ポケットモンスター 〜New Generation〜   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。アニポケ新章観てきました。感想としましては、メガシンカが出てきて『オーっ!』となってる一方、【ライジングボルテッカーズ】を悪徳集団に仕立てたスピネルは、『絶対許さん慈悲は無い』って感じですな。

 そして今回は『いにしえのモンスターボール』のラストをお送りします。それと本編前に一つ告知しますと、今回【エクスプローラーズ】側にオリキャラが複数人登場します。

 それと告知で、今日から3日間連日投稿となります事をお伝えします。

 それでは、本編をどうぞ。


第14話

 「そうか。手掛かり無しか…」

 「はい…」

 

 フリードを筆頭にチカ、リコ、ロイが、ロイの祖父である長老から古のモンスターボールの事を聞きにいくも、希望虚しく空振りに終わった。

 

 話を聞くところによると、長老でも分からなかったようで、曰く『子供の頃に浜辺で拾った物』らしく、その後時を経てロイが欲しいと言ったから譲った…という事である。

 

 それに加えてポケモンが入っていたとは思ってなかったようだ。ちなみにいにしえの冒険者も、おとぎ話と捉えていたそうだ。

 

 一応念のために、リコのペンダントも見せたが、此方も心当たりがないようで空振りに終わるのであった。

 

 先程までロイの家にいたフリード達であるが、ニャオハとホゲータの治療が終わった事をモリーから告げられて、今はブレイブアサギ号に一旦戻ってきたのだ。

 

 ちなみにその時真っ先に駆けつけたのはメンバーじゃないロイであるのはまた別の話である。

 

 「其方はどうでしたか?」

 

 一応、念のためにチカはブレイブアサギ号周辺に異常は無いか確認した。というのも、今もディアルガとパルキアはそれぞれ自身の住むところに戻っておらず、周囲の警戒をしているのだ。多分これ以上異常は起きないだろうが、過剰過ぎるのはここだけの話だ。

 

 「あぁ、襲撃とかは特に無しだ。ただ…」

 「船内にこれを見つけた」

 

 そう言ってサツキが取り出したのは手のひらサイズの円盤状の機械であった。ちなみにこれはエクスプローラーズが取り付けたと思われる発信機である。

 

 「これは…発信機ですか?」

 「嗚呼。じいさんが言うにはクワッスが見つけた上に壊したそうだ」

 

 これはつい先程クワッスが見つけたもので、エクスプローラーズはこれを頼りに此方の追跡を行なっていたようだ。これ以上追跡される訳にはいかないのでその発信機は即壊させた…という訳だ。

 

 「それと…ロイは何やってんだ?」

 

 しかしそれよりも、キョウスケがふと気になっていたのは、ブレイブアサギ号に向かって「ホゲータぁぁぁぁぁぁぁぁ!」叫ぶロイの姿だ。

 

 「多分ロイさんはホゲータに自分の気持ちを伝えたいのですよ」

 「自分の気持ちをぶつける、か…」

 

 キョウスケがそう言うと、彼らは黙ってロイの事を見届ける事にした。

 

 「お前の気持ちを教えてほしい!このままお別れなんてイヤだ!もっとホゲータと一緒にいたい!もっと一緒に歌いたいし、バトルだってやりたい!あんなに胸熱になったのは、お前だけなんだっ!」

 

 ロイは自身の気持ちをホゲータに伝えると、暫し沈黙が続いた。しかしまず最初の船の入り口から出てきたのはニャオハで、リコの元まで駆けつけた。

 

 その後にホゲータが出てきてロイの元まで歩み寄ったが何処か様子がおかしかった。

 

 「なぁ、ホゲータの様子おかしくないか?」

 「確かに。なんか震えてる」

 

 キョウスケとサツキはホゲータの様子がおかしい事に指摘した。今もホゲータは何故か真顔で小刻みに震えていた。

 

 「ホゲータ。僕の…パートナーになって欲しいんだ」

 

 ロイが頭を下げてそう懇願した。しかしその瞬間、ホゲータが口から何か吐き出した。それはモンスターボールであった。

 

