IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
「第三アリーナで専用機持ち三人が模擬戦してるって!」
「うそ!?どこのクラスかな?」
「たしか、一組の生徒って話らしいよ。」
今日はいつにも増して騒がしい。わたしのクラスの人間が模擬戦をしているだけでこれだ。だが、それが専用機持ち同士三人での模擬戦なら無理はないかもしれない。
「・・行ってみよう。」
わたしは第三アリーナへ向かおうとした。
『あいつが誰かと戦ってるんだろ?』
「!」
頭の中に声が響く。『彼女』だ。
『どうした?行かないのか?』
「・・なんで、また・・・。」
『言っただろ。しばらくしたら、また体を借りるって。それに今日はおもしろいものをおまえに見せてやるよ。』
「・・・おもしろいもの?何を言って、」
『おまえが行かないのなら『わたし』が行くぞ。』
そう言った瞬間わたしの意識が切り替わる。
「はあ・・・久々に感じるな。この体は。」
『・・・また体が・・。いったい何をするつもりなの?』
「だまって見てろ。たしか第三アリーナとかだったな?」
とりあえず大事は起こさないと信じたいけど・・・。だけどこの体では見ることしかできない。わたしは見送ることしかできなかった。
「一夏。今日も特訓するよね?」
「ああ。今日は第三アリーナだったな。」
「行こう。せっかくだから早めに行って長くやるぞ。」
おれはシャルルと箒の三人で第三アリーナへと向かっていた。無論その理由はトーナメント戦に向けての特訓が主な理由だ。第三アリーナは今日使う人は少ない。少なければ模擬戦もできる。
だが、さっきから第三アリーナへ近づく度にまわりが騒がしくなっている。
「いったい何の騒ぎだ?」
「ピットに行く前に、ちょっと観客席のほうで見に行かない?」
おれたちはアリーナの様子を見ることにした。
「誰かが模擬戦してるかな?それにしても様子が・・・。」
ドゴォォォン!!!
観客席のゲートをくぐった瞬間突然爆発音が響く。音の発生源の方向を見ると、砂煙の中に浮かび上がる二つの影があった。
「鈴!セシリア!」
そこにいたのは鈴とセシリアだった。二人とも姿勢を向きなおして一方をにらみつけていた。その視線の先には・・・。
「あいつ・・・!」
黒いISを纏い、不敵な笑みを浮かべるラウラ・ボーデヴィッヒの姿があった。
「いつまでもやられてるわけじゃないわよ!!」
鈴は衝撃砲を最大出力で放つ。その一撃はたとえ専用機でもダメージは相当なものになる。しかしラウラは回避することもせず、右手をかざした。その瞬間に攻撃は無効化される。
「無駄だ。このシュバルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな。」
停止結界。慣性停止能力とも言うこの力でラウラは鈴の衝撃砲を防いでいた。
「く・・・。まさかここまで相性が悪いなんて。」
ラウラはこちらの番だと言わんばかりに肩に内蔵されたブレードを鈴に向かって射出する。本体とワイヤーで接続されたブレードは不規則な動きで鈴に迫ってきた。
「はっ!」
鈴は迫りくるブレードを双天牙月ではじき、衝撃砲をラウラに掃射する。
「何度やっても無駄だとわからないか?」
ラウラは停止結界を発動し、衝撃砲を防ぐ。
「まったく・・・。こんな役目をあたしに押し付けるなんてね。」
「なに?ぐっ!?」
ラウラはいきなり背後から攻撃を受けてひるんだ。
「しかたありませんわ。鈴さんにこの役目をやるのは、機体の特性的に見ても難しいでしょう。」
「貴様ら・・・!」
「集中力がよくても注意力が散漫ですわね。それでも軍人ですの?」
「図に乗るな!!」
ラウラはレール砲を展開し、セシリアに向けて放つ。セシリアはそれをかわした。
セシリアは慣性停止能力のことを知っており、その弱点は対象に向けるための強い集中力を必要とすることも知っていた。セシリアはこのことを鈴に伝え、しばらくの間囮になるように頼んでいた。最初は劣勢に見せかけてラウラの油断を誘い、隙を見せたら攻撃に移る。これが鈴とセシリアの作戦だ。
「小癪な!たかが停止結界を看破したぐらいで、勝ったと思うな!!」
ラウラはセシリアに4つのワイヤーブレードを放つ。
「そこですわ!」
しかし正確な射撃によってワイヤーブレードは全て弾かれた。そしてセシリアはミサイル型ビットをラウラに放った。
「こんなもの!」
ラウラは停止結界でミサイルを止めた。鈴がセシリアの隣にいることをラウラは確認した。これでさっきと同じ轍は踏まない。
「セシリア!」
「わかってますわ!」
鈴がセシリアに合図をすると、セシリアはライフルを向けラウラ・・・ではなくミサイルに向けて発射した。
ドガァァァァン!!!
「くっ!?何のつもりだ!?」
ラウラは爆発に巻き込まれた。彼女の周りはミサイルの爆発で発生した煙で覆われていた。これでは視界が利かない。いったんここから離脱しようとしたが・・・。
「はあ!!!」
ガギィン!!
「ぐあ!?」
ラウラは煙の中から突然あらわれた鈴の攻撃をまともに食らった。
「このぉ!」
ラウラも反撃の姿勢を取り、腕部からプラズマ刃を発生させ、鈴を切りつけようとするも鈴はその場にいなく、そのまま空を切っただけだった。
ガギィン!!
「ぐうっ!!」
そうしてる間にラウラはまた切られた。鈴はこの煙を利用して一瞬だけ姿を現し、すれ違いざまに攻撃するという戦法に転じてた。
ガギィン!!
「がっ!?」
煙の中からどこから来るかわからないのを利用して鈴はラウラを蹂躙する。
「でやあ!!」
「ふんっ!!」
ガギィン!!!
しかし彼女とていつまでも対応できないわけではない。冷静になり、どこから来るか予測して鈴の攻撃を防ぐ。
「そろそろ潮時ね。でもまだいけるはず。」
鈴はそう言い残し煙の中にまた紛れる。
「どこからでもこい。次は逃がさない。」
ラウラは完全に迎撃する態勢に入った。煙も少しずつ晴れてきており、動くものは目視できるような視界には入った。
「・・・そこだ!!!」
急速に接近する物体にラウラは右手をかざして、停止結界を発動した。物体はラウラの目の前で動きを止めた。
「おわりだ。引き際を間違えたな。」
ラウラはレール砲を物体に向けて言い放った。
「なに!?」
煙が晴れ、止めている物体を見てラウラは驚嘆した。そこには鈴ではなく、二本の双天牙月だったからだ。
・・・・そうか!これを投げつけて囮に・・・。だとしたらあいつは・・・。
状況を理解したラウラは鈴を探す。
「おわるのはあんたのほうよ。」
「そういうことですわ。では、ごきげんよう。」
セシリアは前もって展開しておいたビットをラウラに向けて一斉に発射した。
「ぐううう!!!」
よけるすべもなく、ラウラはそのままビットの攻撃を受け、下に落下した。