丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
テッセンさんとの約束の日。
俺達4人はキンセツジム内に入ると、若干引いているジムトレーナー達が目に入るよう。
「なんでみんな引いているのかしら?」
「お前ら、数日前にボコボコにしたのを忘れたか?」
「クチィ(ああ、なるほど)!」
「まあ、気の毒ッスね」
微妙な空気の中、会議室に案内されて中で待っていると苦笑いをするテッセンさんと金髪ロングの美人な秘書さんが現れた。
「お主ら、また派手にやったのう」
「派手? まあ、前にジムトレーナーさんをボコった事ですか?」
「それもありますが、非番のトレーナーから喋るサーナイトがゲームコーナーで無双した情報が入って来たのですが……」
「ああ! 私がトリプル7を当てまくったやつね」
「そう、それです!」
その時の景品はホテルの中にあるので見せられないが、ルナは嬉しそうにしていた。
「特に犯罪じゃないから大丈夫と思うぞ」
「確かにそうですが……まあ、これを言っても仕方ないですね」
「「「「?」」」」
呆れてため息を吐いた秘書さんは気を取り直して話し始めた。
「改めてクウヤ様達に依頼したいのはキンセツ学園の実技試験の手伝いです」
「ええ、それはお聞きしてます」
この後もいろいろ話されたのでまとめると。
①、中等部にいる生徒達の実技試験の試験官が足りない。
②、そこでジムトレーナーから数人が手伝いに行く。
③、生徒達はクソガキが多く外の世界をあまりしないので現実を見せてほしい。
④、なんならコテンパンに叩き潰してほしい〈秘書さん個人の意見〉
⑤、報酬はいい値で払うし必要なものはできる限り揃える。
この5つの内容。
俺は契約内容を確認した後、早速秘書さんに連れられてキンセツジムの建物から出て行く。
「あの、秘書さん」
「なんでしょう? あと、私の名前クレアです」
「あ、はい」
秘書さんの名前がクレアさんとわかったので苦笑いで受け流した後、彼女が運転する車に乗り込んで質問を口にする。
「なんで僕が試験官に選ばれたのですか?」
「それは、クウヤさんの年齢が12歳くらいなのとポケモンバトルの戦い方が上手いからテッセンさんが推薦しました」
「なるほど……。でも他に強いトレーナーはたくさんいますよね」
ジム用のポケモンを使っていたジムトレーナー達もガチになればかなり強いはず。
なのに俺が選ばれた理由が年齢以外は薄い気がする。
「確かにリーグトレーナーとかいますが、あくまで生徒と同年代となるとかなり限られてくるんですよ」
「つまり年齢だけて選ばれたのですか?」
「うーん、確かに年齢もありますが1番は彼女達ですね」
「へっ?」
彼女がバックミラーをチラッと見たので、助手席に座っている俺も振り向く。
……あ、そうか。
「彼女達が関係しているのですね」
「ええ! 特に擬人化したスイクンがいるのが理由です」
「それだと納得しました」
伝説・幻のポケモンをゲットしているトレーナーはほとんどが凄腕らしい。
まあ、俺の場合は運の要素が強いがシズクが懐いている事も大きな判断材料になったみたいだ。(もちろん、喋るサーナイトや特殊個体のクチートも影響している)
「気難しいポケモン達をまとめられる貴方は凄腕トレーナーにも負けないレベルですよ」
「そう言っていただけるとありがたいです」
俺よりもポケモンを褒められている気がするがスルー。そのまま適当に話していると、キンセツシティ郊外の学園施設に到着した。
「ここがホウエン1の学園、キンセツ学園です!」
「思っていたよりもかなり大きいですね」
見た感じパルデア地方にあるのオレンジ・グレープ学園並みに大きな建物で、クレアさんにタブレットを借りて見てみると。
「見た感じかなり広いッスね」