 「そのボールで、ゲットしていい…って事?」

 『ホンゲェ』

 「僕と、一緒にいたいって事⁉︎」

 『ホンゲェ!』

 「ホゲータ!」

 『ホ〜ゲ〜!』

 

 なんとホゲータは『ロイのパートナーになりたい』という気持ちをちゃんと汲み取ってくれたのか、笑顔で了承してくれた。

 

 「決まりだな。こんなの見せられたら…」

 「だな。これは否定する理由もない」

 「うん!」

 

 フリードやサツキがそう言った事を皮切りに、船から見ていた他のメンバーもそれに否定する事なく笑顔で受け入れた。

 

 するとロイはモンスターボールを手に持つと、一度ホゲータと数メートル距離を取った。その後はモンスターボールを構えながら深呼吸をした。

 

 「ずっと練習してきたんだ。今、この時のために。君がいいって決めたんだ!行くよ、ホゲータ!」

 

 そう言うとロイはホゲータ目掛けてモンスターボールを投げた。投げたボールはホゲータに向かって直進していった。そしてボールがホゲータに一旦当たるも、再度また自分から入ってボールに入った。ボールに入ると、3回ほど小さく揺れると、『カチリ』と音が鳴って動きが止まった。

 

 ホゲータをゲットしたロイは、おそるおそるモンスターボールに近づいて手に取った。ゲットした事を再確認すると、ボールを投げてホゲータを出した。

 

 「ホゲータ〜!」

 『ホゲェ〜!』

 

 ロイがホゲータを抱き抱えると先程バトルした際の歌(というより鼻歌に近かったが)を歌い出した。

 

 「(や…やばい!こんな瞬間に立ち会えるなんて…感動ですっ!ロイとホゲータの思いが結ばれて…歌は相変わらずだけど)」

 「俺らも、ポケモンを貰ったりゲットした時もあんな感じだったなぁ」

 「そうだな。新米時代を思い出す」

 「私も同じです」

 

 ロイとホゲータの思いが重なった上での友情ゲットにリコは感激する気持ちが隠しきれなかったようだ。そんなキョウスケやサツキ、チカもリコ同じ気持ちであると同時に懐かしさを感じていた。

 

 「おめでとう、ロイ。今日からお前はポケモントレーナーだ」

 「ポケモン…トレーナー…」

 「友達を超えて相棒になった…ロイ、ホゲータをよろしくな」

 

 フリードは笑顔で祝福すると同時に今のロイならホゲータを任せられると信じてか、彼にホゲータを託す事にした。

 

 「俺達はこれならパルデア地方に行かなくちゃならない」

 

 しかしライジングボルテッカーズの目的地はパルデア地方で、此処を訪れた目的はあくまで船の修理のために着陸しただけにすぎない。だからロイやホゲータとは此処で別れを告げなくてはならないのだ。

 

 ロイもそれを実感したのか、一度ホゲータを地面に降ろすも、心配そうに視線をホゲータから離さなかった。しかしそんなホゲータは何処か慌てた様子でロイに何か訴えかけた。

 

 「ホゲータ…?」

 「言ってたよね?世界を巡って旅した、冒険者に憧れるって。ロイも一歩踏み出してみたら?」

 

 そんなロイに、リコはからの元に駆け寄って旅に出るよう促してきた。

 

 「リコの言う通りだ。そうだ、ロイ。僕らライジングボルテッカーズの仲間にならないか?勿論僕は賛成するよ」

 「俺やキョウスケ、皆んなは賛成だ」

 

 それに続いてサツキがロイを仲間に勧誘してきた。当然リーダーのフリードも賛成すると同時に全員がそれに承諾するように微笑んだ。

 

 「ありがとう、みんな。でも、旅に出るなんて…あのじいちゃんが許してくれるわけないよ…」

 「うぅん。ロイにはもうホゲータがいる、ポケモンが一緒なら大丈夫。新しい一歩が踏み出せるんだって。私も、ニャオハに教えてもらった」

 『ニャオハ!』

 

 ロイは弱気になるも、リコはそんな彼に対して勇気付けるために激励した。ニャオハもホゲータもロイに勇気付けているのかリコに同調した。

 

