IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
気づいたら1万UA行ってびびりました。
不定期更新ですが、物語は必ず完結させますのでご安心ください。
「すげえ・・・。二人とも・・・。」
一夏は感嘆していた。
ラウラも代表候補生とはいえ、これほど差が出るのか・・・。
二人の姿を見て、一夏はただならぬものを感じていた。
「二人とも、かなり練習してたからね。」
「シャルル。おまえ、知ってたのか?」
「うん。遅くまでアリーナに残ってたのを何度か見たんだよ。一夏は見なかったの?」
「そこまでは見てなかったよ・・・。でも、なんでそんな練習してたんだろうな?」
「それは・・・。」
その理由をシャルルは知っていた。
先日、更衣室に忘れ物があるのを思い出して、戻った時だった。アリーナの方に人影が見えたので行ってみたら鈴がISを纏って、高速機動の練習や、衝撃砲の射撃練習をしていたのだ。
「ん?だれ?」
「あ・・。」
見つかってしまった。
「あんた・・・。1組に転入したっていう・・・。」
「う、うん。シャルル・デュノアです。」
「ふーん。見てたの?」
「ご、ごめん。」
「別に・・。めずらしかった?こんな遅くまで練習してるやつがいて。」
「そんなこと・・・。」
シャルルは言葉に詰まってしまった。だが鈴は続ける。
「正直自分でもおどろいてるのよ。ここまで練習してるあたし自身にさ。だけど、やっぱり何かあってからじゃ遅いし。いざという時に力がなくちゃ、なにもできないなんてあたしはいや。」
「鳳さん・・・。」
「・・・・もうあんなことにはさせない。だから・・・。」
「?あんなこと・・・?」
「ここからは、オフレコでおねがいね?以前ここで襲撃事件が起きたの。あたしと一夏が試合してる最中に、所属不明のISが2機やってきたの。1機目は、救援に駆けつけてくれたあたしの友達が倒してくれた。だけど、2機目は・・・1機目よりも強くて、あの子でも苦戦した。それでも何とか倒したんだけど、その子、意識不明の重体にまで、ぼろぼろになって・・・。」
「・・・・・・。」
「あたしはもう、友達が傷ついていくのは見たくないから。ま、あの子があたしのことどう思ってるかは知らないけどね。」
「そうなんだ。そんなことが・・。」
「まあ、本格的に始めたのは山田先生に二人がかりで挑んで負けた時以来だけどね。セシリアもそれが応えたのか、かなり練習してるわ。」
「そ、そっか・・・。」
「もう一度言っとくけど、このことはオフレコだから言いふらさないでよね。実際、緘口令が出されてるから。特に、一夏にはね?」
「う、うん。わかったよ。」
鈴に若干すごまれながら言われてシャルルは改めて了解する。
「ところで、あんたは結局何しに来たの?」
「え?あ、ぼく忘れ物取りに来たんだ。」
「あそ。はやくしないと夕食遅れるわよ。」
「そうだね。じゃあ、また。」
シャルルは小走りでそのまま更衣室へと行った。
「鳳さんには、話すなって言われてるしなぁ・・・。」
理由を知りつつも、話すなと釘を刺されてるので言えない。
「シャルル。なんか知ってるのか?知ってるなら教えてくれよ。」
「言うなって言われてるし、無理だよ。」
「そんな~。」
一夏は聞きだそうとしたが、きっぱり断られたのであきらめることにした。
「ん?なんだ?あれ。」
一夏は妙なものを目にする。ISなのだが、全体が紫色でフルフェイスの仮面をかぶっている。そして見覚えのある非固定浮遊部位。
「幽?なのか?あのIS。」
紫のISはラウラに近づいていった。
「ぐっ・・!」
(バカな!?私があの程度の連中に、おされてるだと・・?)
ラウラはここの生徒など、自分の足元にも及ばないと踏んでいたが、予想が大きく覆された。
「まさかここまでやるとは・・・。不本意だが、これを使うか。」
ラウラは左目の眼帯に手をかけ、それを外す。
その左目は金色に輝いていた。それはヴォ―ダン・オージェというISの適合性を向上させるナノマシンだった。
「さっきは油断した。だが、次は無い・・・!」
ラウラは立ちあがり、鈴とセシリアのに反撃をすべく飛び立とうとしたが・・・。
「ん?なんだ貴様は?」
彼女の前に、紫のISが立ちふさがった。そして・・・。
「この前の、続きだ・・・!」
ドガッ!!
