丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
(今回は少し短めですが、よろしくお願いします!)
メイドさん以外は全員席に座った後、クロッカス学園長はコチラを観察するような視線を向けながら口を開いた。
「今日はお越しくださりありがとうございます!」
「いえ! そこまで気にしないでください」
「フフッ、わかったわ」
軽く会釈をしたクレアさんに合わせて俺も頷く。
(心理戦かよ)
表向きはみんなニッコリとしているがかなりドロドロしてそうだ。そう主観で思っているとクグツチさんが口を挟んだ。
「しっかしまぁ、こんな子供に試験官を任せられるのですか?」
「ええ、テッセンも認める腕利きですよ」
「そう……ちなみにテッセン先輩が認めた理由は手持ちが強いだけかしら?」
「!?」
「はい、そうですよ」
「クウヤ!」
正直俺の実力はサイドスキル(?)を抜けば凡人レベルくらいだろうか?
ただ仲間達の素質はかなり高く感じるのは自分でもわかるので、クロッカス学園長の言葉を肯定する。
「ほうほう。では、君の実力はそこまでないんだな」
「そう思ってもらって構わないですよ」
「クウヤさん!?」
クグツチさんが「やはり」と小さく呟いたので、俺は少し呆れながら話を続ける。
「テッセンさんからの推薦なので頑張りますが、足りないところはあるので指導していただけるとありがたいです」
俺はほぼ抑揚のない声で頭を深く下げる。
……あの、ルナさん。めちゃくちゃ震えてますが堪えていただけますか?
「わかりました。まあ、テッセン先輩が無能を送ってくるはずはないと思うので期待してますよ」
「ええ、できる限り頑張ります」
俺は頭を上げると、クグツチさんが見下したような視線を向けて来た。
(うん、この人はわかりやすいな)
教師としてアウトな気もするが、俺は気にせず会話を進めていく。そして時間が過ぎ、お昼時になったので俺達は頭を下げて学園長室から出て行く。
ーーー
〈クロッカス学園長視点〉
「いきましたか」
「はい」
私は先程見た少年の事を思い出す。
(ポケモンに愛された少年ね)
最初は女性ポケを連れた欲望丸出しの少年かと思いましたが、コチラの質問にしっかり受け答えもしていた。
しかもクグツチ先生の見下した発言も上手く回避しているところを見ると……。
「今回の流れが予想していたか、単純に大人びているか」
「自分には判断できないですね」
「ええ、私にも細かくはわかりません」
常駐してくれているメイドのリンカに質問しても私が欲しい答えは返ってこない。
(ある意味、テッセン先輩の狙いがわかりました)
もし彼と同じくらいの少年がこの場所に来ていたら緊張で固まるか、馬鹿にされて事をキレていたはず。
だけど、そうはならずに穏便に済んだのは彼のおかげ……それに。
「あの子、トレーナーの才能がないと言ってたわよね」
「確かにそう言ってました」
「じゃあ、あの子の隣にいた子達が私達をすごい睨んでいたのはなんでかしら?」
「!? まさか!」
彼の手持ちは喋るサーナイトに特殊個体のクチート。後は手に入れた情報によると擬人化したスイクン。
普通に考えてイロモノのポケモン達だが……。
「あそこまで主人を愛せるのもすごいわ」
「自分の目が節穴でしたね」
リンカは反省しているのか目を伏せたけど、私も序盤では気づかなかった。
(そう考えると、あの子はいろいろやらかしそうね)
これから起こる波乱に私は年甲斐もなくワクワクしてしまう。まあ、テッセン先輩が推薦したトレーナーなんで癖があるのはわかっていたけど。
「私を楽しませてね若き少年くん」
私はリンカに入れてもらった紅茶を飲みながら書類の整理を進めていく。