 「冒険に行きたい!」

 「ロイ!」

 

 リコ達に勇気を貰ったロイは旅に出たいと決心がついた。

 

 「それならロイのじいさんの説得が先だな」

 「嗚呼。説得出来たら、一緒に行こう」

 「ちゃんと話してくる!」

 

 それを見兼ねたキョウスケはまずは説得をするよう促した。当然ロイは今から説得しに行こうと、行動に移そうとした。

 

 「ワシがなんじゃって?」

 

 しかしちょうどその時長老がいいタイミングで姿を出した。しかしその手には何故か荷物を持っているが。

 

 「じいちゃん!僕、ポケモントレーナーになったんだ!」

 『ホンゲ』

 

 長老の姿を確認したロイは多少緊張気味ではあるが、それでも目を逸ら事なく駆け寄って長老に話しかけた。

 

 「やはりその子を選んだか」

 

 ロイの一言を聞いた長老は納得した様子で一度ホゲータを見た。

 

 「だからじいちゃん…僕、【ライジングボルテッカーズ】と冒険の旅に出たいんだ!」

 「なんじゃと?」

 

 そして立て続けに自身が思っている事を告げるも、長老は睨みつけるようにロイをジト目で見てきた。

 

 「ポケモンが一緒なら、大丈夫!古の冒険者は、本当にいたってずっと信じてた!いつか島を出て、伝説のポケモンに会うって夢見てた!あのレックウザを追いかけてゲットしたい!だから旅に出たいんだ!」

 

 しかしロイは臆する事なく、続け様に長老に自分が抱いている気持ちをぶつけた。

 

 「それがお前の夢か?」

 

 何か思う事があったのか、長老は確認の意味を込めたのか一つ質問してきた。

 

 「もう一つある。ホゲータの夢だよ!」

 『ホゲ?』

 

 しかしそこに付け加えるようについ先程自身のポケモンになったホゲータの名前を出した。当のホゲータは首を傾げて疑問符を浮かべていた。

 

 「ホゲータは、リザードンみたく強くてカッコよくてなりたいんだ!だから僕がホゲータを育てる!トレーナーとして僕がホゲータの夢を叶える!2人で一緒に!」

 『ホンゲゲ!』

 

 自分の夢どころか、ホゲータの夢を叶えると堂々と宣言するのであった。それに対しキョウスケ達はロイに関心を抱いた。

 

 「…よかろう」

 「えっ、いいの?」

 

 すると長老は少しばかし考えると、ロイの旅を許可するのであった。少し呆気を取られたのかロイは思わず聞き返してしまった。

 

 「昨日までのお前は自分の夢しか語れなかった。だが今は違う、相棒の夢も語れた。それに…」

 

 ホゲータの夢を語る事まで成長したと感じたようで、そこに納得したのか許可を出したようだ。まぁ、知り合いのフリードなら任せられるという一面もあるが。しかしそういった言った直後、まだ姿を出しているディアルガとパルキア、サツキとキョウスケに目をやる。

 

 「伝説のポケモンであるディアルガとパルキアを仲間にしている少年2人ならお前さんの夢である、あの黒いレックウザをゲットするための助力をある程度してくれるはず。頼む、ロイの夢を叶えるための力になってくれんか?」

 

 フリードもあるが、サツキとキョウスケが一緒ならロイの力になると踏んだようで、長老は2人に頭を下げた。

 

 「分かりました。僕達もお孫さんの力になれる事があれば出来るだけ協力します」

 「その代わり…ちと厳しくなりそうだけど、大丈夫ですか?」

 「構わん。厳しいだけで此奴はへこたれんわい」

 

 2人はそれを承諾したが、途中キョウスケの口から物騒な事を言い出したのでロイは少し身震いした。しかし自身の夢を叶えるための試練だと踏んだようで即座に気持ちを切り替えたが。

 

 「…ともあれポケモンとトレーナーは一心同体、その子ためにも力を合わせて頑張るんじゃぞ」

 「やったな、ホゲータ!」

 『ホゲゲ〜』

 

