IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
「やったぁ!海だぁ!!」
バスの中で女子たちが声をあげる。今日は臨海学校という名の課外学習で、IS学園から離れた土地で3日間の勉強をする合宿のようなものだ。
「・・・・・・。」
わたしは休もうかと思っていたが、織斑千冬に怪しまれるかもしれないし、学園に残っても更識楯無がいる。なら、わたしは行くことのほうが賢明だと思い、行くことにした。初日は1日自由らしく、クラスの人間はほとんど海へ行き、泳いだり、遊んだりするだろうが、わたしにその気はない。わたしはここからミラーワールドに行き、龍騎の性能を試す。ミラーモンスターがいればいいが・・・・。
バスが目的地の旅館に到着し、生徒たちが降りて行く。わたしもそれに続き、バスから降りた。
「・・・・・・。」
他の生徒は皆、海に行っている。幽は振り分けられた自室の窓からミラーワールドに入り、外へ出ていた。元の世界では生徒たちがいたはずだったのがここでは誰もいない。ただ、波の音だけが響く。
「・・・いったいどこにいる。・・・ん?」
砂浜をただ歩いて数分。ふと、幽は何かを感じ取った。敵意のような何かを・・・。
その瞬間。一つの影が幽に飛びかかった。
「グゲアアアア!!」
「っ!ふっ!!」
バッ!
幽は飛びかかったものをかわして距離を取る。前にはミラーモンスターのアビスラッシャーがアビスセイバーを構えている。
ようやく標的を見つけた。これで性能を見極められると思い、幽は龍騎を起動させた。
「シャアアアア!!!」
アビスラッシャーがアビスセイバーを振り上げて、こちらに向かってくる。
『ソードベント』
ガキィン!
ドラグセイバーを出した幽は、振り下ろされる武器を受け止めた。
「グウウウウ!!!」
「・・・はっ!」
ガキィン!ガキィン!!!
「ゲアアアアア!!!」
幽はアビスラッシャーと鍔ぜり合い、武器を弾いて斬りつけた。アビスラッシャーはこの一撃で後ろに飛ばされる。
「・・・威力が、前よりも上がっている?」
ドラグセイバーの一撃に違和感を感じた幽。
もしかして、ドラグレッダーの体から出される武器の威力が上がる・・・?これが、契約の力・・・。アドベントだけではないということか・・・。
「ググ・・、ジャアアアアア!!!」
アビスラッシャーが体勢を立て直し、再び襲いかかってくる。
ガキィン!ガキィン!キィン!
アビスセイバーで何度も攻撃するが、幽はそれを全部防ぐ。
「ガアアアア!!!!」
バシャアアアア!!!!
「何!?くっ!!」
アビスラッシャーが口から凄まじい勢いの水をはなった。強力な放水を零距離から受けるも、幽は反撃するべくカードを取り出す。
『ストライクベント』
「グルルルル・・・・。」
「・・何?この感じは・・・?」
ドラグクローから唸り声が聞こえる。以前使った時はこんなことはなかった。それに何かを撃てそうな気がする。
「ジャアアアア!!!!」
敵がこっちに向かってくる。考えている場合じゃない。
「・・・・・。」
右手を構える。
「ゴオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
ドラグレッダーがあらわれて、わたしの腕に合わせて動き、そして・・・。
「はあっ!!!」
「ゴオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
右腕で突くと同時に火球を放った。
「ギャアアアアアアアア!!!!」
ドガァァァァン!!!!!!
敵は火球を直撃して爆散した。すると爆発で出た炎と煙の中から光るオーブのようなものが出てきた。
「ゴオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
ドラグレッダーがオーブのようなものに向かって行ってそれを吸収した。
「・・・・・。」
あれはいったい何だったのだろうか。あの光は・・・。
「あいつらが持つエネルギーだ。あれを喰って、あいつらは強くなる。」
『彼女』が現れて説明をした。『彼女』曰く、あの光はミラーモンスターのエネルギーらしく、あれを取りこむことでミラーモンスターは強くなるらしい。
「・・・なら、あなたのベノスネーカーはミラーモンスターのエネルギーを大量に蓄えているの?」
「どうだかな?それよりわざわざここに来てミラーモンスターを倒しに来るとは。まわりの人間は向こうの世界で遊んでるというのにおまえはどうした。」
「・・・わたしは遊休に費やす時間など持っていない。学園に残っても監視されるだろうし、ここで無駄な時間を過ごすなら龍騎の性能を試す方が有意義よ。」
「龍騎・・・。だがおまえ、どこで契約のカードを持ってきた?」
・・・どうやらコントラクトのカードは『彼女』が落としたものではなかったようだ。やはりあの夢に出てきた黒い何かが落としたとでも・・・・?
「おい、聞いて・・・っ。」
バシャアアアア!!!!!
「っ!?くっ!」
海の中から何かが飛び出し、わたし達に向かって突進してきた。見ると赤紫の巨大なエイのようなミラーモンスターだった。
「・・・まだいたの・・!ならば・・・!」
わたしは攻撃しようとカードを取り出そうとするが・・・。
「待て。・・・・・・そういうことか。決めた。おまえを使ってやるよ。」
『彼女』はカードを取り出す。それはあのカードだった。
「・・契約のカード・・!もう1枚持ってたの?」
エイが光に包まれカードの中に入っていった。『彼女』はもう一体のミラーモンスターと契約したようだ。コントラクトがアドベントとなり、契約が成立した。カードにはエビルダイバーと記されていた。
「ふん。悪くないな。」
『彼女』はカードをデッキに収めた。
「おまえがどうやって契約のカードを手にしたか何でもいい。おまえもオレの相手になるのなら、楽しみが増えるからなぁ・・・。」
「・・・えっ?」
「じゃあな。」
そう言い残して「彼女」は立ち去った。
「・・・いま、「オレ」って・・。」
「彼女」が聞きなれない一人称を使いしばらく戸惑っていたが、わたしもミラーワールドから出て行った。