丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます   作:黒霧春也

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 9月30日、16時03分。
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24話後半・VSリアナ(決着)

 次に俺が繰り出したのはクチートのレール。対するリアナが繰り出したのは先程のバクオングで相性的には若干こちらが有利なはず。

 

「クチィ(オレの出番だぜ)!」

「おう、頼むぞ!」

「クチ(もちろん)」

 

 やる気満々なのかシャドーボクシングをしているレールを見て少しずつ落ち着く。

 

(一旦気持ちを立て直したいな)

 

 冷静に状況を見ると無傷のレールVS

 

『次は色違いのクチートVSバクオングですね!』

『あの少年、珍しいポケモンを持っているな』

 

 観客席にいる生徒達の嫉妬や羨ましがる視線を感じるが、俺はなんとか歯を食いしばって耐える。

 

(空気に飲み込まれるな)

 

 劣等感が強くなり卑屈になりそうだが、ルナ達の言葉を思い出して踏み止まる。

 そしてコチラを心配そうに見てくるレールに対して笑顔を浮かべながら頷く。

 

「頼むぞレール!」

「クチィ(ああ)!」

 

 気合いを入れ直してレールと共に前を向くと、バクオングもやる気満々なのか大きく口を開いた。

 

「いくわよ、 バクオング、もう一度ハイパーボイス!」

「ゴォォ!」

「レールごめん! 耐えながらつるぎのまい!」

「クチィィ(なかなかキツい事を言うな)!」

 

 バクオングの『ハイパーボイス』はノーマルタイプの技でで鋼タイプを持つレールには効果が薄い。

 ならここは耐えてもらって能力を上げる方を優先する。

 

「なら、ほのおのパンチ!」

「グオォ!」

「マジか!? レール、ふいうち!」

「クチィ(これでもくらえ)!」

 

 相手は右腕に炎を纏わせて殴りかかってきたので、レールが高速で動いて鋭い蹴りをお見舞いする。

 その攻撃がバクオングの顔面に直撃して苦痛の表情を浮かべるが、タダではやられず右手を振りレールに『ほのおのパンチ』を食らわせた。

 

「クチィ(グウゥ)!」

「だ、大丈夫か?」

「チチィ(全然平気だ)!」

 

 向こうもテッセンさんのエレキブル戦みたいに態勢が崩れていたので威力は落ちているが……。

 

(炎技はレールに効果抜群だから少し厳しいな)

 

 このままダメージレースになると少し不利なのだが、それとは別に相手は焦り始めたみたいでヒステリックを起こしてきた。

 

「ぐっ、このエリートのあたしが押されているの……」

「ご、オオォ!」

「こ、こんなの認めないわ!」

 

 リアナはフラフラでも立ち上がるバクオングを睨みつけ、イライラしているのか自分の爪を噛んでいた。

 

『バルク先生、今の状況だとクウヤ選手の方が有利ですか?』

『ああ、クチートはつるぎのまいで攻撃力が上がっているし動きも悪くないからな』

『なるほど! では、このまま決まりそうですか?』

『いや、この程度で押し切られるならリアナは中等部最強を名乗ってないぞ』

『あー、確かにそうですね』

 

 バルク先生はリアナに期待しているのか遠回しに檄を飛ばした。それを聞いた本人は表情を歪めながら顔を上げて指示を出す。

 

「一気に決めるわ! バクオング、ギガインパクト!」

「ゴオオォ!!」

「!? レール、アイアンヘッド!」

「クチィィ(ハァァ)!!」

 

 ノーマル物理の最強技である『ギガインパクト』のエネルギーを纏ったバクオングはすごい勢いで突進攻撃を仕掛けてきた。

 

(いけええぇ!)

 

 対するコチラは鈍色のエネルギーを纏ったレールが勢いよく突進……その結果、互いにぶつかり中央で大爆発が起きる。

 

「「ぐうぅ!」」

 

 砂埃が舞い、その余波を受けて互いに手で目を覆う。

 

(どうなった!)

