強殖装甲が斬る!   作:Yunnan

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第6話

タツミside

 俺とイブキにケンが殺し屋に入った直後、ラバックの結界に反応した侵入者(傭兵)を始末するためナイトレイドが出動し俺もいきなりの初陣。ボスに言われてブラートさんの後を追いかける。

 

 「ブラートさん!」

 「ん? おお! タツミか!! 一緒に行くか?」

 「はい!」

 「後、俺の事は兄貴かハンサムって呼びな!!」

 あ、兄貴? それにハンサム呼びさせるってブラートさんってナルシスト? でも本人が呼んでくれって言うなら兄貴呼びさせてもらおう!!

 

 「はい! 兄貴ッ!!」

 「よおしっ!! 良い気分だ! お礼に良いモン見せてやるから少し離れてな!!」

 ?? 良いモンってなんだ?

 訳が分からず少し離れると兄貴は片膝をついて手を地面に触れて。

 

 「インクルシオオォォォォォッッ!!」

 力強く咆哮! 瞬間、兄貴の背後から何かが出てきた(・・・・・・・)! 何だアレ!? その何かは兄貴の身体に纏わりつき、あの鎧姿になった。

 

 「うおおおっっ!! カッケえぇぇぇっ!!」

 「だろ? これは帝具(・・)インクルシオ」

 帝具? 訊いた事ない言葉だけどっ。

 

 「燃えるな!!」

 「(わか)ってくれるのか! コイツの良さを!!」

 なんだか兄貴も嬉しそうだ。

 

 「さて……タツミ。君に発仕事を言い渡す! 重要だぞ?」

 「お、おう!」

 殺し屋としての初仕事。絶対にミスは出来ねぇ! 一体どんな内容なんだ?

 

 

 

 

 

アカメside

 侵入者の気配を追いかけ、私の目の前に三人の侵入者。

 

 「手配書に描かれているコイツがここにいるってことは、やはりアジトは近いようだな。地味に探したかいがあったぜ」

 「っていうかよく見当たら可愛い顔してるじゃねぇか」

 「まずは手足を動かなくして楽しんでから(犯して)でも遅くはねぇだろう」

 …………こいつ等。頭大丈夫か? ここはまだ適地だと言うのに下品な会話をしている。敵が目の前にいるのに余裕なのかそれとも単なる馬鹿か……おそらく後者だろうな。呆れる。

 

 「よっし。そうと決まれば身体をあまりっ」

 ヒュン。私は容赦なく一閃。

 

 「傷つけ……え?」

 「お前達……敵地で余裕持ち過ぎだ」

 「な……は、迅すぎ、る」

 ドシャッ。二人は瞬殺。

 

 「くっ! せめて相打ちにっ!!」

 残った一人はナイフを振り上げ私に襲い掛かろうとするが、遅れて呪毒により死亡。

 

 「一斬必殺」

 

 

 

 

 

マイン

 私は見張りの良い崖から森林の上手く隠れながら逃げる異民族がスコープ越しに見える。

 

 「結構(はやい)のね。この状態だと(・・・・・・)弾が届かないわね」

 私はわざと立ち上がり異民族に照準を合わせる。瞬間、背後から私に襲い掛かってくる異民族。馬鹿ね、それが罠だって気づかないなんて。

 ジャコッ。背後で物々しい音が耳に入る。

 

 「すみません」

 「ありがとうシェーレ。このピンチで十分に届く!」

 引き金を引くとパンプキンからレーザーが発射。レーザーが消えると異民族諸共、ちょっと何本かの木々がきえちゃったけどまいっか。始末できたから。

 

 「よっし! ピンチになればなるほどアタシは強い!!」

 

 

 

 

 

レオーネ

 「何だよー。一発で終わったら詰まんないじゃんか」

 既に死んでる異民族の死体に座り愚痴るアタシ。

 アタシの相手はブラートと遜色ない大男だったけどそれは見掛け倒しだったみたい。男の攻撃を躱してカウンターの一発をくらわせたら即終了。あっけなさ過ぎて暇だ。

 ピクン。頭部に生えてる獅子の耳が訊きなれた音を拾う。

 

 「お。今のはマインの浪漫砲台(パンプキン)だな。よくあんな面倒くさい帝具使うよな。その点、これ(ライオネル)は獣になって殴殺。解りやすい」

 

 

 

 

 

