雄英高校
保健室へ続く廊下
今日は本来、雄英高校はUSJの敵襲撃によって休みとなっており、明後日からまた再開する。なのにも関わらず創破が雄英に来ているのは、オールマイトの怪我を治せるかもしれないと進言したからだ。
時間通りに雄英に行くと雄英バリアに引っ掛からず入ることが出来た。
いつもなら多くの生徒達の話し声が聞こえる廊下も創破の足音だけが鳴り響いていた。
創破「誰もいない雄英って、静かすぎて違和感があるなあ。(まぁ先生方はいるけど)」
少し歩き、保健室の扉の前に辿り着いた。
コンッ、コンッ《ドアを叩く音》
創破「1年A組、皇創破です。」
「入ってくれ」
創破「失礼します。」
保健室の扉を開けると中には
創破「!!」
ナイチンゲール『これはまた、凄い顔ぶれですねぇ。』
オールマイト(トゥルーフォーム)とリカバリーガールの他に全身包帯姿の相澤先生、同じヒーロー科である1年B組担任のブラッド先生、13号先生、プレゼントマイク、そして雄英高校の校長である根津校長が保健室にいた。
オールマイト「すまないね、皇少年。こんな大人数で驚かせてしまったね。」
創破「いえ、それは大丈夫ですが………」
根津「そう固くならなくてほしいのさ!立ちながら話すのも辛いだろうし、そこに座りながら話そうじゃないか!」
創破「あ、はい、失礼します。」
創破は扉の近くに用意されていたパイプ椅子に座った。
根津「さて、まずはどうして僕達がここにいるのか話す必要があるね。」
根津校長は創破の前まで歩いて来た。
根津「オールマイトから聞いたよ、彼が倒れた時に、代わりにあの脳無と呼ばれる敵と戦ったんだってね。」
創破「はい…………すみませんでした。」
創破は椅子から立ち上がり、深く頭を下げる。
根津「何故謝るんだい?」
創破「僕はまだヒーローでありません、個性を使用するための免許を持っていません。それでも、あの時自分の個性が敵に通用すると思い、オールマイト先生に個性使用の許可を貰い、敵と戦闘しました。結果的に敵を退くことが出来ましたが、とても危険な行為でした。本当にすみませんでした。」
根津「・・・・・うん、合格だ。」
創破「え?」
根津「たしかに、君の判断は正しくなかったかもしれない。もしも敵が君を人質に取ってしまっていたら、たとえヒーロー達が到着してたとしても、助けるのには時間がかかり、より被害が広がっていたかもしれない。」
創破「(・・・その通りだ。)」
根津「だけどね、間違っていたということの方がもっとあり得ないのさ!」
創破「え?」
根津「君も知った通り、オールマイトは活動出来る時間に制限がかかっている。敵はそれを知っているみたいだったと、オールマイト自身から聞いている。敵側の目的は、平和の象徴オールマイトの殺害であると豪語してたから、君がもし、オールマイトの代わりに戦ってくれなければ、彼は確実に死んでいたよ。」
創破「・・・・・・。」
オールマイト「それだけじゃないさ。あの時私が死んででいたら、残っていた敵達は活気づいてしまい、被害が更に広がってしまったかもしれない。」
相澤「オールマイトという平和の象徴が亡くなっていれば、この超人社会も確実に混乱し、犯罪率も事件後に上昇していただろう。」
根津「今日こうして我々が集まったのは、君がオールマイトを治療すると聞き、危険が伴わない確認するため…………そして、あの時の謝罪をしに来たんだ。」
保健室にいる
創破「!!」
根津「プロである我々が間に合わず、危険な目に遭わせてしまい、本当に申し訳なかった。」
相澤「皇があのとき、敵と戦ってくれていたからこそ、今俺や13号、オールマイトは生きている。生徒に守られているようじゃ、プロ失格だ。」
13号「僕も自分が情けないです。災害救助が殆どだったというのは理由になりません。プロであるなら、どんな時にでも対応出来なければならないというのに、本当に情けないです。」
オールマイト「私がUSJ に来る前に、いつも通りの授業だと思い気持ちが緩みきってしまっていた………本当に自分に腹が立つ。皇少年、申し訳なかった。」
創破「・・・皆さん、頭をあげて下さい。皆さんの気持ちはしっかり伝わりましたから、僕の方は皆さんに感謝や謝罪をすることはあれど、怒ることなんて何にもないんですから。相澤先生も13号先生もオールマイト先生も他の雄英の先生方も僕たちのことを命がけで守ってくれました。そんな人達が頭を下げる所を見たら、こっちが申し訳なく思ってしまいますよ。」
創破は頭を地面につけるような勢いでもう一度下げた。