 

 俺は砂埃が晴れた中央を見るとボロボロだが堂々と立っているレールと地面に倒れたバクオングがいた。

 

『バクオング戦闘不能!!』

「! チイィ!」

 

 審判さんの宣言にリアナはイラついたままバクオングをボールに戻した。そしてコチラを鋭く睨みつけた後に腰からハイパーボールを取り外す。

 

「このあたしが追い込まれるなんて!」

「そうですか?」

「ツッ! ならコイツでボコボコにしてやる!」

(あのー、キャラ崩壊してない?)

 

 なんかブツブツ言っているが、俺は無視して実況席の方から聞こえる声を耳にする。

 

『こ、この展開は予想外ですね……』

『ああ、中等部最強が追い込まれるなんて思ってなかったぞ』

『ですね。というか、クウヤ試験官の実力は本物ですよ!』

 

 褒められているのか認められているのかわからないが、マイナス面はあまりなさそうだ。

 

(だけど……)

 

 レールはボロボロでゲームでいう赤ゲージレベルなので、相手の3体目に勝てる確率は低い。

 

「クチィ(流石にキツいな)!」

「……だよな」

 

 フラフラのレールを今すぐに戻したいが、タイミング的に今じゃない。

 俺は少し待っていると、リアナは3体目のポケモンを繰り出した。

 

「アタシは最後には勝つ! その為には……行きなさいボーマンダ!!」

「ギャオオ!!」

「!? そう来るか!」

 

 フィールドに現れたのはドラゴン・飛行タイプでファンタジーで言うワイバーンみたいなポケモンのボーマンダ。

 コイツはメタグロスと並びホウエンの600族と呼ばれる強ポケで、一時期マンダの『りゅうせいぐん』は強いでネタになったヤツだ。

 

(流石にまずい!)

 

 相性ではフェアリータイプを持つレールの方が有利だが、おそらく相手は炎技を持っている。

 それに空中に空いているので物理メインのレールでは場が悪いので……。

 

「レール、戻ってくれるか?」

「クチィ(ああ)!」

 

 俺はレールをボールに戻して深呼吸しした後、覚悟を決めて俺はアイツを呼び出す。

 

「ゴー、シズク!!」

「ダンナ、待ちくたびれたッスよ!」

「それはごめん……。あ、お前がシメだから頼むな」

「おお! それは美味しいところッスね!」

(テンションの差よ!)

 

 シメと聞いてウキウキしているシズクだが、観客席にいる生徒どころか対戦相手のリアナも目が点になっていた。

 

「え? 普通に人間よね……」

「ガウゥ?」

 

 なんか今までの緊張した雰囲気をぶち壊してしまった気がするが、シズクは欠伸をしながらボーマンダを見た。

 

「なるほど、ウチの相手はボーマンダッスか」

「お前なら相性がいいだろ」

「そうッスね!」

 

 カラカラと笑うシズクに俺は軽口を返していると、実況のガシェが何かに気づいた。

 

『た、確かこの書類に情報が……って、ええー!?!?』

『おい! いきなり大声を出してどうしたんだ!?』

『ば、バルク先生! クウヤ試験官が繰り出したのは擬人化した伝説のポケモンですよ!』

『……マジで』

 

 伝説のポケモン。

 コイツらに認められるには相応の実力と人格が必要なのと、そもそも個体数が少ないので出会うのすら難しいと言われている貴重なポケモン。

 

(まあ、出会う確率はそこまで高くないみたいだな)

 

 アニメのサト○君並みに出会うのはおかしいらしい。

 なので俺は主人公補正はエグいと再確認しつつ試合に意識を戻す。

 

「で、伝説のポケモンの使い手だったのね」

「グウゥ!」

「そ、そうね! 例え相手が伝説のポケモンでもあたし達も負けられないわ!」

(ええ……)

 

 シズクを見て逆に気合いが入っているのかボーマンダは空に向かって吠えている。

 そして数分後、実況と解説の人達が落ち着いたみたいで審判さんがバトル再開を宣言した。

 

『では、バトル再開!』

 

 審判さんの合図を聞いた俺達は互いに自分のポケモンに指示を出す。

 