ラバックside

 「糸の反応が軽いと思ったら、女の子かよ」

 俺は一人、糸の罠に嵌った反応を辿り洞窟を進むと、糸に絡まって捕まっていたのは扇情的な格好をした可愛い異民族の女の子だ。まったく、こんなところで殺さちゃうんだから運がないよね。

 ギリギリギリ。

 

 「いっ! お、お願い! 見逃して!! 見逃してくれたらいい事してあげるからっ!!」

 俺が糸をきつく締めあげると、女の子は常套句を言ってくる。良い事に興味がないと言えば噓だけど……。

 

 「だーめ。そうやって色香に騙されて殺された奴知ってるんでね。それにアジトを知られちゃった以上、君を見逃すことは出来ない」

 ギッ!!

 

 「あっ! …………」

 情けで苦しませないよう一息で殺す。女の子は一瞬身体がビクつき、死んだ。

 

 「さて、報告報告っと」

 女の子を開放しナジェンダさんに伝えなきゃ……だけどやっぱり。

 

 「あ――もう! こういう時、切ない稼業だよなぁ」

 

 

 

 

 

タツミside

 俺は今現在、草むらに身を潜めている。何でこんなことになっているかと言うと……。

 

 

 『良いか? 敵が逃げてくるとしたらここを通る可能性が大だ。足止めで良いから何とか応戦しろ』

 と。言われた通り隠れているんだけど……本当にこんな場所に異民族が逃げてくるのか? 兄貴の言葉を疑うわけじゃないけど……ここじゃなかったらどうするっ。

 ガサッ。

 !! 近くの草が揺れた瞬間、動物の皮を被った男が出てきた! すげぇ! 兄貴の言う通りだ!!

 

 「ここにも人を配置していたのか!」

 「ここを通すわけにはいかないぜ侵入者さん!」

 俺が剣を取り出し前に出ると男も剣を抜く。

 

 「少年と言えど、容赦はせん!」

 こっちだって簡単にはやられねぇぞ!!

 

 

 

 

 

 イブキside

 俺とケンはアジトから出る事無く、鬼操術(きそうじゅつ)という(わざ)で、氣で鳥の精神を支配し鳥の眼を介し始末の瞬間を見ている。

 異民族の侵入者はナイトレイドの敏腕な腕で瞬く間に瞬殺。唯一、殺し屋界に入りたてのタツミが心配だったが存外戦えていた。齢十五にしちゃ良い腕をしているな。

 互いに一歩も譲らない剣戟の応戦。その中で異民族の振り下ろされた剣を受け流し、逆に返しの一撃で胸部を一閃。

 

 『どうだ……これが、サヨとイエヤスと、三人で鍛え上げた剣技だっ!!』

 最後に止めの一撃をさそうとした時。

 

 『た、頼む! 見逃してくれッ! 俺が死んだら里の者がッッ!!』

 男が相手を油断させる為の嘘にタツミの動きが鈍る。ま、戦闘中(殺し合い)に嘘を言っちゃいけないなんてルールはない。特に殺し屋界じゃな。その隙を逃さない男は剣を握りしめ襲い掛かる。

 

 『はははっ! 甘いな少年! 一族の為に死んでもらうぞ!!』

 狂刃がタツミに届く寸前、木の上からアカメが飛び降り下突きで寸分狂いなく背から心臓部を刺す。その際、頬に血が付着するがアカメは表情を変えない。

 

 『躊躇うな。止めは迅速に刺す事だ』

 ……流石。元帝国暗殺機関で鍛え上げられた暗殺者。まだタツミと変わらない歳だってのにどれだけの地獄(死地)を潜り抜けてきたんだろうな。

 

 『とうっ! 敵がこっちに逃げて来ただろ?! 後は俺に任せなっ!』

 そして少し遅れてブラートが木々の間から飛び出してきたが時すでに遅し。

 

 『もう終わった』

 『へ?』

 ブラートだけ()ることなく異民族の侵入者は全滅した。

 

 

 

 

 

タツミside

 俺は異民族の男と戦って、あと一歩の所で男の嘘を信じかけて殺される寸前、アカメが躊躇なく殺したことで事なき得た。侵入者は全滅。俺達は無傷でアジトに帰還。アカメがボスに始末の報告をしてる間、イブキはナイフを研ぎケンは本を読んでいた。

 