創破「本当にありがとうございました、ヒーロー。」
先生達は少し驚いたような表情を浮かべた。
根津「・・・ありがとう、皇くん。そう言って貰えるとこちらとしてもありがたいよ!でも、君はまだ子供であり、優秀なヒーローの卵さ!さっきも言ったように今回の君の判断は正しいとも間違いとも言い切れない。だけど、はっきり言えることは唯一つ!今回のように自分の命を粗末にするような無茶だけはしないようにしてね!」
創破「はい!!分かりました!!」
根津「うん!力強くて良い返事だ!!」
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保健室の隣の部屋
USJ事件での先生方の謝罪を受け入れ、感謝を述べた創破は今、オールマイトの脇腹の傷を治療するための準備をしていた。
創破「(あの仮面ライダー達の力なら、傷を修復することが出来るけど、時間が何年も経っているとなると完全に修復することが出来るかどうか分からない。体力は回復しているとはいえ、上手くやれるかどうか…………)」
創破が考えた治療方法は至ってシンプル
時間を戻して治療するということだ
創破「(聞いた所によれば、オールマイトの身体は何度も手術を受けて胃袋が凡て取り除かれ、呼吸器官も半壊状態であるということ。だとすると、ドライブのマッドドクターやフォーゼのメディカルスイッチ、エグゼイドの回復エナジーアイテムとかの治癒効果があるものは殆ど意味が無いと思う。
だったら、それらの治癒効果で完全に身体が治癒できる時まで時間を戻す。ジオウは時間操作能力を行えるから理論上不可能じゃない…………けど)」
時間を戻す
それは少しでも加減を間違えてしまえば
生まれる前、つまり0の状態になるかもしれないのだ。
創破は脱線事件の時に、全ての仮面ライダーの力に目覚めたといっても
力を使える=力を自由自在に制御出来るではなかった。
全ての能力を出すことは出来てもその威力や照準などを自由に調整するということは未だに出来ていない。英雄達の精神世界で毎日、少しずつ練習を行っているのだ。
創破「(仮面ライダーの中でも、やっぱり時間とかに関連する能力を持つライダー達の力は強力だから、重点的に練習してきたけど………万が一を考えて、これも並行して使おう。)」
創破はバックの中に入っている眼鏡ケースから眼鏡と黒いイヤホンのようなものを取り出した。
創破「(ザイアスペック・・・・・まさか、こういったものも作れるようになるなんて。)」
眼鏡と一緒に取り出したあるもの、それはゼロワンに登場するZAIA エンタープライズと呼ばれる会社が販売した次世代インターフェース装着型デバイス、ザイアスペックだった。
これを眼鏡と併用して片耳に取り付けることで人工知能AIに匹敵する思考能力が得られるという優れもの。
数年前、仮面ライダーに関連するものは作れないかどうかやってみると、本当に作ることが出来たのだ。
創破「(ザイアスペックを使えば、いつもよりも思考能力が上がって力の調整や傷のどの部分を、どれくらい昔まで戻せば良いか、スムーズに出来る筈。あとは…………)ナイチンゲールさん、力を貸してください。」
ナイチンゲール『えぇ、分かったわ。』
英雄の一人、ナイチンゲールは生前、看護婦であり手術を行う医者では無かった。ましてや、ナイチンゲールがいた時代は今から100年以上も昔の時代。現代の医療に優れているというわけではない
生前のナイチンゲールであれば
死後、この世界で創破と出会いナイチンゲールは創破の中にいる時は「地球の本棚」を利用し、昔から現在に至るまでの医療関連の本を読み漁った。
時々、ゴーストとなり実際の医療現場や手術の様子を見学し、時々医者に憑依して自分が実際に手術を行ったということもあった。
そんなナイチンゲールは、非公式ではあるがこの世界でも5本の指に入るほどの腕前を持っている。
それほどの医療知識があれば、時を戻す前に万が一、オールマイトの身体に異常が出たら瞬時に対応できる筈だと創破は考えていた。
ナイチンゲールを創破は能力憑依によって憑依させ、莫大な医療知識が頭の中に入った。
創破「!!グッッッ!!ッッッ!!」
ナイチンゲール『創破!大丈夫!?』
創破「は・・・い・・・なん・・・とか。」
能力憑依は唯でさえ、凄まじい体力を消耗する。それに加え、ザイアスペックを付け思考能力は早くなっているが、ナイチンゲールが今まで蓄えてきた知識や手術経験が一気に頭に入ってきたため、激しい頭痛がしてきた。
創破「ハァッッッフゥ~~。」
パチパチパチ!!