「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」

「グオォ!!」

「シズク、迎撃のれいとうビーム!」

「了解ッス!」

 

 ボーマンダが緑色のオーラを纏わせた爪を出現させて殴り込んて来たので、コチラはカウンター狙いで近づいてきた瞬間に『れいとうビーム』で迎撃する。

 

「!? グオォ!?」

「うそ! ぐっ、アイツは氷タイプなの!」

 

 ボーマンダに氷技は効果抜群なので相手は綺麗に倒れるが、気合いで立ち上がった。

 そして、リアナは自分の頬をパンッと叩き気合いを入れた。

 

「なら一気に決める! ボーマンダ、りゅうせいぐん!」

「ゴォォ!!」

「あ、それはやばい」

「ダンナぁ!?」

 

 空高く飛んだボーマンダが放つ全方位ブッパの『りゅうせいぐん』は対策がないと避けにくい。

 そのため俺は投げやり風に言うと、シズクが焦りながら振り向く。

 

(まあ、対策はある)

 

 地面に落ちてくる隕石をシズクは半泣きになりながら回避しているので、俺はサド心で放置したくなるが仕方なく指示を出す。

 

「シズク、しんそくで避けられるか?」

「! その手があったッスね」

 

 隕石が落ちて来るスピードは速いが流石に『しんそく』よりは遅い。その為、シズクは超高速で動いて相手の攻撃を全て避け切った。

 

「ダンナー、もっと早く指示が欲しかったッス!」

「いやー、お前が半泣きで避けているのが面白くてな」

「……後で仕返しをしてやるッス」

 

 何かポツリと怖いことを言われたが、気にする事ではないと思って無視する。

 

(さてと、相手はボロボロだな)

 

 流石に効果抜群の『れいとうビーム』が聞いているのかボーマンダは飛ぶのがギリギリみたいだ。

 なので俺は容赦なくシズクに指示を出す。

 

「てなわけでトドメのれいとうビーム!」

「ドユコトッスか? まあ、気にしていても仕方ないので行くッス」

 

 容赦のない氷タイプのビームはボーマンダに直撃。今度は耐えきれなかったのか地面に倒れた。

 

「くおぉ」

「そ、そんな……」

 

 自慢のエースが伝説のポケモンにボコられる。

 アニメでは炎上するレベルの事をやらかしたので、俺は内心で冷や汗を流す。

 

(流石スイクンだな)

 

 項垂れるリアナを見て申し訳ない気持ちになっていると、固まっていた実況席からの音声が届く。

 

『け、決着! 勝者はジムリーダーからの推薦者ことクウヤ試験官!』

『最後は圧倒的だったな……』

 

 復活した2人が今回のバトルを纏めようとするが、観客席から怒号に似たブーイングが発生し始める。

 

「クソが! 伝説のポケモンを使えば誰でも勝てるだろ!」

「おい卑怯だぞ!」

「何がジムリーダーに推薦された試験官よ! 結果的に伝説ポケモンだから勝てるのは当たり前よ!」

(おいおい……)

 

 流石にここまでボロカス言われるのはムカつくが、喧嘩を売れるタイミングではないので俺はシズクを連れてフィールドから離れて行く。

 

「あ、あたしは!」

 

 この時、対戦相手のリアナさんが何か言いたそうにしていたが俺は無視してフィールドを離れていく。

 

〈追伸〉

 リアナさんとのバトルの後、ポケモンセンターで仲間達を回復させたてクレアさんが手配しているホテルに戻った。

 

(さ、流石に疲れた)

 

 明日は試験官として働かないといけないがきがおもくなぅているとシズクに耳をひたすら甘噛みされた。

 

「……シズク?」

「ん? なんスかルナの姉御」

「なんでクウヤの耳を甘噛みしているのかしら?」

「流れ的にッス!」

「クチィ(ずるい)!」

 

 この後の展開はあまり思い出したくないが、シズクVSルナVSレールで喧嘩が起きかけたので止めるのが大変だとだけ言っておく。

 

 




 9月30日、18時56分。誤字脱字報告ありがとうございます!
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