丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
このままだと私の鼻が伸びるかもですが、ほどほど上を見て心を折られることにします(笑)
キンセツジム・ジムリーダー戦は3対3のシングルバトルでポケモンの技以外の交代はチャレンジャーのみ。
ルールはこんな感じで、フィールドに立った俺とテッセンさんは審判の言葉を待つ。
「それではジムリーダー戦、開始!!」
「頼むぞエレキブル!」
「ゴー、レール!」
テッセンさんが投げたハイパーボールから筋肉質の悪役系のポケモンのエレキブルが現れた。
……ん?
「あの〜、つかぬ事をお聞きしますが」
「どうかしたのかのう?」
「今更かもですが、チャレンジャーの僕がバッジ二つしか持ってないのに強そうなエレキブルを出すのですか?」
どう見ても高レベルっぽいエレキブルを繰り出してきたので、ゲームのストーリーならハードをぶん投げるレベルだろと突っ込みたくなる。
(まあ、あれだけジムトレーナーをボコボコにして言うか? と突っ込まれそうだが……)
今でも周りから痛い視線を感じるが、テッセンさんは笑いながら言葉を返した。
「ぶっちゃけるとお主の実力は認めているから何かやらかさない限りはバッジは渡すつもりじゃよ」
「という事は」
「このバトルはワシ個人の興味でしているのじゃ」
(それいいのかよ)
カラカラと笑う相手に唖然とするが、俺はなんとか立て直して審判さんに頭を下げる。
「わかりました……。あの、途中で止めてすみません」
「いえいえ! では、改めてバトル開始!!」
開始の合図の主観、テッセンさんのエレキブルが動き始めた。
「エレキブル、こうそくいどう!」
「エレッ!!」
「ぐっ、がんせきふうじ!」
「クチッ(はあぁ)!!」
高速で接近してくるエレキブルに対してレールは体の周りに大きな岩を出現させてぶつけ始める。
だが、素早さは向こうの方がの方が早いみたいでなかなか当たらない。
「そこじゃ!」
「ぐっ!」
距離がほとんどなくなり、エレキブルは右腕を構えて突撃してきた。
「かわらわり!」
「レブッ!」
「ここは、ふいうち!」
「チチィ(くらえ)!」
相手の『かわらわり』を回避したレールは蹴りを叩き込んだ。だが、エレキブルは多少後退しただけでピンピンしている。
「大丈夫かのエレキブル!」
「レキッ!」
腕をグルグル回してながらレールを睨んでいるので、俺も覚悟を決めて行動を決める。
「いくぞレール!」
「クチチィ(もちろんだ)!」
まだまだバトルは序盤。俺はこれからの展開を組み立てつつレールに指示を出す。
「レール、がんせきふうじ!」
「クチィ(もう一回くらえ)!」
先程と同じくレールは空中に大きな岩を出現させるが、それを見たテッセンさんは笑った。
「それなら! エレキブル、ほうでんじゃ!」
「レキィッッ!」
「しまった!」
「クチィ(ぐっ)!?」
エレキブルが放った広範囲の電気技は岩石を破壊しながらレールに直撃するが、普通に耐え切れたのか彼女も余裕そうに立ち上がった。
「流石だな……」
「クチチィ(こりゃ一筋縄じゃいかねーな)!」
エレキブルはいやらしい笑みを浮かべているので少しイラつくが、俺は一呼吸を挟み落ち着く。
「ほう、普通に耐え切られたのう」
「エレキッ!」
向こうも称賛してくれたが納得は出来ないので、俺はニヤッと笑いレールに指示を出す。
「レール、アイアンヘッド!!」
「! クチィ(了解だぜ)!」
「!? ほう!」
多少距離はあるがコチラは『アイアンヘッド』を繰り出す。正直、電気タイプ相手だと効果はいまひとつだが……。
「力押し狙いならワシらも向かい撃つぞ!」
「レキッ!」
『アイアンヘッド』を両腕でガードしたエレキブルは先程よりも後退したが持ち直して右手で『かわらわり』を仕掛けてきた。
「レール!」
「クチッッ(わかっている)!」
相手の攻撃に合わせてレールは『ふいうち』を使うが、相手は左腕でガードして体勢を崩しながらも『かわらわり』を当ててきた。
(ダメージレースは互角か?)
