

 

 

棺は身体中にトゲを出すとそれらを放った。

 

放たれたトゲは羽虫のような姿の【ファンネル】に変形すると、尻尾の部分から緑のレーザーを響たちに向けて発射してきた。

 

響「!!」

 

レーザーを回避しながらブーストして、加速を加えた跳躍で響はファンネルを殴り壊し、さらにマフラーを振り回して破壊していく。

 

調「こちらの動きを封じるために!」

 

切歌「しゃらくさいのデス!」

 

地上ではアイススケーターのように滑る調を切歌が持ち上げ、持ち上げられた調がアームドギア でファンネルを切り刻む。

 

クリス「群れ雀なんぞに構いすぎるな!」

 

クリスは片方2門のガトリングガン2丁の計4門で対空攻撃による弾幕を展開、ファンネルを撃ち抜きながら言う。

 

翼「ならば行く道を!」

 

クリスの要望に応えるように翼が言うと大量の小刀を展開し、豪雨のように放ち、ファンネルを打ち砕き、棺の道を切り開いた。

 

同時に切り開いた棺への道を響とマリアが走り抜ける。

 

響「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

マリア「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

同時に跳躍して響が右腕の手甲を変形させ、マリアが左腕の手甲を変形させる。

 

響「最速で!最短で!」

 

マリア「真っ直ぐに!一直線に!」

 

響・マリア「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」」

 

互いに変形させた手甲を高速回転させてWドリルナックルを放った。

 

響とマリアのWガングニールドリルナックル(マリアは元ガングニール装者、今はアガートラーム)を喰らい棺は仰け反り、胸のクリスタルが砕けた。

 

翼「効いている!それだけだ!」

 

棺のクリスタルを破壊したのを見て翼は言う。

 

だが棺の首元が光ると体勢を直ぐに立て直して降下中の響とマリアを殴った。

 

殴られた2人は顔面から叩き付けられてしまう。

 

調「2人とも!」

 

切歌「しっかりするデスよ!」

 

殴られた2人に調と切歌が駆け寄り、翼がフォローに入る。

 

そこに棺はレーザーを放とうとする。

 

翼「来るぞ!」

 

レーザーを放とうとする棺を見て翼が叫ぶ。

 

クリス「間に合えぇーーーーーーーーーーーーーっ!!」

 

そこへクリスが割って入り、両腕をクロスさせて腰部のアーマーを展開するとリフレクターを展開する。

 

同時にレーザーを発射してきた。

 

レーザーがリフレクターに着弾、爆発と爆煙と魔法陣からの結晶が響たちを包み込んだ。

 

 

 

藤尭「リフレクターによるダメージの軽減を確認!」

 

友里「棺からの砲撃、解析完了!マイナス5100℃の指向性エネルギー波…って…何よこれ!?」

 

エルフナイン「埒外物理学による…世界法則への干渉…」

 

棺の放つレーザーの解析結果を聞いてエルフナインは驚く。

 

エルフナイン「こんなの…現在のギア搭載フィールドでは何度も防げません!!」

 

棺のレーザーの能力にエルフナインは言う。

 

 

 

棺は響たちを倒したと思い、残ったファンネルたちを連れて観測基地へ向かおうとする。

 

その時だった。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ゴジラジュニア「ゴギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

 

棺の前の氷が砕けて地球最強生命体にして全ての地球怪獣たちの王【怪獣王 ゴジラ】とその子【怪獣王子 ゴジラジュニア】が姿を現した。

 

火山のマグマの中を平気で泳ぐゴジラ一族は、人間では命の危機すらあり得る南極の極寒の海でも平気で泳ぐことができるのだ。

 

 

 

友里「ガウくんとリルくんの現着を確認!棺と交戦状態に入りました!!」

 

ゴジラとゴジラジュニアが到着し、棺と交戦状態に入ったことを報告する

 

弦十郎「間に合ってくれたか!」

 

その報告を聞いて、歓喜するように弦十郎は叫んだ。

 

 

 

ゴジラ「グルルルル…ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ゴジラジュニア「ゴギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

 

結晶にやられた響たちを見て上陸したゴジラは怒りの雄叫びを上げ、ゴジラジュニアも雄たけびを上げる。

 

ゴジラたちを見た棺は身体中のトゲを再び起動させて、新たに大量のファンネルを飛ばす。

 

棺から出現したファンネルはゴジラたちめがけて一斉にレーザーを発射する。

 

ゴジラ「グルルルル」

 

しかしゴジラはファンネルたちの攻撃など気にする素振りを見せなかった。

 

ゴジラジュニア「ゴギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

 

ファンネルがレーザーを一斉発射したのと同時に、ゴジラジュニアが赤い放射火炎を口から放ち、レーザーごとファンネルを焼き尽くす。

 

その隙にゴジラ自身は棺本体に目掛けて向かって行く。。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ファンネルをジュニアに任せ、ゴジラは棺の左側面に尻尾を叩き込んで転倒させる。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

転倒した棺に追撃として放射火炎を直撃させてカーリングのように吹き飛ばす。

 

しかし放射火炎の直撃を喰らいながらも棺は直ぐ様、体勢を立て直し、大地を蹴り距離を積めるとゴジラに殴りかかった。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

殴りかかった棺にゴジラも拳で対抗、100M級の怪獣と大型の棺の拳同士がぶつかり合い、衝撃波で周囲の氷が砕ける。

 

響「うぅ…が…ガウ…く…ん…リル…く…ん……」

 

戦っているゴジラ(ガウ)ゴジラジュニア(リル)の姿を見た響は意識が薄れて気を失ってしまったのだった。


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