ポケットモンスター 〜New Generation〜   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。

 今回は前回お伝えした通り、アニメ3話にあたる『ニャオハとなら、きっと』から始まります。

 それでは、どうぞ。


第5話

 この日リコは夢を見ていた。それもまだペンダントを貰ってない幼少期、まだリコの祖母が持っていた時の事だ。

 

 『わぁ、綺麗!』

 

 リコは祖母が持っているペンダントを見ると、純粋にそう呟いた。祖母もリコの感想に微笑むとゆっくりと頭を撫でた。

 

 『いつかリコも、これをつけて冒険に行く日が来るんだろうね』

 『来るかなぁ?冒険って怖いよね?』

 

 リコの祖母はリコの頭を撫でながらいつか自分の孫が冒険に出る日を心待ちにしているかのように呟く。しかしリコはまだ幼い事もあってか、冒険に出るのは何処か不安に感じていた。

 

 『怖いのは最初の一歩だけ。踏み出せば見たことない景色が広がっていて怖かったことなんて忘れてしまうもんさ。ポケモンが一緒ならきっと大丈夫』

 

 そんなリコを激励するかのようにペンダントを首に掛けて傍にいたポケモン…ウインディを撫でながらリコの祖母はそう言ってリコを勇気づけた。

 

 その言葉を最後に、リコは目を覚ました。

 

 「(ここは……)」

 

 パルデアの自分の部屋でもなく、セキエイ学園の自分の部屋ではない。ブレイブアサギ号の一室であった。エクスプローラーズにニャオハを攫われた後、船員達に此処で休むよう促されて借りて貰ったのだ。

 

 「ニャオハ……」

 

 いつもならば、ニャオハは自分の近くで寝ているのだがいなかった。

 

 「(絶対ニャオハを取り返します)」

 

 しかしリコは諦める気はないようで、ニャオハを取り返すと心に決意を固めた。部屋の中に干されている制服に着替えて部屋の外へ出た。

 

 「旗が無くなってるな……」

 「おそらく昨日の嵐で何処か飛んでいったか。仕方ないから新しく新調…って言っても今それに使うお金ないんだった……」

 

 リコが部屋の外に出ると、そこにはサツキと… 明るめの茶髪にオレンジのグラデーションのツナギを着た女性が何やらタブレットを見ながら何やらチェックしていた。

 

 ちなみにこのサツキといる女性はオリオと言って、昨日の騒動の後、全員に遅れてリコとは自己紹介を済んでいた。彼女はこの船のメカニックを担当していて、先の一件では機関室に篭りっきりだったため自己紹介が遅れたのだ。

 

 「あっ、おはよう!ゆっくり寝られ…る訳ないよね」

 

 オリオはリコを見るなり笑顔を浮かべて元気よく挨拶するが、昨日の一件を思い出し、彼女を気遣った。

 

 「あの…ベッドと制服、ありがとうございました」

 「気にしないで大丈夫だ。寧ろ散らかっててごめんね」

 

 寝床を提供してもらった事にリコはサツキとオリオにお礼を言ったが、構わないと言わんばかりに手を振りながら応える。ちなみに余談だが、リコに提供した部屋は少し散らかっており、掃除をする暇もなかったのだ。そのため、最低限の整頓程度で済ませたのだ。

 

 リコがサツキ達と話しているその時、後ろの扉が開いて中からマードックとチカが出てきた。

 

 「おう、起きたか。飯出来てるぞ」

 「おはようございます、リコさん」

 

 2人で朝食を作っていたようで、出来た事を告げた。

 

 「マードックの料理は一流なんだ。よかったら食べていきなよ!」

 「それとチカもね。ま、2人の作った料理は美味しいって事に変わりはないんだけどね」

 「お!そう言ってくれると嬉しいぜ」

 「私も同じくです」

 

 オリオはリコにマードックの作ったご飯を食べる事を勧めてきた。それに合わせてサツキも、チカが抜けていたので補足程度で付け足すと同時に料理の腕前を褒める。

 

 サツキの褒め言葉を受け取ったマードックはサツキの頭をガシガシと撫で、チカはサツキに対して微笑んだ。

 

 そこに階段先にある扉が開いて、モリーがホゲータと一緒に出てきた。

 

 「ん〜いい匂い。私の好きなスープだ」

 「正解!」

 

 モリーが朝食の献立の一部を言い当てると、サツキとオリオも話に混ざって雑談が始まった。

 