「ぐうう!!!」
紫のISがラウラに殴りかかった。
「貴様!!なにをする!!」
ラウラはプラズマ刃を発生させ、応戦する。紫のISはそれをいなしてラウラの腹部に蹴りを入れて無理やり下がらせて距離を取った。
「くっ・・・。フルフェイスなどして・・!貴様は誰だ!!!」
「忘れたのか?『わたし』だよ。」
紫のISがフルフェイスの仮面を取りながら言う。そして、その素顔を見てラウラは驚く。
「神崎幽!!?」
「幽?なんで、幽がいるんだ?」
一夏もISの正体に驚いていた。幽の専用機とは色も装甲も違うし、あんなフルフェイスもつけない。だが、非固定装備は同じ正八面体の鏡だった。
「あれが、神崎さんの専用機なの?」
「いや、けど、幽の専用機はあんな姿じゃないはずなんだ。もっとこう・・・。」
シャルルは神崎幽の専用機を一度しか見たことが無い。一夏はそれを説明しようとする。
「ちょっと一夏!幽の専用機ってあんな姿じゃないわよね?いったい、どうなってんのよ。」
説明しようとしたら鈴がISの通信回線で割り込んできた。
「おれにもわからない。でも、なんかあの雰囲気、クラス対抗戦の時の緑のやつを倒した時みたいだ。」
「!・・・わからなくもないけど。でも、やっぱりあの時とも姿がちがうし・・。」
鈴にも少し心あたりがあったみたいだ。
「なんだか、嫌な予感がしますわ・・。何事も無く終わってくれればそれが一番なんですけど・・・。」
「セシリア・・・。」
セシリアもなにかを肌で感じ取り、浮かない顔をしている。
「ど、どうするんだ?やはり先生達を呼ぶか?」
箒も動揺している。
「・・・・。」
一夏はそのまま黙っていた。
「このっ!!!」
「ふん。」
ラウラはプラズマ刃で攻撃するも、受け止められてしまう。
「はあ!」
ドガッ!!
「がっ!!!」
ラウラは『彼女』の蹴りを直撃し吹き飛ぶ。
(なぜだ!?奴は、得物を何一つ持っていない。それだというのに押されてるだと?)
彼女は焦り始める。先ほどの二人におくれを取るような醜態をさらし、目の前の相手には、無手で押されてる。ラウラにとってこれほど屈辱なことはない。
「おのれ・・!どこまで私の邪魔をすれば気が済むんだ!!」
「おまえの都合など知ったことか。かかってこい。」
そう言って『彼女』はベノサーベルを取り出した。
「くっ・・!!」
ラウラもプラズマ刃を発生させる。
「あああああっ!!!」
「はあああああ!!!」
互いの武器同士が凄まじい音と火花を立ててぶつかり合う。どちらの攻め手も鋭いがラウラは押されつつある。得体のしれない相手であり、何か恐ろしい感じするからだ。こいつは危険だと、自分の中の本能がそう言っているような感じがしてならなかった。
ガキィン!!ガキィン!!
「ぐあ!!!」
そうしてるうちにラウラは二発いれられた。とにかくこの猛攻を打破しなくてはならない。ラウラは停止結界を発動させた。
「ん?なんだ?」
「さすがに国家代表なだけはあるな。だが、いくら貴様とて、この停止結界の前では無力だ。」
「これでおわりか?」
「なんだと?」
『彼女』は体の自由が利かないはずなのに焦りもしないしうろたえない。それは今の『彼女』にとってこの状況は危機でも何でもないからだ。
「その強がり、今すぐにでも無くしてやる。」
「楽しみだな?」
「ッ!まだ言うか!」
ラウラはレール砲を『彼女』にむけ打ち放った。『彼女』はそのまま直撃を受け、勢いよく吹き飛んだ。
「まだだ!」
ラウラは吹き飛んだ標的に向けてワイヤーナイフを飛ばし、『彼女』の足を縛りあげて自分の方向にワイヤーを引き戻していく。
「さあ、もどってこい。」
プラズマ刃をかまえてラウラは待ち構える。
「はあ・・・。」
『彼女』は引きずられながらもデッキからカードを取り出し、バイザーにカードを入れた。
『アドベント』
「いまさら何をしたところで無駄だ。貴様はもう・・・「シャアアアアアアア!!!!!」!?なんだこれは!!?」
ラウラは目の前に現れたモノが理解できなかった。目の前にはISを装備した自分の倍以上の大きさの巨大な蛇が立ちはだかっていたのだ。
「シャアアアアアア!!!!!」
蛇は口から液体のようなものをラウラに吐きつけた。
「くっ!!」
ラウラはそれをかわすが、よけきれず非固定装備にかかった。
次の瞬間、それは起きた。
「な、なんだと!?」
非固定装備が刺激臭と煙を出しながら溶けだした。先ほどの液体は強酸性の猛毒で、ISの装甲をたやすく溶かすほどのものだった。
「ふんっ。」
ドガッ!!!
