IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
「・・・・・」
わたしはある店の前にいた。ここは喫茶店「花鶏」 今日はここでやることがある。
すると、一台のバイクが来た。
「もう来てたのか。」
「・・蓮。」
バイクから降りてくるなり話しかけてきた。
この人は、秋山蓮。この店のウェイター兼店長だ。年は23歳。頑固で冷たいが本当はやさしい人。わたしが叔母さんと住む前から叔母さんといたみたい。
ここ、花鶏はもともと叔母さんが昔営業していた店で、日本にもどるならここを使いなさい。
と言っていたので、営業することにした。わたしはオーナーだが、普段は学園があり全寮制なので店長は蓮がやっている。
「・・真司君は?」
「まだ寝ている。いま起こしてくる。」
そういうと蓮は奥にある寝室にむかっていった。
数分後。
「おまえは起こし方が荒すぎるんだよ!」
「さっさと起きないおまえが悪い。今日は幽が来てる。」
「あ、ほんとだ。 幽ちゃん!今日はきてくれたんだ。」
彼は城戸真司。22歳。モバイルニュース会社「OREジャーナル」の見習い記者。
仕事が休みのときは店を手伝う。という条件でここ花鶏で居候している。
なぜわたしがここに来たかと言うと、わたしはここに紅茶を淹れるために来た。普段は蓮が淹れるのだがわたしだけなにもしないというのは気が引けるので、空いてる日があればこうして
紅茶を淹れにいく。蓮と叔母さんも認めるほどの逸品だ。自覚はないのだが。
「そろそろ店をあけるぞ。」
蓮は店の看板をCLOSEからOPENにした。
「いらっしゃいませ。」
「ご注文はなんですか?・・・・わかりました!」
「・・・4番テーブルの人にこれ2つ。」
午前12時、
席がほぼ埋まる時間帯に入った。蓮と真司君が接客やウェイターをやり、わたしが紅茶や料理を出す。わたしがいるときはそんなふうに切り盛りする。
そして、また客が来た。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
「ええ。そうよ。」
どこかで聞いたことのある声だと思い、カウンターから見ると生徒会長だった。
この前いけなかったとかいう喫茶店はここだったの?そう思っていると蓮が注文を受け取り、こちらに戻ってくる。
「幽、6番にダージリン1つだ。」
「・・わかった。」
わたしは茶葉をポットにいれて熱湯をそそぎ、蒸らした。葉が開ききったのを見計らいティーカップに紅茶を注ぐ。できたので蓮を呼んだ。
「・・蓮。ダージリンできた。」
「いま、取り込んでる。悪いが行ってきてくれ。」
「・・・・。」
見ると蓮は会計中。真司君はよく失敗するので任せておけない。しかたないがわたしが行くしかない。
「・・・おまたせしました。」
「ありがと・・・あら?」
当然ばれた。
「どうして幽ちゃんがここに?」
「・・・・ごゆっくりどうぞ。」
わたしは紅茶を運び終えたのでもどると、
「ちょ、ちょっと待って!幽ちゃんなんでしょ?」
「・・・仕事があるので。」
引き留めようとしてくる会長をよそに、わたしはカウンターの奥にもどっていった。
ピークの時間をすぎて客足もまばらになった。会長はまだ席にいた。
「幽。」
蓮が話しかけてきた。
「さっきからあの客が幽を出せってうるさいんだが。なにかしたか?」
会長のことね・・・
「よくわからんが行ってきてどうにかしてこい。」
「・・でも・・・」
「いいから行ってこい。注文がはいったらおれがやる。」
「・・・わかった。」
わたしはしぶしぶ会長のもとに行った。
「・・・なんでしょうか?」
「ひどいじゃない。おねえさんをほっぽって行っちゃうなんて。」
「・・もどります。」
わたしは戻ろうとした。
「あああ、まってまって。聞きたいことがあるのよ。なんで幽ちゃんがここに?」
「・・・わたしはここのオーナーなので。」
「あら、そうなの。それで、この紅茶は幽ちゃんが?」
「・・・わたしが淹れました。」
すると会長は
「だから前来たよりおいしかったのね。普段はあのウェイトレスさんが淹れてるの?」
そう言って蓮を見た。勘がいい。真司君を見なかったのがいい証拠だった。
「・・はい。わたしは手が空いてる日に来ますので。」
「こんどは何時来るの?おねえさん気に入ったわ。幽ちゃんの淹れる紅茶。」
「・・・わかりません。わたしがここに来るのは不定期なので。」
そう言うと会長は提案をしてきた。
「なら、ワタシが幽ちゃんの部屋に来た時は、淹れてもらっていい?」
「・・・・」
「紅茶のポットとお茶っぱ、寮にある?」
たしかに紅茶セットはあるけど・・・・まあ紅茶を淹れるくらいなら。
「・・・会長が言うなら・・いいですけど。」