 「あの…私」

 「ニャオハを取り返しに行くんだろ?」

 「えっ?」

 「今の君の考えてる事は誰でも分かるよ」

 「今、フリードとキョウスケがエクスプローラーズを追ってる」

 「そういう事だ。気持ちだけ焦っても碌なことがない」

 「その通りです。焦ると本来見えてくる物も見えてきませんよ?」

 

 リコが声を掛けようとしたが、此処にいる船員全員に激励ともとれる言葉を投げ掛けられた。

 

 「(やっぱりこの人たち、悪い人たちじゃないのかも……)」

 

 全員の優しい激励の言葉を貰ったリコは船員全員が悪人ではないと思うようになってきた。

 

 「フリードさんとキョウスケさんなら、ニャオハの手がかりを見つけてきてくれますよ」

 「噂をすれば、だな」

 

 チカが此処にいないフリードとキョウスケの話をすると、上からリザードンに乗ったフリードとキョウスケがやってきた。

 

 ちなみに余談だが、キョウスケはニャオハがエクスプローラーズに攫われた後、遅れてやって来たフリードと合流して今までの経緯を話した。その時、嵐を無事通り抜ける事が出来たため、2人はリザードンに乗ってエクスプローラーズを追いかけたのだった。

 

 「よぉ、起きたか?」

 「おはようさん」

 

 リザードンから降りたフリードとキョウスケはリコを見るなり声を掛けた。

 

 「あの!ニャオハは?」

 「……すまない」

 「そうですか……」

 

 ニャオハの姿が無かった事を不安に思ったリコは、ニャオハがどうなったか確認すると、自分の期待が叶わずに落ち込んでしまった。

 

 「アイツらは?」

 「この先の港に降り立ったのを追いかけたが、街中で見失ってしまった」

 

 どうやら尾行は途中までは上手くいっていたが、その過程で見失ったようで、フリードとキョウスケは申し訳なさそうにしていた。

 

 「分かりました……じゃあ、私をその街まで連れてってください。あとは自分で探しますから」

 「はいはい、落ち着いて」

 

 ほんの少ないニャオハの手がかりを得たリコはニャオハを取り返すために行動に移そうとするもサツキに制される。

 

 「リコ、さっき言われたろ?「気持ちだけ焦っても碌なことはない」って。だからここは一度落ち着いてくれ」

 「サツキの言う通りだ。1人で闇雲に動いても見つからない。相手はエクスプローラーズ…ポケモン無しじゃ、戦えないしな」

 

 サツキに続いてフリードも優しくリコを諭す。しかしリコは俯くも、フリード達の言った事は正論であるため何も言い返せなかった。

 

 「フリードを信じてやってよ」

 「それに…君のお母さんにボディガードを頼まれた以上、君を危険な目に合わせるわけにはいかないだろ」

 

 リコの様子を見てオリオは優しくフリードを信じるよう諭すも。フリードの口からリコにとっては衝撃的な一言が語られた。

 

 「初耳です……」

 『えっ?』

 

 当然リコはそんな事フリードから一言も聞かされてないため、当然の反応をした。

 

 「言ってなかったか?」

 

 フリードはリコを尋ねるも、無言で首を縦に振った。

 

 「フリードまた……」

 「貴方という人は……」

 

 それを聞いた全員が頭を抱えてフリードに呆れていた。しかしキョウスケだけは黙々とスマホロトムを操作して誰かに電話を掛けていた。

 

 「待てキョウスケ、誰に電話してる?」

 「えっ、ユウナさん」

 

 キョウスケの動作を不審に思ったフリードが尋ねるも、返ってきた答えは自分にとって実質の死刑宣告と同義のものであった。しかしその時既に遅し、この場に電話のコール音が鳴り響いた。

 

 「あーもしもし。フリードがまた馬鹿やらかしたので罪状追加でお願いします。経緯?あぁー……─事情説明中(カクカクメブキジカ)─……はい…はい……分かりました、フリードに今変わります……フリード、ユウナさんからだ。即刻変わってほしいとさ」

 

 1回のコール音でキョウスケの電話相手が出たようで、キョウスケは手短に説明すると今度は電話の相手であるユウナなる人物にフリードと電話を代わるよう指示してきた。キョウスケも無論それに従う気マンマンのようで、スマホロトムのスピーカーをONにしてフリードに差し出した。

 

 フリードは抗おうと必死のなっているのか周りに助けを求めた。しかしメンバー全員は無言でフリードを睨むように見ており、『早く出ろ』と言わんばかりの表情であった。

 

 「で、電話代わったぞ……」

 『フリードさん。またいつもの悪癖が動いたそうですね?』

 

 逃げられないと悟ったフリードはキョウスケから彼のスマホロトムを受け取って、恐る恐る電話を代わった。ちなみに声の主は高さから女性だと受け取れるが、その声からは電話越しだが怒りに満ちていた。