 長老からの許可を貰えた事によりロイとホゲータは喜びを分かち合った。それを尻目に長老は先程から手に持っている物を地面に置いた。

 

 「冒険に必要な物は揃っておる」

 

 長老が手に持っていたのはロイの荷物のようで、リュックサックと上着であった。

 

 「じいちゃん、どうして…?」

 「お前の気持ちは最初からお見通しじゃ。ワシの事は気にせず、行ってこい!」

 

 ロイは疑問に思うも、どうやら長老には孫の考えはお見通しのようで、ロイの気持ちを再確認した後に手渡す事は織り込み済みのようだ。

 

 「…ありがとうじいちゃん!」

 「よかったな、ロイ」

 「これで晴れて僕達の仲間だ」

 

 ロイが長老から手渡された荷物を受け取ると同時にフリードやサツキ、キョウスケとリコも彼の元に駆け寄った。

 

 「お孫さんの事は、俺達が責任を持ってお預かりします」

 「うむ。よろしく頼む」

 

 フリードも大人としての責任感としてか、ロイを預かる事を約束した。長老もフリードなら安心して預けられると信じているようでそれ以上何も言う事は無かった。ロイも、ノースリーブの黒の上着を羽織り、リュックサックを背負うと、冒険に出る準備を済ませた。

 

 「帰ってくる時はロイ、レックウザに乗って戻るんだぞ?」

 「それ、帰るのが結構果てしなく遠い未来になるぞ?」

 

 フリードが冗談交じりでそう告げるも、キョウスケに指摘されるのであった。それに対し全員は「確かに」と言わんばかりに微笑んだ。

 

 「楽しみにしてて、じいちゃん!じいちゃんも乗せてあげるよ!ホゲータと一緒にね!」

 

 ロイがそう宣言すると、長老も微笑んだ。その後はロイの送別会を村でするので、一旦彼とは別れて【ライジングボルテッカーズ】の一行は船に戻った。ロイと長老も一旦村に戻るのであった。

 

***

 

 そして数時間後、送別会が終わったのは夕方に差し掛かっていた。ロイはフリード達に連れられてブレイブアサギ号の前まで来ていた。そこにはランドウ以外の全員が出迎えてくれた。

 

 ちなみに余談だが、ディアルガとパルキアはロイと合流する前にそれぞれの住処に帰っていった。2体は名残惜しそうにしていたのだが、流石に目立ちすぎるので共に行動はできないのだ。しかしサツキとキョウスケに諭されて渋々自身の住処に帰ったのは言うまでもなかった。

 

 『ピカーチュッ!』

 「あっ、ピカチュウ!」

 「さぁ、新人くん。キャプテンピカチュウに挨拶だ」

 「は、はいっ!今日からお世話になりますっ!」

 

 キャップの事をあまり知らないロイは戸惑いを隠せずにしつつキャップに帽子を外してお辞儀するのであった。キャップも認めたのか腕を組んで頷いた。

 

 「ようこそ、ロイ!」

 

 今度はオリオがロイに歩み寄るとライジングボルテッカーズお決まりのハンドサインをするのだが、当然そんなのを知らないロイは全て空振りに終わるのであった。それに対し全員は笑いあった。

 

 その後はロイが回収していた、先日の嵐の影響で何処かに飛ばされていたライジングボルテッカーズの旗を受け取ると、旗の取り付けをロイの初仕事として任せるのだ。

 

 そして全員が船に乗り込むと、船は出航するのだ。その際、島の住人全員がロイを出迎えに来たようで、その中には長老の姿もあった。それに対しロイは目に涙を浮かべるも、手を振った。

 

 「ロイ、見て。綺麗」

 「海って、デカいんだな…」

 

 隣にいたリコが振り向くと、ロイに後ろを向くよう促した。そこには沈みゆく夕日と海が見えた。

 

 ライジングボルテッカーズが次に向かうはパルデア地方。リコとロイの初めての冒険…どんな結末になるのか、それはまだ誰も知らない────。

 


 

 「────報告は以上です」

 

 此処はとある地方。エクスプローラーズが所有するアジトにて、アメジオはエクスプローラーズのボス…ギベオンに今回の任務の報告を行なっていた。

 