「ほんとに?ありがと。それと・・・」
ツン
「・・?」
会長がわたしのひたいを指でつついた。
「ワタシのことは、楯無と呼びなさい。会長なんてよそよそしいでしょう?」
「・・・・わかりました。楯無さん。」
「そうそう。こっちのほうが親しみをもてるでしょう?」
わたしのくせだ。名前を呼んでとたのまれたら断れない。自分でもその理由がわからない。
だが・・・。
「ワタシはもう行くわ。紅茶、ありがとう。」
「・・・」
楯無さんはレジへ向かう。
「会計を。」
「・・・まって。」
「幽ちゃん?」「どうした。幽。」
このまえの約束があるのを思い出した。
「・・・わたしが払う。あのとき、約束した。」
「約束?・・・ああ、あのときのことね。なら、お願いしていい?」
わたしは蓮に言った。
「・・蓮、いいよね。」
「はぁ・・。あまり勝手なことをするなよ。」
蓮は金にうるさいから納得してない様子だった。
「じゃあね。幽ちゃん。また学園で。」
「・・・ありがとうございました。」
閉店後
「幽ちゃん。学校のほうは楽しい?」
「・・・そこそこ。」
午後5時。わたしたちはみんなではなしていた。
「IS学園かぁ。取材とかできねーかなあ。」
真司君が聞いてくる。
「・・・無理。」
「だろうな。とくにおまえのようなやつは門前払いだな。」
「なんで蓮が決めつけるんだよ。」
そんな話をしていた。そして、
「・・帰る。」
そろそろ寮の門限が来るので帰ることにした。
「もう帰っちゃうの?もうちょっとゆっくりしてきなよ。」
「・・・門限があるから。」
「じゃあ、おれ見送るよ。」
真司君が立つと蓮が、
「おまえはやることがあるだろ。それを済ませてこい。」
「べつに幽ちゃんを見送ってからでもいいだろ。」
「だめだ今やれ。さっさといけ。」
蓮は強引に真司君を追いだした。
「・・・蓮。」
わたしは蓮とふたりきりになった。すると蓮が。
「幽。学校でなにがあったか知らないが、あまり無茶するなよ。」
「・・・うん。」
蓮は気づいていた。わたしはけががまだ完治してなかった。さすがにずっといっしょにいたから気づかれるのかな?
「じゃあな。」
「・・うん。」
わたしは花鶏をあとにした。ふりむくといつのまにか真司君が戻ってきて大きく手を振って、蓮は見守るようにこちらを見ていた。
わたしは寮に戻り着替えていた。すると、
コンコン
「・・・?」
だれだ?いったい・・・
出るとそこには織斑千冬がいた。
「・・・なんですか?」
「神崎、私と共に校舎に来い。」
IS学園映写室
「・・・・なぜ、こんなところに?」
わたしにはなぜここにきたかわからなかった。織斑千冬は、
「おまえに見せたいものと聞きたいことがある。まずはこれを見ろ。」
映像に映ったのは、先日襲撃してきた。あの緑の巨人だった。そして、それを倒す私の姿だった。だが映像のわたしの様子がおかしい。ミラーマスターのカラーリングが真っ黒になっていた。
「神崎。この姿は何だ?おまえのISは初期設定ではないのだろう?それとも形態変化する機能があったのか?」
「・・・・・・・・・」
わたしには当時はわからなかった。あの巨人を倒したのはわたしだという。いまもおぼえがないが。
「・・・・わかりません。この性能は、わたしはわかりません。」
「そうか。ならおまえがこの巨人の腕と酷似した武器を使うのはなぜだ。」
「・・・・・・。」
たしかに、よく見たら腕がギガランチャーになっているし、胴もギガアーマーになっている。
脚もギガキャノンに・・・・。これは?
「何か知っているのか?」
「・・・・・わたしは知りませんが、香川先生に聞いてみてはどうですか?」
「香川先生?」
「・・・香川英行。ミラーマスターの現開発者です。トルコにいますが、わたしの名をだせば話くらいは聞けるのでは?」
「そうか・・・。わかった。もう戻っていい。」
「・・・・失礼します。」
わたしは静かに寮に戻った。
たしかにあれは夢に出てきた。あの姿、おぼえてる。だがあのときわたしは意識がなかった。
いったい、なんなの?
「教えてやろうか?」
「・・!?」
声がした。鏡のほうから聞こえてきたのでそっちを見ると。
「こうして会うのははじめてだな。」
鏡の中のわたしがわたしに話しかけていた。
「だれ・・なの。あなたは・・・?」
鏡のわたしに聞くと。
「『わたし』か?『わたし』はおまえだよ。」
「わたし自身・・・?」
「そうだ。あの映像を見ただろう?あれは『わたし』だよ。おまえの体を借りていた。」
借りる?いったいなんのこと?それになぜ、映像を見てたことを・・・・。わたしにはわからなかった。
「・・あなたは、いったい・・・」
「言ったはずだ。『わたし』はおまえだ。それに、今日はここまでだ。」
「え?」
そう言うとわたしの意識はそこで途絶えた。