創破は両手で自分の頬っぺたを叩き、己に渇を入れた。
そして、リカバリーガールから借りた保健室の白衣を着用した。
保健室
創破「お待たせしました。」
保健室に入ると上半身裸のオールマイトが寝ているベッドの周りに先生方が立っていた。
根津「頼んだよ皇くん。」
創破「はい。」
創破はベッドの近くまで行き、トゥルーフォームのオールマイトを見据えた。
リカバリーガールを除いた先生達はベッドから離れ、ドアの前でこちらの様子を見ていた。
創破「それでは、行っていきます。オールマイト、治療中の間は貴方に眠ってもらいます。リカバリーガールはもし、オールマイトが起きるか開始して30分経ったら必ず僕に教えて下さい。
オールマイト「分かった、頼んだよ皇少年。」
創破「・・・・・・・・・それでは開始します。」
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リカバリーガールside
皇創破
今年入学した1年A組ヒーロー科の生徒。入学試験において、筆記試験・実技試験ともに歴代最高得点を叩き出した生徒であり、しかもその子は数年前に当時まだ5歳である子供が脱線した暴走電車をたった1人で止め、乗客全員の命を救ったという、とんでもない経歴を持った子供だった。
入学前から教師の間で話題に上がっていたが、入学してからは更に彼の話題が増えることとなった。
ヒーロー科の新入生が毎年行っている個性把握テスト。
このテストは現状の生徒の実力と性格を教師が見極め、3年間どのようにして個性や精神性を鍛えていくのか判断するのが普通だ。
しかし、A組みの担任イレイザーヘッドこと相澤消太は違う。彼は自分の判断基準でヒーロー科に向いていないと判断すれば、首席だろうが次席だろうが問答無用で除籍処分とする男だ。
それで去年は一クラスの生徒全員が除籍処分となったことで、有名である。
そんな彼が受け持つ今年の1年A組は退学無しとなり、生徒全員が見込みありと判断されたようであった。
新学期になってから最初の職員会議で、それぞれのクラスの状況を喋っていたとき、イレイザーヘッドが個性把握テストの結果を記した紙が配られたが
ミッドナイト「ねぇイレイザー、この結果って本当なの?」
相澤「疑いたくなるような気持ちが分かりますが、ここには事実しか記載されていません。それでも信じられないようであれば、陰でコソコソと見ていたオールマイト先生に聞いてみて下さい。」
ミッドナイト「そうなのですか?オールマイト?」
オールマイト「あ、あぁ。(相澤君、言い方!)」
プレゼントマイク「いや~実技の時からスゲェと思っていたが、ここまでとはな!!無限とか計測不能がこんなについてる生徒なんて、今までいたかよ!」
スナイプ「たしかに、これほどの実力であれば下手なプロヒーローの個性よりも強いです。」
リカバリーガール「まだ16歳の子がこれほどまでの力を持っているとなると、周囲から孤立してしまうかもしれないよ。いつの時代も特異な力は周囲に溶け込みにくい。強いと言っても、まだ学生であり子供さね。プロになれば、確実に1人だけでは対処出来なくなることが起きる。そんな時に、他のヒーローとの協調性がなければ、救える命も救えなくなってしまうよ。」
相澤「・・・・・・。」
根津「相澤くん、君は彼を見てどう思ったかい?個性に関してではなく、彼自身の人柄はどうだったかな?」
相澤「俺が見た限り、皇は自分自身の力をひけらかしたり、クラスで孤立している様子は現状見られません。今はまだ、問題無いと思われます。」
オールマイト「私も同じです。ヒーロー基礎学や普段の授業態度も真面目です。彼はA組だけでなく、何人かのB組の生徒とも話している所を見掛けたことがあります。コミュニケーション能力も十分あり、人柄としては何も問題無いと思われます。」
