裏では、少しずつ、日本が、世界が、確実に、変わり始めてきていた
これは創破達が雄英体育祭に取り組んでいた時に人知れず起こっていた裏の出来事である
時は一回戦第3試合、轟vs瀬呂の試合時間まで遡る。観客達は会場にあるバトルフィールドに注目していた
そんな中、体育祭会場にて本来は関係者以外は立ち入り禁止である筈の場所に1人の男が歩いていた。その男の足取りは防犯のための監視カメラや警備員などまったく気にすることなく、スキップでもするかのような
「フッフフ~ン♪フッフフ~ン♪さぁ、もうちょっと~♪もうちょっとで僕の物~♪僕のおもちゃ~♪」
鼻歌を歌いながらその男はとある部屋の前で立ち止まり、薄気味悪い笑みを浮かべる。そこは1年女子が使用する女子更衣室であった
「ヒヒッ……ヒヒッ!さぁ~てと、どんな物があるかな~………っては?」
意気揚々と扉を開けたその先にいたのは
「おいおい!何だよここ!?」
ラム「貴方の墓場となるところよ、クズ」
「ーーーッ!?」
何もない白い空間……会場よりも広いんじゃないかと思う程の殺風景な場所に、ポツンと咲く美しき花のような存在がいた
「はっ?おま……はぁっ!?何で、リゼロのキャラがここいにいんだろ!?世界違うだろ!?」
ラム「…………ハッ!」
「ッ!!そうか、お前も俺と
ラム「…………アッ?」
その言葉はラムにとって侮辱の極みでしかなかった
ザシュ!!!
「はっ?………(何で俺の身体が、こんな……はっきり、はっ……?………あれって血……?おれ………おれ、おれ、俺おれオレ俺オレ俺おれ?おれ、あれ?あれ何?なにナニ何何何何何何何何何何何何何何何何何何………イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!)」
ラム「ラムをお前のような奴と同類にするなんて、冗談は存在だけにしなさい」
「……ッャ……ッャ……ァ」
ラム「口をパクパクさせてまるで魚……いや、それだと魚にも失礼ね」
「ァ、ァ………ァ…………ッ………」
ラム「まぁいいわ。もう死ぬのだから、じゃあ」
さっきまで男の胴体と繋がっていた頭は、サッカーボールのようにコロコロと転がる。胴体の首元からは血潮が噴水のように噴き、暫くして糸が切れた人形のように倒れた
ただの処理……紙をシュレッダーにかけるだけのような簡単な作業
男はこれまで惨めな人生を送ってきた。だが、この世界に来て、個性という力を
ラム「私達のために消えなさい」
最後に男の瞳に映ったのは、ピンク色に輝く1本のツノであった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
赤い夕焼けの陽光を浴びながら、教室を後にした霧雨魔理沙は自分の住むマンションへと1人歩いていた
体育祭が終わり、1位は取れず準優勝という結果になってしまったが彼と差しで本気で戦うことが出来て良かったと思っていた
そして何より、明日は彼と出掛ける約束を交わせたそれが何より嬉しかった
霧雨「(♪~♪♪)」
だから気付かなかった
ラム「随分とまぁ」
レム「浮かれていますね」
霧雨「ッ!!」
自分のすぐ傍に、2人が立っていたことに。魔理沙は一瞬ギョッとし、その場から一歩立ち退いた
霧雨「ッ……お前らぁ」
レム「体育祭、準優勝おめでとうございます。魔理沙様」
ラム「おめでとうございます」
霧雨「ありがとう……………で、本題はなんだ?」
ラム「いえ、特に何も。純粋にお祝いの言葉をかけに来ただけです」
レム「パンドラ様より『私は今忙しいため、変わりにお祝いの声をかけてあげて下さい』という伝言を預かった次第です」
霧雨「………体育祭中、何かあったか?」
ラム「はい。1年生の女子更衣室に侵入しようとする輩がいました」
ラムの発言に魔理沙は目を見開く
レム「姉様が『千里眼』で見つけ出し排除しました。しかし━━━━」
ラム「━━━━その男は、個性登録はおろか戸籍もありません。そして何より、奴の口から『リゼロのキャラ』という言葉が出てきました」
霧雨「ッ!!………くっそ、最悪だ。
ラム「まだ分かりませんが、少なくとも
霧雨「そいつの死体は?」
レム「異空間に運び、現在解体作業を行っています」
ラム「
霧雨「そうか……分かった。ほんの些細なことでも良いから……何か分かったら教えてくれ」
ラム・レム「「かしこまりました」」
2人の報告を聞き終え、魔理沙は再び帰り道を歩こうとしたとき、伝え忘れるところでしたとレムが言葉を漏らした
レム「本日のお昼頃に話したこと、覚えていますか?」
霧雨「あぁ?」
ラム「我々と同じ、パンドラ様の分身体より連絡がありました」
レム「あの方々によって