 アメジオ以外にも、先日、今回の彼の任務の途中報告を受けていたハンベル、ボスのギベオン、先程までアメジオと行動していたベリルや彼以外の数人の幹部もホログラムの形で参加していた。

 

 『……何故、単独行動を続けた?』

 

 アメジオの報告を聞き終えたギベオンは彼にそう問いを投げかけた。確かに、一旦報告をしてその後の指示を仰げば、今回のような顛末が起こる事は無かったのだ。

 

 「…現場の判断です。責任は負います」

 

 しかしアメジオは自身の意地を優先させてしまったようで、黒いレックウザといった想定外な出来事が起こったとはいえ任務に失敗したのだ。だがアメジオも今回の一件は責任に感じているのは窺えるのだ。

 

 「……フフフッ」

 

 そんなアメジオを嘲笑う人物がいた。緑髪の長身痩躯の青年であった。

 

 「任務失敗とは貴方らしくもない。我々エクスプローラーズはギベオン様の願いを叶える存在。あまつさえポケモンバトルにも敗れるなんて…」

 「…負けてはいない、中断しているだけだ。それに最後はレックウザの邪魔が入っただけだっ!」

 

 任務に失敗したアメジオを挑発するように嘲笑う。しかし途中邪魔が入ったり中断しているので、アメジオの言っている事は事実である。

 

 「黒いレックウザ?本当にいるのでしょうか?」

 「疑うというのかっ⁉︎」

 「お2人とも。ギベオン様の前です」

 

 しかしアメジオの報告に疑問を抱く緑髪の青年はその内容にすら疑うのだ。アメジオはそれに対し声を荒げるも、ハンベルが仲裁に入って冷静さを取り戻した。

 

 「オイオイ、黒いレックウザを疑うのか。スピネルちゃんよぉ?」

 「貴方には聞いてませんよ。それに、貴方が言うとなんだか更に胡散臭さが増してくる」

 

 緑髪の青年…スピネルが疑い出した事に対して、先程から黙って見ていたベリルが彼に因縁をつけるように絡んできたが、スピネルも売り言葉に買い言葉なのか、毒を吐くように返した。それを黙って聞いてた他の幹部達とアメジオ(というよりギベオンとハンベル以外)も、『確かに…』と言わんばかりの反応であった。

 

 「嘘だと思うならその目で確認しな?」

 

 口元をニヤつかせたベリルはスマホロトムを取り出して操作した。すると一斉にギベオンとアメジオ以外の全員のスマホロトムから通知音が鳴り始めた。全員が一斉にスマホロトムを確認すると、ベリル宛から画像が送られたのでそれを開くと黒いレックウザの写真が写っていた。

 

 「お前、いつのまに…」

 「どうせスピネルの馬鹿が疑うと踏んで、隙を見て写真に収めたんだよ」

 

 アメジオの問いにベリルはドヤ顔で説明した。どうやらただで転ばない性格ではないようで、何かしらの処分が下っても手土産感覚で渡してある程度の慈悲を貰おうとしたようだ。しかしこの程度でどうなるか不明だが…。

 

 『…分かった。その件は一旦置いておこう。ではスピネル…アレクサと共に彼らの行方を追え』

 「私もですかっ⁉︎」

 

 不意にギベオンに自身の名を呼ばれた栗色の髪を肩口まで伸ばした少女…アレクサは驚きを隠さなかった。まさか自身がペンダントの任務に指名されるとは思ってもいなかったからだ。その事実、アレクサが【エクスプローラーズ】の幹部に就任したのは比較的最近の方なので、組織にとって重要な任務が自身の所に回ってくるのは思いもしなかったのだ。

 

 『不満か?』

 「いえ。必ずこの任務、成功してみせます」

 「必ずやペンダントをギベオン様の手に」

 

 しかし此処で任務を成功すれば、組織の中でも上位に入って美味しい汁をすすえる…そんな千載一遇のチャンスを逃す事はしないアレクサはスピネルと共にお辞儀をするのであった。

 

 「アメジオは任務から外す」

 「えっ…?」

 