相澤「ただ、敢えて言うなら皇の個性がまだ、奴自身も全て完全に制御出来ていないということが少し気掛かりです。皇自身の話によると、纏う鎧の中には長時間纏っていると自我を失って暴走してしまったり、身体に多大な負荷をかけてしまったりするような危険なものもあるらしいのですが、デメリットが大きい分メリットも大きい、そんな個性みたいです。」
プレゼントマイク「マジかよ。」
根津「なら安心さ。入学して、まだ数週間ぐらいしか経っていない。時間はまだたっぷりある、我々も彼を含む生徒達を引き続き、立派なヒーローとして育てていこう!!」
全員「「「「はい!」」」」
根津「では、次の議題に移ろう。次は━━━━━」
職員会議で彼の生活態度や人柄は現状問題無いとなり、その後は各クラスの状況や予定している行事等の話し合いを行い、何事も無く終了した。
その数日後、USJにて敵襲撃事件が発生した。
あたしは現場には行かず、怪我をしたヒーローや生徒を治療するために保健室で準備をしていた。
保健室に運び込まれたのは、トゥルーフォームとなっているオールマイトと話題に上がっていた生徒、皇創破だった。
リカバリーガール「(まさか、オールマイトがここまで手酷くやられるなんて、相当強い相手だったみたいだね………脇腹の損傷が特に酷い、輸血だね。内蔵も傷ついてるかもしれない。)」
オールマイトの処置を一旦終え、皇創破の具合を見てみると
リカバリーガール「っ!?」
あたしゃ驚いたよ、怪我をしている部分から植物のツルが出てきていたんだからね。しかも、傷が少しずつだが塞がっている。暫くして、ツルは引っ込み、ようやく怪我の具合を見ることが出来た。手足に骨折が見られたが、運ばれてきた時よりも回復していた。一瞬驚いてしまったが、気を取り直して怪我の手当てを行った。
2人の治療を終え一段落したころ、塚内刑事とA組の生徒4人が入ってきた。聞いたところによれば、どうやらトゥルーフォームのオールマイトを襲撃時に皇創破も含め、見てしまったらしい。
彼が目覚めたら、その説明を行うらしく保健室に来たようだった。
それから数分後、彼は目覚め事情を説明した。
説明後、怪我の無い4人はそのまま帰ったが、オールマイトは勿論のこと皇創破も今晩は保健室に入院してもらう予定であったが
リカバリーガール「あんた!なんでもう動けるんだい!?」
さっきまで折れていた筈の手も足も、傷ついていた身体もいつの間にか治っており、何事も無かったかのような状態になっていた。
聞いたところによると、個性で生み出した鎧の能力に治癒に関連する能力を持つものあり、それで治したという。
リカバリーガール「(まったく、なんて子だよ。)」
だが、本当に驚いたのはこの後の彼の発言であった。
創破「オールマイトのその傷………もしかしたら僕に治せるかもしれません。」
リカバリーガール・オールマイト・塚内「「「!!」」」
リカバリーガール「(何だって!?)」
本当にこのときは驚いたよ。
実際にオールマイトの脇腹の怪我の治療をやった私だからこそ分かる。あの傷は現代治療では完治出来ず、精々全身への影響を抑えるのがやっとであった。
あの傷を治すとなると治療関連に突出した個性でなければ治すことは出来ない。
治す自信があるのか、まだこの間入学したばかりの高校生が
リカバリーガール「(一体どうやって…………)」
どうやって治療するのか…………彼が保健室を出ていった後もずっと疑問に思っていた。
そして今日、保健室には皇創破と根津を含んだ雄英の先生達が集まった。
襲撃の時の謝罪を終えた後、彼は治療のための説明をあたし達に話し始めた。
創破「僕がこれから行うのをざっくり説明すると、僕の個性でオールマイトの時間を戻して、治療を行います。」
先生達「「「「ッッッ!?!?」」」」
時間を・・・・・・巻き戻す!?
