IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
朝
教室、いや学園ではこんな噂でもちきりだった。
「学年別トーナメントで優勝したら織斑一夏と付き合える。」
「・・・・。」
わたしは興味無いので席について授業が始まるのを待っていた。
ふと篠ノ之箒を見ると、いつもと変わらない表情で静かに座っていた。彼女のことだからああいう噂が立ったら血相ぐらい変えると思っていたけど・・・。
意外、と思いつつわたしは姿勢を向きなおした。
(なぜだ?優勝したら付き合えるのは私だったはずなのに・・・。)
私はこのおかしな方向に話がすすんだ噂話に悩みながら、先月の出来事を思い返していた。
私は一夏の部屋の前にいた。私は正直焦っていたのだ。セシリアや鳳が一夏を気にかけることに。このままではいけない。そう思った私は行動に移した。
コンコン
部屋のドアをたたく。しかし一夏は出てこない。もう寝てしまったのか?なら今日はもう・・・。
いやいや、今この時を逃したら他の連中に出し抜かれるかもしれん!もう度・・・!
ドンドン!!
強めにドアをたたく。するとドアが開き・・・。
「はい、どちらさまで・・・、箒?」
私の想い人の一夏が出てきた。
「・・・・・。」
「どうかしたのか?こんな夜中に。」
まずい。緊張して言葉が出てこない。どうすればいいんだ・・・。
「用がないのならおれは寝るぞ?」
「ま、まて!・・・用なら、ある・・。」
そうだ。私は決めたのだ。ここで言わなければ。
「来月の学年別トーナメント、私が優勝したら・・・・。」
よしっ!このまま言うんだ!私の顔はかなり熱くなっている。私は紅潮しながらも言った。
「つ、付き合ってもらう!!!」
(・・・というはずだったのになぜこんなことになっている!)
しかし、よくよく思えばあのときは声が大きかったかもしれない。誰かが聞いてて情報を漏らしたのだろう。今やこの噂は学園中に広まっている。いまさら止めることはできない。いったいどうすれば・・・。
と、とにかく、私が優勝すれば問題ない。あの時言った通り優勝すればいいんだ。
・・・・今回はもう、邪魔されることはないからな。
私は思い出すのもつらい記憶を頭によぎらせていた。
私は小学4年生のとき、一夏と約束をしていた。剣道の全国大会で優勝したら、一夏と付き合うと。しかし、大会の当日に引っ越しせざるを得ない状況になってしまった。姉さんがISを発表したせいだ。当然、全国大会も不戦敗。その後も重要人物保護プログラムのせいで各地を転々とする羽目になった。しかも姉さんは行方をくらませて、私は執拗に事情聴取や監視をさせられ参っていた。それでも私は、剣道だけは捨てなかった。これだけが一夏とつながる唯一のものだと思っていたからだ。しかし、その時の私は、とても褒められたものではなかった。自分の力を、ただの憂さ晴らしとしてふるっていたのだから。全国大会のときも、ただ相手を力でねじ伏せるような試合をした。私はようやく気付いたのだ。自分の愚行に。対戦した相手は涙し、その涙を見て私はさらに惨めな気持ちになった。一夏との繋がりだと信じてたものが、自分の力によってあんなにも醜いものに変わっていた。
私はもう、力を見誤らない。力が何なのかをはき違えない。そして、過ちを繰り返さない。それを、今回の大会で証明しなくては。私はあの時の記憶を振り払い、気を締めなおした。
放課後
「「あ。」」
ここは第三アリーナ。すでにここには二人の生徒がいた。
一人はイギリス代表候補生セシリア・オルコット
もう一人は中国代表候補生鳳鈴音
「あたし、これから学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど。」
「あら、奇遇ですわ。それはわたくしも同じなのですけど。」
普段から二人の仲はあまり良くない。そして学年別トーナメントも控えているのでかなり気が立っている。
「この際だからちょうどいいわ。どっちが上なのかはっきりわからせてあげる。」
「わたくしは一向にかまいませんわ。どの道、勝敗は見えてますけど。」
両者はISを展開し、戦闘態勢に入った。
ドンッ!
「「!?」」
いきなりなにかが彼女たちの間を超スピードで通り過ぎて行った。
先ほどの音の発生源を向くと・・・。
「・・・・。」
「ラウラ・・・ボーデヴィッヒ。」
ドイツの代表候補生ラウラ。ボーデヴィッヒだった。
「いい度胸してるじゃない。いきなり発砲だなんて。あんたから先にかたづけてもいいんだけど?」
「困りますわ、鈴さん。それはわたくしの役目でしてよ?」
鈴は衝撃砲の照準を、セシリアはライフルの狙いをラウラに向けながら言い放った。
「イギリスのブルーティアーズ、中国の甲龍、か。データで見た時のほうが幾分強く見えたが、搭乗者がこれでは程度が知れるな。」
「あんた、そんなにあとで吠え面かきたいの?それともジャガイモ農場ではそれが流行してんの?」
「鈴さん。この方には論理的思考を持たないせいか、今おっしゃったことはわからないと思いますわ。」
「ふんっ。二人がかりで量産機に負ける弱者が代表候補生とは。数しか能のない国と
古いだけが取り柄の国はよほどの人材不足と見える。」
ピキッ
その瞬間二人の何かがちぎれた。
「ああ、わかったわよ。そんなに土の味が恋しいのね?這いつくばらせてあげるわよッ。」
「はぁ・・。しかたありませんわね。碌な教育も受けてないようですから、わたくしが体に直接教えてさしあげますわ。」
二人は各自の得物の安全装置を完全に外した。
「つまらん御託はもう聞きあきた。二人がかりでかかってこい。貴様らのような下らん種馬を奪い合うような雌どもに、私は負けはしない。」
「まだほざくのね。もういいわ。二度と喋らないよう、あんたの口を縫い付けてあげるわよ!!!」
「この場にいない人間まで侮辱する始末・・・。EUの代表候補生の恥ですわ・・・!もう一切の容赦も要りませんわね!!」
「言ったはずだ。御託はもういい。さっさと来い。」
「「上等(ですわ)!!」」