 「どうイブキ! これがあたし達、ナイトレイドの実力よ!」

 何でかマインはイブキに突っかかる。

 対してイブキはナイフを研いでいた手が一瞬だけ止まり再び研ぎ出し。

 

 「はぁ。お前バカなのか?」

 そう返した。

 

 「はぁ!? どういう意味よ!!」

 「そのまんまの意味だよクソガキ。侵入者を始末するのは殺し屋として当たり前だ。自分の事をプロフェッショナルとかほざいていたわりには随分と幼稚なんだな~……本当のプロはお前みたいに一々小さなことで突っかかってこねぇよ。。あ、射撃しか取り柄のない自称(・・)射撃の天才様には理解出来ませんか」

 「出来るわけないだろう。この中で一番の最弱(ザコ)なんだから仕方ない」

 「……ッ! あんた達ねっ!!」

 イブキとケンに言われ放題のマインは眼元を引きつらせ近づこうとした瞬間。

 ドサッ!!

 

 「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」

 気づけばマインがイブキに倒されていた。口元は抑えられたマインは逃げ出そうともがくが、そもそも体格が違う時点で意味がない。

 

 「ん――!! んん―――――っ!!??」

 「ほっっっんとバカだなマイン? お前、自分と(相手)との実力の差も解らねぇのかよ。力・迅・体重の全てが俺の方が上だなんて誰が見ても解る。お前の筋力さじゃこうやって倒された時点で詰んでるんだよ。プロフェッショナル? はっ! 片腹痛いね。テメェ程度の実力でプロフェッショナルを名乗れるならそんじゃそこらの殺し屋(同業者)でも名乗れるっての。かわいそうにな~~。どうしようか……これが実践だったらもう死んでるんだぜクソガキ。ってか死のうか。邪魔だし弱いしいらないよね? テメェも殺し屋なんだから何時どこでも殺される覚悟はあるんだよね」

 懐から短刀を取り出しクルクル回して逆手に持ち振り上げる。

 

 「ま、待てイブっ!!」

 ズンッッ!!!!

 ボスが止めようと立ち上がった瞬間、部屋の空気が重苦しいものに変わった……殺気だ。

 

 「その場から動くなよ。少しでも動けば敵とみなし殺す」

 発生源はケンだ。今まで感じてきた殺気が可愛く思えるくらい重くて冷たい殺気だ。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 呼吸が乱れて冷や汗が噴き出て膝が笑う。立っていられるのがやっとだ。こんなの、動きたくても動けない。

 

 「ようやく理解したらしいな。お前らナイトレイドがどれだけ帝都で恐れられていようが所詮、この程度の殺気(・・・・・・・)で動けない矮小な存在だって事に。それじゃ……さようなら」

 無慈悲に振り上げた短刀がマイン目掛けて振り下ろされた!!

 ドガッ!!

 ………………振り下ろされた短刀はマインを刺すことなく、顔ギリギリの寸前の床を刺していた。

 

 「…………はぁ。止めだ止めだ馬鹿々々しい。こんな奴ら殺した所ではした金にしかならねぇよ。ケンも殺気押さえろ」

 「………………」

 呆れた感じのイブキはマインの上から立ち退き短刀を懐に仕舞う。ケンも殺気を消し去った。直後、部屋全体を包んでいた殺気がなくなった。

 ドサッ。足に力が入らなくなった俺はその場で尻もちをついた。

 

 「ふ――……まさか、ここまでの殺気を出せる人間がいるとはな」

 ボスは椅子に座り息を吐き汗を拭う。口にくわえていたタバコは床に落ちていた。

 

 「大丈夫か? マイン」

 「大丈夫ですか?」

 「……大丈夫よ」

 アカメとシェーレがマインに駆け寄り身体を起こす。マインは大丈夫と口にするけど体は震えていた。

 

 「解った? 自分がどれだけ浮かれていたのか」

 椅子に座り直したイブキが冷めた視線でマインを射抜きに続ける。

 

 「お前らが帝具に認めらる程の実力者だってのは一目で解った。だけど認められただけで腕はまだまだ未熟だ。格下のは相手には十分に通用するかもしれないが、今後は俺……もしくはそれ以上の相手(・・・・・・・)と対峙した時、死ぬぞ?」

 「でも依頼の時はペアを組んで仕事に当たりますから」

 「例えペアを組んでいたとしてもさっきみたいな状況に陥った時、動く事すら出来なかったお前如きに何が出来る? 実践なら本当に殺されているぞ。それとも何か? ペアを組んでいれば二度と同じ目に合わない。完璧に対処出来ると言い切れるのか?」