オールマイト「ちょちょちょちょっと待ってくれ皇少年!!そんなことが出来るのかい!?」
創破「えぇ可能です。ですが、時間を戻すというだけでは駄目です。」
相澤「どういうことだ?」
創破「この力は調整が難しいんです。その怪我を負ったのは今から約6年前と言ってましたよね?流石に6年前となると力がコントロール出来ず、更に巻き戻って10年前とか20年前とかに戻ってしまいます。なので僕の治癒能力で完全に怪我を防げるようになるところまで時間を戻し、そこから治療を行います。」
オールマイト「・・・・・・。」
相澤「お前のやりたいことは分かった。だが、個性がコントロール出来なくなるというのは本当か?」
創破「はい。」
相澤「どのくらいまでなら、制御できる?」
創破「大体3年くらいです。3年巻き戻してから治癒を使って、怪我を完全に治すことが出来るのかは分かりません。あと、時間を巻き戻すにあたって記憶とかはそのままなので大丈夫です。」
相澤「・・・そうか。」
オールマイト「・・・・・・。」
根津「・・・・・・。」
リカバリーガール「・・・・・・。」
たしかに、この方法なら完治出来なくとも、今の状態より良くなることは可能だ。だが、皇は記憶の方は問題が無いと言っていたが、では…………
個性は?
根津「皇くん、1つ聞きたい。もしも、3年前に身体を戻せたとして、個性の方はどうなるんだい?」
創破「個性ですか?」
根津「うん、個性の威力とかは3年前に戻ってしまうのかい?」
創破「そうですねぇ………多分戻ってしまうと思います。身体の中にある個性因子も時間の影響を受けて、元に戻ると思います。ただ、オールマイトの場合多分発動型の超パワーですよね?異形型とかだったら少しやり方が変わるかもしれませんが、発動型だったら3年でそこまで変わらないので大丈夫です。」
オールマイト「つまり、個性にも影響するということだね?」
創破「はい。」
オールマイト・リカバリーガール・根津「・・・。」
参ったねぇ、もう1つの秘密を知ってる私たちからみれば、これは非常に不味い。かと言って、事情を説明してしまえば彼を巻き込むことになってしまう……………どうするか……
創破「あの、良いですか?」
根津「何だい?」
創破「個性も記憶と同様に今の状態のままにしておきたいのなら、時間はかかると思いますが出来ると思います。」
オールマイト「!!!ホントかい!?皇少年!!」
創破「え………えぇ。おそらく。」
オールマイトが前のめりになり、彼の両肩を掴みながら喋っている。やめたげなさい、そんな骸骨顔、間近で見ると怖いんだからさ。
根津「では、それで頼むよ!皇くん!」
創破「は、はい。では準備してくるのでオールマイトは服を脱いで傷が見えるようにして下さい。リカバリーガール、保健室の白衣をお借りしても良いですか?」
リカバリーガール「あぁ、構わないよ。隣の部屋に用意してあるから、そこで着替えてきなさい。」
創破「はい、ありがとうございます。」
それから数分後、保健室に戻ってきた皇は
どこか雰囲気が変わっていた。
リカバリーガール「(・・・なんだい?ほんの数分前までとは、言葉では言い表せないが、何か違う。)」
白衣を着て、さっきまでは掛けていなかった眼鏡を掛けている…………ただの学生の筈なのに
リカバリーガール「(なんで、まるで何度も経験してきたような顔をしているんだい?)」
自分の方が年上の筈なのだが、私の眼に映る彼の方が遥かに場数を踏んできた年長者に見えた。
保健室の中は今、中央のベッドで横になっているオールマイトがいて、ベッドのすぐ傍に皇とあたしが立ち、少し離れた所にあたしを除いた先生達がいる。
創破「それでは行っていきます。オールマイト、治療中の間、貴方には眠ってもらいます。リカバリーガールはもし、オールマイトが起きるか、開始して30分経ったら必ず僕に教えて下さい。」
オールマイト「分かった。頼んだよ、皇少年。」
創破「・・・・・・それでは開始します。」
そう言うと、彼はポケットから紫色のコインのようなものを取り出し、オールマイトに触れた。すると、
『睡眠!』
突然、知らない男の声が聞こえたと思えば、
オールマイト「………ΖZZZΖ……」
オールマイトがあっという間に寝てしまった。
創破「よし……それでは時間を戻していきます。リカバリーガールはオールマイトの様子を常に見ていて下さい。」