 まさか自身が任務から外される…なんて思ってもいなかったのだ。驚くのは無理のない事である。

 

 「フッ…お疲れ様。あとは私達に任せて休んで下さい」

 「安心しなってアメちゃん。アンタの尻拭いは私達がしておくから」

 

 スピネルとアレクサにそう告げられたアメジオは、此処で駄々をこねると碌なことが起きないのは把握してるので、内心不服そうにしながら退室した。

 

 退室して暫くすると、アメジオは廊下の壁を八つ当たり感覚で殴った。少し気が晴れたのか定かではないが、落ち着きを取り戻したようでそのまま1人で廊下を歩いた。

 

 しかしその途中、自身の部下であるジルとコニアが追ってくるように合流した。

 

 「あのっ、任務を横取りされたって…」

 「よろしいのですか、このままで…?」

 

 会議の一件はある程度耳にしていたのか、2人はアメジオを心配していた。

 

 「好都合だ。俺はレックウザを追う」

 「「えっ⁉︎」」

 

 しかしアメジオの口から出たのは意外な一言であった。まさかプライドの高いアメジオが任務を外されたのに、好都合と返ってきた上にレックウザを追うと決意したのだ。驚くのも無理もない事だ。

 

 「アレクサやスピネル程度ならキョウスケやサツキに一蹴されるのは目に見えている。だから奴らが気を取られている内にレックウザの調査を行なう。それに、あの共鳴、秘密の鍵はおそらく…」

 

 アメジオはそう呟きながら、レックウザの調査をするため此処を後にするのであった────。

 

 一方時同じくして、アメジオが退室して少しした頃。ギベオンを筆頭とした会議はまだ終わっていなかった。

 

 「それで一つ思ったのだが…」

 「如何なさいましたか、ガーネット様?」

 

 先程まで任務をスピネルとアレクサに引き継がれた場面を黙って見ていたサングラスをかけた銀色のショートヘアの青年…ガーネットは漸く口を開いた。

 

 「ヤツはまた会議に不参加なのか?」

 

 一つの箇所に目をやる。その視線には1人分不自然に空いている箇所があるのだ。

 

 「ターコイズ様ですか?彼は今回も会議に不参加です。事前に連絡は頂きました」

 「また?前回も前々回も不参加じゃない。アイツ幹部としての自覚あるの?」

 「よせアレクサ、奴の任務は主に諜報活動だ。迂闊に会議に参加したら此方側の情報が漏洩する危険もある」

 

 今現在不在の幹部…ターコイズに対しアレクサは不満を露わにするも、巨漢の幹部…オニキスに宥められた。

 

 「でもアレぴょんの言う事も一理ある〜。あっ、そうだ!今度アイツが居眠りしてる最中に仮面をオニ剥いでやろうよ!」

 「それいいじゃんサンゴ!仮面取った後の反応が気になる〜!」

 「よせ2人とも。ヤツの仮面の下を見た者は命が無いという噂もある。下手に見たらとお前らの命は無いぞ?」

 

 自分より年下か同じくらいの少女…サンゴと共に悪戯を企てるも、女性幹部…アゲートに忠告に近い牽制をされるのであった。

 

 「しかしギベオン様よぉ。ライジングボルテッカーズに一番近い俺がペンダントの奪取に任せりゃいいのになんであの2人なんだ?」

 『お前には黒いレックウザの件を私の元まで直に報告を頼みたいからだ』

 

 しかしベリルは自身に任務を任されなかった事にまだ納得してい様子でギベオンに訴えていた。

 

 『その代わりと言ってはなんだが…報告の結果次第ではお前に褒美を一つやる』

 「オイオイホントかぁ?」

 『当然だ。ただ結果を聞いてからの判断になるが…』

 「なら俺は任務報告のために先に出させてもらうぜ。あばよ、また今度な」

 

 ベリルがそう告げると、ホログラムの一つが消えた。それを見兼ねた他の幹部達も、次の行動に移すべく1人、また1人…とホログラムが消えていった。そしてこの場に残っていたのはハンベルとギベオンだけになった。

 

 「…ギベオン様」

 「ああ…見つけた……」

 