「ああ、そうだな」
学園内にはポケモンバトルができるフィールドやポケモンセンター、他にもいろんな施設や学生寮が集まっている。
その中央には中世のお城みたいな建物があり、そこで生徒達は勉学に励んでいるようだ。
「さてと、到着したので許可書をもらいにいきましょう!」
「ええ!」
俺達は車から降りてキンセツ学園に繋がる大きな門の中に入る。すると、オールバックにスーツを着た中年の男性がコチラに気付き走って来た。
「クレアさん、お客様、お待ちしてました!」
「ええ、クグツチさんお久しぶりです!」
スーツの男性・クグツチさんはクレアさんの知り合いなのか軽く会釈した後にコチラを向いた。
「なるほど、君がテッセンさんから推薦された若いトレーナーだね」
「ええ、クウヤと言います」
「そうか! よろしく頼むよ」
クグツチさんは笑顔で笑っているように見えるが、目は笑って……やめておこう。
(主観で決めつけない方がいいよな)
先程向けられた視線が気になるところはある。だがそれを指摘するのは初対面では失礼なので黙っておく。
ーーー
キンセツ学園の門をくぐり、入口近くある待機所で受付をして学園許可証をもらい進む。
(やっぱり広い)
進んでいく道は綺麗に舗装されており、周りには制服を着た生徒達が歩いていた。
彼らの視線は俺の手持ちに注がれており、特に喋るサーナイトはかなり珍しいので見られていた。(スイクンが擬人化しているのはバレないみたいだ)
「喋るサーナイトとか珍しいよな」
「ああ、てか青髪の女性の体もすごいぞ!」
「くうう! アタシも大きくなりたい!」
「あのトレーナーが羨ましい」
いろいろ聞こえるが無視して歩いているが、嫉妬の視線ややヒソヒソ話が聞こえるので耳を閉じたくなった。
「大丈夫?」
「まあなんとか」
「……体調が悪くなったら言いなさいよ」
「ありがと」
ルナが心配してくれたので幾分かマシになっていると、中世の城並みに大きい校舎に到着した。
「ここがキンセツ学園の学び舎です!」
「おお! おっきいッスね!」
「クチィ(すげぇ)!」
(でしょうね!)
自慢げに喋るクグツチさんに俺達は苦笑いを浮かべながら中に入る。すると受付に生徒達が集まっているので疑問に思いながら横を通った。
「なんだあの集まりは?」
「さあ?」
イベント……いや、試験の準備か?
俺は試験のことを思い出したので勝手に納得して頷いた後、学園長室の前に到着する。
「学園長、約束の客人をお連れしました!」
「入ってください」
部屋の中から聞こえたのは少しくぐもった女性の声。俺は少し警戒していると、ドアが開いたのでみんな共に中に進んでいく。
(あの方が学園長先生か)
白髪が生えているが鋭い目でコチラを見ている初老の女性。彼女に睨まれて軽く腰が抜けそうになるが、シズクが支えてくれた。
「……なるほど」
「え? クロッカス学園長?」
「い、いえ! なんでもないです」
クレアさんの言葉に学園長先生は何かを誤魔化すように首を振った。
(まあ、何かあるのは確定だろ)
向こうから試されるような視線を受けているので、そのつもりだと解釈して俺も言葉を口にする。
「初めましてクウヤです! それで後ろにいるのは僕の仲間達です」
「あら、ご丁寧にどうも。私はこのキンセツ学園の学園長ことクロッカスよ」
「よ、よろしくお願いします」
コチラが一礼すると、オホホと笑いながら返答するクロッカス学園長。
俺は内心でひやあせをながしながら返答していると、学園長室にいるメイドさん達に案内されてソファーに座った。
(冷や汗ダラダラだわ……)
緊張で震えそうになるが、ルナが手を握ってくれるのでなんとか持ち堪えている。
まあ、それはさておき。メイドさんが紅茶を持って来てくれたので、一通り落ち着いてから話し合いが始まった。