リカバリーガール「あぁ、分かったさね。」
彼は右手の中指に手の平のイラストが描かれている指輪を腰にかざし
『ドライバーオン♪ プリーズ♪︎』
そんな声が聞こえ、皇の腰に手の平の形をしたベルトが腰に巻かれた
『♪ルパッチマジックタッチゴ~♪ルパッチマジックタッチゴ~♪』
『タイム♪プリーズ♪』
今度は陽気な呪文のようなものが聞こえ、さっきとは別の青い指輪をベルトにかざした
その直後
リカバリーガール「なッッッ!?」
オールマイトが寝ているベッドの上に巨大な紋様
いや、魔方陣が現れた。全体が赤色の魔方陣
創破「ハァァァッッッ!!!」
右手をオールマイトの左脇腹部分に手の平で触れ、左手は脇腹に触れてる右手首を掴み、力を込めていた。
すると、傷ついている部分が赤く光始めてきた。
創破「ッッッッッ!!ハァァ!!!」
今度はベッドの上に現れた魔方陣より小さいが同じような魔方陣が皇の手の平に現れた。
それだけじゃない、よく見ると右手首を掴んでいる左手からは何やら金と黒を混ぜたような色のものが目に見えた。
まるで、手の平の魔方陣に金と黒の色をしたエネルギーを流しているようである。
あたしのイメージが当たってたのか、ベッド上と手の平の2つの魔方陣はより一層、赤く輝きを増した。
先生達「「「「「・・・・・・!!!」」」」」
オールマイトの身体から少し眼を反らし、こちらを見守っている先生達の方へ向けると、殆どの先生達が口を半開きにして驚いている。
気持ちはなんとなく分かる、こんな光景、ファンタジー小説や漫画とかでしか見たことがないだろう。
創破「ふぅぅぅぅ…………ハァァァッッッッッッ!!!」
雄叫びに近い声を挙げたと思えば、ベッド上と手の平にあった赤い魔方陣は消えていた。
創破「ハァッ!ハァッ!3年戻しました!リカバリーガール、オールマイトの状態は!?」
リカバリーガール「大丈夫だよ。まだグッスリ眠ってるさ…………30分まであと10分だよ。」
創破「了解しました!ここからは治癒作業に移ります!」
彼はポケットから、またコインのようなものを3枚取り出し、オールマイトに触れさせた。
『『『回復!!!』』』
どうやら、さっきのコインの能力とは違い、回復能力があるようだ。
創破「・・・・・・これで最後だ、ふぅぅぅぅハァッッッッ~~。」
目を閉じ、深く深呼吸をしながら何か覚悟を決めたような鋭い目付きになったと思ったら、彼は両手でオールマイトの傷部分に触れた。
創破「ハァァーーーーーー!!!!」
ピカーーーーーーーン!!!!
リカバリーガール・先生達「「「「「!?!?」」」」」
皇の両手から眩しい光が照らし出され、近くにいたあたしは一瞬目をつぶってしまったが、光は5秒くらいで消えていった。
光が消え、皇の方を見ると
創破「ハアッ、ハアッ、ハァ・・・リカバリーガール、傷を、確認してください。ハアッ、ハアッ………」
皇は余程疲れたのか、その場に座り込み息を荒くしていた。
あたしは言われた通り、傷を確認しようとベッドに近づいた、そこには
リカバリーガール「!!!こ、これは!?」
先生達「「「「「「!!!!」」」」」」
そこには
マッスルフォーム姿のオールマイトがいた。
リカバリーガール「(手術前はトゥルーフォームだった筈………まさか本当に!!)」
未だに寝ているオールマイトの左脇腹を確認すると
リカバリーガール「・・・・・・。(本当にやっちまったよ!)」
塚内「リカバリーガール、オールマイトの傷は?」
リカバリーガール「安心しな、
綺麗さっぱり治ってるよ。」
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治療後、リカバリーガールが保健室にある医療器具を使って更に綿密な検査を行った所、オールマイトの傷は跡形もなく消えていたという。
つまり、傷を負わずに歳だけが取った場合のオールマイト、
オールマイト「皇少年!!本当にありがとう!!!」
創破「いえいえ、無事に終わって本当に良かったです。」
塚内「私からも礼を言わせて欲しい、こうしてまた友の元気な姿を見せてくれて、ありがとう。」
オールマイトや塚内だけでなく、創破を除く保健室にいる全員が創破に向かって頭を下げ、お礼を言っていた。