明日からこの国が変わります」
そう言い放った直後、まるでタイミングを見計らったかのようにラムとレム、魔理沙を包むかのように風が吹いた
霧雨「…………つまり、決まったんだな」
ラム「はい」
レム「世間は雄英体育祭の話題で持ち切りですが、裏では日本の在り方が大きく変わる法案が可決されることが大半の人間は殆ど気にもしていません」
ラム「我が主ながら、恐ろしい力………いえ、恐ろしい人です」
2人の表情は魔理沙のいる方からは見えない。だが、発した言葉から2人が今、どんな表情を浮かべているのかが分かった
オリンピック、いや今は雄英体育祭はそれに成り代わった日本の大きなビッグイベントとなっている。次代のヒーローが活躍するお祭りムード………その裏でパンドラは1つ、今後の日本の在り方を変えるかもしれないことをしたのだ
それも、正規のプロセスを経てだ
霧雨「あいつ………いや、
そう言い、魔理沙は今度こそその場を後にした
時間は雄英体育祭の昼休憩まで遡る
ちょうど創破と緑谷が轟に呼び出され、自身の過去を話していたころ。魔理沙もまた、ラムとレムに呼び出されていた
ラム『ご無沙汰しております霧雨魔理沙様。決勝戦進出、おめでとうございます』
霧雨『そういうのは良いから、さっさと用件を済ませてくれ』
ラム『分かりました。まず1つ目は、引き続きこの会場の守備と万が一転生者……もしくは転移者が現れた場合はこちらで対処いたしますので、霧雨様は気にせず体育祭に集中してください』
霧雨『分かってるよ、そんぐらい』
レム『2つ目は、彼についてです』
気怠げそうに聞いていた魔理沙が真剣な表情でラムとレムを見つめる
霧雨『そうくんがなんだ?』
レム『彼は今後、この全世界が観た体育祭でより一層注目されることでしょう。ヒーローや敵、ヴィジランテ、権力者からも……』
霧雨『…………』
ラム『そのためにパンドラ様は、将来を見越しこの日本の法律を少しずつ変えていくことにしました。彼が偉大なヒーローとなるように……理想の世界を作る第一歩として………』
レム・ラム『『民法732条を改正することにしました』』
霧雨『…………そうか』
レム『大して驚かないのですね。実質、この国の倫理観を変えてしまうものですが』
そう言うと霧雨はハッ、と鼻で笑い空を見上げた
霧雨『前もってお前ら………の生みの親からその話しを聞いていたのを忘れてねぇよ。倫理観なんて、人それぞれ。国それぞれだ。認めてる国も人も世界中にいる。歴史を遡れば日本だって認めていた時代もあったんだ』
魔理沙はスマホを取り出し、時間を確認する
霧雨『私は止めない。この世界が、上の連中や部外者によって
じゃあな、と言い魔理沙は食堂へと向かった。遅れてくるであろう創破のための席を確保するために
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国会議事堂
そこでは今日、ある法律が改正された
民法732条『配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることが出来ない』
所謂、重婚禁止ということ。これは男女平等の考え方や人権思想が従来の日本人に根付いていること。これを大きく変えることは、容易ではない…………筈だった
だが、その根付いた法は、本日をもって改正された
一夫多妻制度への改正である
???総理「いやぁ~、まさかこんなにも上手くいくとは思わなかったぜ」
秘書官「総理、人目がないからと言ってそのような口調は控えて下さい」
???総理「へいへい、だけどよ~。もう大半の奴らはこっち側に堕ちちまってんだからさぁ~?別に見られたとしても良くね?」
秘書官「まだ全員ではありません。それに内閣は一枚岩ではありませんので、どこから情報が漏れるのかも分かりません。用心に越したことはないのです」
???総理「あ~はいはい、分かり……いや、分かった。あとこの先は私1人で行くから、君は明日のスケジュールを纏めておいてくれ」
秘書官「分かりました」
失礼します、とお辞儀をして反対側の廊下へと歩いて行く己の秘書を見ながら、総理は自分の部屋へと入っていった
ポケットに入っているスマホをいじりながら、部屋の中央にあるソファに座る
???総理「え~~っと…………おっ!雄英体育祭1年生は、皇創破に決まったか~。2位は霧雨魔理沙で、3位は……轟焦凍と爆豪勝己……まぁ順当か~………ん?」
総理の意識に、嬉しそうな声をして誰かが入ってきた
???総理「パンドラ様、お疲れ様です」
その正体はパンドラ。そして、現日本内閣総理大臣は………
パンドラ『お疲れ様です♪
次回『魔女の愛』