IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
昨日はミラーワールドから帰った後は何もせず夕食を済ませて早々に寝た。
そして、今日はIS装備の試験運用とデータの徴取に1日が費やされる。今はラウラが遅刻してきた罰として、ISのコア・ネットワークの説明をさせられている。
「それでは、各班ごとにISの試験運用を行え。専用機持ちは専用のパーツテストだ。」
説明が終わったと同時に、今回の作業をするように織斑千冬は生徒たちに声をかける。
「「「「「はい!!」」」」
生徒たちは返事をした後、ISがある場所へと向かう。
「それと篠ノ之。お前はこちらに来い。」
「はい。」
「おまえには専用機が宛がわれる。」
「えっ?それって・・・。」
これは初耳だった。篠ノ乃箒に専用機が与えられる。わたしは当然、ほかの専用機持ちたちも聞いてはいなかったろう、そんな顔をしている。
「詳細は、あいつから聞け。」
そう言うと木陰から、青いドレスを身にまとい、機械で出来たウサギの耳を頭に付けた女が来た。
「ヤッホー。ちーちゃん、箒ちゃん、いっくん。おひさー。」
「えっ?なんで束さんがここに?どういうことなんだ?二人とも。」
「詳細はそいつに聞け。さっきも言ったはずだ。」
「ど、どうしてなんですか?いったい・・・。」
「実は、箒ちゃんに頼まれた専用機を持って来たんだよ。ついでにいっくんたちの顔も見にね。」
「は、はあ・・・。」
「さっ。お待たせ箒ちゃん。これが箒ちゃんの専用機、紅椿だよ。」
「これが・・・私の専用機。新しい力・・・。」
「お、織斑先生。その人は、まさか・・・。」
「篠ノ之束だ。篠ノ之の姉で、ISの開発者だ。」
完全に確信した。あの女が篠ノ乃束だ。織斑千冬もそう言った。あの口ぶりからして冗談の類ではない。ようやく見つけた。あいつが・・・。あいつらがわたしのすべてを奪っていった・・・!殺すなら今しかない。あいつは世界中の人間が血眼で追っているが未だにつかまらない。そんな奴が今、わたしの目の前にいる。こんな千載一遇の機会を逃すわけには・・・。
しかし、ここには専用機持ちが六人いる。意表を突くにしても分が悪い。それに篠ノ乃束の能力が未知数だ。おそらくただでは殺れないだろう。
どうすればいい・・・。どうすれば・・・・・・・。
イマサラナニヲタメラウヒツヨウガアル。オマエハヤツヲコロスタメダケニオノレヲケンサンシテキタノダロウ。ソノタメニゾウオヲタギラセイキテキタハズダ。
「っ・・・!」
この声は、何・・・?わたしの頭の中に入ってくる・・・。
ソノニクシミヲスベテブツケロ。オマエノテデインドウヲワタセ。ヤツラニシヲアタエロ。ヤツラヲコロスチカラガホシイナラノゾムダケノチカラヲオマエニアタエテヤル。サア、ヤツラ二ジブンガドレホドオロカナコトヲシタカオモイシラセテ、コロセ!!!!!!!!!!!
「・・・・・・。」
そうだ。わたしはそのために生きてきた。何を躊躇している。ようやく見つけたんだ。真にわたしが殺すべき人間を。邪魔をする人間がいるなら、もろとも殺す。それでいいんだ。邪魔するやつが悪いんだから。
わたしの手には、いつのまにかファイナルベントのカードが握られていた。
そうか・・・。あの声がわたしに契約のカードを渡したんだ。力というのはこれのことだったんだ。これがあれば、あいつらを殺せる。これで・・・。これで!!!!
『ファイナルベント』
無機質な音声が発せられたとたん、その場にいた全員がこちらを振り向く。その瞬間、わたしはドラグレッダーとともに跳躍していた。
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
ドラグレッダーの業火を身にまとい、篠ノ之束に向かっていった。わたしを見てあいつは、恐怖か絶望かも区別がつかないようなおびえた顔をしていた。
まずは一人目。篠ノ之束、おまえはここで・・・
「死ねええええええええええええ!!!!!!!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!