 

 「い、いやー悪い悪い。言ったと思って『言い訳は結構。それに。先日の一件も忘れた訳ではありませんよ?』」

 

 フリードは必死に弁論しようとするも、反論の余地すら与えてもらえかった。

 

 『……とにかくパルデアに着いたらお話したい事がたっっっっっっっっぷりとありますので、楽しみに待っていて下さいね?それでは』

 

 ユウナはそう一言を残すと電話を切った。その後は暫くは沈黙が続いた。リコ以外の全員は心の中でフリードに対して合掌をした。

 

 「……まぁ、それは置いといて」

 「(置いとかれた……ていうか置いておく事じゃないんですけど⁉︎)」

 『(置いといちゃ(たら)ダメだろ(ですよね)……)』

 「(キョウスケ、この事もあとでユウナに密告しろ)」

 「(御意)」

 

 フリードは冷や汗を垂らしながらキョウスケのスマホロトムを返してこの話を一旦保留状態にした。全員呆れるも、サツキはキョウスケとアイコンタクトを取って、この事をユウナに伝えるよう指示した。キョウスケももちろん伝える気のようで、無言で首を縦に振った。

 

 「ま、まずはメシにしよう!いい匂いだ!」

 『(完全に逃げた……)』

 

 逃げるようにフリードは朝食にしようと提案した事に対して全員は呆れていた。しかし全員朝食はまだ摂ってないので、渋々フリードの提案を受け入れて朝食となった。

 


 

 朝食が終わり暫くすると、飛行船はフリードとキョウスケの案内の元、エクスプローラーズを見失った港町に到着したのだった。メンバーのほぼ全員とリコが船を降りると、マードックはモンスターボールからイワンコを取り出してニャオハの匂いを嗅いで探すよう指示を出す。

 

 「俺とマードックとチカでエクスプローラーズを探す」

 「あたしは船の修理!」

 

 粗方の方針が決まったのか、フリードはとマードックとチカの3人でニャオハの捜索にあたり、その間オリオが船の修理をする事をなった。

 

 「それとサツキ、お前は船番と見張りを頼む。エクスプローラーズが船を襲撃するかもしれないから、その迎撃をお前に任せたい」

 「了解した」

 

 全員で行くと船が手薄になるので、フリードはサツキに船番と見張りをするよう指示を出した。

 

 「それじゃあアンタは私の手伝いをお願いできる?昨日言った事覚えてるよな?」

 「はいはい、了解しましたぜぃ」

 

 その時モリーはキョウスケの肩に手を回して、彼が逃がさないようにして遠回しに仕事を手伝うよう頼んできた。キョウスケも約束は守る気のようで、それを承諾した。

 

 「ならキョウスケ、モリーの仕事の手伝いと一緒にリコの護衛をお願いできるか?」

 「了解」

 

 それを見兼ねたフリードは、モリーの仕事の傍らでリコの護衛をキョウスケに任せた。キョウスケもそれを承諾した。

 

 「……ニャオハの捜索、よろしくお願いします」

 「嗚呼、必ず手がかりを見つけてくるさ。それじゃあみんな!」

 

 リコはニャオハの捜索にあたるフリードに頭を下げた。無論フリードもそれは分かりきった事なのでそれを快く受ける。

 

 そして全員で円を組んでからは、全員がグータッチをして手を上下に振ったのだった。

 

 

 「すまないな、客人の君に仕事の手伝いをさせる事になって」

 「いえ、ニャオハの捜索をお願いしているんですから私もお礼程度に何かしないと思いまして……」

 

 今キョウスケはモリーとリコと一緒にポケモンセンターに向かっている最中であった。仕事内容は、ポケモンセンターから傷薬を受け取ってから船内のポケモンのメディカルチェックであり、最初は傷薬を受け取りに行く事から始まったのだ。

 

 ちなみにリコも一緒にいる訳だが、船内に残してサツキに頼もうとしたが、『もしかしたら街の中にエクスプローラーズがいてリコを追いかけてきたら、捕まえればニャオハの手がかりを掴めるかもしれない』という彼の助言のもと、リコもキョウスケ達と同伴する事となった。

 

 その時キョウスケはモンスターボールからゲッコウガを取り出して周囲の警戒を怠る事を忘れていなかった。

 

 「2人とも、ポケモンセンターが見えてきたよ」

 

 モリーがそう言うと、彼らの目の前にはポケモンセンターが見えてきたのだ。

 

 「もう注文は済んでるしこれを渡せば分かるから、アンタ達で行ってきな」

 