「ぐあっ!!」
『彼女』は瞬時加速でラウラに接近し、加速を利用した拳で顔面を殴った。絶対防御があるからといって衝撃が来ないわけではないので機体とラウラ自身にもダメージは来る。
「がはっ・・・・。」
とうとうラウラは地面に倒れ伏した。鈴とセシリアにやられたダメージも残っていたため、機体も体も限界だった。
「ぐっ・・・。はっ・・・。」
立ち上がろうとするも、ダメージが大きくラウラは倒れてしまう。
「はあああ・・・・。」
そんな姿が無様に見えて、『彼女』の中怒りが募る。
「はあ!」
ガキィン!!
「ぐあっ!!」
「どうした・・・。その程度か・・・?」
『彼女』はラウラを斬り、そう吐き捨てた。
ガキィン!ガキィン!ガキィン!!ガッ!
「ぐあ!!がっ!っ!!」
「強いんだろ?おまえ。」
ラウラの髪をつかみ問いかける。だが、ラウラの目に戦意は無く目の前の存在に畏怖するばかりだった。
「う・・ぐ・・・く・・。」
「くそ!!!」
ドガッ!!!!
「ぐっ!!」
『彼女』はラウラに蹴りを入れる。もうこいつは戦う気はない。
そう判断した彼女は、
「見当違いもいいところだな。もう死ね。」
ベノサーベルを振り下ろした。
ガキィン!!!!
しかし、その刃が届くことはなかった。
「ん・・・?」
前を見ると、青いISを纏った更識楯無がベノサーベルをランスで受け止めていた。
「さすがの私もこれ以上は看過できないわね。」
「なんだ?おまえ。」
「あら、何度も会ったのに忘れたの?」
「ああ?まあ、なんでもいい。それより、おまえのほうがおもしろい。」
「ふふふ。おねえさんと遊びたいの?」
ギィン!!
楯無はサーベルを弾き、距離を取った。『彼女』も警戒し、様子をうかがった。
「そこまでにしておけ。おまえら。」
「ん・・・?」
「織斑先生・・・。」
そこには織斑千冬もいた。この騒ぎを聞きつけて、彼女もここに来ていた。
「わかりました。じゃあ、私はこれで。」
楯無はISを解除し、去ろうとした。だが、
「なんだ逃げるのか?戦いを続けろよ。」
「・・また、いずれね?」
『彼女』が楯無を引き留める。せっかくおもしろい相手を見つけたのだ。このまま帰すのはつまらない。それが狙いだった。
「何をわけのわからないことを・・・。今すぐたたかえ。」
『彼女』が楯無にふっかけようとするも、千冬が止める。
「神崎やめろ。おまえには聞きたいことがある。私と一緒に生徒指導室に来い。」
千冬も、『彼女』とラウラの戦いの一部始終を見ていたのだ。当然、あの巨大な蛇も。
「おまえなんかに構ってられるか。まずは・・・。」
『・・教えて。あの怪物のことを。あれはいったい何なの?』
静観を決めていた幽がこの状況を見かねて介入してきた。
「おまえか・・・。」
『・・・あんなカード、わたしは見たこと無い。あなたの使ってる機体も、おそらくミラーマスターじゃない。いったいあなたは何者なの?』
「はあ・・・。わかったよ。じゃあ、こいつの相手は任せるぞ。」
『・・・?』
そう言った瞬間、幽の視界が切り替わった。
「・・・・。」
「神崎。来い。」
「・・・はい。」
幽は千冬についていった。
戦闘描写は難しいです。