創破「皆さん、頭を上げて下さい。最初のときも言いましたけど、いつも皆さんヒーローは僕たちを助けてくれたじゃないですか。それを今度は僕が皆さんに恩返ししているだけです。皆さんの感謝はしっかり僕に伝わりましたから。」
オールマイト「そう言ってもらえるとこちらも嬉しいよ。皇少年、あの時から立派にヒーローとして成長したね。」
創破「オールマイト…………ありがとうございます!!でも、まだまだ僕は未熟です!ここでもっと学んで、少しでも早く貴方を越えるようなヒーローになってみせます!」
オールマイト「HA~HAHAHAHA!私を超えるか!良いだろう!ならば超えて見せろ!皇創破!!」
オールマイト以外の先生達「「「「!!!!!」」」」
創破に向かってオールマイトは威圧を放ちながら言い切った。いつもの少年呼びではなく、フルネームで呼んだことに塚内を含み、先生達は驚いた。
創破「はい!必ず超えてみせます!!」
それから創破は相澤と13号の傷も治すかと提案したが、2人はこれを拒否した。2人ともこれらの傷は普通に治療すれば治るため、疲れきっている創破に無理をさせることは出来ないということだった。相澤の後遺症についても「プロはこれくらい後遺症ならば覚悟してる、生徒に敵撃破を任せてしまった自分への戒めとして残しておく」と言っていたため、治療はしなかった。
それから創破は30分ほど、雄英で休みを取った後に、塚内の車で家に帰っていった。
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雄英高校 会議室
そこにはオールマイト、リカバリーガール、根津校長が集まっていた。
根津「オールマイト、身体の調子はどうだい?」
オールマイト「今のところ、特に問題はありません。」
根津「個性の方も変わりはないかい?」
オールマイト「えぇ。緑谷少年に譲渡したため、私に残っているワンフォーオールは徐々にですが消えていくでしょう。しかし、傷が治ったことで活動限界などは無くなりました。これだけでも十分楽になりました。」
根津「それは良かった。皇君は本当に良くなってくれたね。オールマイトが回復してくれれば、我々としても敵に有利に立てる。」
リカバリーガール「まったく……時間を巻き戻すなんて最初聞いたときは心底驚いたよ………個性が3年前に戻ってしまったら、もしかしたら譲渡した緑谷に大変なことが起こってしまってたかもしれないよ。」
オールマイト「あ、あああの時はフォローありがとうございました、根津校長!」
根津「構わないさ。ただ、今回のことも含めて彼の個性は我々が思って以上に強力なものであることが分かった。」
オールマイト・リカバリーガール「・・・・・・。」コクッ
根津「まだ、彼は高校生。しかも立派なヒーロー精神を持っている。強すぎる力は時として周囲から虐げられ、孤独を生みかねない。そうならないようにするために、我々教師が必ず正しい道へと彼を含めた子供達を導いていこう。」
オールマイト・リカバリーガール「「はい!!」」
根津「それじゃあ、次の話しに移そう
近々開催される
雄英体育祭についてさ。」
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マンション
創破「・・・・・・。」
創破は塚内が運転する車によってマンションまで送迎され、部屋の中に入るなり、ベッドへとダイブした。
創破「(あのとき……………)」
創破は治療を行うにあたって、オールマイトの脇腹部分に触れた。
そのとき
頭の中で
白髪で大柄な男が、同じ白髪だが細身の男の頭を鷲掴みにしている
創破「(多分、この能力は天空寺タケルさんの人の記憶をみる能力だと思う。だとすると、オールマイトの過去の記憶?)」
電車脱線事件のとき、病院でオールマイトと握手をしたときにも同じような見たが、今回は映像だけでなく声も聞こえてきた。
創破「(会話の様子から察するに、あの2人は兄弟、それであれは兄弟喧嘩………なのか?………いや違う、あれは兄の方の一方的な虐待だ。弟の方は大して抵抗しようとしてたけど、兄の力が強くて出来なかった。それに目は見えなかったけど、兄は弟の顔を掴みながら笑っていた。弟は苦しそうにしていた。)」
あの
オールマイトが過去に出くわした事件の1つか?
何故かは分からない
何故かは分からないが…………………
創破「嫌な予感がする。」