IS 少女の怨嗟と憎悪による復讐 作:来亜
「紅椿の調整は終わったよ。さ、次は白式の番だね。」
紅椿の調整をしている合間に一夏たちは紅椿が第三世代を超える第四世代のISだということを聞いた。その特徴は展開装甲といって実は白式にもその技術が運用されていた。白式の唯一の武器である雪片弐型にその機構が組み込まれており、紅椿はそれをほぼ全身に取り付けたものだという。雪片弐型の展開装甲は攻撃にしか転用できないが紅椿は攻撃だけではなくスラスターの代わりにもなるため圧倒的な機動力が備わっている。これを足にすることで、福音に近づくことができ、今回の作戦の要となった。
「はい、これでおしまい。いつものように動けるはずだよ。」
そうこうしてるうちに白式の修理が終わった。
「ありがとうございます。あと大丈夫でしたか?」
「えっ?」
「あの時、幽が攻撃してきたとき、とっさに防ぎましたけどどこかけがは・・・」
「っ・・・!心配ないよ・・。もう問題なさそうだし、束さんは行くね?」
「え?ああ、はい・・。」
束はさっさと行ってしまった。
「一夏。そろそろ出撃するぞ。おまえも白式を纏え。」
箒はすでに紅椿を纏っている。それに続いて一夏も手をかざし・・・。
「ああ。来い白式。」
白式を展開する。先ほどのダメージがなくて攻撃を受けた後の重い感じはなくなっていた。
「よし、じゃあ始めるぞ。箒。」
「男が女の上に乗るというのはいささか鼻につくが、今回だけだぞ。」
今回の作戦は箒が足となるので必然的に一夏が箒の上になる。ぶちぶちと不満げなことを言ってる箒だが、顔はそれほど不機嫌ではなかった。この態度で一夏は少し不安を覚える。
「箒。おまえはついさっき専用機を手にしたばかりなんだ。あまり油断すんなよ?」
「誰にものを言っている?問題ないさ。お前と私がいればこの作戦は遂行できる。そういうおまえこそ油断は禁物だぞ?」
どうも箒は新しい力を得て浮ついている。箒のさっき千冬にいった言葉は自分の力をいち早く試したいという思いもあったものだった。一夏も態度を正さない箒に不安を募らせるが、何かあれば自分で何とかするということでこれ以上何も言うことはなかった。
「織斑、篠ノ之。準備はできているか?」
「はい。」
「機体は万全です。」
オープンチャンネルから千冬が通信してきて、二人はそれに答える。
「今回の作戦は一撃必殺が主体だ。短期決戦のつもりで挑め。」
「了解。」
「織斑先生。私は状況に応じて一夏のサポートをしますが、それでいいでしょうか?」
「そうだな。だが無理はするな。おまえは実戦経験は皆無だ。何かしらの事態には対処しきれんだろう。」
「わかりました。可能な限りの支援をします。」
千冬も箒が自信過剰になってることに気づくが今更言えないので口には出さなかった。
「よし、では作戦を開始する。」
号令と同時にものすごいスピードで急上昇していく。目標の高度である500メートルに一気にたどり着いた。
「衛星リンクを確立・・・情報照合完了。目標の所在位置を確認。行くぞ一夏!」
「おう!」
箒は紅椿の装甲を展開させて、加速を始める。すさまじいスピードを体感しながらも、一夏は箒にしっかり掴まった。
「見えたぞ!!目標との接触まで10秒だ。集中しろ!!」
銀の福音が完全に目視できる距離まで近づき、その時が近づいてくる。
「今だ!!」
「うおおおお!!!!!」
箒の合図とともに零落白夜を発動し、斬りつけようとした瞬間・・・。
「なに!?」
銀の福音が最高速度を保ったままこちらを振り向き一瞬で距離をとり攻撃をかわす。
「敵機確認、迎撃態勢移行完了、銀の鐘(シルバーベル)起動開始」
福音から無機質な音声が発せられ翼が開き、そこからエネルギー弾が掃射される。
「ぐうう!!」
エネルギー弾が命中して白式の装甲が爆発した。
「一夏!」
箒が紅椿の武装、雨月と空裂で斬撃を射出する。当たらなかったものの、一夏の態勢を整える隙はできた。
「箒、左右から攻撃を仕掛ける。左をやってくれ!」
「まかせろ!」
一夏たちは敵の攻撃を回避しながら挟撃に向かった。
しかし攻撃は当たらず福音はまた距離を取ってエネルギー弾をばらまくように撃った。
福音は広域殲滅型。近接戦闘をすることは皆無なので近づかれたら距離を取って掃射する。いくら近づいてもこれではらちが明かない。
「一夏!私が奴を突き崩す!おまえが決めろ!!」
「わかった!!無理はするなよ!」
箒が福音にしかけた。展開装甲から出るエネルギー刃と二振りの剣で攻撃する。福音は持ち前の機動でそれをよけて、回避し迎撃する。その瞬間避けきれなかったのか斬撃の一発が福音の体勢を崩した。
「いまだ一夏!」
「これでええええ!!!」
一夏が澪落白夜で福音を攻撃しようとした時、視界に何かが写った。
船?なんで船がここに?・・・っ!福音が船めがけて攻撃を・・・!!
「まずい!!」
一夏は船に向かって撃たれた攻撃を防いだ。その瞬間、澪落白夜の限界時間に到達した。
「何をしている!!!今のはやれたはずだ!!それなのにおまえは!!」
「船がいるんだよ!!ここら海域は封鎖したのに・・・!違法船か何かかよ!!」
「そんな連中は放っておけ!!たとえそいつらに何かがあっても私達には関係ない!!」
「箒。そんなこと言うなよ。力のせいでまわりが見えなくなるなんて、空しいだけだろ?おれ、そういうおまえが見たいわけじゃないんだ。その力は、力を持たない人の為にあるとおれは思う。だから、そんなこと、言わないでくれ。」
「あ・・・私は・・そんなつもりでは・・・・。」
その瞬間紅椿の展開装甲が閉じていき、雨突と空裂が箒の手から消え去った。
そんな無防備の箒に福音のは無慈悲に攻撃を放った。
「あ・・・。」
エネルギーが尽き、箒はそれを呆然と見るしかできなかった。
「箒ーーーーー!!!!!」
ISが爆散した。攻撃受けて砕け散ったパーツが海面へと落ちていく。
白いパーツと共に堕ちていくのは一夏だった。瞬時加速(イグニッションブースト)で間に入り、箒の盾となったのだ。
「あああ・・・。あああああ・・・!!一夏あああああああああああああ!!!!!!」
白式は大破し、紅椿もエネルギー切れとなってこの作戦は失敗に終わった。