 何か確信したのか、ギベオンはそう一言、呟くのであった────。

 


 

 『そうですか。私達にまた1人仲間が加わりましたか』

 

 その夜。キョウスケは自室にてロトムスマホでユウナとテレビ電話をそていた。今日何があったか、此処にいないユウナのためにキョウスケが率先して彼女に報告していたのだ。

 

 『分かりました。これでまた一つ楽しみが出来ました』

 「楽しみ?」

 『キョウスケさんとの再会。フリードさんとのオハナシ。リコさんとロイさんとの対面、ですよ♪』

 

 ユウナのその一言を聞いたキョウスケは苦笑いを浮かべていた。

 

 『それでキョウスケさん。パルデアにはいつ頃到着しますか?』

 「今回のように想定外の出来事が無ければ数日で到着するかと」

 『…分かりました。その時をお待ちしてま…どうしましたバンギラス?今キョウスケさんと電話をしている最中ですよ…』

 

 今後の日程を共有している最中にユウナの通話口から鳴き声が聴こえた。その出処には心当たりがあった。一度ユウナとパルデアで別れてカントーに向かう際に、念のための戦力として彼女に預けたバンギラスであった。

 

 傍らから見たら凶暴な印象のあるポケモンとして有名だが、中身を開いたら姉御肌のサバサバとした性格で周りをよく引っ張ってリーダーシップを発揮するのだ。

 

 そのバンギラスはキョウスケの姿を見ると、普段の強面からは想像出来ないような笑顔を浮かべた。

 

 「バンギラス…何か粗相はしてましんでしたか?」

 『いいえ。私のボディガードをちゃんと務めてくれてますよ。貴方の育成が行き届いている証拠です』

 「お褒めに預かり光栄です。バンギラス、俺との合流はあと少しだからそれまでユウナさんの護衛をお前に任せるぞ」

 

 キョウスケの問いかけにバンギラスは小さく頷いて了承した。その後暫くはキョウスケとユウナは談笑をするのであった。

 

 『もうこんな時間ですか…明日も早いからもう寝ますね』

 「俺ももう寝るとしましょう」

 『分かりました…あとキョウスケさん、これだけは言わせて下さい』

 「?」

 「愛してます♡」

 「…俺も愛してますよ」

 

 最後にそう告げるとテレビ電話を終えた。キョウスケはベッドに寝転がると布団に潜って電気を消して眠るのであった────。




 まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。

 次回の投稿は、前書きにもお伝えした通り3日連続投稿となります。理由としましては、新章で結構捗ったお陰で執筆が進んでます。もう執筆は終わっている状況なので、あとは予約投稿を済ませる段階となります。

 それと今回は【エクスプローラーズ】側は、原作前倒しで幹部全員の名前を出しました。まあ特徴はホログラムだったから最低限の描写で留めましたけど(苦笑)

 あとはオリキャラは3人を予定してましたが、【ライジングボルテッカーズ】もオリキャラ4人という事で此方も人数を合わせました。

 ちなみに数話後のパルデアの話にて登場する幹部のアレクサは、サツキなどのオリキャラを手掛けた、私が最も交流のある作家である咲野 皐月様考案のキャラクターとなります。彼女が使うポケモンは事前に決めてありますので、バトルシーンは今暫くお待ち下さい。

 あとのオリキャラ(ベリル除く)はガーネットターコイズで、此方も【エクスプローラーズ】側のオリキャラです。

 ちなみに大まかな外見はガーネットは本編通りですがターコイズも一応説明すると、仮面を着けています(本編でサンゴとアレクサが言ってたからね)。【エクスプローラーズ】側のオリキャラがどんな活躍をするかは今後明らかになるので今暫くお待ちくださいますようよろしくお願いします。

 次回は『特訓!キャプテンピカチュウ』をメインとしたお話になります。ちなみに予め告知しますと、オリジナル展開にします事をお伝えします。

 それでは、また次回。

スカーレット・バイオレットには未登場のポケモンをテラスタルさせても……

  • 断然OK!だってアニポケだもの!
  • ダメ。パワーバランス崩れるおそれがある。
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