 モリーはそう言ってポケットから1枚のメモを取り出して、それをキョウスケのコートのポケットに突っ込んで、リコとゲッコウガと一緒に送り出した。

 

 「……って、一緒に行かないんですか?」

 

 リコが不審そうにそう言うと、モリーは「アンタ達だけで行ってきな」と言わんばかりに笑いながら手を振っていた。

 

 「モリーの手伝いする時って、注文したメモを渡して薬とか受け取るんだけど……自分で受け取りに行くの結構渋ってるんだよ。まあその役の大半は俺かサツキのいずれかが担うんだけどな」

 「そ、そうなんですか……」

 

 たった今渡されたメモを手に取ったキョウスケが内容を確認しながらリコにしか聞こえないように耳打ちをした。それを聞いたリコは困惑するしかなかった。このやりとりを傍で聞いていたゲッコウガも『やれやれ』と言わんばかりに呆れていた。

 

 しかし、手伝うとなった以上そうするしかなかったので、キョウスケ達はポケモンセンターに入っていった。

 

 「ポケモンセンターにようこそ」

 「注文したものを受け取りに来ました。内容はこのメモに記載してある通りです」

 

 ポケモンセンターの中に入ると、ジョーイさんが笑顔で出迎えてくれた。キョウスケは先程モリーに渡されたメモをコートのポケットから取り出して、ジョーイさんに差し出した。

 

 「……はい。確認しますので、座ってお待ち下さい」

 

 キョウスケに渡されたメモの内容を確認したジョーイさんは、ポケモンセンター内にある備え付けの椅子に座って待つよう促した。そして2人は、そのまま椅子に座って頼まれた物を待つのであった。

 

 

 「さて、特に異常はないか」

 

 キョウスケ達がポケモンセンターにいる頃、サツキは船内を巡回しながら敵襲がないか見張りをしていた。その時不意に欠伸をしそうになったが、事態が事態なので何とか踏みとどまる。こう襲撃が無いと退屈だと不謹慎になるが、彼の本職はポケモントレーナー。退屈だと感じるのも無理は無い。

 

 その時今現在オリオが修理してるウィングデッキを見る。もしキョウスケ達が早く終わったら、見張りをキョウスケに任せて自分も後でオリオの手伝いに行こうかと考え出した。

 

 次に船のデッキの先端に目が行った。そこには、釣り糸を垂らしている老人がいた。あの老人は毎日暇さえあればああやって釣り糸を垂らして当たりが来るのを待ってる、この船に住む自分達にとっては日常茶飯事である。

 

 「ランドウのじっちゃん、釣れる?」

 「まだ釣れんのぉ……」

 

 多少の退屈凌ぎになるからか、サツキは老人…ランドウに声を掛けた。ちなみにこのランドウ、サツキがライジングボルテッカーズのメンバーになってからも船に乗っており、キョウスケ曰く『あのじいさん、結構古参だぞ』との事である。

 

 「ん?」

 「どうしたのじっちゃん?」

 「誰か、あそこの物陰におったような気がしてのぉ」

 

 その時ランドウが何か勘付いたのか眉が少し上がる。どうやら誰かいたようなのでサツキがランドウの指指した方を見ると、そこには誰もいなかった。

 

 「……気のせいじゃない?」

 「そうか……年を取ると勘が鈍るのぉ」

 「まぁそれは仕方ないよ」

 

 そう言うと2人ははははと笑いあった。しかし偶然か意図してか、ランドウが指差した場所には、2人に気づかれないよう物陰に隠れているジルの姿があった────。




 まずは感想、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです!

 今回はまだ名前を出してないメンバーが2人いたので、出番を出してあげました。そして、もう1人主人公サイドでオリキャラ…ユウナさんもいるので(声だけだけど)登場させました。

 ちなみに彼女は、私と常日頃から関わりのある作者様…『咲野 皐月』様考案のキャラクターとなっております。彼女は今パルデア地方にいるので、ライジング・ボルテッカーズがパルデアに到着したら本格的な出番があるので、今暫くお待ち下さいますようお願いします。

 あと、今回ユウナさんを出した理由につきましては……アニメ5話にあたります『みつけたよ、ホゲータ』でエクスプローラーズ側でオリキャラ1人を登場させるため、急遽声だけだけど登場させました。

 最後に……次回の投稿はまだ未定ですが、この話の続きからとなります。

 それでは、また次回。

スカーレット・バイオレットには未登場のポケモンをテラスタルさせても……

  • 断然OK!だってアニポケだもの!
  • ダメ。パワーバランス崩れるおそれがある。
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