 「……っ」

 シェーレが反論するも、ケンに言いくるめられ口を閉ざす。

 

 「ペアを組んでいようが一人だろうがいずれ自分達より格上の強敵とは必ずぶつかる。その時に打破できる実力がなければ生き残れん」

 「だから」

 そこでイブキが言葉を区切り。

 

 「俺がお前らを強くしてやる」

 そう提案してきた。

 

 「イブキが俺達を鍛えるって事か?」

 「そ。時間がある時に俺とケンが教えるよ」

 「おいイブキ。何を勝手にっ」

 「ケンは別の仕事があるからちょくちょくで良いよ」

 「……報酬は割高にしてもらうぞ」

 「はいは―い。少なくとも革命を起こす前に出来るだけ露払いはしたいんでしょう? 今のままでもお前らは十分強いが……より強い人に鍛えてもらった方が確実に強くなるぜ。と言っても俺もまだまだ未熟だけど……今までと同じ鍛錬でも別に良いんだけど、少なくとも今よりは確実に強くなるよ。」

 ……確かに。俺の剣技は退役した元軍人から教えてもらって、その後はサヨとイエヤスと一緒に鍛え上げた剣技だ。

 

 「ま。別にこれは強制じゃないし嫌なら嫌でっ「やるわ」へぇ」

 立ち上がったマインが真正面からイブキにそう答えた。

 

 「意外だね。まさかマインが最初に答えるなんてね」

 「……あんたに倒されたとき、アタシは何もできなかった。アンタの言う通り実践だったら殺されてた。悔しいけど実力はアンタが上だって嫌でも理解できた」

 「伊達に地獄(死戦)を潜り抜けてきたわけじゃないからな」

 「だから! アンタより強くなって見返してやるんだからっ!」

 「……クソガキが戯言を。そう簡単に見返されるわけにはいかないが、どれだけ成長できるか楽しみにしてるよマイン(・・・)。他はどうすんだ?」

 マインの宣言にイブキは何処か楽し気に笑みを浮かべ、俺達にも訊いてくる。

 

 「私もお願いしよう」

 アカメ。

 

 「でしたら私も」

 シェーレ。

 

 「かの鬼神から直々に鍛えてくれるってなら俺もお願いしようかね」

 兄貴。

 

 「はいはーい! 私も私も!!」

 レオーネ。

 

 「面倒臭そうだけど、ここは空気を読んで俺も参加すっかね」

 「じゃラバック不参加で」

 「なんでだよッ!?」

 「冗談だよww」

 おちょくられるラバック。

 

 「俺も頼むぜイブキ!」

 「解ってたけど全員参加ね。ボス、良いよね?」

 「ああ、許可する。鍛錬内容も全てイブキに一任する」

 ボスの許可も得てナイトレイド全員が参加することが決まった。

 

 「それで? 今から始めるの?」

 「そうしたいのは山々なんだけど……バカでかいゴミを処分するのが先だな」

 バカでかいゴミ?

 

 「何だそりゃ?」

 「あっち見てりゃ解るよ」

 親指で壁を指さすイブキ。壁を見てれば解るってどういうっ。

 

 「ぐあっ!?」

 「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」

 突然、知らない声が会議室に響いた! 全員が声のした方を振り向くと、いつの間にいたのか会議室の窓に帝都の警備隊の恰好をした男がいた。腹部を押さえてる所が血で赤く滲んでいる。

 

 「警備隊!?」

 「いつの間に侵入された!!」

 「ちょっとラバック!! 糸に反応しなかったの!?」

 「葬る!!」

 素早く反応したアカメが刀を抜刀し斬りかかる。

 

 「チィッ!!」

 だけど刃が当たる直前で男は窓から飛び降り躱す。身を乗りだしてみると男はすぐさま身を翻し逃げていく。

 

 「そんなわけでアレの始末が先だな。早く来いよ~」

 「イブキ!?」

 軽い口調で窓から飛び降りたイブキは男を追いかける。

 

 「ナイトレイド再出動!!」

 ボスの号令に一斉に会議室から飛び出し追いかける。勿論、俺もだ。

 …………そして俺はこの後、帝都で恐れられている本物の鬼神(・・・・・)を見ることになるなんて、思いもしなかった。

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