まわりの奴らは衝撃で吹き飛ばされていた。爆発で起きた煙で姿が見えないが攻撃の手ごたえはあった。篠ノ之束は肉片一つ残さず消し飛んだはずだ。
だが、煙が晴れるとそこには・・・・。
「ぐっ・・・。くっ・・!」
「ちっ・・。邪魔を・・・。」
白式を纏い、雪片弐型を持っていた織斑一夏が倒れていた。零落白夜でファイナルベントのドラゴンライダーキックを防いだのだろう。篠ノ之束は妹の篠ノ之箒がとっさにかばっていたようだった。専用機持ちや織斑千冬も敵意を持ってわたしを見ていた。
「く・・・。幽!!いきなり何するんだよおまえ!!あんなの食らってたら、束さんがどうなるかおまえもわかるだろ!!」
「そっちこそ、わたしの邪魔をしたらここで死ぬのはわかるでしょ?それとも分からないで邪魔をしたの?」
「幽・・・。おまえ、なんでだよ!おまえがこんなことするなんて、おれ・・・信じられないよ・・・。」
「おまえなんかに用はない。それとも先におまえの姉を殺してあげようか?」
「なっ!?そんなことは絶対におれがさせない!!!」
「吠える力は残っていても、そんな状態ではおまえが愛してやまない仲間や姉を守ることなどできはしない。」
「なら、私たちが守ってみせる。」
専用機持ち共が織斑一夏の前に立つ。こいつらもわたしの邪魔立てするつもりか。だったら殺すしかない。
『ソードベント』
「わたしの言ったことがわからない?わたしの邪魔をしたら死ぬ。それを承知で立ちはだかるの?」
「幽、あんたいったいどうしたのよ!!!こんなことして!!あたしは・・・。あたしはあんたを目標にして、自分なりに努力してきた!!あんたみたいに強くなれば、一夏を守れるって思ってた。だけど今のあんたを見てるとあたしはこれまでの努力がすべてなかったようにされた気分よ!!」
「わたくしも同感です。お願いです幽さん。これ以上わたくしたちを悲しませないでください。」
鈴やセシリアがわたしに訴えてきた。おそらくこれは紛れもない本心だろう。今のわたしでもわかる。だが今のわたしだからこそ、そんな思いなどどうでもよく感じる。
「だから何?わたしには、それがどうしたとしか思えない。失望したければ失望すればいい。」
「なっ・・!?」
「そんな・・・・。」
セシリアと鈴は信じられない様子でわたしを見る。
「貴様。あの時の奴か?」
「あの時?いったいなんのこと?」
「私が嫁に勝負を申し込んだときや、セシリアたちと戦っているときに横槍を入れてきた人間かと聞いているんだ。」
するどい。さすが軍人と言ったところか。『彼女』とわたしを別々の人格として見ているとは。それともカマをかけているだけか?どちらにせよ、今は自分の意思で動いている。その時点でラウラの推論は外れているも同然だ。
「何をわけのわからないことを言っているの?」
「白を切るか・・・。ならここで、化けの皮をはがしてやる!!!」
ラウラがプラズマ手刀を発生させた。わたしもドラグセイバーを構えて迎撃の態勢をとる。
「やめろ。ボーデヴィッヒ。」
「きょ、教官!?なぜですか・・・!今の神崎は危険です。それなのにどうして止めるのです!?」
「神崎。いったい何の真似だか知らないがそこまでにしておけ。これ以上は許さん。」
「なら、お前たちがやってきた罪は許されるのかしら?そこにいる篠ノ之束と共に、いったい何の真似であんなことをしたの?」
揺さぶりをかけるも織斑千冬は表情を崩さなかった。まわりの人間はわたしの発言に怪訝そうな顔をしていたが。
「言いたいことはそれだけか?おまえは合宿中は謹慎だ。今すぐ自室に戻れ。」
「誰がおまえの指図など・・・。いや、いいわ。ISとか言う兵器のデータ徴取より有意義なことを思いついた。それを考える時間を与えてくれると思うと大事にしなくちゃねぇ。」
「教師に生意気な口を叩くな。馬鹿者が。さっさと行け。」
軽口をたたいたらこの場から立ち去るように催促してきた。余程わたしをこの場から追い出したいらしい。わたしは言われた通りその場を離れて自室に戻った。