レベル的には向こうの方が少し上かもしれないが、流れ的にはレールの方が少しだけ優勢に見える。
「ふぅ、この歳でガチバトルはしんどいのう」
「そうですか? では、もっとしんどくさせますね!」
「……近頃の若者は容赦がないのじゃな」
ブツクサ文句を言いつつもテッセンさんはやる気満々に見えるので、俺も立ち上がったレールの方を見て笑う。
「まだまだやれるか?」
「クチッ(もちろん)!」
「ならレール、もう一回アイアンヘッド!」
「なるほど! じゃあコチラはかわらわりじゃ!」
「レキッ!!」
向こうは右腕を構えて突進してきたが、レールはそのまま頭突きの姿勢で相手に突っ込む。
普通ならかくとう技の『かわらわり』が競り勝つが、今回後退したのはエレキブルだった。
「レキッ!?」
「な、なぜエレキブルが吹き飛んだのじ!?」
「よし今だ! レール、がんせきふうじ!」
「クチイィィ(今度こそ)!!」
レールは周りに大きな岩を出現させてエレキブルに射出。相手はなんとか立ちあがろうとするが、その攻撃をまともに受けた。
(レールに賭けて良かった)
通常のクチートは『いかく』か『かいりきばさみ』が特性だが、レールの特性は隠れ特性のちからずく。
このちからずくは追加効果がある技を使うと、効果が発動しない代わり威力が上がる特性だ。
「なるほど、何かタネがありそうじゃの!」
「ええまぁ。あ、ついでにつるぎのまい」
「お、お主!?」
「チイィ(クルクール)!」
エレキブルが岩をどかして立ち上がるタイミングで『つるぎのまい』を指示。これでレールの攻撃力が上がりこれで対処方法が増えた。
(ただ、つるぎのまいを使っても厳しいところはあるな)
コチラは4種類の技を使ったので他の技は使えない。
対するテッセンさんのエレキブルはまだ3つしか技を使ってないのでその辺は不利に感じる。
「ま、まぁ、これでこそポケモンバトルじゃな!」
「レキッ!」
向こうも岩をどかして立ち上がったので仕切り直し。コチラは『つるぎのまい』で攻撃力が上がったレールに指示を出す。
「レール、アイアンヘッド!!」
「クチィ(おうよ)!」
「来るか! ならコチラもワイルドボルト!!」
「レキィィ!!」
相手は蓄えていた電気を放出するように体に纏って勢いよく突進。その結果、互いに技がぶつかり中央で爆発を起こした。
「ぐっ!」
爆発で起きた突風で尻餅をつきそうになるが、なんとか踏ん張って中央を見る。
(どうなった)
砂埃が晴れるとそこには……レールとエレキブルが互いに地面に倒れていた。
「クチート、エレキブル、互いに戦闘不能!」
「クチィ……(くっそ)!」
「レキッ……」
突進系の撃ち合いは互角で終わったみたいで2人とも戦闘不能になった。俺は、フィールドに降りてレールを抱きしめる。
「ありがとなレール」
「クチィィ(ご主人、勝てなかった)」
「いや、お前は充分頑張ったよ」
「チチィ(そう言ってくれて助かる)」
俺はレールをボールに戻してトレーナーが立つエリアに戻る。すると、テッセンさんが最初と同じく愉快に笑い始めた。
「まさかワシのエレキブルと相打ちとはやるな」
「ええ、レールは自慢の仲間ですからね」
「……ほう!」
嬉しそうに笑う陽気なお爺さんを相手にシビアなジムバトルが進んでいく。
9月22日、16時51分。誤字脱字報告ありがとうございます!
9月22日、17時56分。誤字脱字報告ありがとうございます!
9月26日、15時25分。誤字脱字報告ありがとうございます!
9月30日、17時28分。誤字脱字報告ありがとうございます!
10月2日、17時15分。誤字脱字報告ありがとうございます!